MRO Research Memo(1):2020年12月期第1四半期は20%前後の増収増益となり順調な滑り出し
[20/05/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。438.4万口座(2020年3月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品59.0万点(うち自社保有在庫で46.4万点)を販売する。
1. 2020年12月期第1四半期の単体業績
2020年12月期第1四半期単体業績は、売上高で前年同期比19.1%増の35,585百万円、営業利益で同23.9%増の4,640百万円、経常利益で同23.5%増の4,633百万円、四半期純利益で同24.0%増の3,231百万円と売上高・各利益ともに20%前後の成長を達成した。売上高に関しては、リスティング広告、SEO対策など各種マーケティング施策が奏功したことや、新型コロナウイルス関連商品を求める個人顧客が増えたことなどにより獲得口座数が拡大したため、年初計画を超えて進捗した。通販事業(大企業連携は除く)は新規顧客増と新型コロナウイルス関連商品への需要増等により、対前年同期・対計画ともに上回った。購買管理システム事業(大企業連携)では、大企業連携社数及び売上高が成長し期初計画どおりの進捗である。売上総利益率は、前年同期比0.2ポイント低下したが、販管費率が、同0.7ポイント低下し、結果として、営業利益は前年同期比23.9%増、営業利益率は同0.5ポイント上昇となった。同社計画比でも営業利益で3.5%のプラスであり、第1四半期として順調な滑り出しをしたと言えるだろう。
2. 2020年12月期の連結業績見通し
2020年12月期通期の連結業績は、売上高で前期比19.0%増の156,468百万円、営業利益で同17.2%増の18,569百万円、経常利益で同17.0%増の18,584百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.3%増の12,997百万円と、売上高・各利益ともに高い成長を維持する予想である(期初の予想を据え置き)。この計画が達成されれば、19期連続の増収、11期連続の増益となる。足元の4月以降においては、新型コロナウイルスのプラス・マイナス両面の影響があるものの、プラス要因(新型コロナウイルス関連商品や、在宅勤務などの働き方の変化に関連する商品の売上が増加)が若干上回っているもようである。特に新規顧客獲得が好調。年間目標で91.8万口座(前期は74.5万口座)に対して、第1四半期の段階で27.4万口座(進捗率29.9%)を獲得した。通期の全社売上高予想(単体)に対する第1四半期進捗率は23.7%(前年同期は23.6%)と前期並みである。売上総利益率は仕入れの最適化や円高による商品粗利増により28.5%(前期比0.3ポイント増)とやや上昇する予想。販管費率に関しては、例年スケール効果により下がる傾向だったが、進行期は商品情報管理・受発注管理システムの使用開始に伴う費用が発生するため、16.7%(前期比0.5ポイント増)とやや上昇する見込みだ。結果として、営業利益で売上比11.9%(前期比0.1ポイント減)、前期比17.2%増を予想する。通期の全社営業利益予想(単体)に対する第1四半期進捗率は24.1%(前年同期は22.8%)と順調な進捗である。弊社では、新型コロナウイルスの影響により、法人のオンライン調達の加速と個人新規顧客の増加が続くことなどにより、通期業績は上振れる可能性があると考えている。
3. 新型コロナウイルスの影響はプラス・マイナス両面あり
新型コロナウイルスの感染拡大は同社の事業に大きな影響を与えており、プラス面とマイナス面の両方が考えられる。現時点(2020年4月末時点)ではマイナス面は一過性と考えられるものが多く、中期的にネット通販の普及促進というプラス面が上回っていくことが想定される。ネット通販事業(monotaro.com)では、現時点でプラス面が上回っている。新型コロナウイルス関連商品を求める個人顧客の登録が急増し、新規登録者は計画を上回って進捗。需要面では、新型コロナウイルス関連商品(マスク、消毒液などの衛生用品等)、在宅勤務等働き方の変化による関連商品(家具、消耗品等)の売上が好調に推移する傾向だ。マイナス面では、マスク、消毒液、防護服等一部の商品で供給が追い付かず、注文制限を設定していることや、個人顧客比率が増えたことなどにより、平均注文単価が7%低下した(4月)ことが挙げられる。業種別には、特に製造業からの受注が他の業種(建設工事業、自動車整備業ほか)に比べて伸びが弱い傾向である。製造業は主力業種であり、緊急事態宣言やサプライチェーンの混乱による一過性の落ち込みかどうか注視する必要がある。購買管理システム事業(大企業連携)に関しては、前期比で売上高が伸びてはいるが、4月は計画未達であり弱含みである。この落ち込みを個人向けが好調のネット通販事業(monotaro.com)が補い成長を維持している構図となっている。大企業連携の売上構成比が想定よりも抑えられると、全社利益率は上がることが想定できる。業界全体としては、消費者(法人、個人)が外出や対面販売を控える風潮のなかで、ネット通販業界の成長が加速しており、同社においても追い風と言えるだろう。
■Key Points
・2020年12月期第1四半期は20%前後の増収増益となり順調な滑り出し。各種マーケ施策奏功、新型コロナウイルス関連商品需要増加
・2020年12月期は11期連続増収増益の期初予想を据え置き。新型コロナウイルスの影響により計画上振れの可能性あり
