Owkin社、MOSAICによりがん研究の新時代を推進-過去最高の5,000万ドルを投入するがん細胞空間アトラスプロジェクト
[23/07/01]
提供元:PRTIMES
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ナノストリングはOwkin社と提携して、CosMx SMIおよびGeoMx DSPを活用し、治療改善を目指した癌細胞アトラス構築のためMOSAICプロジェクトに参加できることをうれしく思います。
-最先端の空間オミクス技術によるがん細胞およびその免疫環境の高解像度マッピングにより、AIが画期的新薬の可能性を切り開く
-これまでの研究に比べ100倍以上の規模を誇る画期的研究プロジェクト
-さまざまながん種を有する数千例の患者さんからデータを生成
-新規がん治療薬の創製を目指し、ピッツバーグ大学、Gustave Roussy、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学との共同
[表: https://prtimes.jp/data/corp/111574/table/4_1_66d34fae721a1ac60bbc0cb909ae44ce.jpg ]
パリおよびシアトル-(BUSINESS WIRE)- Owkin社、NanoString Technologies, Inc.(NASDAQ:NSTG、以下ナノストリング)および世界トップレベルの癌研究機関であるピッツバーグ大学、Gustave Roussy、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学は、米国臨床腫瘍学会の年次総会にてMOSAIC(Multi Omic Spatial Atlas In Cancer: https://www.mosaic-research.com/)プロジェクト(ブース番号:4037)を開始します。5,000万ドルを投入する画期的プロジェクトMOSAICでは、腫瘍構造についてかつてない情報が得られる最先端技術である空間オミクス技術を用いることにより、がん研究に革命を起こすことを目指します。
空間オミクスとは、シングルセルレベルに近い解像度で腫瘍を解析し、腫瘍および免疫細胞の位置や分子活性を明らかにすることができる技術です。分子間相互作用の詳細なマッピングにより、腫瘍とその環境との重要な関連性を解明することが可能です。MOSAICプロジェクトでは、マルチモーダルな患者データおよび人工知能(AI)を用いて、かつてない大量の空間オミクスデータを生成・解析することにより、最も治療が困難ながん種に対する治療薬開発の次なる波を生み出すことを目指します。
空間オミクス技術を用いた初の取組みであるMOSAICは、癌治療研究の新たな分野を切り開く可能性があります。Owkin社は、Gustave Roussy、ピッツバーグ大学(UPMC Hillman Cancer Center)、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学のほか、ナノストリングをはじめとする空間生物学分析装置・アッセイを提供する企業と共同し、5,000万ドルを投入してMOSAICプロジェクトを立ち上げます。患者さんから採取した7,000の腫瘍検体を用い、既存の空間オミクスデータセットの100倍以上のデータセットを構築します。Owkin社とMOSAICパートナーは、免疫腫瘍学領域のさまざまな疾患サブタイプについて、このデータセットを掘り下げることで、バイオマーカーや新規治療薬の発見を目指します。
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=vb1TSp0vkzM ]
Owkin社の共同創業者でありCEOであるThomas Clozelは次のように述べています。
「空間オミクス、マルチモーダルな患者データ、AIが結集することにより、がん研究に新たな革命がもたらされ、患者さんに貢献する画期的治療薬開発の次なる波が生まれるでしょう。MOSAICプロジェクトを通して、パートナーと共同し、がんとの戦いにかつてない飛躍的進歩をもたらすことを目指します。」
ナノストリングのPresident & CEOであるBrad Grayは次のように述べています。
「MOSAICプロジェクトは、がん生物学の知識を変革させ、新たな診断薬や治療薬の開発につながる可能性を秘めています。ナノストリングの強力な空間生物学プラットフォーム、世界トップクラスのがん研究機関が収集し、臨床情報を備えた最高品質のがん検体、そしてOwkin社の素晴らしいAI技術・解析法が結集するという、これまでにないコラボレーションです。」
ピッツバーグ大学医学部のAssociate Vice Chancellor for Cancer Research兼Hillman Professor of Oncology兼Director of UPMC Hillman Cancer CenterであるRobert Ferris, MD, PhDは次のように述べています。
