地域と世代の交流を通じて 「育ちあい」 の街実現へ
[13/02/20]
提供元:PRTIMES
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「子どもが育つ街研究会」 活動報告書 (2011年11月〜2013年1月)
“子どもが育つ街”としての『つくばスタイル(※)』の情報発信を目的とし、2011年 11月に発足した「子どもが育つ街研究会」(茨城県 つくば地域振興課)は発足以降、様々な活動を行いつくばエリアの魅力をレポートやイベントを通して発信してまいりました。本報告書では発足以降の活動を 2012年の具体的な活動実績を中心にご紹介させていただきます。
発足にあたって、「子どもが育つ街としての5つの環境」を提案。「子育てサポート環境」「自然環境」「知的レクレーション環境」「健康増進と維持を実現 する環境」「安心安全を感じる環境」という5つの視点からつくばエリアの環境に着目し、その魅力を多くの方々に実感してもらうための体験ツアーなどを実施 しました。2011年の活動は、「子どもが育つ街」としての“つくばエリア”のインフラ・ハード面をフューチャーする活動であったといえます。
2012年(2年目)は「人と人のつながり」のようなソフト面に注目したPR活動を展開。研究会メンバーの再編成を行い、世代間の交流や地域資源の活用 を通した“育ちあい”の場を積極的に創出することで、子どもの発育をサポートする環境を中心とした情報発信力を強化しました。
1:「子どもが育つ街研究会」発足2年目の活動方針を示すニュースレターを発行
2012年度は2011年度からの住環境と教育の専門家・佐藤将之委員、地域の母親の声代表・鷲田美加委員(つくば市教育委員会 教育委員)に加え、三世 代が同居することにより醸成される家族力に関する専門家として国際医療福祉大学大学院の亀口憲治氏、これからの社会で求められる人材像の専門家として、つ くば市の公立小中学校でICT教育をサポートしているインテル株式会社の緒方功治氏の2名を新たに迎えました。
新たな試みとして、2011年度に提案した「『子どもが育つ街』としての5つの環境」に加え、“活気に満ちた子ども”が育つために重要な要素として地域での“育ちあい”を提案しました。
「子どもが育つ街」としての5つの環境
1.子育てサポート環境
2.自然環境
3.知的レクリエーション環境
4.健康増進と維持を実現する環境
5.安心安全を感じる環境
+
2012年度新提案“育ちあい”
(“活気に満ちた子ども”が育つために)
“育ちあい”のために必要な3要素
1. 地元企業や教育機関との交流、連携 → つくばスタイルインターン
つくばスタイルアカデミー・スポーツクリニック
2. 多世代同居や多世代交流 → つくばスタイルアカデミー・サイエンスレクチャー
3. 子どもの学び、教育 → 子どもの教育と環境に関する意識調査
“育ちあい”とは「子どもとそのまわりの大人(親、祖父母、地域の企業で働く人々、学生など)との良好な交遊関係を通して、お互いが成長していくこと」を 意味しています。「子どもが育つ街研究会」では、あくまで子どもたちから見た育ちを考えています。まず、子どもにとって身近な異学年同士、小学生と中学生 といった子ども同士の交流があります。次に子どもの枠を越えたもの、つまり世代を超えた交流があります。さらに仕事や社会を理解するために、企業や大学と の交流も求められてきます。その考えの上で「子どもが育つ研究会」は“育ちあい”を実現するために必要なことを、以下の3つにまとめ、つくばエリアの“育 ちあい”をより確かなものにするために、それぞれについて活動を行い、情報を発信してきました。
2:インテル株式会社協力のもと「つくばスタイルインターン」を実施
地元企業との連携協力により、学校の枠を越えた“教え”の場を設け、育ちあいを実現するため、つくば市に本社を構えるインテル株式会社にて、小学生向けお仕事体験プログラムを実施しました。
