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TOKAI Research Memo(1):2020年3月期第1四半期の営業利益は順調な滑り出し

注目トピックス 日本株
■要約

TOKAIホールディングス<3167>は、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業。「Total Life Concierge」(暮らしの総合サービス)構想※1の実現に加えて、2019年3月期より新たな戦略として「ABCIR+S(アブサーズ)※2」を打ち出し、M&A戦略も推進しながら更なる飛躍を目指している。なお、同社株式は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点等、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たし、2019年8月30日適用予定の「JPX日経インデックス400」の構成銘柄に選定されている。

※1 Total Life Concierge構想:同社グループが提供する様々なサービスにより、顧客の快適な生活を総合的、かつきめ細かにサポートし、顧客満足度の向上を目指すビジョンのこと。
※2 アブサーズ:同社グループの技術革新に向けた戦略のこと。AI(A)、Big Data(B)、Cloud(C)、IoT(I)、Robotics(R)、Smart Phone(S)の頭文字をつなげた造語で、関連する新規サービスの創出・育成に注力する。


1. 2020年3月期第1四半期業績
2020年3月期第1四半期(2019年4月−6月)の連結業績は、売上高で前年同期比2.8%増の45,804百万円、営業利益で同35.2%増の3,231百万円となり、第1四半期として過去最高業績を更新した。主力のLPガス事業やCATV事業、アクア事業において顧客件数が増加したことに加えて、法人向け情報通信サービス事業が好調に推移したことが主因だ。第1四半期末のグループ顧客件数は前年同期末比で24千件増の2,907千件となった。なお、社内計画比では顧客件数が若干未達となったものの、コスト抑制効果もあって営業利益は6.5億円強上回ったもようだ。

2. 2020年3月期業績見通し
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.8%増の200,800百万円、営業利益で同8.5%増の14,170百万円、期末のグループ顧客件数で前期末比10万件増の300万件と期初計画を据え置いている。グループ顧客件数については、第2四半期以降に顧客獲得コストを積み増していくほか、M&Aの推進によって計画達成を目指す考えだ。また、2021年3月期以降の成長を見据えた「ABCIR+S」関連の投資や人材投資で合わせて19億円のコスト増を見込んでいるが、グループ顧客件数拡大による月額課金収入の増加や、ガス及び石油事業における仕入コスト低減等による収益改善効果で吸収する見通し。

3. 中期経営計画について
中期経営計画(Innovation Plan 2020“JUMP”)では2021年3月期に売上高で3,393億円、営業利益で225億円を目標として掲げている。グループ顧客件数はM&Aを積極活用しながら432万件以上に拡大していくほか、顧客の複数サービス契約率※を2019年3月期末の17.8%から20%に引き上げることで、1顧客当たり収益の最大化を目指していく。中期経営計画を達成するためにはM&Aの成否がカギを握ることになる。CATV事業やガス及び石油事業、情報及び通信サービス事業に加えて「ABCIR+S」に関連する新規事業でのM&Aについて、1,000億円規模の投資枠を設定して検討を進めており、今後の動向が注目される。

※複数サービス契約率=(サービス総契約件数÷顧客数)-1


4. 株主還元策
株主還元については、継続的かつ安定的な還元を継続していく方針に変わりはない。2020年3月期の1株当たり配当金は28.0円(配当性向44.6%)と前期比横ばい見込みだが、今後も配当性向40〜50%を目安に収益動向や資金需要を勘案しながら配当を実施していく。株主優待ではアクア商品やQUOカード、1,000円相当の「TLC会員サービス」のポイントなど複数の候補品から1つを3月末、9月末の株主に贈呈している。株主優待も含めた単元当たり総投資利回りを現在の株価水準(2019年8月23日終値984円)で試算すると3.9〜7.0%※となる。

※株主優待をQUOカード、またはアクア商品で選択した場合。


Key Points
・2020年3月期第1四半期の営業利益は顧客基盤の拡大と法人向け情報通信サービスの好調により計画を上回る
・顧客獲得施策と成長投資に注力するため、2020年3月期業績は期初計画を据え置く
・中期経営計画(IP20)ではM&Aと「ABCIR+S」戦略の推進により、成長を加速していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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