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「シンガポール・コンベンション・ウィーク2022」に4,000名を超える専門家が集結、国際的な商取引における紛争解決に向け、協力関係強化を表明

シンガポール発(2022年9月26日)-シンガポール法務省は2022年8月29日から9月2日まで5日間にわたり国際的な商取引における紛争解決へのインサイトを共有する「シンガポール・コンベンション・ウィーク2022 (SCウィーク 2022)」を開催しました。SCウィーク 2022では21の協力パートナー組織の協力を得て法務や紛争解決に関連する様々なイベントが企画され、シンガポールをはじめ100カ国以上の法曹界、ビジネスリーダーならびに政府関係者約4,000名が参加しました。




UNCITRAL Academyの主なプログラムと発表内容
シンガポール法務省と国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)が共同主催したSCウィーク2022の中核イベントであるUNCITRAL Academyは、2022年8月30日から9月1日までの3日間にわたり、シンガポールのシャングリ・ラホテルで開催されました。UNCITRAL Academyは今年で第2回目の開催となり、会議のほか意見交換のためのワークショップ(UNCITRAL Academy Capacity-Building Workshops)が行われました。当会議では「Embracing Global Change, Navigating New Possibilities(グローバルな変化を受け入れ、新たな可能性を切り開く)」をテーマに、目まぐるしく変化する国際環境の中、国境を越えた紛争解決における現在の傾向や課題、そして紛争解決実務の現状打破を中心に議論が展開されました。

UNCITRAL Academy開講にあたり、シンガポールのK・シャンムガム内務兼法務大臣は、新型コロナウイルス感染症と地政学的緊張がもたらした世界的な課題について、経済、企業、個人に深刻な影響を与えていることを挙げ、このような背景から、各国が結集し健全な国際取引環境を保つための団結が重要だということを指摘しました。同時に、ルールに基づく多国間主義を堅持することの重要性を強調し、国際紛争に対して調停による和解合意をより確実に実施するための例として、シンガポール調停条約(SCM)について取り上げました。

登壇者やパネリストによる重要なインサイトは以下のとおりです:

シンガポールのエドウィン・トン文化・地域・青年大臣兼第二法務大臣は、UNCITRAL Academy会議の座談会で、シンガポールが国際的な商取引における紛争解決の中核拠点となる道筋について説明しました。アジアでは新たな分野の産業や成長機会が生まれ、若手実務家にとってチャンスが拡大していると楽観的見解も示しました。加え、シンガポールは法曹界の高い水準を維持する方法を引き続き模索し、今後の経済的、技術的変化に適応、対応していくと述べました。

デジタル経済における紛争解決のテーマでのパネルディスカッションでは、紛争解決手続きにおいて、テクノロジーのさらなる活用が進んでいることから、機密保持やサイバーセキュリティの問題が表面化しているとパネリストから指摘がありました。例えば、暗号通貨などの新しい技術について、実務家の技術力や専門性を高める必要性について見解が示され、紛争解決をより効率化するためのイノベーションが検討されました。

投資家対国家の紛争解決(ISDS)の改革については、アジア太平洋地域の視点を交えたISDS制度改革についてパネルディスカッションが行われました。UNCITRAL第3ワーキンググループによる策定案の中で、調停が改革の重要な選択肢として提示され、ISDS改革の文脈において調停が今後果たしていく大きな役割について議論が行われました。パネルディスカッションでは、その他投資紛争解決国際センター(ICSID)が新たに制定した「ICSID調停規則 2022」についても取り上げました。

シンガポール国際紛争解決アカデミー(SIDRA)とICSIDの協賛によるワークショップ(ISDS Capacity-Building Workshop)では、参加パネリストが投資家対国家間の調停における最近の動向を探り、マルチステークホルダーの視点を通じて、その調停を取り巻く実践的考察に深く踏み込んだ議論が行われました。

紛争解決の枠組みの一つである調停について、シンガポール国際調停センター(SIMC)の協賛で開催された産業界においての意見交換のためのワークショップ(Industry Capacity-Building Workshop)では、調停にかかる時間や潜在的コスト、強制執行の問題を回避するための和解契約書作成時の機密保持や原則など、多くの利用者が抱える懸念について意見を聞く機会が提供されました。金融、破産、ハイテク、建設、株主間紛争などにおける、複雑な状況の解決に携わった講演者がその経験を共有し、新しい傾向と革新的な解決策についての議論がなされました。紛争解決は、今や異なる業界や管轄区域の多様なニーズや優先順位に対応するためにカスタマイズされたアプローチを取っていることなど、近年進歩をつづける仲裁と調停に関する貴重なインサイトや見解が交換される機会となりました。