同社はつくば市のICTの利活用を通じたイノベーティブな街作りに取り組み、地域貢献のためのボランティア活動にも力をいれています。地域貢献活動に熱心 なインテルの考えと、つくばの子どもたちの育ちの場を作りたいと考える、「子どもが育つ街研究会」の考えが一致し、当企画が実現しました。
インテルの技術スタッフのもと、デスクトップパソコン組み立て作業、テレビ会議システムを活用したインテル東京本社への業務報告、またインターネットセ キュリティ対策サービスを提供するマカフィー株式会社の協力による、親子で安全にインターネットを利用する方法についての講義の3つをミッションとした職 場体験を実施しました。
特に東京本社への業務報告は「体験したことを自らの言葉で表現する」という、インテルが次世代の人材育成で重要であると提唱する「21世紀型スキル」に含 まれるコミュニケーション力の醸成につながり、またつくば市内の小中学校のICT教育をサポートするインテルならではの教育的視点が詰まったプログラムと して設計されました。
実施後、「楽しかった。パソコンに興味を持った。」(参加児童)や、「インテルのような子どもの発育に熱心な企業があって、このエリアに住んでいてよかっ た。」(つくばエリア在住の保護者)という好意的な感想を聞くことができました。実施後保護者に対して行ったアンケートでは、「物作りは人の役に立つため にあると思った」「貴重な体験ができて、夏休みの良い思い出となった」「是非活動を広げてほしい。子供達の為、大人達の為に未来につながると思う」といっ た感想が聞かれ、「子どもが育つ街」としてのつくばエリアを実感できたかどうかについてアンケートをとったところ、有効回答者全員が実感できたという結果 を得ることができました。
3:子どもの教育と環境に関する意識調査ついて
公立の小中学校に通う子どもを持つ保護者500名(小中一貫教育導入の3エリアと従来型教育の2エリアから各100名)を対象に、子どもの教育と環境に関 する意識調査を実施しました。その結果、「子どもが通う学校の満足度」と、「未就学児の保護者に薦めたいか」という質問に対して、小中一貫教育実施エリア で全体的に高い評価が確認されました。また、同じ小中一貫実施エリアの中でもつくば市が特に高い結果となっていることも確認されました。つくば市では、 2012年4月より公立小中学校の一貫教育がスタートし、独自のカリキュラムである「つくばスタイル科」を創設するなど、教育に関する積極的な施策(下記 別枠参照)を行っていますが、これらの取り組みが教育に対する保護者の不安や期待に応えている、ということについて調査結果から読み解くことができまし た。そこで本活動報告書では、「求められる人間力!広がりを見せる小中一貫教育のメリットとは?」と題して既に公開した調査結果の一部を紹介させていただ きます。
小学校から中学校に進学したとき、学習内容や生活リズムの変化になじめず、目標を失ったり、不登校になったり、いじめが増えたりする現象は「中一ギャップ」と呼ばれており教育の大きな問題となっています。
「小中一貫教育」では、義務教育9年間を一体的にとらえ、児童生徒一人一人がより充実した学校生活を送れるような工夫が盛り込まれており、「中一ギャップ」問題の解消に効果的であるといえます。
実際、本調査では、つくば市の保護者から「小学校と中学校が同じ敷地内に有り、生徒どうしの交流もある事。また、小学生の英語教育やその他の授業について も、中学校の先生から指導を受けることが出来る。」「小学校に中学生がよく来てくれて、勉強を見てくれる。」などの声が挙げられました。
子どもに受けさせたい教育は「今までにない、新しい体験や学びが出来る教育」と挙げる保護者が大多数を占める結果になりましたが、「実際に子どもが受けて いる教育とは?」の質問に対しては「日本中の多くの子が現在受けている教育」と答える保護者が6割を超えるなど、理想と現実に開きがあることが分かりま す。