「ピッツバーグ大学がMOSAICコンソーシアムに参画し、UPMC Hillman Cancer Centerの空間オミクスに関する専門知識を自然環境におけるがん細胞の理解に活用できることを非常に喜ばしく思います。他の大学や業界のパートナーとともに、がんの発見・治療・予防に役立つ知見獲得に全力で取り組みます。」
パリ、Gustave RoussyのDirector of Research兼Professor of Medical OncologyであるProfessor Fabrice Andreは次のように述べています。
「最先端技術を結集したMOSAICにより、腫瘍細胞とその微小環境のメカニズムや相互作用について新たな次元の理解が可能となるでしょう。この素晴らしいプロジェクトを通して、私たちは患者さんへの新薬の提供に貢献することができます。このような大規模のプロジェクトに参加している研究機関は世界にほとんどありません。」
ローザンヌ大学病院のDirector of Innovation and Clinical ResearchであるProfessor Mauro Oddoは次のように述べています。
「MOSAICプロジェクトは、最先端の医療技術を導入することにより、がんの予測・治療を大きく進歩させることが期待されます。また、イノベーションを患者さんへのより良いケア提供につなげる取組みにおいて、主要大学病院とバイオテクノロジー企業との科学的パートナーシップがいかに有益であるかを示す実例でもあります。CHUVの一部であるBiomedical Data Science CenterおよびDivisions of Medical Oncology and PathologyがMOSAICプロジェクトに加わることはCHUVにとって素晴らしい機会です。」
Head of the Institute of Pathology of Uniklinikum ErlangenであるProf. Dr. Arndt Hartmannは次のように述べています。
「予後不良で新薬に対する高いメディカルニーズが存在する患者さんからなる大規模コホートについて、空間オミクス技術を用いた総合的な特性解析を行うことにより、腫瘍と腫瘍微小環境についてまったく新しい知識が得られるでしょう。がんを専門とする大規模医療機関と高い能力を備えた民間パートナーが共同するこのコンソーシアムは、患者さんに貢献できる新たな治療選択肢の発見につながる、他にはない機会をもたらすものです。」
Professor of Comprehensive Oncology兼Director of Charite Comprehensive Cancer CenterであるProf. Dr. Ulrich Keilholzは次のように述べています。
「Owkin MOSAIC研究は、画期的なプロジェクトです。シングルセルマルチオミクスにおける専門知識が大幅に広がり、多くのがん種について非常に詳細なレベルでの理解が可能となる素晴らしい機会です。」
空間オミクスとは
Nature MethodsよりMethod of the Year(年間最優秀手法: https://www.nature.com/articles/s41592-020-01033-y )として表彰された空間分解分子プロファイリング(別称:空間オミクス)は、分子の発現を定量化し、位置を特定することにより、かつてないほぼシングルセルレベルでの解像度で腫瘍構造を把握し、腫瘍細胞と非腫瘍細胞の相互作用を解明することができる高度技術です。空間オミクスでは、分子の発現を測定し、腫瘍検体内の位置をマッピングすることにより、腫瘍の不均一性、細胞間コミュニケーション、腫瘍-免疫系の相互作用に「ズームイン」することが可能です。この革新的手法により、科学がこれまでにない飛躍的進歩を遂げ、疾患のメカニズムに関する基本的知識に変革がもたらされることが期待されています。
MOSAICの研究方法とは
Owkin社は、研究機関から提供された患者データをナノストリングの空間オミクス技術を用いて解析し、RNA-seq解析、プロテオミクス、組織学、その他の医療データと総合することにより、データプラットフォームを作成します。これにより、ディープニューラルネットワークなどの機械学習に関する専門知識を駆使して、新たながん生物学的知見や新薬候補の発見を目指します。
MOSAICではまず、非小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、卵巣癌、神経膠芽細胞腫、中皮腫、膀胱癌などアンメットメディカルニーズが存在する複数のがん種を対象として研究を行います。初期研究期間の後、MOSAICとその標準化されたデータ生成・解析方法を全世界の生物医学研究機関が利用できるようにし、がん研究の進歩をさらに促進する予定です。