・新型コロナウイルスの影響はプラス・マイナス両面あり。業績的には追い風、物流・ITプロジェクトは遅延要因となる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。438.4万口座(2020年3月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品59.0万点(うち自社保有在庫で46.4万点)を販売する。
1. 2020年12月期第1四半期の単体業績
2020年12月期第1四半期単体業績は、売上高で前年同期比19.1%増の35,585百万円、営業利益で同23.9%増の4,640百万円、経常利益で同23.5%増の4,633百万円、四半期純利益で同24.0%増の3,231百万円と売上高・各利益ともに20%前後の成長を達成した。売上高に関しては、リスティング広告、SEO対策など各種マーケティング施策が奏功したことや、新型コロナウイルス関連商品を求める個人顧客が増えたことなどにより獲得口座数が拡大したため、年初計画を超えて進捗した。通販事業(大企業連携は除く)は新規顧客増と新型コロナウイルス関連商品への需要増等により、対前年同期・対計画ともに上回った。購買管理システム事業(大企業連携)では、大企業連携社数及び売上高が成長し期初計画どおりの進捗である。売上総利益率は、前年同期比0.2ポイント低下したが、販管費率が、同0.7ポイント低下し、結果として、営業利益は前年同期比23.9%増、営業利益率は同0.5ポイント上昇となった。同社計画比でも営業利益で3.5%のプラスであり、第1四半期として順調な滑り出しをしたと言えるだろう。
2. 2020年12月期の連結業績見通し
2020年12月期通期の連結業績は、売上高で前期比19.0%増の156,468百万円、営業利益で同17.2%増の18,569百万円、経常利益で同17.0%増の18,584百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.3%増の12,997百万円と、売上高・各利益ともに高い成長を維持する予想である(期初の予想を据え置き)。この計画が達成されれば、19期連続の増収、11期連続の増益となる。足元の4月以降においては、新型コロナウイルスのプラス・マイナス両面の影響があるものの、プラス要因(新型コロナウイルス関連商品や、在宅勤務などの働き方の変化に関連する商品の売上が増加)が若干上回っているもようである。特に新規顧客獲得が好調。年間目標で91.8万口座(前期は74.5万口座)に対して、第1四半期の段階で27.4万口座(進捗率29.9%)を獲得した。通期の全社売上高予想(単体)に対する第1四半期進捗率は23.7%(前年同期は23.6%)と前期並みである。売上総利益率は仕入れの最適化や円高による商品粗利増により28.5%(前期比0.3ポイント増)とやや上昇する予想。販管費率に関しては、例年スケール効果により下がる傾向だったが、進行期は商品情報管理・受発注管理システムの使用開始に伴う費用が発生するため、16.7%(前期比0.5ポイント増)とやや上昇する見込みだ。結果として、営業利益で売上比11.9%(前期比0.1ポイント減)、前期比17.2%増を予想する。通期の全社営業利益予想(単体)に対する第1四半期進捗率は24.1%(前年同期は22.8%)と順調な進捗である。弊社では、新型コロナウイルスの影響により、法人のオンライン調達の加速と個人新規顧客の増加が続くことなどにより、通期業績は上振れる可能性があると考えている。
3. 新型コロナウイルスの影響はプラス・マイナス両面あり
新型コロナウイルスの感染拡大は同社の事業に大きな影響を与えており、プラス面とマイナス面の両方が考えられる。現時点(2020年4月末時点)ではマイナス面は一過性と考えられるものが多く、中期的にネット通販の普及促進というプラス面が上回っていくことが想定される。ネット通販事業(monotaro.com)では、現時点でプラス面が上回っている。新型コロナウイルス関連商品を求める個人顧客の登録が急増し、新規登録者は計画を上回って進捗。需要面では、新型コロナウイルス関連商品(マスク、消毒液などの衛生用品等)、在宅勤務等働き方の変化による関連商品(家具、消耗品等)の売上が好調に推移する傾向だ。マイナス面では、マスク、消毒液、防護服等一部の商品で供給が追い付かず、注文制限を設定していることや、個人顧客比率が増えたことなどにより、平均注文単価が7%低下した(4月)ことが挙げられる。業種別には、特に製造業からの受注が他の業種(建設工事業、自動車整備業ほか)に比べて伸びが弱い傾向である。製造業は主力業種であり、緊急事態宣言やサプライチェーンの混乱による一過性の落ち込みかどうか注視する必要がある。購買管理システム事業(大企業連携)に関しては、前期比で売上高が伸びてはいるが、4月は計画未達であり弱含みである。この落ち込みを個人向けが好調のネット通販事業(monotaro.com)が補い成長を維持している構図となっている。大企業連携の売上構成比が想定よりも抑えられると、全社利益率は上がることが想定できる。業界全体としては、消費者(法人、個人)が外出や対面販売を控える風潮のなかで、ネット通販業界の成長が加速しており、同社においても追い風と言えるだろう。
■Key Points
・2020年12月期第1四半期は20%前後の増収増益となり順調な滑り出し。各種マーケ施策奏功、新型コロナウイルス関連商品需要増加
・2020年12月期は11期連続増収増益の期初予想を据え置き。新型コロナウイルスの影響により計画上振れの可能性あり
・新型コロナウイルスの影響はプラス・マイナス両面あり。業績的には追い風、物流・ITプロジェクトは遅延要因となる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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