「現在受けている教育」が「今までにない、新しい体験や学びが出来る教育」と答えた保護者をエリア別に比較してみるとつくば市で理想と現実が合致している結果になりました。
つくば市の小中一貫教育について:つくば市では、小中一貫体制の始動とともに、独自のカリキュラム「つくばスタイル科」が創設されました。「つくばスタイ ル科」とは、「国際理解、環境、科学技術、歴史・文化、キャリア、福祉、豊かな心」という7つの内容と外国語活動(小学校1〜6年)から構成され、職場体 験学習、市内在住外国人や研究機関との交流などを通して子どもたちに「つくば次世代型スキル」を身につけさせ、「知と心の調和とグローバルな視点とを兼ね 備えた」つくば市民を育成することを目的としています。このようなカリキュラムは、保護者が“学力”以上に学校教育に求める“コミュニケーション力”や” 知力“の習得をしっかりとカバーするものだと考えられます。
4:つくばスタイルアカデミー
昨年末から今年1月にかけては、子どもの知的好奇心を刺激するイベント「つくばスタイルアカデミー」を実施しました。
「つくばスタイルアカデミー」は、つくばエリアの地域資源を活用し、学校での教育の枠を超え、かつ世代を超えた交流による“育ちあい”の実現に向けて実施 され、「スポーツクリニック」と「サイエンスレクチャー」で構成されています。世代間の交流が子どもの成長にとって良い刺激をもたらすと考える「子どもが 育つ街研究会」の呼びかけで、「スポーツクリニック」では筑波大学、「サイエンスレクチャー」ではつくば市シニア・エキスパート及び宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の協力を得て本イベントが実現しました。
2012年12月19日と2013年1月18日に、BCSつくばベースボールトレーニングセンターで行われた「スポーツクリニック」では、筑波大学にゆか りのあるプロ野球読売巨人軍コーチの秦真司氏、元千葉ロッテマリーンズの坪井俊樹氏、さらに秦氏らが学んだ筑波大学大学院スポーツコーチングコースの学生 でもある筑波大学野球部のOBが講師を務め、子どもたちに本格的な野球指導を行いました。
参加した小学生たちからは「甲子園やプロ野球を目指して練習している。今日はいろいろな話が聞けて楽しかった。また参加したい」などの声が聞かれ、保護者 の方も「普段接点のないプロ選手の指導を受けられて子どもも刺激になっていると思う。つくばだからこその機会をありがたく感じるし、遊ぶ場所が多く、子ど もが自分の好きなことに熱中できる場所で子育てできてうれしく思う」と喜んでいる様子でした。
つづく「サイエンスレクチャー」は、2013年1月21日と25日にJAXA筑波宇宙センターで開かれ、JAXA開発員の方による電池やエネルギーについ ての講義や、つくば市のシニア・エキスパートとして活躍している講師の方による燃料電池の実験工作教室、そして施設の見学ツアーが行われました。こちらも 参加した子どもたちは興味津々で取り組み、「先生方からいろいろな話が聞けてとても勉強になりました。実験がおもしろかったです」といった感想が聞かれま した。子どもたちといっしょに講義を楽しんだ保護者のひとりは、「都内からつくば市に引っ越してきて約10年になります。こちらは自然も多く、また今回の ような子ども向けの本格的ないろんな無料講座も多いのでアウトドアスポーツから科学系までいろんな経験を子どもにさせてあげられるので子育ての環境にいい ですね」とつくばの自然環境や教育環境に関して好意的にお話しされていました。
