財産相続の方法を「具体的に検討している」は親子共に1割未満
[13/07/26]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
7月28日(日)は「親子の日」 親と子の財産相続に関する意識調査結果発表
2015年からの税制改正で相続税も増税へ
〜 子の不安、親知らず。 財産相続への不安は子世代の方が圧倒的に大きい 〜
〜 二世帯住宅など親子での同居意向は、親世代より子世代が積極的 〜
〜 65歳以上シニアが所有する、相続対象の資産総額は平均 約4743.3万円 〜
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:平居正仁 以下、旭化成ホームズ)は、親と子が共に向かい合う日として、2005年に日本記念日協会によって認定された、7月第4日曜日(7月28日)の「親子の日」にちなんで、「親と子の財産相続に関する意識調査」を実施しました。今回の調査は、今後、財産相続の対策を検討すると予想される親世代・子世代の中で、被相続人と相続人本人の意見を収集するため、65歳以上、既婚で子持ち、財産相続の対象となる土地と建物を所有し、且つ財産相続に対する意思決定者、また30歳〜49歳、親が65歳以上で財産相続の対象となる土地と建物を所有し、自分や兄弟姉妹が相続をする際に、分配比率の検討などで取りまとめを行う役割に「ある」人に絞り、実施しています。
また、旭化成ホームズでは「相続税の改正と対策に関する専用サイト」を2013年7月26日より開設し、本調査も紹介しています。
■相続税の改正と対策に関する専用サイト:http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/souzokuzei/index.html/
I.調査の背景
2011年度税制改正大綱の中で、「相続税」は格差是正と富の再分配機能の回復を図る観点から、課税が強化される方針が示されました。そして今年1月に決定された2013年度税制改正大綱の中で、2014年4月以降の消費税率引き上げや、相続税の課税対象を広げる方針が示されました。実質の相続税増税が2015年1月1日以後の相続分から適用されることをうけ、被相続人であり財産相続の意思決定を行う親世代、また相続人となる子世代が、どのような対策を検討しているのか、家族で財産相続についてどの程度まで話し合いをしているのか、さらに税制改正の内容に関する認知率や、課税対象となる財産の評価額などについても意見を収集し、その結果をまとめています。
II.主な調査結果・主旨
1) 財産相続の方法について「具体的に検討している」は親子共に、1割未満
※親世代=8.7%、子世代=7.0%
子の不安、親知らず。財産相続についての不安は、子世代の方が圧倒的に大きい
※財産相続について、不安や心配事がある → 親世代=35.4%、子世代=65.2%
2) 財産相続の方法について実行または、検討していることの上位は「遺言書作成」、「生前贈与を行う」で、親世代・子世代共に同様の結果
3) 「親子で同居する」ことに対しては、子世代の方が積極的
※「家を建て替えず(親子で)同居する」で、検討もしくは実行している
→親世代=24.8%、子世代=45.6%
※「家を二世帯住宅に建て替え(親子で)同居する」で検討もしくは実行している
→親世代=13.7%、子世代=31.7%
4) 財産相続の方法を検討していても、7割以上は「プロの専門家」には相談せず
5) 「自分が住んでいる土地を子供に住み継いでいってほしい/住み継いでいきたい」は親世代・子世代共に多数派 ※親世代=63.5%、子世代=65.3%
「相続対策になるのであれば、親子で一緒に住みたい/住んでいたい」では、子世代の方が積極的
※親世代=45.9%、子世代=55.8%
6) 財産相続のことについて、家族で話し合いをしている=3割以下
※親世代=24.9%、子世代=18.0%
7) 財産相続のことについて、親世代の中で「(自分の子供が)真剣に考えていると思う」は、約2割(20.2%)にとどまる反面、子世代の中で「(自分の親が)真剣に考えていると思う」は、過半数超え(51.8%)
8) 相続税改正に関する主要の4項目について「どの項目も知らない」が過半数超え
子世代の認識の低さが浮き彫り ※親世代=54.1%、子世代=68.6%
※二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」では、認知率2割以下。 ※親世代=14.2%、子世代=6.4%
9) 財産相続対象となる、親所有の資産評価額平均/土地・建物=3047.6万円、
土地・建物、預金・貯金を含む金融資産、生命保険を入れた総額平均=4743.3万円
10) 相続税増税施行に向け、「相続税の負担軽減策を行うべき」は半数以下
※子世代の方が積極的 → 親世代=40.9%、子世代=49.4%
