Elix、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬候補を機械学習により予測
[20/06/25]
提供元:PRTIMES
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ディープラーニング・機械学習に特化したテクノロジー企業の株式会社Elix(代表取締役: 結城 伸哉 (ゆうき しんや)/ 本社:東京都千代田区、以下「Elix」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に有効である可能性の高い治療薬候補を、機械学習によって既存薬や臨床試験に進んだ化合物からスクリーニングする研究を行いました。本研究では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製に関わる重要なタンパク質であるRNA依存性RNAポリメラーゼ(以下「RdRp」)をターゲットとし、化合物の阻害活性を予測しています。
Elixは、ディープラーニング・機械学習に特化したテクノロジー企業として、大手企業のR&D部門を主なクライアントに持ち、コンサルティング、モデル開発・改良、モデルのライセンス提供を一気通貫でサポートするほか、共同研究を実施しています。現在は、AI創薬/マテリアルズ・インフォマティクスとコンピュータービジョン(画像認識)を主力領域とし、特にAI創薬領域は創薬・医療系ベンチャーに特化した育成支援プログラムであるBlockbuster Tokyoへ2019年に参加したことをきっかけに主力領域として注力して参りました。
[画像: https://prtimes.jp/i/27687/4/resize/d27687-4-352554-0.jpg ]
?研究の背景
COVID-19は深刻な被害を及ぼし、一日も早い治療薬の開発が求められています。しかしながら、有効な新規化合物を開発するアプローチの場合、承認まで典型的には約10年以上の長い期間がかかります。そのため、新規化合物ではなく、既承認薬の新たな薬効を見出し、別の疾患に対する治療薬として開発するドラッグ・リポジショニング(既存薬再開発)と呼ばれる手法がより適していると考えました。既存薬では既に安全性の試験などが済んでいるため、いくつかの試験をスキップすることができます。また薬剤の製造方法が確立していることもあり、開発期間を大幅に短縮することが可能です。
ElixのAI創薬チームでは、機械学習によりCOVID-19に対して有効と考えられる候補化合物の予測を行いました。
?研究手法
前提として、異なるRNAウイルス間でもRdRpの構造が類似することから、新型コロナウイルス以外のRdRpに対して阻害活性を示す化合物は、新型コロナウイルスでも阻害活性を示す可能性が高いと考えられます。本研究ではこの阻害活性を機械学習で予測しています。機械学習はデータから学習するアプローチであるため、まずはRdRp阻害活性に関する学習用データを用意し、そのデータを基に化学的性質を学習させる必要があります。そこでC型肝炎ウイルス(HCV)、ポリオウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルスのRdRpに対する阻害活性の化合物データを収集しました。
学習後、そのモデルを利用してスクリーニングを行いました。スクリーニングの対象としたのは主にFDA※承認薬や臨床試験に進んだ化合物で、その中でも抗ウイルス化合物と抗炎症化合物です。新型コロナウイルスによって引き起こされる炎症を抑えつつ、ウイルスの増殖を抑える薬が見つかる可能性を考え、抗炎症化合物も対象としています。また、新型コロナウイルスのRdRpの3次元構造も明らかになっているため、ドッキング・シミュレーションも合わせて行いました。
※FDA…アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称で、食品、医薬品、化粧品及び医療機器などの許認可や規制、安全性や有効性の評価、臨床試験の規制、違反事例の取り締まりなどを行うアメリカ合衆国の政府機関。日本の厚生労働省に似た役割を持つ。
?研究成果
ElixのAI創薬チームは、新型コロナウイルスのRdRpを阻害する可能性のある治療薬候補を複数見いだしました。
候補のなかには、すでに新型コロナウイルスのRdRpを阻害することがで知られているレムデシビル(Remdesivir)とバロキサビルマルボキシル(Baloxavir marboxil)が含まれていました。レムデシビルは、FDAから重症の新型コロナウイルス感染症入院患者への緊急使用許可が出ています。バロキサビルマルボキシルについてもCOVID-19に対しての有効性を検証するべく、現在臨床試験が行われています。