イベント実施後に保護者を対象に行ったアンケートでも、それぞれのイベントに対する満足度の高さがうかがえました。また、「プログラムを通じて、『子ども が育つ街』としてのつくばエリアを実感したか」という質問では、全4回のイベントを総計した結果、60人中51人(85%)の方が「実感できた」と答えま した。さらに、つくば市外から参加した方に対して、「今回のような、子どもの教育に熱心な地元教育プログラムがつくばにあることは、『このエリアに住んで みたい』と思う理由になるか」と質問したところ、全員が「なると思う」と回答。地域のエキスパートや施設などの資源を活用し、世代間で学び合うこうしたプ ログラムが、子育て中の保護者が住む場所を考慮する上でも基準となることがわかりました。
茨城県企画部 つくば地域振興課 担当者の声
県では昨年度から継続して取り組んできた「子どもが育つ街研究会」での様々な活動を通じて、TX沿線つくばエリアが「子どもが育つ街」として魅力的なエ リアであることを発信してきました。調査データや各企画のアンケート結果等からも読み取れるとおり、このつくばエリアは他地域と比較しても子どもが育つた めの条件を備えたポテンシャルの高い地域だといえますので、今後も各種メディア媒体を通じて子育て世代にPRしていきたいと思います。
子どもが育つ街研究会参画 有識者一覧
◆佐藤 将之氏
早稲田大学 人間科学学術院 准教授
専門:こども環境学、環境心理学
建築や都市におけるフィールドサーベイを通じて人間行動と環境との相互作用に関する研究を進めている。特に、こどもの環境・行動研究を進め、それらをもとに建築・都市における環境デザインを追究している。
◆鷲田 美加氏
つくば市教育委員会 委員 / 共育環境ナビゲーター
人と人とのつながりの中で親子が共に育ちあう地域づくりを目指して、子育てセミナーの講師、コミュニティづくりで活動中。
◆亀口 憲治氏
国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 臨床心理学専攻主任教授
専門:臨床心理学、臨床心理システム論、家族心理学、家族療法
日本における「家族療法」開発、普及の第一人者。家族の問題やそこから起こる子どもの不登校やいじめなどの社会現象を家族臨床心理学の観点から深く追求している。
◆緒方 功治氏
インテル株式会社 イノベーション事業本部 教育事業統括部長
つくば市の小・中学校でのICT教育の取り組みについてインテル社が提唱する“21世紀型スキル”の中心的な役割を果たしている。
イベント実施概要
【つくばスタイルインターン】
■日 時: 第1回 2012年8月3日 (金)10:00〜15:00 / 第2回 2012年8月28日(火)10:00〜15:00
■実施場所: インテル株式会社 つくば本社
■参 加 者: 小学4〜6年生の児童とその保護者 1回目:保護者6名/小学生10名 2回目:保護者10名/小学生10名
■参 加 費: 無料
■プログラムスケジュール
ミッション1. マカフィー社による
「親子で学ぼう!安全インターネット利用術」講座受講
ミッション2. デスクトップパソコン組み立て作業
ミッション3. テレビ会議システムによる東京本社への業務報告
【つくばスタイルアカデミー・スポーツクリニック】
■日 時: 第1回 2012年12月19日(水)17:30〜20:00
第2回 2013年 1 月18日(金)17:30〜20:00
■実施場所: BCSつくばベースボールトレーニングセンター
■参 加 者: 1回目:小学4〜6年生 26名
2回目:小学2年生〜中学1年生 29名
■参 加 費: 無料
■講 師:秦真司氏+坪井俊樹氏+筑波大学野球部OB
【つくばスタイル・サイエンスレクチャー】
■日 時: 第1回 2013年 1月21日 (月)16:45〜19:30
第2回 2013年1 月25日 (金)16:45〜19:30
■実施場所: JAXA筑波宇宙センター
■参 加 者: 1回目:小学2〜6年生 22名
2回目:小学2年生〜中学1年生 21名
■参 加 費: 無料
■講 師:嶋田 修平氏 + 中村 徹哉氏
(いずれもJAXA開発員)
加地 浩成氏 + 塚本 龍之氏
(いずれもつくば市シニア・エキスパート)