III.アンケート調査実施概要
<親世代に向けた調査>
■調査方法 :インターネット調査
■実査期間 :2013年7月5日〜6日
■調査対象者属性 :全国、65歳以上、既婚者、子供あり、土地&建物を所有、相続に関する意思決定者
■調査対象者数 :312名
■参考データ :子供がいる65歳以上の75.0%が土地・建物を所有
:土地・建物所有者の98.4%が、財産相続に関する意思決定者
※スクリーニング時のデータから抽出 N=516
<子世代に向けた調査>
■調査方法 :インターネット調査
■実査期間 :2013年7月5日〜6日
■調査対象者属性
:全国、30歳〜49歳、65歳以上の親が健在、親が土地&建物を所有
:親が所有する土地・建物などの財産を、自分や兄弟姉妹が相続する際に、分配比率の検討などで、取りまとめを行う役割に「ある」方
■対象者数 :328名
■参考データ :子世代の53.9%が、財産相続の分配比率などを検討する際に、自分が取りまとめを行う役割に「ある」と回答
※スクリーニング時のデータから抽出 N=609
IV.調査結果
(1)財産相続の方法について「具体的に検討している」は親子共に、1割未満
※親世代=8.7%、子世代=7.0%
子の不安、親知らず。財産相続についての不安は、子世代の方が圧倒的に大きい
※財産相続について、不安や心配事がある → 親世代=35.4%、子世代=65.2%
財産相続の方法について検討したことはあるかどうかを聞いたところ、「具体的に検討している」は、親世代で8.7%、子世代で7.0%と、親世代・子世代共に1割未満という結果となりました。「具体的ではないが、検討している」までをあわせた「検討している人」でも親世代で28.6%、子世代で24.1%と3割未満にとどまったことから、被相続人・相続人のほとんどが「検討していない」ことがわかりました。財産相続についての不安や心配事について聞いてみたところ、「特に不安や心配事がない」の回答が親世代では64.6%だったのに対して、子世代では34.8%と半減していることから財産相続についての不安は、親世代に比べて子世代の方が圧倒的に大きいことがわかりました。
財産相続についての不安や心配事の内容は、以下の通り、親世代と子世代で異なりますが、親世代に比べて不安や心配事が多い子世代の上位は、1位=「財産相続のことについて話すきっかけがない(29.3%)」、2位=「財産相続のことが難しくてよくわからない(28.7%)」、3位=「相続税を多く取られそうで心配(22.0%)」となり、財産相続に対する知識不足から来る不安や心配事が多い様子がうかがえました。
(2)財産相続の方法について実行または、検討していることの上位は「遺言書作成」、「生前贈与を行う」で、親世代・子世代共に同様の結果
財産相続の方法について、「検討している」人に、項目別に実行しているか、もしくは検討しているかどうかを聞いてみたところ、「すでに実行している」と「検討している」の合計値が高かったのは、親世代・子世代共に「財産相続方法を盛り込んだ遺言書を作成」が、親世代で66.1%、子世代で50.6%。「生前贈与を行う」が、親世代で54.1%、子世代で50.6%と過半数を超える高い結果となりました。
(3)「親子で同居する」ことに対しては、子世代の方が積極的
※「家を建て替えず(親子で)同居する」で、検討もしくは実行している
→親世代=24.8%、子世代=45.6%
※「家を二世帯住宅に建て替え(親子で)同居する」で検討もしくは実行している
→親世代=13.7%、子世代=31.7%
財産相続の方法について、3位以降同様の評価軸で見てみると、親世代では「生前に土地や建物を売却する」で31.2%、「子供や孫に教育資金贈与を行う」が29.4%、「子供を保険金受取人とした生命保険に加入する」が28.4%と、なるべく子供に財産相続での負担を掛けない方法を優先的に検討しているのに対し、子世代では「家を建て替えず、自分もしくは兄弟姉妹の誰かが親と同居する」で45.6%、「家を二世帯住宅に建て替えてもらい、自分もしくは兄弟姉妹の誰かが親と同居する」が31.7%、「親に生前に土地や建物を売却してもらう」と、「自分もしくは兄弟姉妹(相続人)を保険金受取人とした生命保険に加入してもらう」が26.6%で同率と、相続対象となる財産の処理よりも親との同居を優先的に検討している様子がうかがえました。
(4)財産相続の方法を検討していても、7割以上は「プロの専門家」には相談せず
前項と同様に「検討している」人に対して、財産相続のことをプロの専門家に相談したことがあるかを聞いてみたところ、「プロの専門家に相談したことはない」が、親世代・子世代共に7割を超えました(親世代=78.9%、子世代=74.7%)。プロの専門家に相談したことがある人は少数ですが、相談している順位は、親世代で「ファイナンシャルプランナー」「税理士」「司法書士」「弁護士」「保険の専門家」、子世代では「ファイナンシャルプランナー」「税理士」「弁護士」「保険の専門家」「司法書士」という結果となり、親世代・子世代共に「ファイナンシャルプランナー」「税理士」への相談が高いことがわかりました。