MOSAICの意義とは
空間オミクス技術およびAIを活用するMOSAICにより、ほぼシングルセルレベルの解像度で腫瘍を調べることが可能となり、腫瘍内の構造や分子間相互作用、細胞間コミュニケーションについてまったく新しい知見を獲得できます。このような詳細な情報は、複雑な生物学的プロセスの理解を深め、治療困難ながんに対するより的確かつ有効性の高い標的治療薬の開発に役立ちます。
MOSAICは、既存の空間オミクス研究を大きく上回る規模で行われるプロジェクトです。これまでの研究は規模が何十倍も小さく、大きな成果を挙げることはできませんでした。これらのデータモダリティを用いて現在行われている研究の大部分は、検体数が50未満と、サンプルサイズが限られています。一方、MOSAICでは7,000例の患者さんから得られたデータを解析するため、既存研究に比べ100倍も大きなデータコホートでの研究が可能です。
MOSAICの構成
MOSAICは、AIを活用したバイオテクノロジー企業であるOwkin社が主導するプロジェクトであり、Owkin社は人工知能、データ科学、腫瘍学に関する基本的専門知識を提供します。ナノストリングは、GeoMx(R)デジタル空間プロファイラーやCosMx(TM)空間分子イメージャーなど、バイオマーカー発見・トランスレーショナルリサーチのための世界最高水準の技術基盤を提供します。学術研究機関のパートナーは、研究の科学的実施を管理し、MOSAICデータを用いた研究を実施するための専門知識を提供します。
[画像: https://prtimes.jp/i/111574/4/resize/d111574-4-24c81cbd20e853d960ee-1.png ]
Owkin社について
Owkin社は、AIを用いて患者さん一人一人に最適な治療を提供することを目指すAIバイオテクノロジー企業です。人と人工知能の最良の力を結集することにより、バイオ医薬品企業および学術研究機関の双方が抱える疑問を解決します。複雑な生物学と新薬の間に立ちはだかる解釈のギャップを埋め、新たな診断薬や治療薬を患者さんにより速やかに提供することにつなげます。
Owkin社では、新薬候補の特定、臨床試験のリスク排除・迅速化、診断ツールの開発のためにAIを活用しています。先駆的な連携AIフレームワークである連合学習を用いることにより、患者さんの個人情報や専有データを保護しつつ、サイロ化されたデータセットから有用な知見を獲得することが可能です。
Owkin社は、臨床腫瘍血液学のassistant professorであったThomas Clozel MDと、生物学における機械学習分野の先駆者であるGilles Wainribが共同で2016年に設立した会社です。Owkin社は、3億ドル以上の資金を調達し、大手バイオ医薬品企業(Sanofi社およびBMS社)やベンチャーファンド(Fidelity、GV、BPIなど)からの投資によりbecame a unicorn(ユニコーン企業)となっています。
ナノストリング・テクノロジーズについて
ナノストリングは空間生物学領域における先進企業であり、基礎研究およびトランスレーショナル研究のための革新的ソリューションのエコシステムを提供することで、お客様が生物学の地平を広げるお手伝いをしています。GeoMx(R)デジタル空間プロファイラーは160以上の査読付き論文に取り上げられた柔軟性と一貫性を兼ね備えたソリューションであり、全組織検体の利点に遺伝子およびタンパク質のデータを組み合わせて、1枚のFFPEスライドで空間的な全トランスクリプトーム解析およびプロテオミクス解析を行えます。CosMx(TM)空間分子イメージャーは、FFPE検体で解析が行える、空間マルチオミクスを利用したシングルセル・イメージングプラットフォームで、自然環境におけるシングルセルマッピングを行うことで、深い生物学的知見と新たな発見を1回の実験で得ることができます。AtoMx空間バイオインフォマティクスプラットフォームは、高度な分析機能と世界規模での連携機能を備えたクラウドベースのインフォマティクスソリューションで、時と場所を選ぶことなく空間生物学研究に有用な知見を得ることができます。当社の各種研究用装置の土台となっているnCounter(R)解析システムは7,000以上の査読付き論文に取り上げられており、数百種以上の遺伝子、タンパク質、miRNA、コピー数多型の発現解析を安全かつ容易に、また高い感度と精度で行うことができます。より詳しい情報が知りたい方はウェブサイトをご覧ください(www.nanostring.com)。
Gustave Roussyについて
