Transgene社とNEC、画期的な個別化がんワクチンTG4050の第?相臨床試験において良好な予備的データを報告
[21/11/24]
TOKYO, Nov 24, 2021 - (JCN Newswire) - がん治療向けウイルスベース免疫治療の設計開発を手掛けるバイオテクノロジー企業であるTransgene SA(トランスジーン、注1、以下Transgene社) と日本電気株式会社(以下 NEC)は、両社が共同開発した個別化がんワクチンTG4050(注2)について、免疫原性および臨床成績における良好な予備的データを得ました。TG4050は、Transgene社のmyvac(R)プラットフォーム(注3)を用いた初の治療法で、NECの最先端AI技術により強化された本治療法は現在卵巣がんおよび頭頸部がんに対する2件の多施設第I相臨床試験において検証が行われているところです。
Transgene社の会長兼CEOのHedi Ben Brahimは以下のように述べています。「TG4050が、この新しい治療法を受けた最初の患者さん達において効果的に免疫機構を活性化するという事を説明できたこと、そして臨床的効果の初期的な徴候を観察できた事を、私たちは大変喜ばしく思っています。これら結果は、個別化がんワクチン療法の新たなアプローチとしてTG4050の果たしうる可能性を物語ると私たちは考えます。これまでのところ、TG4050は良好な安全性プロファイルを示しています。また、2件の多施設第I相臨床試験を通し、自社製造施設を用いた"針から針へ(needle to needle)"のプロセスの実行可能性を確認しました。特筆すべきは、TG4050で使用しているmyvac(R)ウイルスベクターは免疫原性と抗原提示能を遺伝的に最適化したものですが、NECの精度の高いネオアンチゲン予測システムを組み込むことで、強固で安定的なクラスIおよびクラスIIエピトープに対する免疫応答が得られるようになりました。今回の結果をより確かなものとし、新たな免疫や臨床のデータを集めるべく、この臨床試験の完遂にむけて努力しています。私たちはTG4050の可能性に大いに期待しており、2022年に主な腫瘍学会議でさらなるデータを公開できればと考えています。そして今後のデータに基づき、TG4050を前進させる最も良い方法を見極めたいと思います。」
また、NECの西原基夫執行役員常務兼CTOは以下のように述べています。「私たちのAIによるネオアンチゲン予測システムを用いたTG4050臨床試験において、臨床的効果の初期的徴候を観察できた事を大変うれしく思っています。NEC独自の機械学習アルゴリズムは数十年にわたるAI技術に基づいて構築されており、ワクチン設計時に優先順位をつけ、最適な免疫原性ネオアンチゲンを個別化ワクチンの設計図に描けるようになっています。最初の患者さん達において、多数の患者特異的な腫瘍標的に示した安全性プロファイルと免疫原性は、TG4050の可能性と両社間の相補的なシナジーを証明するものです。このマイルストーンは個別化がん免疫療法においてAIアプローチの発展が中核的な存在である事を例示しています。NECとTransgeneは、がん領域においてデータを活用した新たな標的療法を開発する事を共通の目標としています。TG4050が世界中の患者さんの生活を大きく変えることを私たちは期待しています。」
患者さん一人ひとりに合わせて設計される個別化ネオアンチゲンワクチンTG4050
この個別化免疫療法は、Transgene社の高度なウイルス工学プラットフォームmyvac(R)とNECの最新AI技術に基づいています。TG4050はMVAウイルスベクターを用いて、患者さんごとに最も適切な腫瘍標的 (最大30個の患者固有のネオアンチゲン) を免疫機構に覚えさせるように設計されています。腫瘍特異的な変異は次世代シーケンシング(NGS)により特定され、NEC独自のAIによる免疫原性予測システムを用いて決定されます。このワクチンの主な目標は、クラスIおよびクラスIIエピトープを標的とすることにより、腫瘍抗原に対する強力かつ持続的な免疫応答を誘発することです。この2種類の反応は、持続的な抗腫瘍反応を促す重要な要素として確立されているものです。
2件の第I相臨床試験でTG4050による治療を受けた患者さん6例からデータを取得
この2件の臨床試験は、TG4050単独投与の生物学的および臨床的効果を検証する為に計画されています。特に、選定した標的ネオアンチゲンがエピトープに対し免疫応答を惹起する能力について知見を得る事を目的に設計されており、最終的には遺伝的プロファイルが大きく異なる2つのがん種について、生物学的応答と臨床結果の相互関係を証明する事を目的としています。