(5)「自分が住んでいる土地を子供に住み継いでいってほしい/住み継いでいきたい」は親世代・子世代共に多数派
※親世代=63.5%、子世代=65.3%
「相続対策になるのであれば、親子で一緒に住みたい/住んでいたい」では、子世代の方が積極的
※親世代=45.9%、子世代=55.8%
次に財産相続する住宅・土地について、具体的にどうしたいかをケースごとに聞いてみたところ、親世代・子世代でそれぞれ以下のような結果となりました。
「そう思う」と「ややそう思う」を合計した、肯定意見が最も多かったのは親世代では「今まで自分が住んでいた土地を、なるべく子供に住み継いでいってほしい」で63.5%、次いで「相続対策になるのであれば、子供と一緒に住みたい/住んでいたい」が45.9%となりました。「相続対策になるのであれば、今の自宅を建て替えることを検討したい」と「面倒なことがありそうなので、相続時には家と土地は売ってしまいたい」は共に、否定意見が8割近くになったことから、住み慣れた家と土地に子供と一緒に住みたい、もしくはなるべく形を変えずに、子世代に継承していきたいという親世代の意思がうかがえる結果となりました。子世代でも肯定意見が多かった上位は親世代と同様で、「今まで親が住んでいた土地を、なるべく自分や兄弟姉妹で住み継いでいきたい」が65.3%、「相続対策になるのであれば、親と一緒に住みたい/住んでいたい」では55.8%と過半数を超えたことから、親世代よりも親と同居することに対して積極的な姿勢であることがわかりました。「相続対策になるのであれば、親の自宅を建て替えることを検討したい」は43.3%、「面倒なことがありそうなので、相続時には親の家と土地は売ってしまってほしい」は32.9%と、共に少数派ではあるものの親世代に比べると高い数値となったことから、親と同様の意識を持ちながらも、様々な選択肢を視野に入れている様子がうかがえました。
(6)財産相続のことについて、家族で話し合いをしている=3割以下
※親世代=24.9%、子世代=18.0%
財産相続のことについて、家族で話し合いをしているかどうかについても聞いてみました。「具体的な話し合いをしている」と「具体的ではないが、話し合いをしたことがある」を合計した、「話し合っている」率は親世代で24.9%、子世代では18.0%と、共に低い結果となりました。
(7)財産相続のことについて、親世代の中で「(自分の子供が)真剣に考えていると思う」は、約2割(20.2%)にとどまる反面、子世代の中で「(自分の親が)真剣に考えていると思う」は、過半数超え(51.8%)
財産相続のことについて、親世代には「自分の子供が」真剣に考えているか、また子世代には「自分の親が」真剣に考えているかどうかについて、それぞれ聞いてみたところ、親世代では「とても真剣に考えていると思う(4.2%)」と、「少しは真剣に考えていると思う(16.0%)」の合計が、わずか2割程度(20.2%)だったのに対して、子世代では「とても真剣に考えていると思う(11.6%)」と「少しは真剣に考えていると思う(40.2%)」の合計が、51.8%と過半数を超える結果となりました。このことから、親世代は財産相続に対する子世代の意識は低いと評価し、子世代は親世代の意識は相応に高いと、それぞれ異なる評価をしていることがわかりました。
(8)相続税改正に関する主要の4項目について「どの項目も知らない」が過半数超え、子世代の認識の低さが浮き彫り
※親世代=54.1%、子世代=68.6%
※二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」では、認知率2割以下。 ※親世代=14.2%、子世代=6.4%
今年1月に決定された2013年度税制改正大綱の相続税の改正に関する、主要の4項目「基礎控除が4割縮小」、「最高税率が50%から55%に引き上げ」、「相続時精算課税制度の対象者拡大」「小規模宅地等の特例の拡充」について、それぞれ認知率を確認してみたところ、「どの項目も知らない」が親世代で54.1%、子世代では68.6%と共に過半数を超える結果となり、認知の低さが浮き彫りとなりました。
その中で、認知率が高かったのは「基礎控除が4割縮小(親世代=38.8%、子世代=22.9%)」、次いで高かったのは「最高税率が50%から55%に引き上げ(親世代=23.4%、子世代=20.1%)」となり、二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」や、相続時精算課税が選択できる受贈者に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人である子のみ)が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳以上に引き下げられる「相続時精算課税制度の対象者拡大」については、親世代・子世代共に8割以上が認識していないことがわかりました。