欧州第1位、世界第3位のがん専門医療機関であるGustave Roussyは、総合的な専門知識を備え、がん患者さんへのケア提供に特化したがんセンターです。Paris-Saclay Cancer Clusterの創設メンバーとして、診断・治療法の進歩を牽引しています。診療する患者さんの数は年間約50,000名にのぼり、研究、患者さんのケア、教育を統合したアプローチによる医療を提供しています。希少ながんや複雑な腫瘍の治療を専門とするとともに、あらゆる年齢の患者さんのあらゆるがん種を治療しています。患者さん一人一人に合ったケアを提供するため、最先端の医療技術を用いるだけでなく、患者さんが人として求めるものを尊重した医療を心がけ、提供する治療の質に加え、患者さんの生活の身体的、精神的、社会的側面を大切にしています。VillejuifとChevilly-Larueの2ヵ所の施設で4,100名の医療従事者が活動するGustave Roussyでは、最高の質のがん研究に不可欠な要素であるスキルが結集しており、本院で治療を受ける患者さんの40%は臨床試験に参加しています。
ローザンヌ大学病院(CHUV)について
CHUVは、ローザンヌ大学(UNIL)Faculty of Biology and Medicineとともに、医療、研究、教育、訓練の各分野で主導的役割を果たしています。いずれも、レマン湖周辺に位置する「Health Valley」を構成する施設です。
医学、科学、人文科学の融合をミッションとするCHUVでは、患者さん一人一人に合った診療を心がけ、国内外の複数の医療機関との提携により最良のケアを患者さんに提供しています。UNIL CHUVのDepartment of Oncology内のDivision of Medical Oncologyはスイス最大の腫瘍内科であり、年間45,000件以上の診察を行っています。また、Experimental Therapeutic Center(CTE)では100以上の臨床試験を実施しています。
Department of Oncologyは、Ludwig Institute for Cancer Research(LICR)の一部であり、免疫腫瘍学および細胞治療分野の前臨床研究、トランスレーショナルリサーチ、臨床研究が活発に行われています。欧州におけるがん治療の基準施設であるCHUVは、MOSAICの主要パートナーの1つとして、免疫療法におけるバイオマーカーの特定、腫瘍微小環境の解析、がんゲノミクスに関する幅広いノウハウによりプロジェクトに貢献します。
Erlangenについて
Institute of Pathology of Uniklinikum Erlangen(UKER)は、従来型のハイスループット診断病理学サービスを提供する施設です。従来型の外科病理学、免疫組織化学的検査(IHC)、分子病理学、デジタル病理学に関する幅広い専門知識を備え、専門医11名、研修医9名、専門スタッフ40名以上が活動しています。
培った専門知識を駆使して診断および研究に取り組んでおり、MOSAICのUKER研究責任医師(PI)であるProf. Dr. Arndt Hartmann、Dr. Markus EcksteinおよびPD Dr. Ramona Erberは、がん研究分野のエキスパートであり、特に泌尿生殖器病理学、乳腺病理学、婦人科病理学、免疫病理学を専門としています。
また、Institute of Pathology of Uniklinikum Erlangenは(免疫)腫瘍学領域における複数の臨床試験の中央病理検査機関を務めています。Uniklinikum Erlangenは、Comprehensive Cancer Center Erlangen-EMNおよびNational Center for Tumor Diseases(NCT WERA)のパートナーです。
シャリテ・ベルリン医科大学について
シャリテはフンボルト大学およびベルリン自由大学の医学部です。ドイツ、ベルリン市内の3ヵ所の総合病院に3,000床以上を整備したシャリテは、欧州最大規模の大学病院の1つであり、国際的にも通常、上位10施設に入る医療機関とみなされています。特に、がん、炎症、心血管疾患、神経科学、希少疾病などを専門としています。
Charite Comprehensive Cancer Center(CCCC)はドイツ最大のがんセンターであり、シャリテの各診療科をシームレスにつなぐ多科連携を確保した患者さんへのケアおよびがん研究を推進する役目を担っています。重点領域の1つが、総合的ながん精密医療であり、シグナル伝達阻害剤やさまざまながん免疫療法の初期臨床試験を行っています。CCCCは、ベルリンの研究機関や国内外のネットワークとの緊密な連携のもと、主な研究領域の1つとして、シングルセルマルチオミクス技術およびデータ科学に取り組んでいます。
darius.meadon@owkin.com, Cell: 742-532-9344, Owkin
moconor@nanostring.com, Cell: 206-251-8638, NanoString
Source: NanoString Technologies, Inc.