※ つくばスタイル=都市、自然、知がバランスよく融合し、調和した場所である「つくばエリア(茨城県内つくばエクスプレス沿線地域であるつくば市、つくばみらい市、守谷市)」だからこそ手にすることができるライフスタイル。
“子どもが育つ街”としての『つくばスタイル(※)』の情報発信を目的とし、2011年 11月に発足した「子どもが育つ街研究会」(茨城県 つくば地域振興課)は発足以降、様々な活動を行いつくばエリアの魅力をレポートやイベントを通して発信してまいりました。本報告書では発足以降の活動を 2012年の具体的な活動実績を中心にご紹介させていただきます。
発足にあたって、「子どもが育つ街としての5つの環境」を提案。「子育てサポート環境」「自然環境」「知的レクレーション環境」「健康増進と維持を実現 する環境」「安心安全を感じる環境」という5つの視点からつくばエリアの環境に着目し、その魅力を多くの方々に実感してもらうための体験ツアーなどを実施 しました。2011年の活動は、「子どもが育つ街」としての“つくばエリア”のインフラ・ハード面をフューチャーする活動であったといえます。
2012年(2年目)は「人と人のつながり」のようなソフト面に注目したPR活動を展開。研究会メンバーの再編成を行い、世代間の交流や地域資源の活用 を通した“育ちあい”の場を積極的に創出することで、子どもの発育をサポートする環境を中心とした情報発信力を強化しました。
1:「子どもが育つ街研究会」発足2年目の活動方針を示すニュースレターを発行
2012年度は2011年度からの住環境と教育の専門家・佐藤将之委員、地域の母親の声代表・鷲田美加委員(つくば市教育委員会 教育委員)に加え、三世 代が同居することにより醸成される家族力に関する専門家として国際医療福祉大学大学院の亀口憲治氏、これからの社会で求められる人材像の専門家として、つ くば市の公立小中学校でICT教育をサポートしているインテル株式会社の緒方功治氏の2名を新たに迎えました。
新たな試みとして、2011年度に提案した「『子どもが育つ街』としての5つの環境」に加え、“活気に満ちた子ども”が育つために重要な要素として地域での“育ちあい”を提案しました。
「子どもが育つ街」としての5つの環境
1.子育てサポート環境
2.自然環境
3.知的レクリエーション環境
4.健康増進と維持を実現する環境
5.安心安全を感じる環境
+
2012年度新提案“育ちあい”
(“活気に満ちた子ども”が育つために)
“育ちあい”のために必要な3要素
1. 地元企業や教育機関との交流、連携 → つくばスタイルインターン
つくばスタイルアカデミー・スポーツクリニック
2. 多世代同居や多世代交流 → つくばスタイルアカデミー・サイエンスレクチャー
3. 子どもの学び、教育 → 子どもの教育と環境に関する意識調査
“育ちあい”とは「子どもとそのまわりの大人(親、祖父母、地域の企業で働く人々、学生など)との良好な交遊関係を通して、お互いが成長していくこと」を 意味しています。「子どもが育つ街研究会」では、あくまで子どもたちから見た育ちを考えています。まず、子どもにとって身近な異学年同士、小学生と中学生 といった子ども同士の交流があります。次に子どもの枠を越えたもの、つまり世代を超えた交流があります。さらに仕事や社会を理解するために、企業や大学と の交流も求められてきます。その考えの上で「子どもが育つ研究会」は“育ちあい”を実現するために必要なことを、以下の3つにまとめ、つくばエリアの“育 ちあい”をより確かなものにするために、それぞれについて活動を行い、情報を発信してきました。
2:インテル株式会社協力のもと「つくばスタイルインターン」を実施
地元企業との連携協力により、学校の枠を越えた“教え”の場を設け、育ちあいを実現するため、つくば市に本社を構えるインテル株式会社にて、小学生向けお仕事体験プログラムを実施しました。