※この設問には、各項目に以下のような補足説明を記載し、回答していただいています。
<基礎控除が4割縮小>
基礎控除は従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられます。よって、従来は相続人が3人の場合、8,000万円以上の遺産がなければ相続税はかかりませんでしたが、改正後は基礎控除が4割引き下げられるため、4,800万円以上の財産があれば原則として相続税が課税されることになります。当該基礎控除の引き下げにより、相続税がかかる人の割合は約4.2%から増加する見通しです。※平成22年12月7日税制調査会報告資料より抜粋
<最高税率が50%から55%に引き上げ>
相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられます。また、税率区分は現状の6段階から8段階に変更され、6億円超の遺産に最高の55%、2億円超3億円以下には新たな税率区分として税率45%が設けられました。
<相続時精算課税制度の対象者拡大>
相続時精算課税が選択できる受贈者に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人である20歳以上の子のみ)が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上の親から60歳以上の親または祖父母に引き下げられます。
<小規模宅地等の特例の拡充>
相続開始前より親と同居し、且つ相続税の申告期限までその土地を所有している等の条件を満たしている場合、相続する親の自宅敷地(土地)の相続税課税対象額を80%減額できる制度です。今回の税制改正により、対象となる自宅敷地の上限面積が240m2 から330m2 に広がりました。特例の適用を受けるには、土地を相続する子が「同居」または「持家なし」という条件等を満たしている必要があり、条件を満たすケースの一つとして「二世帯住宅」があります。
(9)財産相続対象となる、親所有の資産評価額平均/土地・建物=3047.6万円、
土地・建物、預金・貯金を含む金融資産、生命保険を入れた総額平均=4743.3万円
さらに親世代に財産相続対象となる、所有する土地や建物の想定評価額についても聞いてみたところ、平均評価額は3047.6万円となりました。「わからない=19.4%」以外の回答では、1,000〜1,999万円が最多の18.4%となり、2,999万円以下の合計が45.4%と、3,000万円を境目に二分されていることがわかりました。ちなみに、5,000万円以上が14.4%で、1億円以上では5.0%という結果となりました。さらに所有する土地や建物、預金・貯金、株式、債券、投資信託などの金融資産と、生命保険までを含めたおおよその財産総額についても聞いてみたところ、平均は4743.3万円であることがわかりました。「わからない=25.7%」以外では、「3,000〜3,999万円」が最多で11.5%となり、5,999万円以下の合計が48.8%と、このラインで二分される結果となっています。また1億円以上は11.0%、2億円以上は3.9%という結果となりました。
(10)相続税増税の施行に向け、「相続税の負担軽減策を行うべき」は半数以下
※子供世代の方が積極的 → 親世代=40.9%、子世代=49.4%
最後に、相続税増税が施行される2015年1月に向け、相続税の負担を軽減するために何らかの対策を行うべきだと思うかどうかを、二者択一で聞いてみたところ、親世代では「思う」が40.9%、子世代では49.4%と共に半数以下にとどまりました。親世代の回答を年代別に比較してみたところ、60代では「思う」が36.3%だったのに対し、70代では48.3%と差が出ました。子世代の回答を性別で比較してみたところ、男性では「思う」が52.9%だったのに対して、女性は41.7%にとどまりました。
今回の調査で、相続対象となる財産を所有する被相続人である親世代と、相続人である子世代のほとんどが、税制改正による相続税の対策について具体的な検討に入っていないこと、検討はしていても増税対策につながる、専門的な範囲での検討や、専門家への相談、また家族間での相談もほとんど行われていないこと、その他、財産相続の対象となる、親世代が所有している資産額などの実態がわかりました。
さらに、財産相続への不安は親世代に比べて子世代の方が圧倒的に大きいことや、二世帯住宅など親子での同居に対しても、親世代より子世代が積極的に考えていること、また、財産相続のことについて親は子に対し、子は親に対して、相手が「真剣に考えていると思う」意識に差があるなど、親子間での相違点も浮き彫りになりました。
