実力派コンポーザーたちが一堂に集う『Composers Summit Concert 2018』いよいよ12月28日(金)開催!スペシャルゲスト・千住明氏のインタビュー特別掲載!!
[18/12/12]
提供元:PRTIMES
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これまでアニメ、ゲームの名曲を数多く生み出してきた実力派コンポーザーたちが一堂に集う、かつてない豪華なプレミアムコンサート『Composers Summit Concert 2018』が2018年12月28日(金)東京国際フォーラム ホールAにて開催される。
そのなかでもひときわ注目されるのが、これまで幾多の名曲を世に送り出し、本コンサートでも"スペシャルゲスト"として位置づけられている千住明氏。ここでは、氏がこれまでに手がけ、本コンサートでも演奏予定の楽曲群にスポットをあてるとともに、コンサートに向けた意気込みを語っていただいた。
また『Composers Summit Concert 2018』出演者を紹介する特別映像の全長版も今回初公開。コンサートの雰囲気をたっぷりと楽しめる映像も合わせて確認しよう。
千住明スペシャルインタビュー
[画像1: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-338987-0.jpg ]
千住明氏は1985年のデビュー以降、幅広い音楽活動でつねに注目を集めてきた音楽家。とくに劇伴音楽の人気、評価は高く、一斉を風靡したTVドラマ『高校教師』『人間・失格』『家なき子』、NHK大河ドラマ『風林火山』はじめ、確固たる実績を残している。その活動範囲はアニメーション、ゲームにまで及び、氏が手がけた『機動戦士Vガンダム』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』等の劇伴は高い評価を獲得し、今でも多くのファンがその音に酔いしれている。それら名曲はどのような経緯で世に生み出され、その音にはいかなる想いが籠められているのか、そのバックグラウンドを千住氏自らに語っていただいた。
──これまで数々の映画やドラマ、アニメーションの劇伴を手がけられましたが、どのようなきっかけでこれらのお仕事と関わられるようになったのでしょうか?
千住 僕はそもそも、最初は劇伴作家になる予定はなかったんですよ。でも、劇伴作家への道を歩むきっかけとなったのは人との出会いですね。
映画の『226』の曲を作ったときは五社英雄監督との出会い、そしてTVドラマの『高校教師』『人間・失格』『家なき子』などに関わるきっかけになったのは、脚本家の野島伸司さんとの出会いがきっかけになりました。
僕はいつも自分から仕事を取りにいくタイプではなく、人との出会いによって生まれた縁を大切にするので、どの作品も出会いの縁がつれてきてくれたものと思って大切に取り組みました。
アニメーション作品の劇伴に関わるようになったのは、サンライズが制作したテレビアニメ『ママは小学4年生』(1992年)が最初でした。このときは音楽プロデューサーの方から、「アニメーションの劇伴は数が多いので、ちょっと手伝ってくれないか」と要請を受けて参加することになったんですよ。
この仕事が縁になって、同じサンライズ作品の『機動戦士Vガンダム』(1993年)へと繋がりました。いきなり最初から"ガンダムシリーズ"という派手な仕事が来たわけではなく、それまで積み重ねていた人の縁の結果、という感じでしょうか。
──『Vガンダム』はオーケストレーションを基調とした壮大な楽曲が印象的ですが、どのようなコンセプトで曲作りに入られたのでしょうか?
