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キャディさん、ゴルファー必見! これで万全 ゴルフの脱水症・熱中症対策!

2016年8月22日

教えて!「かくれ脱水」委員会

キャディさん、ゴルファー必見!
これで万全 ゴルフの脱水症・熱中症対策!

日本のゴルフ人口は800万人を超えるといわれます。レジャースポーツとして愛され続けるゴルフですが、朝が早く、ハーフ2時間半、1日に屋外を平均5時間歩くというハードな一面も。暑い日には、多くのゴルファーたちが脱水症・熱中症のリスクにさらされ、プレー中の熱中症による搬送者も毎年でています。
この度、ゴルフの最前線で終日、日射しにさらされながらゴルファーをフォローするキャディさんに注目し、教えて!「かくれ脱水」委員会の雪の聖母会聖マリア病院 臨床・教育・研究本部長、つる(※) 知光(つる・ともみつ)委員と、茨城県の名門カントリー倶楽部支配人斉藤博光(さいとう・ひろみつ)氏とで、キャディの脱水リスクと、その予防や対策について、語り合っていただきました。
キャディだけでなく、ゴルフをプレーするすべての人たちの安全のために知っていて欲しい内容となっています。

◆キャディさんにはゴルファー以上の熱中症のリスクがある
つる先生は、「年々厳しくなっている暑さの中で夏のゴルフでのリスクは非常に高くなっている」と言います。「ゴルファーの方々は、日陰がないグリーンを午前と午後で4時間以上歩いているので大量に汗を流し、脱水状態になりやすい。そのままだとぼーっとしたり、軽い吐き気がするなど、脱水症の初期になり、進行すると熱中症になる可能性があります。日陰がないグリーンでは、どうしても集中してパッティングをしますから、脱水状態が進行したままだと、持病のある方や高齢者では、心筋梗塞とか脳梗塞を発症して搬送される例もあります。キャディさんの仕事は早朝から勤務し、乗用カートのないコースだと、一日数時間もゴルファーをフォローしながら、重いゴルフバックをカートに積んで歩き続ける重労働です。日射しよけのキャディハットをかぶっていますが、危険防止のためにプラスティックのヘルメット仕様になっています。これも熱を放散させないというリスクがありますね。しかも、接客業という一面も持っているので気疲れする。水分補給に関してもお客さまを気づかいながらということになりますので、自由に摂りにくい。キャディさんはゴルファー以上に熱中症リスクがあると思います」

龍ヶ崎カントリー倶楽部の脱水症・熱中症への対策について斉藤さんは、「特に労働条件が厳しい夏場はキャディへの熱中症に対する注意指導は、さまざまおこなっています」と語ります。「昨夏、急激に気温が上昇した日に、数名のキャディがラウンドの途中で少し気分が悪くなり、交代させて病院に行かせたことがありました。そのときからちょうど経口補水液をマスター室の控え場に置いて、いつでも摂れるようにしました。暑くなりそうな日は、朝コースに出る前にすべてのキャディに摂ってもらうようにしています」と話します。これに対しつる先生は「それはいいですね。本来、経口補水液は脱水状態への対処として摂るものですが、大量の汗をかくことが分かっている場合は、早めに対応していた方がいいと思います」とアドバイスしました。

 斉藤さんは「あとは暑さ指数を参考にするようにしております」と続けます。「WBGT指数計をパッテインググリーン付近に設置し、常に確認し、暑さ指数が31℃を超えたらラウンドの規制をします。超えなくても少し危険だなと感じたら止めるようにしております。去年の例だと、夏だと3分の2は午前のワンラウンドで止めました」つる先生も「それは素晴らしい。ここは勇気を持ってお客さまにも理解していただくほうがいい。結局は人もゴルフ場もリスクが低くなる」と話しました。

◆毎日の生活がいちばんの予防。休む勇気も必要
 つる先生は「熱中症予防の基本は、経口補水液よりもちゃんとした三度三度の食事です」と話します。朝が早いから朝食をあんまり取らないでプレーするゴルフのプレーヤーもいるが、食事の中に水分と塩分は含まれているので、朝早くとも朝食をきちんと摂ればある程度カラダに余裕が生まれる。いざコースを回り出すと大量の汗をかき、実際にかいた汗を早め早めに補給するのが経口補水液と考えて欲しい」と続けます。「若いキャディさんは朝食を抜く・前夜に仲間との付き合いで遅くなったりするなどして睡眠不足になることも多いと思うが、そんな時は無理にでも休息を取らせ、カラダの基本の基本はやっぱり三度三度の食事と睡眠であることをしつこく指導をしていただきたいと思います」とアドバイスしました。

◆その一杯が脱水を招く、ということも知っておく。
 「もう一つは、昼間、ハーフで上がるとよく生ビールを飲みますね。最近は少し減ったかもしれませんけども、なかなかあれもおいしくて止められない方が多い。でもここまで暑くなってくると熱中症リスクになる。利尿作用があるので脱水をますます助長するんです。できるだけあれは控えていただいたほうがいい。なかなかゴルフ場としては止めることもできないでしょうから、難しいとこですが・・・。」とつる先生。斉藤さんに龍ヶ崎カントリー倶楽部での対応について伺うと、「うちは昼の休憩時間が余り長くなくて、大体45分くらいで回します。それでビールは1杯くらいで収まっていると思うんですけども、度が過ぎている方にはレストランのほうでちょっと注意するようにしています。午後のラウンドは無理だと」と話してくださいました。

◆熱中症が発症した場合の対処方法で知っておくべきこと
 熱中症が発症した場合の対処法について、つる先生は次のように話します。「キャディさんにも知っておいて欲しいのですが、お客さまが気分が悪くなったら、それは軽度の脱水症で熱中症だとI度の状態。これはもう発症している。プレーを止めてクラブハウスへ戻り経口補水液で水分と塩分そして少量の糖分をバランスよく摂ることが第一です。吐き気などがでてしまう場合はもう熱中症II度へ進行しています。まずは医務室へ連絡していただく。その場所でできることは、あらかじめ日陰を見つけておいて、早めに移動して寝かせ、常備している氷とか保冷剤で首とか脇を冷やす。そして少しずつ経口補水液を摂らせていただきたいですね。これはキャディさんである場合も同様。具合が悪い時はすぐに交代をお願いして欲しいと思います。勇気を持って途中でリタイヤしていただくこともリスク管理としては重要です」

つる先生は、「とにかく暑くて熱中症のリスクが年々高くなっているのは分かっているわけですから、賢く楽しくゴルフをするためには自分のカラダを守る必要がある。熱中症の症状が出てからでは遅いのです。いわばキャディがゴルフの楽しさを支えている。朝食をしっかり摂り、暑い日はラウンドする前に経口補水液を摂るということもいいと思います。ゴルファーにも、常に特に経口補水液のような水分、塩分をバランスよく補給しながら脱水に十分注意して、やっぱり楽しくラウンドしていただきたい。ゴルフ場には経口補水液の常備をお願いしたいし、理想的には途中の茶屋にも置いておいていただきたいとも思います」と話しました。
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