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サヴィルズ インベストメント マネージメント2023年の展望:

都市部商業用不動産および物流施設、生活必需品小売施設、住宅、および不動産デットが2023年に最も安全な投資先になると予測

最新のサヴィルズ インベストメント マネージメントによる投資家向けレポートであるグローバル・インベスター・アウトルックによると、来年の不動産市場は厳しいものとなることが予想されており、投資家が基本に立ち返りファンダメンタルズに目を向ける必要性が強調されています。
しかしながら、このような環境の下では市場が過剰反応を示すのは常であるため、長期的かつ堅調な成長を見せているセクターに投資妙味があると考えられます。すべてのセクターにおいてバリューは存在しますが、最優良の立地、ESGでの高評価、そしてファンダメンタルズの強さが更に重要となるでしょう。

東京、2023年1月19日、国際的な不動産投資運用会社であるサヴィルズ インベストメント マネージメント(サヴィルズIM)は本日付で、2023年に向けたグローバル不動産投資市場に関する展望を発表しました。

2023年はすべての投資家にとって厳しい年となる見込みですが、サヴィルズ IMはグローバル市場の荒波のなかでも都市部商業・物流施設、アフォーダブル住宅、そして生活必需品小売り施設などには投資妙味があるとみています。

短期的なマクロリスクとしてはインフレ率上昇、金利上昇、そして景気後退リスクが挙げられ、投資や入居者・テナントが影響を受けると見込まれます。

特に高いレバレッジで借り入れを行っている場合、金利上昇の影響を大きく受けることとなり、さらに英国内貸出残高のうち600憶ポンド分は今後2年以内に償還及びリファイナンスのタイミングを迎える予定です。ほかの投資市場でも同じような状況が予想され、経済成長の鈍化と不況リスクは入居者・テナントを委縮させ、この入居者・テナント相場も不安定な状況に置かれる見込みです。

しかしながら、現時点から備えをすれば経済が持ち直した際の恩恵を享受できるでしょう。安定的かつ継続的な家賃収入が見込まれ、ESGで高評価を得ている物件が投資に特に適した物件として挙げられます。

セクター別に関しては、高い需要と、イールドの見通しが容易であること、そして社会に与える前向きなインパクトを背景に、サヴィルズ IMはアフォーダブル住宅が長期の成長性を期待できるセクターであるととらえています。公共の努力のみでは住宅供給不足の問題を解決することが困難であることは明らかであり、長期的には住宅協会や地方自治体とのパートナーシップによる新規開発資金の調達または既存物件の改修などが、民間企業主導で実施される機会が増加すると考えられます。

一方で、不動産デット市場もオルタナティブ投資として注目に値します。市場のボラティリティーを背景に、主要金融機関各社は2023年において非常に慎重な姿勢をとるようになることが予想されます。これにより、デットファイナンスの市場供給は抑制される見込みです。この為、リファイナンスの際にはより高い金利とより厳しい条件が予想され、金融機関に代わるデット提供機関によるデット供給が増すと考えられます。また、銀行などの金融機関が基本的に融資提供を躊躇するようなセクターや物件についても、デットファンドが席巻していくことになるでしょう。

欧州市場の経済の混乱から影響を受け難い市場として、アジアパシフィック(APAC)地域にはさらに注目が集まっています。相対的に低いインフレ率と雇用環境の安定性を見せるアジア各国は、経済回復を牽引するための足掛かりをつかんでいると言えるでしょう。金利引き上げが落ち着いた後は、投資リターン構成要素のなかでも期中収入が重要視されるようになり、テナントが求める高品質物件や、より厳しさを増すESG規制要件を満たせる物件、などのトレンドの変化に対応した投資を遂行する投資家および不動産所有者は、有利な立ち位置に立つものと考えられます。

グローバル投資責任者及びグローバル副CEOであるキラン・パテル(Kiran Patel)は次のようにコメントしております。

「不動産投資家にとって2023年は難しい年となることは確実です。イールドの拡大はさらに進み、今後12〜24ヶ月間のリファイナンスに関しては利払い額上昇の打撃を受けるでしょう。しかしながら、このような悪化した市場環境下でも、市場を熟知した投資家にとっては投資機会が存在するものと考えます。

住宅セクターでは、民間資金投入の重要性が増すと思われるアフォーダブル住宅に成長性が見込めるでしょう。イールド上昇下ではありますが、不動産市場全体のバリュエーションの低下に応じてマルチファミリー向け不動産のバリュエーションも低下することが予想されますので、投資機会につながるはずです。

デット市場では引き続き、タウンサイド・プロテクション付きの魅力的なリスク調整後リターンの実現が可能です。以前は通常の銀行融資としてファイナンスされていた案件が、デットファンドなどの融資に頼ることになるでしょう、リファイナンス時にはこうした代替ローン機能に融資需要の大きな割合が流れるものと予想されます。