7月28日(日)の「親子の日」には、ご家族にとっても重要な話題となる財産相続について、こちらのデータも
ご覧いただきながら相談されてみてはいかがでしょうか。
2015年からの税制改正で相続税も増税へ
〜 子の不安、親知らず。 財産相続への不安は子世代の方が圧倒的に大きい 〜
〜 二世帯住宅など親子での同居意向は、親世代より子世代が積極的 〜
〜 65歳以上シニアが所有する、相続対象の資産総額は平均 約4743.3万円 〜
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:平居正仁 以下、旭化成ホームズ)は、親と子が共に向かい合う日として、2005年に日本記念日協会によって認定された、7月第4日曜日(7月28日)の「親子の日」にちなんで、「親と子の財産相続に関する意識調査」を実施しました。今回の調査は、今後、財産相続の対策を検討すると予想される親世代・子世代の中で、被相続人と相続人本人の意見を収集するため、65歳以上、既婚で子持ち、財産相続の対象となる土地と建物を所有し、且つ財産相続に対する意思決定者、また30歳〜49歳、親が65歳以上で財産相続の対象となる土地と建物を所有し、自分や兄弟姉妹が相続をする際に、分配比率の検討などで取りまとめを行う役割に「ある」人に絞り、実施しています。
また、旭化成ホームズでは「相続税の改正と対策に関する専用サイト」を2013年7月26日より開設し、本調査も紹介しています。
■相続税の改正と対策に関する専用サイト:http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/souzokuzei/index.html/
I.調査の背景
2011年度税制改正大綱の中で、「相続税」は格差是正と富の再分配機能の回復を図る観点から、課税が強化される方針が示されました。そして今年1月に決定された2013年度税制改正大綱の中で、2014年4月以降の消費税率引き上げや、相続税の課税対象を広げる方針が示されました。実質の相続税増税が2015年1月1日以後の相続分から適用されることをうけ、被相続人であり財産相続の意思決定を行う親世代、また相続人となる子世代が、どのような対策を検討しているのか、家族で財産相続についてどの程度まで話し合いをしているのか、さらに税制改正の内容に関する認知率や、課税対象となる財産の評価額などについても意見を収集し、その結果をまとめています。
II.主な調査結果・主旨
1) 財産相続の方法について「具体的に検討している」は親子共に、1割未満
※親世代=8.7%、子世代=7.0%
子の不安、親知らず。財産相続についての不安は、子世代の方が圧倒的に大きい
※財産相続について、不安や心配事がある → 親世代=35.4%、子世代=65.2%
2) 財産相続の方法について実行または、検討していることの上位は「遺言書作成」、「生前贈与を行う」で、親世代・子世代共に同様の結果
3) 「親子で同居する」ことに対しては、子世代の方が積極的
※「家を建て替えず(親子で)同居する」で、検討もしくは実行している
→親世代=24.8%、子世代=45.6%
※「家を二世帯住宅に建て替え(親子で)同居する」で検討もしくは実行している
→親世代=13.7%、子世代=31.7%
4) 財産相続の方法を検討していても、7割以上は「プロの専門家」には相談せず
5) 「自分が住んでいる土地を子供に住み継いでいってほしい/住み継いでいきたい」は親世代・子世代共に多数派 ※親世代=63.5%、子世代=65.3%
「相続対策になるのであれば、親子で一緒に住みたい/住んでいたい」では、子世代の方が積極的
※親世代=45.9%、子世代=55.8%
6) 財産相続のことについて、家族で話し合いをしている=3割以下
※親世代=24.9%、子世代=18.0%
7) 財産相続のことについて、親世代の中で「(自分の子供が)真剣に考えていると思う」は、約2割(20.2%)にとどまる反面、子世代の中で「(自分の親が)真剣に考えていると思う」は、過半数超え(51.8%)
8) 相続税改正に関する主要の4項目について「どの項目も知らない」が過半数超え
子世代の認識の低さが浮き彫り ※親世代=54.1%、子世代=68.6%
※二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」では、認知率2割以下。 ※親世代=14.2%、子世代=6.4%
9) 財産相続対象となる、親所有の資産評価額平均/土地・建物=3047.6万円、
土地・建物、預金・貯金を含む金融資産、生命保険を入れた総額平均=4743.3万円
10) 相続税増税施行に向け、「相続税の負担軽減策を行うべき」は半数以下
※子世代の方が積極的 → 親世代=40.9%、子世代=49.4%
III.アンケート調査実施概要
<親世代に向けた調査>
■調査方法 :インターネット調査
■実査期間 :2013年7月5日〜6日