同社はつくば市のICTの利活用を通じたイノベーティブな街作りに取り組み、地域貢献のためのボランティア活動にも力をいれています。地域貢献活動に熱心 なインテルの考えと、つくばの子どもたちの育ちの場を作りたいと考える、「子どもが育つ街研究会」の考えが一致し、当企画が実現しました。
インテルの技術スタッフのもと、デスクトップパソコン組み立て作業、テレビ会議システムを活用したインテル東京本社への業務報告、またインターネットセ キュリティ対策サービスを提供するマカフィー株式会社の協力による、親子で安全にインターネットを利用する方法についての講義の3つをミッションとした職 場体験を実施しました。
特に東京本社への業務報告は「体験したことを自らの言葉で表現する」という、インテルが次世代の人材育成で重要であると提唱する「21世紀型スキル」に含 まれるコミュニケーション力の醸成につながり、またつくば市内の小中学校のICT教育をサポートするインテルならではの教育的視点が詰まったプログラムと して設計されました。
実施後、「楽しかった。パソコンに興味を持った。」(参加児童)や、「インテルのような子どもの発育に熱心な企業があって、このエリアに住んでいてよかっ た。」(つくばエリア在住の保護者)という好意的な感想を聞くことができました。実施後保護者に対して行ったアンケートでは、「物作りは人の役に立つため にあると思った」「貴重な体験ができて、夏休みの良い思い出となった」「是非活動を広げてほしい。子供達の為、大人達の為に未来につながると思う」といっ た感想が聞かれ、「子どもが育つ街」としてのつくばエリアを実感できたかどうかについてアンケートをとったところ、有効回答者全員が実感できたという結果 を得ることができました。
3:子どもの教育と環境に関する意識調査ついて
公立の小中学校に通う子どもを持つ保護者500名(小中一貫教育導入の3エリアと従来型教育の2エリアから各100名)を対象に、子どもの教育と環境に関 する意識調査を実施しました。その結果、「子どもが通う学校の満足度」と、「未就学児の保護者に薦めたいか」という質問に対して、小中一貫教育実施エリア で全体的に高い評価が確認されました。また、同じ小中一貫実施エリアの中でもつくば市が特に高い結果となっていることも確認されました。つくば市では、 2012年4月より公立小中学校の一貫教育がスタートし、独自のカリキュラムである「つくばスタイル科」を創設するなど、教育に関する積極的な施策(下記 別枠参照)を行っていますが、これらの取り組みが教育に対する保護者の不安や期待に応えている、ということについて調査結果から読み解くことができまし た。そこで本活動報告書では、「求められる人間力!広がりを見せる小中一貫教育のメリットとは?」と題して既に公開した調査結果の一部を紹介させていただ きます。
小学校から中学校に進学したとき、学習内容や生活リズムの変化になじめず、目標を失ったり、不登校になったり、いじめが増えたりする現象は「中一ギャップ」と呼ばれており教育の大きな問題となっています。
「小中一貫教育」では、義務教育9年間を一体的にとらえ、児童生徒一人一人がより充実した学校生活を送れるような工夫が盛り込まれており、「中一ギャップ」問題の解消に効果的であるといえます。
実際、本調査では、つくば市の保護者から「小学校と中学校が同じ敷地内に有り、生徒どうしの交流もある事。また、小学生の英語教育やその他の授業について も、中学校の先生から指導を受けることが出来る。」「小学校に中学生がよく来てくれて、勉強を見てくれる。」などの声が挙げられました。
子どもに受けさせたい教育は「今までにない、新しい体験や学びが出来る教育」と挙げる保護者が大多数を占める結果になりましたが、「実際に子どもが受けて いる教育とは?」の質問に対しては「日本中の多くの子が現在受けている教育」と答える保護者が6割を超えるなど、理想と現実に開きがあることが分かりま す。
「現在受けている教育」が「今までにない、新しい体験や学びが出来る教育」と答えた保護者をエリア別に比較してみるとつくば市で理想と現実が合致している結果になりました。