都市化に伴う構造的変化からの恩恵を受けるのは、特にコンビニ小売業およびラストワンマイル配送物流となるものと考えられます。短期間とはいえ、弱気のプライシングがみられる時期においては、これらのアセットクラスに対する投資も適していると考えられます。

2023年は厳しい1年となりそうですが、これまでのグローバルな景気後退期とは異なり、不動産融資は全体として統制が取れたなかで実行され、新規不動産の供給過剰も非常に限定的であり、雇用統計自体も底堅さを示しています。不動産は家計収入増の恩恵を受けますが、エネルギー価格の上昇、労働コストの上昇、そして金利負担の上昇がテナントおよび投資家の負担となり、効果は相殺されるでしょう。弊社はこのような状況を短期のものととらえており、ファンダメンタルズ基盤が長期的に安定しているセクターまたは不動産を取得することは、次の経済サイクルへの備えとして有効な投資となるでしょう。」

サヴィルズ IM 2023年セクター予測

2023年 アジア太平洋地域(APAC)予測:
西洋諸国と比較し、APAC各国は異なった経済サイクルのもとにあると言えます。米国、ヨーロッパ、および英国は数十年ぶりの高いインフレ率の影響を受けていますが、APAC内での影響は比較的軽微に留まっています。これは、西洋の投資家のみならず、APAC拠点の投資家に対しても優位な分散投資を可能としています。また、ファンダメンタルズの視点からも堅調さがうかがえ、2023年は市場下落の痛手が少なく回復に要する時間も短いことが予想されます。特に以下のセクター・地域は注目に値します:

マルチファミリー(日本)
-日本国内のマルチファミリー住宅セクターは、世界で最も堅調なパフォーマンスを見せている不動産クラスと言えます。人口は微減傾向が続いているものの、全国地方エリアから大都市圏への大幅な人口流入が都市部の人口増に寄与しています。社会経済環境の変化に伴い、流入層は小規模な家族向け賃貸住戸、戸建て分譲住宅の長期賃貸を好む傾向にあります。

都市部商業・物流
-物流セクターは積極的な投資エリアとして観察しております。近代的な物流施設の供給不足の一方で、eコマースの大幅成長が伴い、アジア各国の不動産市場では物流倉庫施設の市場構造的不足状態が見られます。この状況はしばらく続くとみられるため、一般論として本セクターでの安定的な期中収入は見込めますが、投資家は施設の立地の良さや質の高さを注視・良い選択をすることが引き続き重要となります。

生活必需品小売り
-人口集中地域に隣接し、幅広い品目の取り扱いがある地域密着型の小売業態に投資妙味が存在すると考えます。

オフィス
-オーストラリアを除くAPAC各国のビジネス中心都市のオフィスでは、トレンドとなっているリモート勤務はあまり根付いていません。代わりに、「ハブ・アンド・スポーク型」オフィスが拡大傾向にあり、企業はビジネス中心街でのオフィス機能を維持しつつ、各地にサテライトオフィスを設置することで、社員の労働拠点に柔軟性を持たせることを検討し始めています。このため、中心地区からはずれた優良な立地にある質の高いオフィス物件の賃料増加幅は、全国平均賃料増加幅を上回ることが予想され、投資目線に叶うオフィス物件となる可能性があります。ただし、これらの物件については設備が充実しており、ESG評価も高いものである必要があると考えます。

2023年 ヨーロッパ市場予測

オフィス
-在宅リモート勤務などの構造の変化に伴い、オフィス物件の使用目的および求められる要件に変化がみられ、特に安定した家賃収入の是々非々の観点でこのセクターのリスクが高まっています。
-テナント需要を満たし得るクオリティーの物件が不足し、いまだにコア物件の価格が高止まりする中で、立地の良いBクラスオフィス物件の取得、これらをポートフォリオ化することで将来テナント需要に柔軟に対応できるようにすることにより、運用コストの上昇分を吸収し得る賃料収入上昇を見込める、そのような投資戦略が注目されます。しかしながら、設備の老朽化などで、厳しいESG基準やエネルギー消費基準を満たせない物件への投資は、賃料収入の確保や物件の陳腐化のリスクがあるため、慎重な検討が求められます。

物流・商業
-最も強いファンダメンタルズを擁している主要セクターの一つです。特に最終消費者に近い都市部に立地する質の高い商業・物流施設への旺盛な需要が存在しますが、住宅など他の用途向けの開発との競業が激しいため、物流・商業施設用地の確保は困難な状況にあります。
-新型コロナのパンデミックの最中においても、物流セクターは堅調さを保ちました。投資需要を適切に満たし、今後の厳しい経済環境にあっても堅調なパフォーマンスを保つことが予想されます。
-構造的な需給の顕著なギャップの存在は、このセクターの底堅さを意味しており、景気サイクルのもたらすリスクを軽減するだけのバリューの向上を見込めるでしょう。
-「都市部物流および小規模商業施設」セクターのパフォーマンスには、賃料収入安定型セクターである住宅、大規模物流施設、そして食品小売り施設のそれを上回るものが期待できるでしょう。