2件の第I相臨床試験では微小残存病変を有する患者さんを対象に、TG4050単独療法の反復注射の効果を検証しています。
- 卵巣がんの臨床試験では、(手術後および一次化学療法後の)高グレードかつ進行期で無症候性再発の初期徴候が現れた患者さんにワクチンを投与します。無症候性再発は、CA-125(再発との相関を示す卵巣がんの腫瘍マーカー)の上昇の検知、または放射線診断で微小ながんを確認できたものとして定義されます。最初の患者さんへの投与は2020年秋に実施しました。この臨床試験では治療を受けた4人の患者さんからデータが得られています。
- HPV陰性で進行期の頭頸部がん患者は、手術および補助療法後の再発リスクが高くなります。本臨床試験では、一次治療終了後にワクチン接種を受ける群(早期治療群)と、再発時にTG4050を受ける群(後期治療群)に患者さんを無作為に振り分けます。本臨床試験では、最初の患者さんへの投与は2021年1月に実施しました。本日時点で6名の患者さんが無作為に振り分けられ、早期治療群に2名、そして後期治療群に4名となっております。
今回の示すデータは全て、2件の臨床試験においてTG4050を投与された最初の6例の患者さんのデータとなります。これらの試験の主要評価項目は安全性と実行可能性の検証です。二次的な評価項目として、TG4050治療用ワクチンの生物学的動態が含まれます。
TG4050の治療を受けた患者さんのうち4例で細胞性免疫応答を評価
各標的変異に対するT細胞応答を検証する為、TG4050による治療9週間後とベースラインを、評価可能なサンプルを得られた4例について比較しました。ネオエピトープに対するT細胞の免疫応答はex vivoで刺激したIFN-gamma ELISPOT実験で検証しました。
- 全4例の患者が複数の標的変異(ネオアンチゲン)に対し中央値10個/例の強いT細胞反応を示し、免疫原性となるネオアンチゲンを正確に選定するAI能力を2つのがん種において確認しました。
- クラスIおよびクラスIIエピトープに関連するT細胞応答を確認しました。観察された反応のうち、64%が新規の免疫応答(ベースラインでは反応がなかったが、反応が起きたもの)、そして元々あった免疫応答の増幅が確認されたものが36%でした。
- 加えて、患者さんの免疫細胞の成熟化や活性化を伴って獲得免疫応答が進行したことから、がんワクチンが効果的に免疫機構を刺激する事が示唆されました。
従来のネオアンチゲンの研究と比較して、今回のデータはTG4050の予測システムの理論的正確さを裏付けし、またMVAベクターが抗腫瘍ワクチンの有用なプラットフォームである事の示唆となります。
すべての免疫評価はキュリー研究所(パリ)の臨床免疫研究室にて行われました。
TG4050の有望な臨床的効果の初期徴候
卵巣がんの臨床試験(n=4)では、CA-125の上昇後に治療を受けた患者さん1例で、関連性のない慢性的病気で亡くなる前の10か月間、臨床的進行を伴わずにCA-125が正常化しました。放射線診断による病変を有する別の患者さんも安定しており、1回目の接種から8ヵ月たった現在もTG4050による治療を受けています。
頭頸部がんの早期治療群(n=2)において、患者さん2例はTG4050による治療をそれぞれ10ヵ月間および5ヵ月間受け、安定しています。治療は現在も進行中です。
現在までのところ、本ワクチンの忍容性は良好であり、関連する重篤な有害事象は2件の臨床試験を通じて報告されていません。有害事象は、MVAウイルスベクターを用いた以前の観察結果と同様です。有害事象の大半は軽度かつ一過性であり、ほとんどが注射部位反応です。
有望なデータをコミュニティで共有し、さらに追加データによって補強
今後数カ月の間に追加データを得る予定です。また2022年に主な腫瘍学会において、Transgene社が追加データについて発表する予定です。
両臨床試験ともに、予定通りに登録手続きおよび患者さんへの投与が進行しています。Transgene社は今後卵巣がんの臨床試験に13人、頭頸部がんの臨床試験に30人の患者さんを登録する予定です。