千住 最初に作品のビジュアルイメージを観たとき、序盤に出てくるポイント・カサレリア……ヨーロッパ的な情景が印象深かったんです。そこで、木目のサウンド、弦楽器や木管楽器を多く使った楽曲構成、フルオーケストラでやりたいと富野監督に提案したんです。田舎の牧歌的な空気を基調にしながらも、そこに戦闘シーンの緊迫感や人間ドラマを盛り込みたいと思って。打ち込みではなく重厚なオーケストラの音で、作品が持つ世界観を表現したいと思ったんです。
柔らかめの音を多く使ったのも、戦闘を闇雲に盛り上げることが主眼ではなく、あくまでも"人間を描く"ことを意識した結果です。個人的に、『Vガンダム』は派手な効果音を並べて戦闘シーンを前面に押し出していくタイプではなく、主人公たちが何を考え、戦いの中でどう決断していくのか……あくまでも人間というものにフォーカスしている作品ではないかと感じたんです。
そこで、提案したコンセプトに沿って最初のレコーディングを富野監督に聞いてもらったところ、「劇伴の数はそんなに作らなくていい。その代わりに一年間、このクオリティーを必ず守ってくれ」とOKをいただいたんですね。僕はその条件を守るため、一年間ほかの仕事は入れずに『Vガンダム』に集中して、クオリティーの堅持に努めました。
このときの経験が以降の作家生活ですごく支えになってくれていて、ひとつの作品に全力で集中するという、アニメーション作品に向かい合うときの僕のスタンスになりました。
──『Vガンダム』の劇伴を制作されていた当時の、何か印象深い思い出などはありますか?
千住 放送終盤に制作した『Vガンダム』をモチーフとした組曲、「THOUSAND NESTS」の収録は、ポーランドの国立オーケストラを使ったんです。収録には富野監督にも同行していただいたのですが、収録場所がポーランドのクラコフで、近くにはアウシュビッツ収容所があったんですよ。戦いの悲惨さが刻まれた場所の近くで、敬虔な気持ちになりながら収録に臨んだのは強く印象に残っています。
──2009年には世界的知名度を持った『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(以下、『鋼の錬金術師FA』)の劇伴を手がけられますが、この作品はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか。
千住 『鋼の錬金術師FA』も、人間を深く描くという点では『Vガンダム』に比肩するほどの熱量がある作品だったんですよ。加えて、エンターテイメント性の高い作品として成立させるには、幅広いジャンル、バラエティ豊かな音楽が必要になりました。そこで『鋼の錬金術師FA』では、オーケストラだけでなく打ち込みもバンドも使うという、音楽的にバラエティ豊かな構成を意識して、劇伴を組み立てていきました。
戦闘シーンに関しては、クールな雰囲気に寄せようと心がけましたが、感情豊かなエルリック兄弟の活躍を描くために、楽曲の喜怒哀楽の幅はかなり広くなっていると思います。
劇伴の音楽というのは、作品のなかに流れる血のようなものだと思うんです。このシーンではこれくらいの熱量でいこう、このシーンならこういうテンションで。場面場面に応じた曲を流すことで、作品に血が通っていく。『鋼の錬金術師FA』だけではなく、音楽を"血"に見立てて作品に寄与していきたいというスタンスは、昔から一貫して変わっていません。
──『鋼の錬金術師FA』に関わられていたときの印象深いエピソードなどはありますでしょうか?
千住 『鋼の錬金術師FA』はアニメ版が制作されている間も原作が同時進行していて、結末がどうなるかがわからなかったというのも特殊でしたね。僕も先が気になって、原作のコミックスが発売されるたびに購入して追いかけていたのですが、その頃は海外にいくことが多かった時期だったんです。行く先々の国で新刊を買っていたので、この巻は英語版、次の巻はフランス語版、その次はイタリア語版……と、持っているコミックスの言語がバラバラなんです(笑)。
あとは、『鋼の錬金術師FA』のときもワルシャワ国立フィルハーモニーオーケストラを使ったのですが、僕はいつも収録前に、メンバー全員に作品の世界やストーリーを解説するんですよ。でも、『鋼の錬金術師』はポーランドの人たちもみんな知っていて、「今からフルメタルアルケミストの曲をやるのか!」とみんな興奮していましたね。この認知度はすごい……! と、日本のマンガのパワーをあらためて実感した出来事でした。
──今回のコンサートに対する意気込みをお聞かせください。
千住 今回のコンサートは僕の映像音楽の33年間のオムニバスになります。皆さんにはご存じないものもあると思いますが、すべて同じステージの上でその時の流れを感じていただければと思います。
今回は僕以外のふたり、梶浦さんと椎名君がバンド編成なので、僕も合わせたほうがいいとも考えていますので、何かやろうと思っています。ご期待ください。
あとはこれを機会に、コンサートに来てくれるお客さんにもオーケストラに親しんでほしいし、梶浦さんや椎名君にも「オーケストラをもっと使ってみない?」とあらためてお勧めしていきたいんですよね。
僕たちの世代が『Vガンダム』以降、フルオーケストラを使い始めて、アニメーションの劇伴の世界もどんどんオーケストラが進出してきたと思うんですよ。でも、まだ多くの人がオーケストラと聞くと恐縮してしまう雰囲気があるというか、近寄り難いものと感じてしまう節があるような気がするんです。
