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カイオム Research Memo(4):創薬事業、創薬支援事業ともに前期比で若干の減収

注目トピックス 日本株
■カイオム・バイオサイエンス<4583>の業績動向

2.事業セグメント別動向
(1) 創薬事業
創薬事業の売上高は27百万円(前期比6百万円減少)、セグメント利益(売上総利益)は20百万円(同13百万円減少)となった。売上高はADCT社との「LIV-2008b」にかかるADC開発用途でのオプションライセンス契約締結(2016年3月)に伴う契約一時金を計上した。ADCT社とは2015年も「LIV-1205」についての開発・販売権に関するオプションライセンス契約を締結し、9百万円の売上高を計上しており、現在は両抗体の評価をしている段階にある。評価期間についての目安として、従前はベストシナリオとして「LIV-1205」で2017年前半、「LIV-2008b」で2018年前半頃に、その結果が判明すると会社側では見ていたが、足元の状況ではまだ評価に時間が掛かっている模様で、結果判明時期についてはしばらく時間がかかるものと予想される。研究開発部門でのデータのやり取りは継続して行っていることから、評価に時間を要しているものと推測される。

(2) 創薬支援事業
創薬支援事業の売上高は224百万円(前期比21百万円減少)、セグメント利益(売上総利益)は94百万円(同13百万円減少)となった。このうち中外製薬グループ向けの売上高は187百万円(前期比3百万円増)と堅調に推移したが、富士レビオとの共同研究開発が2016年9月末で終了したことによる売上減やその他製薬企業やアカデミアとの抗体作製プロジェクトが減少したことが減収要因となった。なお、富士レビオではADLib®システム技術を用いて複数の診断薬キットを開発しており、これら開発製品が今後上市され販売が拡大していけば、ロイヤルティ収入が増加する可能性がある。また、2016年12月には田辺三菱製薬及びその子会社とADLib®システムを利用した抗体作製に関する委受託基本契約を締結したが、当期売上高への影響は殆どなかった。

(3) ADLib®システムの研究開発状況
ADLib®システムの研究開発状況としては、製薬企業やアカデミア等との抗体作製プロジェクトを通じて、技術の底上げ、改良を着実に進めているようだ。また、完全ヒトADLib®システムの開発状況としては、特異性を持った抗体は作製できるものの、機能性(薬効を持っているかどうか)や安定性も併せ持った抗体を作製・評価するまでには至っていないようで、今後も抗体作製の実績を積み重ねながら臨床開発で使用可能な実用レベルでの抗体開発を進めていく考えだ。

抗体作製に関してはここ数年、アジア企業の台頭もあって既存技術より比較的安価なコストで行われるようになってきている。また、製薬企業もオープンイノベーション等を通して外部から抗体を導入する動きもある。このため製薬企業もADLib®システムのような新技術の導入には慎重で、技術導出が進まない要因の1つになっている。このため、ADLib®システムの技術導出を実現するためには治療薬候補抗体としてポテンシャルを持つ抗体を作製することが当面の課題となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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