■調査対象者属性 :全国、65歳以上、既婚者、子供あり、土地&建物を所有、相続に関する意思決定者
■調査対象者数 :312名
■参考データ :子供がいる65歳以上の75.0%が土地・建物を所有
:土地・建物所有者の98.4%が、財産相続に関する意思決定者
※スクリーニング時のデータから抽出 N=516
<子世代に向けた調査>
■調査方法 :インターネット調査
■実査期間 :2013年7月5日〜6日
■調査対象者属性
:全国、30歳〜49歳、65歳以上の親が健在、親が土地&建物を所有
:親が所有する土地・建物などの財産を、自分や兄弟姉妹が相続する際に、分配比率の検討などで、取りまとめを行う役割に「ある」方
■対象者数 :328名
■参考データ :子世代の53.9%が、財産相続の分配比率などを検討する際に、自分が取りまとめを行う役割に「ある」と回答
※スクリーニング時のデータから抽出 N=609
IV.調査結果
(1)財産相続の方法について「具体的に検討している」は親子共に、1割未満
※親世代=8.7%、子世代=7.0%
子の不安、親知らず。財産相続についての不安は、子世代の方が圧倒的に大きい
※財産相続について、不安や心配事がある → 親世代=35.4%、子世代=65.2%
財産相続の方法について検討したことはあるかどうかを聞いたところ、「具体的に検討している」は、親世代で8.7%、子世代で7.0%と、親世代・子世代共に1割未満という結果となりました。「具体的ではないが、検討している」までをあわせた「検討している人」でも親世代で28.6%、子世代で24.1%と3割未満にとどまったことから、被相続人・相続人のほとんどが「検討していない」ことがわかりました。財産相続についての不安や心配事について聞いてみたところ、「特に不安や心配事がない」の回答が親世代では64.6%だったのに対して、子世代では34.8%と半減していることから財産相続についての不安は、親世代に比べて子世代の方が圧倒的に大きいことがわかりました。
財産相続についての不安や心配事の内容は、以下の通り、親世代と子世代で異なりますが、親世代に比べて不安や心配事が多い子世代の上位は、1位=「財産相続のことについて話すきっかけがない(29.3%)」、2位=「財産相続のことが難しくてよくわからない(28.7%)」、3位=「相続税を多く取られそうで心配(22.0%)」となり、財産相続に対する知識不足から来る不安や心配事が多い様子がうかがえました。
(2)財産相続の方法について実行または、検討していることの上位は「遺言書作成」、「生前贈与を行う」で、親世代・子世代共に同様の結果
財産相続の方法について、「検討している」人に、項目別に実行しているか、もしくは検討しているかどうかを聞いてみたところ、「すでに実行している」と「検討している」の合計値が高かったのは、親世代・子世代共に「財産相続方法を盛り込んだ遺言書を作成」が、親世代で66.1%、子世代で50.6%。「生前贈与を行う」が、親世代で54.1%、子世代で50.6%と過半数を超える高い結果となりました。
(3)「親子で同居する」ことに対しては、子世代の方が積極的
※「家を建て替えず(親子で)同居する」で、検討もしくは実行している
→親世代=24.8%、子世代=45.6%
※「家を二世帯住宅に建て替え(親子で)同居する」で検討もしくは実行している
→親世代=13.7%、子世代=31.7%
財産相続の方法について、3位以降同様の評価軸で見てみると、親世代では「生前に土地や建物を売却する」で31.2%、「子供や孫に教育資金贈与を行う」が29.4%、「子供を保険金受取人とした生命保険に加入する」が28.4%と、なるべく子供に財産相続での負担を掛けない方法を優先的に検討しているのに対し、子世代では「家を建て替えず、自分もしくは兄弟姉妹の誰かが親と同居する」で45.6%、「家を二世帯住宅に建て替えてもらい、自分もしくは兄弟姉妹の誰かが親と同居する」が31.7%、「親に生前に土地や建物を売却してもらう」と、「自分もしくは兄弟姉妹(相続人)を保険金受取人とした生命保険に加入してもらう」が26.6%で同率と、相続対象となる財産の処理よりも親との同居を優先的に検討している様子がうかがえました。
(4)財産相続の方法を検討していても、7割以上は「プロの専門家」には相談せず
前項と同様に「検討している」人に対して、財産相続のことをプロの専門家に相談したことがあるかを聞いてみたところ、「プロの専門家に相談したことはない」が、親世代・子世代共に7割を超えました(親世代=78.9%、子世代=74.7%)。プロの専門家に相談したことがある人は少数ですが、相談している順位は、親世代で「ファイナンシャルプランナー」「税理士」「司法書士」「弁護士」「保険の専門家」、子世代では「ファイナンシャルプランナー」「税理士」「弁護士」「保険の専門家」「司法書士」という結果となり、親世代・子世代共に「ファイナンシャルプランナー」「税理士」への相談が高いことがわかりました。