しかしオーケストラは決して扱いが難しい存在ではありません。きちんとした譜面があれば楽団員はちゃんとついてきてくれますし、観客側にもことさら多くのマナーを強いるものでもありません。なので、若い世代の方や今までオーケストラに馴染みがなかった作曲者のかたにも、「もっと身近に感じて、どんどん使ってみてよ」とお勧めしていきたいですね。
──コンサートを楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。
千住 今回、僕はゲストという立ち位置ですが、僕自身も観客としてコンサートを楽しみにしている人間のひとりです。梶浦さん、椎名君それぞれの音楽世界が、ゲストのボーカリストの方々などを通して、どういう形で展開していくのかとても楽しみですね。
演目のほうは現在選定中ですが、今回のインタビューで触れた『鋼の錬金術師FA』、そして『Vガンダム』からは組曲「THOUSAND NESTS」を特別版として演奏する予定です。他にも、長年積み重ねてきた様々な音楽で皆さんに楽しんでもらおうと考えています。これを機会に、皆さんにもオーケストラをもっと身近に感じてもらい、親しんでもらえると幸いですね。
取材・文/田渕亮
『Composers Summit Concert 2018』特別映像
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=sh5HnG0Gzk8 ]
『Composers Summit Concert 2018』出演者プロフィール
スペシャルゲスト
千住 明 Akira Senju/作曲家
【主な代表作】
<ゲーム>
「ファイティング・イリュージョン 〜 K1グランプリ戦士」
「機動戦士Vガンダム」
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」
「StarHorse」
<アニメ>
「機動戦士Vガンダム」
「幻想魔伝 最遊記」
「テイルズオブヴェスペリア 〜The First Strike〜」
「鋼の錬金術師FA」
「革命機ヴァルヴレイヴ」
<ドラマ>
「高校教師」
「家なき子」
「NHK連続テレビ小説 ほんまもん」
「砂の器」
「NHK大河ドラマ 風林火山」
「LEADERS」
<映画>
「226」
「わが心の銀座鉄道」
「愛を乞うひと」
「黄泉がえり」
「追憶」
【オフィシャルサイト】
http://www.akirasenju.com/
梶浦 由記 Yuki Kajiura/作曲家
[画像2: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-622939-2.jpg ]
【主な代表作】
<ゲーム>
「XenosagaII〜善悪の彼岸〜」
「XenosagaIII〜ツァラトゥストラはかく語りき
「ダブルキャスト」
<アニメ>
「Fate/Zero」
「魔法少女まどか☆マギカ」
「ソードアートオンライン」
「空の境界」
「ツバサ・クロニクル」
「.hack//SIGN」
「プリンセス・プリンシパル」
<TV・映画>
「NHK歴史秘話ヒストリア」
「NHK連続テレビ小説 花子とアン」
「アキレスと亀」
【オフィシャルサイト】
http://fictionjunction.com/
椎名豪 Go Shiina/作曲家
[画像3: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-776997-1.jpg ]
【主な代表作】
<ゲーム>
「アイドルマスター」
「ゴッドイーター」
「『テイルズ オブ』シリーズ」
「CODE VEIN」
<アニメ>
「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」
「ゴッドイーター」
「レイヤードストーリーズ ゼロ」
「衛宮さんちの今日のごはん」
【オフィシャルサイト】
http://shiinago.jp/
コンサート情報
Composers Summit Concert 2018
[画像4: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-256923-3.jpg ]
◇開催日時:2018年12月28日(金) 開場 16:30/開演17:30
◇会場:東京国際フォーラム ホールA
◇チケット:プレミアムシート 12,000円/一般席 8,800円
<一部 演奏予定作品>
◆梶浦由記
「Fate/Zero」、他
◆スペシャルゲスト 千住明
「機動戦士Vガンダム」、「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」、他
※上記以外の作品も演奏を予定しております。
※椎名豪の演奏予定曲も後日、一部発表を予定しております。
<出演者情報>
梶浦由記(Pf.)椎名豪(Key.) スペシャルゲスト:千住明
Vocals:
今井麻美、KAORI、笠原由里、Joelle、YURIKO KAIDA
Musicians:
東京ニューシティ管弦楽団
今野均ストリングス
是永巧一(Gt.)