-最先端の空間オミクス技術によるがん細胞およびその免疫環境の高解像度マッピングにより、AIが画期的新薬の可能性を切り開く
-これまでの研究に比べ100倍以上の規模を誇る画期的研究プロジェクト
-さまざまながん種を有する数千例の患者さんからデータを生成
-新規がん治療薬の創製を目指し、ピッツバーグ大学、Gustave Roussy、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学との共同
[表: https://prtimes.jp/data/corp/111574/table/4_1_66d34fae721a1ac60bbc0cb909ae44ce.jpg ]
パリおよびシアトル-(BUSINESS WIRE)- Owkin社、NanoString Technologies, Inc.(NASDAQ:NSTG、以下ナノストリング)および世界トップレベルの癌研究機関であるピッツバーグ大学、Gustave Roussy、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学は、米国臨床腫瘍学会の年次総会にてMOSAIC(Multi Omic Spatial Atlas In Cancer: https://www.mosaic-research.com/)プロジェクト(ブース番号:4037)を開始します。5,000万ドルを投入する画期的プロジェクトMOSAICでは、腫瘍構造についてかつてない情報が得られる最先端技術である空間オミクス技術を用いることにより、がん研究に革命を起こすことを目指します。
空間オミクスとは、シングルセルレベルに近い解像度で腫瘍を解析し、腫瘍および免疫細胞の位置や分子活性を明らかにすることができる技術です。分子間相互作用の詳細なマッピングにより、腫瘍とその環境との重要な関連性を解明することが可能です。MOSAICプロジェクトでは、マルチモーダルな患者データおよび人工知能(AI)を用いて、かつてない大量の空間オミクスデータを生成・解析することにより、最も治療が困難ながん種に対する治療薬開発の次なる波を生み出すことを目指します。
空間オミクス技術を用いた初の取組みであるMOSAICは、癌治療研究の新たな分野を切り開く可能性があります。Owkin社は、Gustave Roussy、ピッツバーグ大学(UPMC Hillman Cancer Center)、ローザンヌ大学病院、Uniklinikum Erlangen/Friedrich-Alexander-Universitat Erlangen-Nürnberg、シャリテ・ベルリン医科大学のほか、ナノストリングをはじめとする空間生物学分析装置・アッセイを提供する企業と共同し、5,000万ドルを投入してMOSAICプロジェクトを立ち上げます。患者さんから採取した7,000の腫瘍検体を用い、既存の空間オミクスデータセットの100倍以上のデータセットを構築します。Owkin社とMOSAICパートナーは、免疫腫瘍学領域のさまざまな疾患サブタイプについて、このデータセットを掘り下げることで、バイオマーカーや新規治療薬の発見を目指します。
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=vb1TSp0vkzM ]
Owkin社の共同創業者でありCEOであるThomas Clozelは次のように述べています。
「空間オミクス、マルチモーダルな患者データ、AIが結集することにより、がん研究に新たな革命がもたらされ、患者さんに貢献する画期的治療薬開発の次なる波が生まれるでしょう。MOSAICプロジェクトを通して、パートナーと共同し、がんとの戦いにかつてない飛躍的進歩をもたらすことを目指します。」
ナノストリングのPresident & CEOであるBrad Grayは次のように述べています。
「MOSAICプロジェクトは、がん生物学の知識を変革させ、新たな診断薬や治療薬の開発につながる可能性を秘めています。ナノストリングの強力な空間生物学プラットフォーム、世界トップクラスのがん研究機関が収集し、臨床情報を備えた最高品質のがん検体、そしてOwkin社の素晴らしいAI技術・解析法が結集するという、これまでにないコラボレーションです。」
ピッツバーグ大学医学部のAssociate Vice Chancellor for Cancer Research兼Hillman Professor of Oncology兼Director of UPMC Hillman Cancer CenterであるRobert Ferris, MD, PhDは次のように述べています。
「ピッツバーグ大学がMOSAICコンソーシアムに参画し、UPMC Hillman Cancer Centerの空間オミクスに関する専門知識を自然環境におけるがん細胞の理解に活用できることを非常に喜ばしく思います。他の大学や業界のパートナーとともに、がんの発見・治療・予防に役立つ知見獲得に全力で取り組みます。」