シンガポール国際紛争解決アカデミーの協賛により開催されたワークショップ(Government Capacity-Building Workshop)では、講演者がシンガポール調停条約の署名と批准におけるそれぞれの管轄区域での経験を共有しました。また、シンガポール調停条約に基づく調停人の基準、国際調停和解契約の強制執行手続きのルール、救済などについて意見が交わされました。

気候変動問題と紛争解決も取り上げられ、パネリストは、気候変動により新たな法的リスクが拡大し、その結果、紛争が増加していることについての見解を説明しました。多様性に富むパネリストから、気候変動に関する紛争が他の紛争とどのように異なるかについて言及し、アフリカ、ヨーロッパ、インド、シンガポール、英国からの視点が提示されました。気候変動に関するエコシステムはまだ初期段階ですが、弁護士や調停人は国内外の環境関連の規則に関する知識を深めることで、この分野で仕事を獲得できる機会があるという見解が示されました。

シンガポール調停条約の最新情報

2020年9月12日に発効したシンガポール調停条約は、国際調停和解契約の強制執行や行使の手続きを簡素化、合理化する手段を提供します。また、国際貿易の円滑化や、国境を越えた紛争を解決する際に、訴訟や仲裁に代わる追加的かつ効果的な紛争解決手段として調停を促進する上で不可欠な手段となっています。現在、シンガポール調停条約の締結国はシンガポール、フィジー、カタール、サウジアラビア、ベラルーシ、エクアドル、ホンジュラス、トルコ、ジョージア、カザフスタンの10カ国で、署名国は55カ国です。

さらに、UNCITRAL Academy会議では、シンガポールのラハユ・マザム保健省・法務省上級政務次官から、シンガポール国際紛争解決アカデミーの「シンガポール調停条約 コメンタリーブック第2版」の発表もありました。

SCウィーク2022参加者からの主なコメント

Aarna Law(インド)およびSimha Law(シンガポール)の共同創業者で、UNCITRAL Academy会議に登壇したシュレヤス・ジャヤシムハ氏は次のように述べています。「今年のSCウィーク 2022はパンデミック後に世界中の実務家や専門家が一堂に会する新鮮な場となりました。テーマの選定も優れたもので、素晴らしい交流ができました。調停に携わる者として、シンガポールにとても感謝しています。シンガポールは名前を貸すだけでなく、調停実務者が集まり、共に進歩を目指すイベントを実際に開催しています。このような支援は非常に重要です」

7BR(英国、ロンドン)の法廷弁護士、Temple Chambers(中国、香港)の仲裁人で、8月31日に開催された「Reimagine, Rethink, Remake International Commercial Dispute Resolution(商業的な国際紛争解決を再想定・再考・再構築する)」のリードファシリテーターを務めたアン・ジャンフェイ氏は次のように述べています。「SCウィーク2022は、シンガポール国際仲裁センターの創設からシンガポール調停条約という画期的な節目にいたるまで、紛争解決におけるシンガポールの実績を称える位置づけだと考えています。また、我々の領域のオピニオンリーダーが結集し、新たなトレンドを描き、改革や紛争解決の可能性のある分野、例えば投資家対国家間の紛争解決や、持続可能性、多様性、より環境に優しい仲裁の推進するために展開できるイニシアチブについて議論する有用なフォーラムでもあります」

エドウィン・トン文化・地域・青年大臣兼第二法務大臣と共に座談会の司会を務めたGlobal Arbitration Reviewの編集長および主席特派員であるアリソン・ロス氏は次のように述べています。「細部にまでこだわりが行き届き、内容も興味深く、講演者のラインナップも絶妙なのに加え、シンガポールの素晴らしい景色が見える壮大な環境のなかで、とても楽しい社交会でもありました」

SCウィークは紛争解決の分野のオピニオンリーダーが結集し、変化し続ける事業環境において、インサイトとベストプラクティスを共有する重要な役割を果たし続けています。SCウィーク2022のハイライト、イベント、パネルディスカッションはhttps://www.singaporeconventionweek.sg/でご視聴いただけます。
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