馬場一人(Gt.)
高橋“Jr.”知治(Ba.)
長谷川淳(Ba.)
五十嵐宏治(Key.)
ピアニート公爵(森下唯)(Pf.)
佐藤強一(Dr.)
阿部薫(Dr.)
大平佳男(Mp.)
MC:冨田明宏
※順不同
<主催>
株式会社ソルト
<チケット情報>
◎プレミアムシート:12,000円(税込)
(特典:前方席・プレミアムシート限定記念品・専用口からのご入場)
◎一般席:8,800円(税込)
※全席指定
※未就学児童入場不可
※お一人様1公演につき4枚まで
只今以下のプレイガイドにてチケット好評発売中!
★チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:126-195 https://t.pia.jp/
★ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:71146 https://l-tike.com/
★イープラス https://eplus.jp/
★Yahoo!チケット https://ticket.yahoo.co.jp/
★楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/
■本公演に関するお問い合わせ:KMミュージック045-201-9999 (平日 11:00〜18:00)
■Composers Summit Concert 2018特設サイト: http://www.csc2018.jp/
【Composers Summit Concert 2018公式サイト】
◆特設サイト http://www.csc2018.jp/
◆Twitter https://twitter.com/_CSC2018
◆Facebook https://www.facebook.com/ComposersSummitConcert/
◆YouTube https://youtu.be/sh5HnG0Gzk8
そのなかでもひときわ注目されるのが、これまで幾多の名曲を世に送り出し、本コンサートでも"スペシャルゲスト"として位置づけられている千住明氏。ここでは、氏がこれまでに手がけ、本コンサートでも演奏予定の楽曲群にスポットをあてるとともに、コンサートに向けた意気込みを語っていただいた。
また『Composers Summit Concert 2018』出演者を紹介する特別映像の全長版も今回初公開。コンサートの雰囲気をたっぷりと楽しめる映像も合わせて確認しよう。
千住明スペシャルインタビュー
[画像1: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-338987-0.jpg ]
千住明氏は1985年のデビュー以降、幅広い音楽活動でつねに注目を集めてきた音楽家。とくに劇伴音楽の人気、評価は高く、一斉を風靡したTVドラマ『高校教師』『人間・失格』『家なき子』、NHK大河ドラマ『風林火山』はじめ、確固たる実績を残している。その活動範囲はアニメーション、ゲームにまで及び、氏が手がけた『機動戦士Vガンダム』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』等の劇伴は高い評価を獲得し、今でも多くのファンがその音に酔いしれている。それら名曲はどのような経緯で世に生み出され、その音にはいかなる想いが籠められているのか、そのバックグラウンドを千住氏自らに語っていただいた。
──これまで数々の映画やドラマ、アニメーションの劇伴を手がけられましたが、どのようなきっかけでこれらのお仕事と関わられるようになったのでしょうか?