なお、リバプール大学の免疫腫瘍学の教授であるChristian H.Ottensmeier教授と、トゥールーズのIUCT OncopoleのJean-Pierre Delord教授は、今回の結果に関する見識について、11月23日にカンファレンスコールで発表しました。本カンファレンスコールの内容についてはTransgene社のウェブサイト( www.transgene.fr )にて公開予定です。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202111/20211124_01.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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Transgene社の会長兼CEOのHedi Ben Brahimは以下のように述べています。「TG4050が、この新しい治療法を受けた最初の患者さん達において効果的に免疫機構を活性化するという事を説明できたこと、そして臨床的効果の初期的な徴候を観察できた事を、私たちは大変喜ばしく思っています。これら結果は、個別化がんワクチン療法の新たなアプローチとしてTG4050の果たしうる可能性を物語ると私たちは考えます。これまでのところ、TG4050は良好な安全性プロファイルを示しています。また、2件の多施設第I相臨床試験を通し、自社製造施設を用いた"針から針へ(needle to needle)"のプロセスの実行可能性を確認しました。特筆すべきは、TG4050で使用しているmyvac(R)ウイルスベクターは免疫原性と抗原提示能を遺伝的に最適化したものですが、NECの精度の高いネオアンチゲン予測システムを組み込むことで、強固で安定的なクラスIおよびクラスIIエピトープに対する免疫応答が得られるようになりました。今回の結果をより確かなものとし、新たな免疫や臨床のデータを集めるべく、この臨床試験の完遂にむけて努力しています。私たちはTG4050の可能性に大いに期待しており、2022年に主な腫瘍学会議でさらなるデータを公開できればと考えています。そして今後のデータに基づき、TG4050を前進させる最も良い方法を見極めたいと思います。」
また、NECの西原基夫執行役員常務兼CTOは以下のように述べています。「私たちのAIによるネオアンチゲン予測システムを用いたTG4050臨床試験において、臨床的効果の初期的徴候を観察できた事を大変うれしく思っています。NEC独自の機械学習アルゴリズムは数十年にわたるAI技術に基づいて構築されており、ワクチン設計時に優先順位をつけ、最適な免疫原性ネオアンチゲンを個別化ワクチンの設計図に描けるようになっています。最初の患者さん達において、多数の患者特異的な腫瘍標的に示した安全性プロファイルと免疫原性は、TG4050の可能性と両社間の相補的なシナジーを証明するものです。このマイルストーンは個別化がん免疫療法においてAIアプローチの発展が中核的な存在である事を例示しています。NECとTransgeneは、がん領域においてデータを活用した新たな標的療法を開発する事を共通の目標としています。TG4050が世界中の患者さんの生活を大きく変えることを私たちは期待しています。」
患者さん一人ひとりに合わせて設計される個別化ネオアンチゲンワクチンTG4050
この個別化免疫療法は、Transgene社の高度なウイルス工学プラットフォームmyvac(R)とNECの最新AI技術に基づいています。TG4050はMVAウイルスベクターを用いて、患者さんごとに最も適切な腫瘍標的 (最大30個の患者固有のネオアンチゲン) を免疫機構に覚えさせるように設計されています。腫瘍特異的な変異は次世代シーケンシング(NGS)により特定され、NEC独自のAIによる免疫原性予測システムを用いて決定されます。このワクチンの主な目標は、クラスIおよびクラスIIエピトープを標的とすることにより、腫瘍抗原に対する強力かつ持続的な免疫応答を誘発することです。この2種類の反応は、持続的な抗腫瘍反応を促す重要な要素として確立されているものです。
2件の第I相臨床試験でTG4050による治療を受けた患者さん6例からデータを取得
この2件の臨床試験は、TG4050単独投与の生物学的および臨床的効果を検証する為に計画されています。特に、選定した標的ネオアンチゲンがエピトープに対し免疫応答を惹起する能力について知見を得る事を目的に設計されており、最終的には遺伝的プロファイルが大きく異なる2つのがん種について、生物学的応答と臨床結果の相互関係を証明する事を目的としています。
2件の第I相臨床試験では微小残存病変を有する患者さんを対象に、TG4050単独療法の反復注射の効果を検証しています。