つくば市の小中一貫教育について:つくば市では、小中一貫体制の始動とともに、独自のカリキュラム「つくばスタイル科」が創設されました。「つくばスタイ ル科」とは、「国際理解、環境、科学技術、歴史・文化、キャリア、福祉、豊かな心」という7つの内容と外国語活動(小学校1〜6年)から構成され、職場体 験学習、市内在住外国人や研究機関との交流などを通して子どもたちに「つくば次世代型スキル」を身につけさせ、「知と心の調和とグローバルな視点とを兼ね 備えた」つくば市民を育成することを目的としています。このようなカリキュラムは、保護者が“学力”以上に学校教育に求める“コミュニケーション力”や” 知力“の習得をしっかりとカバーするものだと考えられます。
4:つくばスタイルアカデミー
昨年末から今年1月にかけては、子どもの知的好奇心を刺激するイベント「つくばスタイルアカデミー」を実施しました。
「つくばスタイルアカデミー」は、つくばエリアの地域資源を活用し、学校での教育の枠を超え、かつ世代を超えた交流による“育ちあい”の実現に向けて実施 され、「スポーツクリニック」と「サイエンスレクチャー」で構成されています。世代間の交流が子どもの成長にとって良い刺激をもたらすと考える「子どもが 育つ街研究会」の呼びかけで、「スポーツクリニック」では筑波大学、「サイエンスレクチャー」ではつくば市シニア・エキスパート及び宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の協力を得て本イベントが実現しました。
2012年12月19日と2013年1月18日に、BCSつくばベースボールトレーニングセンターで行われた「スポーツクリニック」では、筑波大学にゆか りのあるプロ野球読売巨人軍コーチの秦真司氏、元千葉ロッテマリーンズの坪井俊樹氏、さらに秦氏らが学んだ筑波大学大学院スポーツコーチングコースの学生 でもある筑波大学野球部のOBが講師を務め、子どもたちに本格的な野球指導を行いました。
参加した小学生たちからは「甲子園やプロ野球を目指して練習している。今日はいろいろな話が聞けて楽しかった。また参加したい」などの声が聞かれ、保護者 の方も「普段接点のないプロ選手の指導を受けられて子どもも刺激になっていると思う。つくばだからこその機会をありがたく感じるし、遊ぶ場所が多く、子ど もが自分の好きなことに熱中できる場所で子育てできてうれしく思う」と喜んでいる様子でした。
つづく「サイエンスレクチャー」は、2013年1月21日と25日にJAXA筑波宇宙センターで開かれ、JAXA開発員の方による電池やエネルギーについ ての講義や、つくば市のシニア・エキスパートとして活躍している講師の方による燃料電池の実験工作教室、そして施設の見学ツアーが行われました。こちらも 参加した子どもたちは興味津々で取り組み、「先生方からいろいろな話が聞けてとても勉強になりました。実験がおもしろかったです」といった感想が聞かれま した。子どもたちといっしょに講義を楽しんだ保護者のひとりは、「都内からつくば市に引っ越してきて約10年になります。こちらは自然も多く、また今回の ような子ども向けの本格的ないろんな無料講座も多いのでアウトドアスポーツから科学系までいろんな経験を子どもにさせてあげられるので子育ての環境にいい ですね」とつくばの自然環境や教育環境に関して好意的にお話しされていました。
イベント実施後に保護者を対象に行ったアンケートでも、それぞれのイベントに対する満足度の高さがうかがえました。また、「プログラムを通じて、『子ども が育つ街』としてのつくばエリアを実感したか」という質問では、全4回のイベントを総計した結果、60人中51人(85%)の方が「実感できた」と答えま した。さらに、つくば市外から参加した方に対して、「今回のような、子どもの教育に熱心な地元教育プログラムがつくばにあることは、『このエリアに住んで みたい』と思う理由になるか」と質問したところ、全員が「なると思う」と回答。地域のエキスパートや施設などの資源を活用し、世代間で学び合うこうしたプ ログラムが、子育て中の保護者が住む場所を考慮する上でも基準となることがわかりました。