小売り
-報道では小売り不動産セクターの厳しさが指摘されがちですが、詳細な調査をすすめると適切な投資機会が存在していることがわかります。
-このセクターの投資家は立地の良さや利便性を重視するべきですが、その賃料「プレミアム」に対するテナントの支払い能力を吟味する必要があります。
-生活コストの上昇、そして多くの市場でインフレ率の上昇がみられることから、消費者の消費需要はより生活必需品に向けられるでしょう。
-新型コロナパンデミック下においても生活必需品小売りセクターは堅調さを見せ、高級品需要の減少の一方で生活必需品への需要は継続が見込まれることから、他対比で比較的安全な投資セクターである状況は継続するでしょう。事例としては、パンデミック初期から現在に至るまで優れた堅調さを継続している、基幹スーパー店舗を擁する小売り集合商業施設が挙げられます。

住宅
-商業セクターのボラティリティからの影響を受けにくい、長期的かつ安定的な賃料収入が得られる住宅セクターは、ポートフォリオのリスク分散化をはかる上で有効な投資先として投資家に認識されつつあり、現在の経済サイクルにおいてもより成熟した市場に発展するものと考えられます。
-人口動態、社会的動向、もとい当セクターの需給ギャップを背景に、住宅セクターの中でも特にマルチファミリー物件への投資妙味が増すと考えます。短期的見通しではさらに価格の下落が予想されますが、一方で投資という観点では、長期的に強いファンダメンタルズをもつセクターへの投資機会到来ととらえることができるでしょう。
-2023年は銀行等金融機関による融資基準の引き締めが行われるため、物件の放出などの際には買い受けるエクイティー投資家には有利な状況となるでしょう。
-アフォーダブル住宅は、大幅な供給不足の一方で常に需要が存在するため、公共および民間セクターからの開発投資が喫緊の課題となっており、この意味でも重要な不動産セクターであるといえます。今後、投資家の目線とその投資資金を、居住者のニーズに合ったより質の高い住宅建設に向けることが必須であり、この意味で2023年は重要な年となるでしょう。
-欧州における住宅は特に老朽化した物件が多く、エネルギー効率が悪く、また、需要に沿わない大きさを伴い、そして立地の悪さが顕著です。このため、現在の居住者層のニーズおよび人気のロケーション、トレンド、そして中間所得層の支払い得る賃料レベルに見合った住宅供給事業に、投資機会が存在すると考えます。

デット
-2023年の投資家の投資判断基準には、金利の上昇が最も大きな要素を占めると思われます。
-短期的には、銀行がアセット内のリスク資産の軽減を図るものと考えられ、銀行の不動産融資は一定程度制限されるものと考えられます。これは一方で、そのような融資環境の変化にて融資ポジションを代替し得るデットファンドのような融資機能には、融資経済性の向上が見込めることを意味しています。

以上


サヴィルズ インベストメント マネージメントについて
-サヴィルズ インベストメント マネージメントは、アムステルダム、バンコク(サヴィルズ タイとの協業)、フランクフルト、ハンブルグ、カトヴィツェ、クアラルンプール(サヴィルズ マレーシアとの協業)、ロンドン、ルクセンブルク、マドリード、ミラノ、ミュンヘン、パリ、シンガポール、ストックホルム、セント・ヘリア、シドニー、東京、そしてワルシャワに事業所拠点を置くグローバルな不動産投資運用会社です。
-2022年6月30日時点における、サヴィルズ インベストメント マネージメントの運用資産は269億ユーロに上ります。
-サヴィルズ インベストメント マネージメントはサヴィルズ インベストメント マネージメントLLPとその子会社を表す商法です。
-サヴィルズ インベストメント マネージメントLLP は英国にて登録された有限責任事業組合(登録番号:OC306423)であり、英国金融行為規制機構(FCA)により認定および規制されています。
-サヴィルズ インベストメント マネージメントは英国、オーストラリア、イタリア、ドイツ、ジャージー、日本、ルクセンブルク、およびシンガポールの規制当局の認可を受けています。
-DRC サヴィルズ インベストメント マネージメントは、英国および欧州向け商業不動産デット投資を提供する、業界を代表する会社です。DRC SIMはロンドンに本社をおき、世界各国の機関投資家出資ファンドおよび投資一任ファンドに助言を行っています。
-DRCサヴィルズ インベストメント マネージメントLLP は英国にて登録された有限責任事業組合(登録番号:OC371403)であり、英国金融行為規制機構(FCA)により認定および規制されています。
当プレスリリースは情報提供のみを目的としたものであり、ここに含まれる情報は一般的なもので個々の受け手のいかなる状況にも配慮したものではありません。当プレスリリースは投資アドバイスまたはいかなる投資勧誘を目的としたものではありません。
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