パリ、Gustave RoussyのDirector of Research兼Professor of Medical OncologyであるProfessor Fabrice Andreは次のように述べています。
「最先端技術を結集したMOSAICにより、腫瘍細胞とその微小環境のメカニズムや相互作用について新たな次元の理解が可能となるでしょう。この素晴らしいプロジェクトを通して、私たちは患者さんへの新薬の提供に貢献することができます。このような大規模のプロジェクトに参加している研究機関は世界にほとんどありません。」
ローザンヌ大学病院のDirector of Innovation and Clinical ResearchであるProfessor Mauro Oddoは次のように述べています。
「MOSAICプロジェクトは、最先端の医療技術を導入することにより、がんの予測・治療を大きく進歩させることが期待されます。また、イノベーションを患者さんへのより良いケア提供につなげる取組みにおいて、主要大学病院とバイオテクノロジー企業との科学的パートナーシップがいかに有益であるかを示す実例でもあります。CHUVの一部であるBiomedical Data Science CenterおよびDivisions of Medical Oncology and PathologyがMOSAICプロジェクトに加わることはCHUVにとって素晴らしい機会です。」
Head of the Institute of Pathology of Uniklinikum ErlangenであるProf. Dr. Arndt Hartmannは次のように述べています。
「予後不良で新薬に対する高いメディカルニーズが存在する患者さんからなる大規模コホートについて、空間オミクス技術を用いた総合的な特性解析を行うことにより、腫瘍と腫瘍微小環境についてまったく新しい知識が得られるでしょう。がんを専門とする大規模医療機関と高い能力を備えた民間パートナーが共同するこのコンソーシアムは、患者さんに貢献できる新たな治療選択肢の発見につながる、他にはない機会をもたらすものです。」
Professor of Comprehensive Oncology兼Director of Charite Comprehensive Cancer CenterであるProf. Dr. Ulrich Keilholzは次のように述べています。
「Owkin MOSAIC研究は、画期的なプロジェクトです。シングルセルマルチオミクスにおける専門知識が大幅に広がり、多くのがん種について非常に詳細なレベルでの理解が可能となる素晴らしい機会です。」
空間オミクスとは
Nature MethodsよりMethod of the Year(年間最優秀手法: https://www.nature.com/articles/s41592-020-01033-y )として表彰された空間分解分子プロファイリング(別称:空間オミクス)は、分子の発現を定量化し、位置を特定することにより、かつてないほぼシングルセルレベルでの解像度で腫瘍構造を把握し、腫瘍細胞と非腫瘍細胞の相互作用を解明することができる高度技術です。空間オミクスでは、分子の発現を測定し、腫瘍検体内の位置をマッピングすることにより、腫瘍の不均一性、細胞間コミュニケーション、腫瘍-免疫系の相互作用に「ズームイン」することが可能です。この革新的手法により、科学がこれまでにない飛躍的進歩を遂げ、疾患のメカニズムに関する基本的知識に変革がもたらされることが期待されています。
MOSAICの研究方法とは
Owkin社は、研究機関から提供された患者データをナノストリングの空間オミクス技術を用いて解析し、RNA-seq解析、プロテオミクス、組織学、その他の医療データと総合することにより、データプラットフォームを作成します。これにより、ディープニューラルネットワークなどの機械学習に関する専門知識を駆使して、新たながん生物学的知見や新薬候補の発見を目指します。
MOSAICではまず、非小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、卵巣癌、神経膠芽細胞腫、中皮腫、膀胱癌などアンメットメディカルニーズが存在する複数のがん種を対象として研究を行います。初期研究期間の後、MOSAICとその標準化されたデータ生成・解析方法を全世界の生物医学研究機関が利用できるようにし、がん研究の進歩をさらに促進する予定です。
MOSAICの意義とは
空間オミクス技術およびAIを活用するMOSAICにより、ほぼシングルセルレベルの解像度で腫瘍を調べることが可能となり、腫瘍内の構造や分子間相互作用、細胞間コミュニケーションについてまったく新しい知見を獲得できます。このような詳細な情報は、複雑な生物学的プロセスの理解を深め、治療困難ながんに対するより的確かつ有効性の高い標的治療薬の開発に役立ちます。