千住 僕はそもそも、最初は劇伴作家になる予定はなかったんですよ。でも、劇伴作家への道を歩むきっかけとなったのは人との出会いですね。
映画の『226』の曲を作ったときは五社英雄監督との出会い、そしてTVドラマの『高校教師』『人間・失格』『家なき子』などに関わるきっかけになったのは、脚本家の野島伸司さんとの出会いがきっかけになりました。
僕はいつも自分から仕事を取りにいくタイプではなく、人との出会いによって生まれた縁を大切にするので、どの作品も出会いの縁がつれてきてくれたものと思って大切に取り組みました。
アニメーション作品の劇伴に関わるようになったのは、サンライズが制作したテレビアニメ『ママは小学4年生』(1992年)が最初でした。このときは音楽プロデューサーの方から、「アニメーションの劇伴は数が多いので、ちょっと手伝ってくれないか」と要請を受けて参加することになったんですよ。
この仕事が縁になって、同じサンライズ作品の『機動戦士Vガンダム』(1993年)へと繋がりました。いきなり最初から"ガンダムシリーズ"という派手な仕事が来たわけではなく、それまで積み重ねていた人の縁の結果、という感じでしょうか。
──『Vガンダム』はオーケストレーションを基調とした壮大な楽曲が印象的ですが、どのようなコンセプトで曲作りに入られたのでしょうか?
千住 最初に作品のビジュアルイメージを観たとき、序盤に出てくるポイント・カサレリア……ヨーロッパ的な情景が印象深かったんです。そこで、木目のサウンド、弦楽器や木管楽器を多く使った楽曲構成、フルオーケストラでやりたいと富野監督に提案したんです。田舎の牧歌的な空気を基調にしながらも、そこに戦闘シーンの緊迫感や人間ドラマを盛り込みたいと思って。打ち込みではなく重厚なオーケストラの音で、作品が持つ世界観を表現したいと思ったんです。
柔らかめの音を多く使ったのも、戦闘を闇雲に盛り上げることが主眼ではなく、あくまでも"人間を描く"ことを意識した結果です。個人的に、『Vガンダム』は派手な効果音を並べて戦闘シーンを前面に押し出していくタイプではなく、主人公たちが何を考え、戦いの中でどう決断していくのか……あくまでも人間というものにフォーカスしている作品ではないかと感じたんです。
そこで、提案したコンセプトに沿って最初のレコーディングを富野監督に聞いてもらったところ、「劇伴の数はそんなに作らなくていい。その代わりに一年間、このクオリティーを必ず守ってくれ」とOKをいただいたんですね。僕はその条件を守るため、一年間ほかの仕事は入れずに『Vガンダム』に集中して、クオリティーの堅持に努めました。
このときの経験が以降の作家生活ですごく支えになってくれていて、ひとつの作品に全力で集中するという、アニメーション作品に向かい合うときの僕のスタンスになりました。
──『Vガンダム』の劇伴を制作されていた当時の、何か印象深い思い出などはありますか?
千住 放送終盤に制作した『Vガンダム』をモチーフとした組曲、「THOUSAND NESTS」の収録は、ポーランドの国立オーケストラを使ったんです。収録には富野監督にも同行していただいたのですが、収録場所がポーランドのクラコフで、近くにはアウシュビッツ収容所があったんですよ。戦いの悲惨さが刻まれた場所の近くで、敬虔な気持ちになりながら収録に臨んだのは強く印象に残っています。
──2009年には世界的知名度を持った『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(以下、『鋼の錬金術師FA』)の劇伴を手がけられますが、この作品はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか。
千住 『鋼の錬金術師FA』も、人間を深く描くという点では『Vガンダム』に比肩するほどの熱量がある作品だったんですよ。加えて、エンターテイメント性の高い作品として成立させるには、幅広いジャンル、バラエティ豊かな音楽が必要になりました。そこで『鋼の錬金術師FA』では、オーケストラだけでなく打ち込みもバンドも使うという、音楽的にバラエティ豊かな構成を意識して、劇伴を組み立てていきました。
戦闘シーンに関しては、クールな雰囲気に寄せようと心がけましたが、感情豊かなエルリック兄弟の活躍を描くために、楽曲の喜怒哀楽の幅はかなり広くなっていると思います。
劇伴の音楽というのは、作品のなかに流れる血のようなものだと思うんです。このシーンではこれくらいの熱量でいこう、このシーンならこういうテンションで。場面場面に応じた曲を流すことで、作品に血が通っていく。『鋼の錬金術師FA』だけではなく、音楽を"血"に見立てて作品に寄与していきたいというスタンスは、昔から一貫して変わっていません。
──『鋼の錬金術師FA』に関わられていたときの印象深いエピソードなどはありますでしょうか?