(5)「自分が住んでいる土地を子供に住み継いでいってほしい/住み継いでいきたい」は親世代・子世代共に多数派
※親世代=63.5%、子世代=65.3%
「相続対策になるのであれば、親子で一緒に住みたい/住んでいたい」では、子世代の方が積極的
※親世代=45.9%、子世代=55.8%
次に財産相続する住宅・土地について、具体的にどうしたいかをケースごとに聞いてみたところ、親世代・子世代でそれぞれ以下のような結果となりました。
「そう思う」と「ややそう思う」を合計した、肯定意見が最も多かったのは親世代では「今まで自分が住んでいた土地を、なるべく子供に住み継いでいってほしい」で63.5%、次いで「相続対策になるのであれば、子供と一緒に住みたい/住んでいたい」が45.9%となりました。「相続対策になるのであれば、今の自宅を建て替えることを検討したい」と「面倒なことがありそうなので、相続時には家と土地は売ってしまいたい」は共に、否定意見が8割近くになったことから、住み慣れた家と土地に子供と一緒に住みたい、もしくはなるべく形を変えずに、子世代に継承していきたいという親世代の意思がうかがえる結果となりました。子世代でも肯定意見が多かった上位は親世代と同様で、「今まで親が住んでいた土地を、なるべく自分や兄弟姉妹で住み継いでいきたい」が65.3%、「相続対策になるのであれば、親と一緒に住みたい/住んでいたい」では55.8%と過半数を超えたことから、親世代よりも親と同居することに対して積極的な姿勢であることがわかりました。「相続対策になるのであれば、親の自宅を建て替えることを検討したい」は43.3%、「面倒なことがありそうなので、相続時には親の家と土地は売ってしまってほしい」は32.9%と、共に少数派ではあるものの親世代に比べると高い数値となったことから、親と同様の意識を持ちながらも、様々な選択肢を視野に入れている様子がうかがえました。
(6)財産相続のことについて、家族で話し合いをしている=3割以下
※親世代=24.9%、子世代=18.0%
財産相続のことについて、家族で話し合いをしているかどうかについても聞いてみました。「具体的な話し合いをしている」と「具体的ではないが、話し合いをしたことがある」を合計した、「話し合っている」率は親世代で24.9%、子世代では18.0%と、共に低い結果となりました。
(7)財産相続のことについて、親世代の中で「(自分の子供が)真剣に考えていると思う」は、約2割(20.2%)にとどまる反面、子世代の中で「(自分の親が)真剣に考えていると思う」は、過半数超え(51.8%)
財産相続のことについて、親世代には「自分の子供が」真剣に考えているか、また子世代には「自分の親が」真剣に考えているかどうかについて、それぞれ聞いてみたところ、親世代では「とても真剣に考えていると思う(4.2%)」と、「少しは真剣に考えていると思う(16.0%)」の合計が、わずか2割程度(20.2%)だったのに対して、子世代では「とても真剣に考えていると思う(11.6%)」と「少しは真剣に考えていると思う(40.2%)」の合計が、51.8%と過半数を超える結果となりました。このことから、親世代は財産相続に対する子世代の意識は低いと評価し、子世代は親世代の意識は相応に高いと、それぞれ異なる評価をしていることがわかりました。
(8)相続税改正に関する主要の4項目について「どの項目も知らない」が過半数超え、子世代の認識の低さが浮き彫り
※親世代=54.1%、子世代=68.6%
※二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」では、認知率2割以下。 ※親世代=14.2%、子世代=6.4%
今年1月に決定された2013年度税制改正大綱の相続税の改正に関する、主要の4項目「基礎控除が4割縮小」、「最高税率が50%から55%に引き上げ」、「相続時精算課税制度の対象者拡大」「小規模宅地等の特例の拡充」について、それぞれ認知率を確認してみたところ、「どの項目も知らない」が親世代で54.1%、子世代では68.6%と共に過半数を超える結果となり、認知の低さが浮き彫りとなりました。
その中で、認知率が高かったのは「基礎控除が4割縮小(親世代=38.8%、子世代=22.9%)」、次いで高かったのは「最高税率が50%から55%に引き上げ(親世代=23.4%、子世代=20.1%)」となり、二世帯住宅への建て替えなどにより、課税対象となる土地評価額が8割減額できる「小規模宅地等の特例」や、相続時精算課税が選択できる受贈者に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人である子のみ)が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳以上に引き下げられる「相続時精算課税制度の対象者拡大」については、親世代・子世代共に8割以上が認識していないことがわかりました。