また、C型肝炎ウイルス(HCV)治療薬の中でも、新型コロナウイルスに対して有効な可能性があるとして予測されたものが複数ありました。HCVのRdRpの阻害薬であるベクラブビル(Beclabuvir)は複数のモデルによって活性があることが予測され、今回の研究のなかでは最も有望な候補薬の1つであると考えられます。
このほか、新型コロナウイルスにより免疫が過剰反応することで肺炎などの炎症を引き起こすとされていますが、抗炎症化合物の中でもCOVID-19に対して有効と考えられるものが予測されています。ベドリン酸(Betulinic acid)やウルソール酸(Ursolic acid)が候補として挙がっています。
本研究で治療薬候補として挙げられたものはあくまでも候補であり、必ず実験や臨床試験による検証が必要です。このような検証なしにすぐにCOVID-19治療に利用できるものではありません。
現在本研究結果は、査読前論文として“Predicting inhibitors for SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase using machine learning and virtual screening”(機械学習を用いたRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬の予測とバーチャルスクリーニング)というタイトルでarXivに投稿されています。
https://arxiv.org/abs/2006.06523
?本プロジェクトに対する代表 結城 伸哉からのコメント
弊社がこれまで取り組んできたAI創薬での経験を活かして、COVID-19パンデミックの収束に少しでも貢献できればという想いでこのプロジェクトを開始しました。一日も早い収束のために今後も貢献していきたいと思っています。
株式会社Elixについて
ディープラーニング・機械学習に特化したテクノロジー企業として、AI創薬/マテリアルズ・インフォマティクス(材料開発)とコンピュータービジョン(画像認識)に注力し事業を展開。現在は、大手企業のR&D部門を主としたクライアント向けに、コンサルティング、モデル開発・改良、モデルのライセンス提供までを一気通貫でサポートするほか、共同研究を実施しています。
企業名:株式会社Elix
本社住所:〒102-0081 東京都千代田区四番町8−34 第2東郷パークビル3階
代表者:代表取締役CEO 結城 伸哉
設立:2016年11月4日URL:https://www.elix-inc.com/jp
Elixは、ディープラーニング・機械学習に特化したテクノロジー企業として、大手企業のR&D部門を主なクライアントに持ち、コンサルティング、モデル開発・改良、モデルのライセンス提供を一気通貫でサポートするほか、共同研究を実施しています。現在は、AI創薬/マテリアルズ・インフォマティクスとコンピュータービジョン(画像認識)を主力領域とし、特にAI創薬領域は創薬・医療系ベンチャーに特化した育成支援プログラムであるBlockbuster Tokyoへ2019年に参加したことをきっかけに主力領域として注力して参りました。
[画像: https://prtimes.jp/i/27687/4/resize/d27687-4-352554-0.jpg ]
?研究の背景
COVID-19は深刻な被害を及ぼし、一日も早い治療薬の開発が求められています。しかしながら、有効な新規化合物を開発するアプローチの場合、承認まで典型的には約10年以上の長い期間がかかります。そのため、新規化合物ではなく、既承認薬の新たな薬効を見出し、別の疾患に対する治療薬として開発するドラッグ・リポジショニング(既存薬再開発)と呼ばれる手法がより適していると考えました。既存薬では既に安全性の試験などが済んでいるため、いくつかの試験をスキップすることができます。また薬剤の製造方法が確立していることもあり、開発期間を大幅に短縮することが可能です。
ElixのAI創薬チームでは、機械学習によりCOVID-19に対して有効と考えられる候補化合物の予測を行いました。
?研究手法