千住 『鋼の錬金術師FA』はアニメ版が制作されている間も原作が同時進行していて、結末がどうなるかがわからなかったというのも特殊でしたね。僕も先が気になって、原作のコミックスが発売されるたびに購入して追いかけていたのですが、その頃は海外にいくことが多かった時期だったんです。行く先々の国で新刊を買っていたので、この巻は英語版、次の巻はフランス語版、その次はイタリア語版……と、持っているコミックスの言語がバラバラなんです(笑)。
あとは、『鋼の錬金術師FA』のときもワルシャワ国立フィルハーモニーオーケストラを使ったのですが、僕はいつも収録前に、メンバー全員に作品の世界やストーリーを解説するんですよ。でも、『鋼の錬金術師』はポーランドの人たちもみんな知っていて、「今からフルメタルアルケミストの曲をやるのか!」とみんな興奮していましたね。この認知度はすごい……! と、日本のマンガのパワーをあらためて実感した出来事でした。
──今回のコンサートに対する意気込みをお聞かせください。
千住 今回のコンサートは僕の映像音楽の33年間のオムニバスになります。皆さんにはご存じないものもあると思いますが、すべて同じステージの上でその時の流れを感じていただければと思います。
今回は僕以外のふたり、梶浦さんと椎名君がバンド編成なので、僕も合わせたほうがいいとも考えていますので、何かやろうと思っています。ご期待ください。
あとはこれを機会に、コンサートに来てくれるお客さんにもオーケストラに親しんでほしいし、梶浦さんや椎名君にも「オーケストラをもっと使ってみない?」とあらためてお勧めしていきたいんですよね。
僕たちの世代が『Vガンダム』以降、フルオーケストラを使い始めて、アニメーションの劇伴の世界もどんどんオーケストラが進出してきたと思うんですよ。でも、まだ多くの人がオーケストラと聞くと恐縮してしまう雰囲気があるというか、近寄り難いものと感じてしまう節があるような気がするんです。
しかしオーケストラは決して扱いが難しい存在ではありません。きちんとした譜面があれば楽団員はちゃんとついてきてくれますし、観客側にもことさら多くのマナーを強いるものでもありません。なので、若い世代の方や今までオーケストラに馴染みがなかった作曲者のかたにも、「もっと身近に感じて、どんどん使ってみてよ」とお勧めしていきたいですね。
──コンサートを楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。
千住 今回、僕はゲストという立ち位置ですが、僕自身も観客としてコンサートを楽しみにしている人間のひとりです。梶浦さん、椎名君それぞれの音楽世界が、ゲストのボーカリストの方々などを通して、どういう形で展開していくのかとても楽しみですね。
演目のほうは現在選定中ですが、今回のインタビューで触れた『鋼の錬金術師FA』、そして『Vガンダム』からは組曲「THOUSAND NESTS」を特別版として演奏する予定です。他にも、長年積み重ねてきた様々な音楽で皆さんに楽しんでもらおうと考えています。これを機会に、皆さんにもオーケストラをもっと身近に感じてもらい、親しんでもらえると幸いですね。
取材・文/田渕亮
『Composers Summit Concert 2018』特別映像
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=sh5HnG0Gzk8 ]
『Composers Summit Concert 2018』出演者プロフィール
スペシャルゲスト
千住 明 Akira Senju/作曲家
【主な代表作】
<ゲーム>
「ファイティング・イリュージョン 〜 K1グランプリ戦士」
「機動戦士Vガンダム」
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」
「StarHorse」
<アニメ>
「機動戦士Vガンダム」
「幻想魔伝 最遊記」
「テイルズオブヴェスペリア 〜The First Strike〜」
「鋼の錬金術師FA」
「革命機ヴァルヴレイヴ」
<ドラマ>
「高校教師」
「家なき子」
「NHK連続テレビ小説 ほんまもん」
「砂の器」
「NHK大河ドラマ 風林火山」
「LEADERS」
<映画>
「226」
「わが心の銀座鉄道」
「愛を乞うひと」
「黄泉がえり」
「追憶」
【オフィシャルサイト】
http://www.akirasenju.com/
梶浦 由記 Yuki Kajiura/作曲家
