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メディカルジャーナリズム勉強会、ソーシャルネットワークを活用した「ワクチン」関連の医療情報引用の実態を調査

〜第11回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会にてポスター発表〜

◆日本語で発信された「ワクチン」をテーマとした医療系コンテンツ(医療記事等)のTwitterおよびFacebookにおける「エンゲージメント」と、コンテンツの「質」に関する相関性を調査
◆現状、TwitterおよびFacebook上では、ワクチン接種を勧めるコンテンツに対する「エンゲージメント」が高い
◆Twitterでは「質」が高いコンテンツの「エンゲージメント」が高く、Facebookでは「質」の低いコンテンツの「エンゲージメント」が高い




[画像1: https://prtimes.jp/i/41443/3/resize/d41443-3-310049-0.jpg ]

一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会(代表:市川 衛)は、ソーシャルネットワークを活用した「ワクチン」関連の医療情報引用の実態に関する調査を実施しました。本調査内容は、2019年9月21日〜22日に開催された第11回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会にて、ポスター発表されました。本調査内容および結果は、以下の通りです

【調査背景・目的】
SNS上ではいわゆる「フェイクニュース」の方が拡散しやすいことが指摘されており、先行研究では、Twitterで投稿される情報は話題の中身にかかわらず、「不正確」な情報の方が、「正確」よりも有意に速く、広く、深く広がりやすいことが示され、また、Facebookでも同様の傾向がみられている。

メディカルジャーナリズム勉強会では、SNS上で注目を集めている「ワクチン」関連の医療系コンテンツの実態調査を行うため、日本語で発信されたワクチンをテーマとした医療コンテンツ(医療記事等)のTwitterおよびFacebookにおける「エンゲージメント*1」と記事の「質*2」に関する相関性を探索した。

【結語】


現状TwitterおよびFacebookでは、ワクチン接種を勧めるコンテンツがより「エンゲージメント*1」が高かった。
拡散されやすいコンテンツの「質*2」についてはプラットフォームで異なる傾向がみられた。
この要素は今後、国内のSNSでの医療健康情の質を検討する際に考慮すべき点かもしれない。


1:エンゲージメント:Twitter いいね/リツイート+Facebook いいね/シェアを示す。
2:質:メディアドクター研究会の開発したメディアドクター指標(Review Criteria of Media Doctor Japan ver4.0, 2018)を利用し、「本指標の点数=コンテンツの質(点数が高ければ質が高い)」とした。

ワクチン関連医療系コンテンツ エンゲージメントTOP50
*BuzzSumo(https://buzzsumo.com/)を使用し、抽出したワクチン関連ワードをタイトルに含む医療記事など医療系コンテンツの エンゲージメントTOP50
・期間:2018年6月29日〜2019年6月27日
・エンゲージメント:Twitter いいね/リツイート+Facebook いいね/シェア
・言語:日本語
[画像2: https://prtimes.jp/i/41443/3/resize/d41443-3-984874-3.jpg ]

【調査手法】
1. 「ワクチン」と関連して言及されやすいキーワードとして、国内で定期予防接種対象となっている病気およびDavid A. Broniatowskiら(2018)の先行研究から抽出した。

2. TwitterおよびFacebookデータ抽出サービスBuzzSumo(https://buzzsumo.com/)を使用し、抽出したワードをタイトルに含む医療記事など医療系コンテンツの タイトル、URLおよびエンゲージメントデータをCSV形式にて取得した。
(期間:2018年6月29日〜2019年6月27日、言語:日本語、エンゲージメント:Twitter いいね/リツイート+Facebook いいね/シェア)。
取得したコンテンツのうち、1.重複しているもの、2.既に閲覧できないもの、3.ログインしないと閲覧できないもの、4.コンテンツ内に「ワクチン」という文言が1つも記載されていないものを除外しリスト化した。

3. リスト化したエンゲージメント上位50コンテンツについて、当会メンバーが以下の2つについて審議・判定を行った。
1.各コンテンツのワクチンに対するスタンスの判定
独立した2名の判定者が、各コンテンツを閲覧し、先行研究の基準をもとにワクチンに対して「ANTI-VACCINE(反対)」「PRO-VACCINE(肯定)」「NEUTRAL(それ以外)」のスタンスを判定した。
2.各コンテンツの「質」の判定
独立した5名の判定者が医療コンテンツの「質」を判定した。判定にはメディアドクター研究会の開発したメディアドクター指標(Review Criteria of Media Doctor Japan ver4.0, 2018)を利用し、「本指標の点数=コンテンツの質(点数が高ければ質が高い)」とした。

4. 各コンテンツの「エンゲージメント」「質」および「スタンス」の関係を相関分析、および多変量回帰分析により調べた。

【調査結果】
1. トータルエンゲージメントと質の相関
a) Facebookでは、コンテンツのエンゲージメント数と質は負の相関を示した(P=0.01~0.03)。
b) Twitterでは正の相関の傾向があった。この傾向は、外れ値(エンゲージメント8000以上)を除くと有意になった(P=0.01~0.03)。
c) FacebookとTwitterのエンゲージメントを合算した場合(Total)、相関性は認められなかった。


[画像3: https://prtimes.jp/i/41443/3/resize/d41443-3-371074-1.jpg ]

5者のメディアドクター指標による評価値の級内相関係数(ICC)は0.57のため、5者の評価を反復測定して表記した。2者の評価者間でワクチンに対するスタンスをすり合わせ、PROは青、NEUTRALは茶、ANTIを赤で示した。(スタンスとエンゲージメントを互いに調整した多変量回帰分析により描写・灰色は95%信頼区間)

2. スタンスによるエンゲージメントと質の相関(多変量回帰分析による)
a) スタンスとメディアドクター指標による評価は正の相関となった(p<0.001)。
b) a)におけるスタンス-1/-0.5をStance-、0.5をStance+、1をStance++として中立Stance(Neutral)と比較 した質に対する効果量、およびFacebookとTwitterのエンゲージメントの質に対する効果量とを推定した(お互いに補正)。スタンスおよびFacebookのエンゲージメントにのみ相関が認められた(エラーバーは95%信頼区間)。

[画像4: https://prtimes.jp/i/41443/3/resize/d41443-3-565884-2.jpg ]

スタンスを判定した2者の間のカッパ係数は0.44と一致度が低かったため、2者の評価がAnti-Antiを-1、ANTI-NEUTRALを-0.5、NEUTRAL-NEUTRALを0、NEUTRAL-PRO を0.5、PRO-PROの場合を1として多変量回帰分析にて相関を求めた。

【学会発表概要】
第11回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会
発表日時:9月21日(土)17:15 - 18:15
発表者:可知 健太
題名:ソーシャルネットワークを活用した「ワクチン」関連の医療情報引用の実態調査

本調査の詳細は、以下の資料をご確認下さい。
https://medicaljournalism.jp/download/823/

一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会(AMJ)について
メディカルジャーナリズム勉強会は、2016年10月にメディア関係者と医療者の有志により発足しました。メディアと医療者の垣根を取り払い、医療健康情報のよりよい発信手法について学びあうことを目的にしています。会の発展に伴い、2018年に非営利型一般社団法人となりました。
当会では、医療健康情報の発信に関するイベントやセミナーを定期的に開いています。
詳細は、https://medicaljournalism.jp/ をご参照下さい。
Facebook:https://www.facebook.com/groups/1328675450500398/
Twitter: https://twitter.com/associationofmj
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