前提として、異なるRNAウイルス間でもRdRpの構造が類似することから、新型コロナウイルス以外のRdRpに対して阻害活性を示す化合物は、新型コロナウイルスでも阻害活性を示す可能性が高いと考えられます。本研究ではこの阻害活性を機械学習で予測しています。機械学習はデータから学習するアプローチであるため、まずはRdRp阻害活性に関する学習用データを用意し、そのデータを基に化学的性質を学習させる必要があります。そこでC型肝炎ウイルス(HCV)、ポリオウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルスのRdRpに対する阻害活性の化合物データを収集しました。
学習後、そのモデルを利用してスクリーニングを行いました。スクリーニングの対象としたのは主にFDA※承認薬や臨床試験に進んだ化合物で、その中でも抗ウイルス化合物と抗炎症化合物です。新型コロナウイルスによって引き起こされる炎症を抑えつつ、ウイルスの増殖を抑える薬が見つかる可能性を考え、抗炎症化合物も対象としています。また、新型コロナウイルスのRdRpの3次元構造も明らかになっているため、ドッキング・シミュレーションも合わせて行いました。
※FDA…アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称で、食品、医薬品、化粧品及び医療機器などの許認可や規制、安全性や有効性の評価、臨床試験の規制、違反事例の取り締まりなどを行うアメリカ合衆国の政府機関。日本の厚生労働省に似た役割を持つ。
?研究成果
ElixのAI創薬チームは、新型コロナウイルスのRdRpを阻害する可能性のある治療薬候補を複数見いだしました。
候補のなかには、すでに新型コロナウイルスのRdRpを阻害することがで知られているレムデシビル(Remdesivir)とバロキサビルマルボキシル(Baloxavir marboxil)が含まれていました。レムデシビルは、FDAから重症の新型コロナウイルス感染症入院患者への緊急使用許可が出ています。バロキサビルマルボキシルについてもCOVID-19に対しての有効性を検証するべく、現在臨床試験が行われています。
また、C型肝炎ウイルス(HCV)治療薬の中でも、新型コロナウイルスに対して有効な可能性があるとして予測されたものが複数ありました。HCVのRdRpの阻害薬であるベクラブビル(Beclabuvir)は複数のモデルによって活性があることが予測され、今回の研究のなかでは最も有望な候補薬の1つであると考えられます。
このほか、新型コロナウイルスにより免疫が過剰反応することで肺炎などの炎症を引き起こすとされていますが、抗炎症化合物の中でもCOVID-19に対して有効と考えられるものが予測されています。ベドリン酸(Betulinic acid)やウルソール酸(Ursolic acid)が候補として挙がっています。
本研究で治療薬候補として挙げられたものはあくまでも候補であり、必ず実験や臨床試験による検証が必要です。このような検証なしにすぐにCOVID-19治療に利用できるものではありません。
現在本研究結果は、査読前論文として“Predicting inhibitors for SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase using machine learning and virtual screening”(機械学習を用いたRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬の予測とバーチャルスクリーニング)というタイトルでarXivに投稿されています。
https://arxiv.org/abs/2006.06523
?本プロジェクトに対する代表 結城 伸哉からのコメント
弊社がこれまで取り組んできたAI創薬での経験を活かして、COVID-19パンデミックの収束に少しでも貢献できればという想いでこのプロジェクトを開始しました。一日も早い収束のために今後も貢献していきたいと思っています。
株式会社Elixについて
ディープラーニング・機械学習に特化したテクノロジー企業として、AI創薬/マテリアルズ・インフォマティクス(材料開発)とコンピュータービジョン(画像認識)に注力し事業を展開。現在は、大手企業のR&D部門を主としたクライアント向けに、コンサルティング、モデル開発・改良、モデルのライセンス提供までを一気通貫でサポートするほか、共同研究を実施しています。
企業名:株式会社Elix
本社住所:〒102-0081 東京都千代田区四番町8−34 第2東郷パークビル3階
代表者:代表取締役CEO 結城 伸哉
設立:2016年11月4日URL:https://www.elix-inc.com/jp