高島 Research Memo(7):次期中期経営計画「サステナV(バリュー)」を策定
[22/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
高島<8007>は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナX」を発表した。前中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」は踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進する。長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ることを目標としている。
具体的には、「ダントツ戦略のさらなる進化」として、省エネ化ソリューション・軽量化ソリューション・省力化ソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献していく。「生産性の向上による強靭なコスト競争力獲得」として、内部統制・コンプライアンス体制を堅持しつつ、業務全体の見直しやシステム化などによって生産性の向上とコスト削減を図る。「コーポレート・ガバナンスの強化」としては、コーポレートガバナンス・コードの諸原則も踏まえ、より充実した「攻めのガバナンス」体制構築に向けて継続的に取り組む。2023年3月期第2四半期に実行したシステム投資や、2022年12月に子会社化した2件のM&Aは、これらの方針に基づいている。
進行中の中期経営計画「サステナX」に加えて、2022年11月には次期中期経営計画として「サステナV」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。
「カーボンニュートラル社会の実現」に向けて、中期的目標として2026年3月期に連結売上高1,000億円(建材セグメント600億円、産業資材セグメント200億円、電子・デバイスセグメント200億円)、営業利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益17億円、ROE8%以上、ROIC6%以上、総還元性向50%を掲げている。各事業のキャッシュと外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高める方針だ。
このほか、成長投資枠として100億円超を設けている。売上高成長率(ポテンシャル)と収益性(営業利益)の2軸で各事業を分類し、戦略投資を実行する領域を決定した。具体的には、自社の強みと成長投資により積極的に拡大を狙う「基盤拡大注力事業」領域と、中長期の市場機会があり、将来の基盤事業に育成すべく成長投資により確立を狙う「将来投資事業」領域に重点的に投資を行う。事業ポートフォリオ強化や多角化を目的としたM&Aのほか、工場・設備、人財、ITなどを投資対象としている。
2. 上場維持基準の適合に向けた取り組みと進捗状況
同社は、2026年3月期末までにプライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から、戦略的投資を実行することで持続的成長企業への転換している。2022年11月には同計画書の数値目標を上方修正し、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益17億円(当初予想比2億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を掲げている。目標を達成するために「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から企業価値と株主価値の向上を実現していく。
(1) 資本配分方針・投資リターンを伴う持続的な利益成長・株主還元策の充実
これまでの事業活動の結果、財務基盤は安定していることから、有利子負債などの外部資金を活用した投資を実行し、利益創出と株主還元の充実を図る。具体的には、投資枠として100億円超を確保している。ROICを意識しながら戦略領域(将来投資事業及び基盤拡大注力事業)を中心に設備、人財、ITシステムなどへの投資、各事業の周辺領域及び機能強化のM&Aに資金を振り向け、事業構造改革とカーボンニュートラル社会到来を見据えたビジネスチャンスへの戦略的アプローチを行っていく方針だ。この方針に基づき、2022年4月に(株)日産ユーズドカーセンターと連携し、中古EV、V2Hの販売において協業を開始している。2022年12月には、新エネルギー流通システム及び信防エディックスを子会社化した。株主還元では、2023年3月期より中間配当を実施しているほか、連結配当性向40%以上、機動的な自己株式の取得・消却の実施、総還元額の下限設定(5億円)により、総還元性向50%を目指している。
(2) IR体制の確立
IR体制の確立としては、機関投資家(特に中小型株・バリュー投資型アクティブファンド)・アナリストを対象に、「資本市場での認知度向上」「投資家の理解促進」「適正な株価形成」「適正な株主構成形成」を目的にコミュニケーションの質と量を充実させる。具体的には、2022年1月にIR・広報ユニットを新設し、投資家向けミーティングの開催や投資家向けイベントへの参加などを実施している。また、2022年3月期より決算短信、決算説明会資料、株主通信、統合報告書を日本語と英語で開示しているほか、2022年6月にはホームページをリニューアルした。個人投資家に対しても、11月にオンラインセミナーに参加し、会社説明を行った。
(3) コーポレートガバナンス・コードへの対応
日本取引所グループが2021年11月に実施したコーポレートガバナンス・コードの改訂に併せて、同社は積極的な対応を行っている。「サステナの先進商社」として省エネ化、軽量化、省力化をキーワードに事業を展開しているほか、持続可能な開発目標(SDGs)に対応した経営をさらに進化させるべく、2022年1月に「サステナビリティ委員会」を設置した。また、SDGsの各目標と自社の事業との関連付けや、気候変動に係るリスク及び収益機会が同社事業に与える影響をTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠した形で開示する方針を掲げており、2022年6月発行の統合報告書で開示している。このほか、議決権電子行使プラットフォームの導入、各種開示資料の英文開示も始めている。政策保有株式については、保有する合理性がない、または保有する意義が希薄化した銘柄については速やかに売却することを基本方針として掲げ、流通株式比率の向上に取り組んでいる。
これらの活動によりプライム市場の上場維持基準への適合が進むことに加えて、株式市場での同社に対する注目の高まりや、資本効率を意識した事業活動による企業価値のさらなる向上が期待できると弊社は考えている。2023年3月期第2四半期末時点の進捗状況としては、流通株式数が27,694単位、流通株式時価総額が66.1億円、流通株式比率が61.5%、1日平均売買代金が3,447百万円となっている。また、2021年6月末時点と比較すると、流通株式時価総額が18.2億円増、1日平均売買代金が2,764百万円増と大きく伸長している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 中期経営計画