- 卵巣がんの臨床試験では、(手術後および一次化学療法後の)高グレードかつ進行期で無症候性再発の初期徴候が現れた患者さんにワクチンを投与します。無症候性再発は、CA-125(再発との相関を示す卵巣がんの腫瘍マーカー)の上昇の検知、または放射線診断で微小ながんを確認できたものとして定義されます。最初の患者さんへの投与は2020年秋に実施しました。この臨床試験では治療を受けた4人の患者さんからデータが得られています。
- HPV陰性で進行期の頭頸部がん患者は、手術および補助療法後の再発リスクが高くなります。本臨床試験では、一次治療終了後にワクチン接種を受ける群(早期治療群)と、再発時にTG4050を受ける群(後期治療群)に患者さんを無作為に振り分けます。本臨床試験では、最初の患者さんへの投与は2021年1月に実施しました。本日時点で6名の患者さんが無作為に振り分けられ、早期治療群に2名、そして後期治療群に4名となっております。
今回の示すデータは全て、2件の臨床試験においてTG4050を投与された最初の6例の患者さんのデータとなります。これらの試験の主要評価項目は安全性と実行可能性の検証です。二次的な評価項目として、TG4050治療用ワクチンの生物学的動態が含まれます。
TG4050の治療を受けた患者さんのうち4例で細胞性免疫応答を評価
各標的変異に対するT細胞応答を検証する為、TG4050による治療9週間後とベースラインを、評価可能なサンプルを得られた4例について比較しました。ネオエピトープに対するT細胞の免疫応答はex vivoで刺激したIFN-gamma ELISPOT実験で検証しました。
- 全4例の患者が複数の標的変異(ネオアンチゲン)に対し中央値10個/例の強いT細胞反応を示し、免疫原性となるネオアンチゲンを正確に選定するAI能力を2つのがん種において確認しました。
- クラスIおよびクラスIIエピトープに関連するT細胞応答を確認しました。観察された反応のうち、64%が新規の免疫応答(ベースラインでは反応がなかったが、反応が起きたもの)、そして元々あった免疫応答の増幅が確認されたものが36%でした。
- 加えて、患者さんの免疫細胞の成熟化や活性化を伴って獲得免疫応答が進行したことから、がんワクチンが効果的に免疫機構を刺激する事が示唆されました。
従来のネオアンチゲンの研究と比較して、今回のデータはTG4050の予測システムの理論的正確さを裏付けし、またMVAベクターが抗腫瘍ワクチンの有用なプラットフォームである事の示唆となります。
すべての免疫評価はキュリー研究所(パリ)の臨床免疫研究室にて行われました。
TG4050の有望な臨床的効果の初期徴候
卵巣がんの臨床試験(n=4)では、CA-125の上昇後に治療を受けた患者さん1例で、関連性のない慢性的病気で亡くなる前の10か月間、臨床的進行を伴わずにCA-125が正常化しました。放射線診断による病変を有する別の患者さんも安定しており、1回目の接種から8ヵ月たった現在もTG4050による治療を受けています。
頭頸部がんの早期治療群(n=2)において、患者さん2例はTG4050による治療をそれぞれ10ヵ月間および5ヵ月間受け、安定しています。治療は現在も進行中です。
現在までのところ、本ワクチンの忍容性は良好であり、関連する重篤な有害事象は2件の臨床試験を通じて報告されていません。有害事象は、MVAウイルスベクターを用いた以前の観察結果と同様です。有害事象の大半は軽度かつ一過性であり、ほとんどが注射部位反応です。
有望なデータをコミュニティで共有し、さらに追加データによって補強
今後数カ月の間に追加データを得る予定です。また2022年に主な腫瘍学会において、Transgene社が追加データについて発表する予定です。
両臨床試験ともに、予定通りに登録手続きおよび患者さんへの投与が進行しています。Transgene社は今後卵巣がんの臨床試験に13人、頭頸部がんの臨床試験に30人の患者さんを登録する予定です。
なお、リバプール大学の免疫腫瘍学の教授であるChristian H.Ottensmeier教授と、トゥールーズのIUCT OncopoleのJean-Pierre Delord教授は、今回の結果に関する見識について、11月23日にカンファレンスコールで発表しました。本カンファレンスコールの内容についてはTransgene社のウェブサイト( www.transgene.fr )にて公開予定です。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202111/20211124_01.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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