茨城県企画部 つくば地域振興課 担当者の声
県では昨年度から継続して取り組んできた「子どもが育つ街研究会」での様々な活動を通じて、TX沿線つくばエリアが「子どもが育つ街」として魅力的なエ リアであることを発信してきました。調査データや各企画のアンケート結果等からも読み取れるとおり、このつくばエリアは他地域と比較しても子どもが育つた めの条件を備えたポテンシャルの高い地域だといえますので、今後も各種メディア媒体を通じて子育て世代にPRしていきたいと思います。
子どもが育つ街研究会参画 有識者一覧
◆佐藤 将之氏
早稲田大学 人間科学学術院 准教授
専門:こども環境学、環境心理学
建築や都市におけるフィールドサーベイを通じて人間行動と環境との相互作用に関する研究を進めている。特に、こどもの環境・行動研究を進め、それらをもとに建築・都市における環境デザインを追究している。
◆鷲田 美加氏
つくば市教育委員会 委員 / 共育環境ナビゲーター
人と人とのつながりの中で親子が共に育ちあう地域づくりを目指して、子育てセミナーの講師、コミュニティづくりで活動中。
◆亀口 憲治氏
国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 臨床心理学専攻主任教授
専門:臨床心理学、臨床心理システム論、家族心理学、家族療法
日本における「家族療法」開発、普及の第一人者。家族の問題やそこから起こる子どもの不登校やいじめなどの社会現象を家族臨床心理学の観点から深く追求している。
◆緒方 功治氏
インテル株式会社 イノベーション事業本部 教育事業統括部長
つくば市の小・中学校でのICT教育の取り組みについてインテル社が提唱する“21世紀型スキル”の中心的な役割を果たしている。
イベント実施概要
【つくばスタイルインターン】
■日 時: 第1回 2012年8月3日 (金)10:00〜15:00 / 第2回 2012年8月28日(火)10:00〜15:00
■実施場所: インテル株式会社 つくば本社
■参 加 者: 小学4〜6年生の児童とその保護者 1回目:保護者6名/小学生10名 2回目:保護者10名/小学生10名
■参 加 費: 無料
■プログラムスケジュール
ミッション1. マカフィー社による
「親子で学ぼう!安全インターネット利用術」講座受講
ミッション2. デスクトップパソコン組み立て作業
ミッション3. テレビ会議システムによる東京本社への業務報告
【つくばスタイルアカデミー・スポーツクリニック】
■日 時: 第1回 2012年12月19日(水)17:30〜20:00
第2回 2013年 1 月18日(金)17:30〜20:00
■実施場所: BCSつくばベースボールトレーニングセンター
■参 加 者: 1回目:小学4〜6年生 26名
2回目:小学2年生〜中学1年生 29名
■参 加 費: 無料
■講 師:秦真司氏+坪井俊樹氏+筑波大学野球部OB
【つくばスタイル・サイエンスレクチャー】
■日 時: 第1回 2013年 1月21日 (月)16:45〜19:30
第2回 2013年1 月25日 (金)16:45〜19:30
■実施場所: JAXA筑波宇宙センター
■参 加 者: 1回目:小学2〜6年生 22名
2回目:小学2年生〜中学1年生 21名
■参 加 費: 無料
■講 師:嶋田 修平氏 + 中村 徹哉氏
(いずれもJAXA開発員)
加地 浩成氏 + 塚本 龍之氏
(いずれもつくば市シニア・エキスパート)
※ つくばスタイル=都市、自然、知がバランスよく融合し、調和した場所である「つくばエリア(茨城県内つくばエクスプレス沿線地域であるつくば市、つくばみらい市、守谷市)」だからこそ手にすることができるライフスタイル。