高島<8007>は2020年12月、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナX」を発表した。前中期経営計画「サステナ2020」の基本戦略である「ダントツ戦略」「生産性の向上」「コーポレート・ガバナンスの強化」は踏襲しつつ、「ダントツ戦略のさらなる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」「コーポレート・ガバナンスの強化」によって、バリューチェーンにおける設計から施工・サポートに至るまで各機能の形成・拡充を一層強く推進する。長期的な成長基盤の確立に向けて、事業構造・ポートフォリオの転換を図ることを目標としている。
具体的には、「ダントツ戦略のさらなる進化」として、省エネ化ソリューション・軽量化ソリューション・省力化ソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献していく。「生産性の向上による強靭なコスト競争力獲得」として、内部統制・コンプライアンス体制を堅持しつつ、業務全体の見直しやシステム化などによって生産性の向上とコスト削減を図る。「コーポレート・ガバナンスの強化」としては、コーポレートガバナンス・コードの諸原則も踏まえ、より充実した「攻めのガバナンス」体制構築に向けて継続的に取り組む。2023年3月期第2四半期に実行したシステム投資や、2022年12月に子会社化した2件のM&Aは、これらの方針に基づいている。
進行中の中期経営計画「サステナX」に加えて、2022年11月には次期中期経営計画として「サステナV」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。
「カーボンニュートラル社会の実現」に向けて、中期的目標として2026年3月期に連結売上高1,000億円(建材セグメント600億円、産業資材セグメント200億円、電子・デバイスセグメント200億円)、営業利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益17億円、ROE8%以上、ROIC6%以上、総還元性向50%を掲げている。各事業のキャッシュと外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高める方針だ。
このほか、成長投資枠として100億円超を設けている。売上高成長率(ポテンシャル)と収益性(営業利益)の2軸で各事業を分類し、戦略投資を実行する領域を決定した。具体的には、自社の強みと成長投資により積極的に拡大を狙う「基盤拡大注力事業」領域と、中長期の市場機会があり、将来の基盤事業に育成すべく成長投資により確立を狙う「将来投資事業」領域に重点的に投資を行う。事業ポートフォリオ強化や多角化を目的としたM&Aのほか、工場・設備、人財、ITなどを投資対象としている。
2. 上場維持基準の適合に向けた取り組みと進捗状況
同社は、2026年3月期末までにプライム市場の上場維持基準を充たすことを目標に、これまでの堅実経営から、戦略的投資を実行することで持続的成長企業への転換している。2022年11月には同計画書の数値目標を上方修正し、2026年3月期までに親会社株主に帰属する当期純利益17億円(当初予想比2億円増)、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2,000万円以上を掲げている。目標を達成するために「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」の観点から企業価値と株主価値の向上を実現していく。
(1) 資本配分方針・投資リターンを伴う持続的な利益成長・株主還元策の充実
これまでの事業活動の結果、財務基盤は安定していることから、有利子負債などの外部資金を活用した投資を実行し、利益創出と株主還元の充実を図る。具体的には、投資枠として100億円超を確保している。ROICを意識しながら戦略領域(将来投資事業及び基盤拡大注力事業)を中心に設備、人財、ITシステムなどへの投資、各事業の周辺領域及び機能強化のM&Aに資金を振り向け、事業構造改革とカーボンニュートラル社会到来を見据えたビジネスチャンスへの戦略的アプローチを行っていく方針だ。この方針に基づき、2022年4月に(株)日産ユーズドカーセンターと連携し、中古EV、V2Hの販売において協業を開始している。2022年12月には、新エネルギー流通システム及び信防エディックスを子会社化した。株主還元では、2023年3月期より中間配当を実施しているほか、連結配当性向40%以上、機動的な自己株式の取得・消却の実施、総還元額の下限設定(5億円)により、総還元性向50%を目指している。
(2) IR体制の確立
IR体制の確立としては、機関投資家(特に中小型株・バリュー投資型アクティブファンド)・アナリストを対象に、「資本市場での認知度向上」「投資家の理解促進」「適正な株価形成」「適正な株主構成形成」を目的にコミュニケーションの質と量を充実させる。具体的には、2022年1月にIR・広報ユニットを新設し、投資家向けミーティングの開催や投資家向けイベントへの参加などを実施している。また、2022年3月期より決算短信、決算説明会資料、株主通信、統合報告書を日本語と英語で開示しているほか、2022年6月にはホームページをリニューアルした。個人投資家に対しても、11月にオンラインセミナーに参加し、会社説明を行った。
(3) コーポレートガバナンス・コードへの対応
日本取引所グループが2021年11月に実施したコーポレートガバナンス・コードの改訂に併せて、同社は積極的な対応を行っている。「サステナの先進商社」として省エネ化、軽量化、省力化をキーワードに事業を展開しているほか、持続可能な開発目標(SDGs)に対応した経営をさらに進化させるべく、2022年1月に「サステナビリティ委員会」を設置した。また、SDGsの各目標と自社の事業との関連付けや、気候変動に係るリスク及び収益機会が同社事業に与える影響をTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠した形で開示する方針を掲げており、2022年6月発行の統合報告書で開示している。このほか、議決権電子行使プラットフォームの導入、各種開示資料の英文開示も始めている。政策保有株式については、保有する合理性がない、または保有する意義が希薄化した銘柄については速やかに売却することを基本方針として掲げ、流通株式比率の向上に取り組んでいる。
これらの活動によりプライム市場の上場維持基準への適合が進むことに加えて、株式市場での同社に対する注目の高まりや、資本効率を意識した事業活動による企業価値のさらなる向上が期待できると弊社は考えている。2023年3月期第2四半期末時点の進捗状況としては、流通株式数が27,694単位、流通株式時価総額が66.1億円、流通株式比率が61.5%、1日平均売買代金が3,447百万円となっている。また、2021年6月末時点と比較すると、流通株式時価総額が18.2億円増、1日平均売買代金が2,764百万円増と大きく伸長している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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