[画像2: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-622939-2.jpg ]
【主な代表作】
<ゲーム>
「XenosagaII〜善悪の彼岸〜」
「XenosagaIII〜ツァラトゥストラはかく語りき
「ダブルキャスト」
<アニメ>
「Fate/Zero」
「魔法少女まどか☆マギカ」
「ソードアートオンライン」
「空の境界」
「ツバサ・クロニクル」
「.hack//SIGN」
「プリンセス・プリンシパル」
<TV・映画>
「NHK歴史秘話ヒストリア」
「NHK連続テレビ小説 花子とアン」
「アキレスと亀」
【オフィシャルサイト】
http://fictionjunction.com/
椎名豪 Go Shiina/作曲家
[画像3: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-776997-1.jpg ]
【主な代表作】
<ゲーム>
「アイドルマスター」
「ゴッドイーター」
「『テイルズ オブ』シリーズ」
「CODE VEIN」
<アニメ>
「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」
「ゴッドイーター」
「レイヤードストーリーズ ゼロ」
「衛宮さんちの今日のごはん」
【オフィシャルサイト】
http://shiinago.jp/
コンサート情報
Composers Summit Concert 2018
[画像4: https://prtimes.jp/i/39493/2/resize/d39493-2-256923-3.jpg ]
◇開催日時:2018年12月28日(金) 開場 16:30/開演17:30
◇会場:東京国際フォーラム ホールA
◇チケット:プレミアムシート 12,000円/一般席 8,800円
<一部 演奏予定作品>
◆梶浦由記
「Fate/Zero」、他
◆スペシャルゲスト 千住明
「機動戦士Vガンダム」、「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」、他
※上記以外の作品も演奏を予定しております。
※椎名豪の演奏予定曲も後日、一部発表を予定しております。
<出演者情報>
梶浦由記(Pf.)椎名豪(Key.) スペシャルゲスト:千住明
Vocals:
今井麻美、KAORI、笠原由里、Joelle、YURIKO KAIDA
Musicians:
東京ニューシティ管弦楽団
今野均ストリングス
是永巧一(Gt.)
馬場一人(Gt.)
高橋“Jr.”知治(Ba.)
長谷川淳(Ba.)
五十嵐宏治(Key.)
ピアニート公爵(森下唯)(Pf.)
佐藤強一(Dr.)
阿部薫(Dr.)
大平佳男(Mp.)
MC:冨田明宏
※順不同
<主催>
株式会社ソルト
<チケット情報>
◎プレミアムシート:12,000円(税込)
(特典:前方席・プレミアムシート限定記念品・専用口からのご入場)
◎一般席:8,800円(税込)
※全席指定
※未就学児童入場不可
※お一人様1公演につき4枚まで
只今以下のプレイガイドにてチケット好評発売中!
★チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:126-195 https://t.pia.jp/
★ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:71146 https://l-tike.com/
★イープラス https://eplus.jp/
★Yahoo!チケット https://ticket.yahoo.co.jp/
★楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/
■本公演に関するお問い合わせ:KMミュージック045-201-9999 (平日 11:00〜18:00)
■Composers Summit Concert 2018特設サイト: http://www.csc2018.jp/
【Composers Summit Concert 2018公式サイト】
◆特設サイト http://www.csc2018.jp/
◆Twitter https://twitter.com/_CSC2018
◆Facebook https://www.facebook.com/ComposersSummitConcert/
◆YouTube https://youtu.be/sh5HnG0Gzk8