※この設問には、各項目に以下のような補足説明を記載し、回答していただいています。
<基礎控除が4割縮小>
基礎控除は従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられます。よって、従来は相続人が3人の場合、8,000万円以上の遺産がなければ相続税はかかりませんでしたが、改正後は基礎控除が4割引き下げられるため、4,800万円以上の財産があれば原則として相続税が課税されることになります。当該基礎控除の引き下げにより、相続税がかかる人の割合は約4.2%から増加する見通しです。※平成22年12月7日税制調査会報告資料より抜粋
<最高税率が50%から55%に引き上げ>
相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられます。また、税率区分は現状の6段階から8段階に変更され、6億円超の遺産に最高の55%、2億円超3億円以下には新たな税率区分として税率45%が設けられました。
<相続時精算課税制度の対象者拡大>
相続時精算課税が選択できる受贈者に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人である20歳以上の子のみ)が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上の親から60歳以上の親または祖父母に引き下げられます。
<小規模宅地等の特例の拡充>
相続開始前より親と同居し、且つ相続税の申告期限までその土地を所有している等の条件を満たしている場合、相続する親の自宅敷地(土地)の相続税課税対象額を80%減額できる制度です。今回の税制改正により、対象となる自宅敷地の上限面積が240m2 から330m2 に広がりました。特例の適用を受けるには、土地を相続する子が「同居」または「持家なし」という条件等を満たしている必要があり、条件を満たすケースの一つとして「二世帯住宅」があります。
(9)財産相続対象となる、親所有の資産評価額平均/土地・建物=3047.6万円、
土地・建物、預金・貯金を含む金融資産、生命保険を入れた総額平均=4743.3万円
さらに親世代に財産相続対象となる、所有する土地や建物の想定評価額についても聞いてみたところ、平均評価額は3047.6万円となりました。「わからない=19.4%」以外の回答では、1,000〜1,999万円が最多の18.4%となり、2,999万円以下の合計が45.4%と、3,000万円を境目に二分されていることがわかりました。ちなみに、5,000万円以上が14.4%で、1億円以上では5.0%という結果となりました。さらに所有する土地や建物、預金・貯金、株式、債券、投資信託などの金融資産と、生命保険までを含めたおおよその財産総額についても聞いてみたところ、平均は4743.3万円であることがわかりました。「わからない=25.7%」以外では、「3,000〜3,999万円」が最多で11.5%となり、5,999万円以下の合計が48.8%と、このラインで二分される結果となっています。また1億円以上は11.0%、2億円以上は3.9%という結果となりました。
(10)相続税増税の施行に向け、「相続税の負担軽減策を行うべき」は半数以下
※子供世代の方が積極的 → 親世代=40.9%、子世代=49.4%
最後に、相続税増税が施行される2015年1月に向け、相続税の負担を軽減するために何らかの対策を行うべきだと思うかどうかを、二者択一で聞いてみたところ、親世代では「思う」が40.9%、子世代では49.4%と共に半数以下にとどまりました。親世代の回答を年代別に比較してみたところ、60代では「思う」が36.3%だったのに対し、70代では48.3%と差が出ました。子世代の回答を性別で比較してみたところ、男性では「思う」が52.9%だったのに対して、女性は41.7%にとどまりました。
今回の調査で、相続対象となる財産を所有する被相続人である親世代と、相続人である子世代のほとんどが、税制改正による相続税の対策について具体的な検討に入っていないこと、検討はしていても増税対策につながる、専門的な範囲での検討や、専門家への相談、また家族間での相談もほとんど行われていないこと、その他、財産相続の対象となる、親世代が所有している資産額などの実態がわかりました。
さらに、財産相続への不安は親世代に比べて子世代の方が圧倒的に大きいことや、二世帯住宅など親子での同居に対しても、親世代より子世代が積極的に考えていること、また、財産相続のことについて親は子に対し、子は親に対して、相手が「真剣に考えていると思う」意識に差があるなど、親子間での相違点も浮き彫りになりました。
7月28日(日)の「親子の日」には、ご家族にとっても重要な話題となる財産相続について、こちらのデータも
ご覧いただきながら相談されてみてはいかがでしょうか。