MOSAICは、既存の空間オミクス研究を大きく上回る規模で行われるプロジェクトです。これまでの研究は規模が何十倍も小さく、大きな成果を挙げることはできませんでした。これらのデータモダリティを用いて現在行われている研究の大部分は、検体数が50未満と、サンプルサイズが限られています。一方、MOSAICでは7,000例の患者さんから得られたデータを解析するため、既存研究に比べ100倍も大きなデータコホートでの研究が可能です。
MOSAICの構成
MOSAICは、AIを活用したバイオテクノロジー企業であるOwkin社が主導するプロジェクトであり、Owkin社は人工知能、データ科学、腫瘍学に関する基本的専門知識を提供します。ナノストリングは、GeoMx(R)デジタル空間プロファイラーやCosMx(TM)空間分子イメージャーなど、バイオマーカー発見・トランスレーショナルリサーチのための世界最高水準の技術基盤を提供します。学術研究機関のパートナーは、研究の科学的実施を管理し、MOSAICデータを用いた研究を実施するための専門知識を提供します。
[画像: https://prtimes.jp/i/111574/4/resize/d111574-4-24c81cbd20e853d960ee-1.png ]
Owkin社について
Owkin社は、AIを用いて患者さん一人一人に最適な治療を提供することを目指すAIバイオテクノロジー企業です。人と人工知能の最良の力を結集することにより、バイオ医薬品企業および学術研究機関の双方が抱える疑問を解決します。複雑な生物学と新薬の間に立ちはだかる解釈のギャップを埋め、新たな診断薬や治療薬を患者さんにより速やかに提供することにつなげます。
Owkin社では、新薬候補の特定、臨床試験のリスク排除・迅速化、診断ツールの開発のためにAIを活用しています。先駆的な連携AIフレームワークである連合学習を用いることにより、患者さんの個人情報や専有データを保護しつつ、サイロ化されたデータセットから有用な知見を獲得することが可能です。
Owkin社は、臨床腫瘍血液学のassistant professorであったThomas Clozel MDと、生物学における機械学習分野の先駆者であるGilles Wainribが共同で2016年に設立した会社です。Owkin社は、3億ドル以上の資金を調達し、大手バイオ医薬品企業(Sanofi社およびBMS社)やベンチャーファンド(Fidelity、GV、BPIなど)からの投資によりbecame a unicorn(ユニコーン企業)となっています。
ナノストリング・テクノロジーズについて
ナノストリングは空間生物学領域における先進企業であり、基礎研究およびトランスレーショナル研究のための革新的ソリューションのエコシステムを提供することで、お客様が生物学の地平を広げるお手伝いをしています。GeoMx(R)デジタル空間プロファイラーは160以上の査読付き論文に取り上げられた柔軟性と一貫性を兼ね備えたソリューションであり、全組織検体の利点に遺伝子およびタンパク質のデータを組み合わせて、1枚のFFPEスライドで空間的な全トランスクリプトーム解析およびプロテオミクス解析を行えます。CosMx(TM)空間分子イメージャーは、FFPE検体で解析が行える、空間マルチオミクスを利用したシングルセル・イメージングプラットフォームで、自然環境におけるシングルセルマッピングを行うことで、深い生物学的知見と新たな発見を1回の実験で得ることができます。AtoMx空間バイオインフォマティクスプラットフォームは、高度な分析機能と世界規模での連携機能を備えたクラウドベースのインフォマティクスソリューションで、時と場所を選ぶことなく空間生物学研究に有用な知見を得ることができます。当社の各種研究用装置の土台となっているnCounter(R)解析システムは7,000以上の査読付き論文に取り上げられており、数百種以上の遺伝子、タンパク質、miRNA、コピー数多型の発現解析を安全かつ容易に、また高い感度と精度で行うことができます。より詳しい情報が知りたい方はウェブサイトをご覧ください(www.nanostring.com)。
Gustave Roussyについて
欧州第1位、世界第3位のがん専門医療機関であるGustave Roussyは、総合的な専門知識を備え、がん患者さんへのケア提供に特化したがんセンターです。Paris-Saclay Cancer Clusterの創設メンバーとして、診断・治療法の進歩を牽引しています。診療する患者さんの数は年間約50,000名にのぼり、研究、患者さんのケア、教育を統合したアプローチによる医療を提供しています。希少ながんや複雑な腫瘍の治療を専門とするとともに、あらゆる年齢の患者さんのあらゆるがん種を治療しています。患者さん一人一人に合ったケアを提供するため、最先端の医療技術を用いるだけでなく、患者さんが人として求めるものを尊重した医療を心がけ、提供する治療の質に加え、患者さんの生活の身体的、精神的、社会的側面を大切にしています。VillejuifとChevilly-Larueの2ヵ所の施設で4,100名の医療従事者が活動するGustave Roussyでは、最高の質のがん研究に不可欠な要素であるスキルが結集しており、本院で治療を受ける患者さんの40%は臨床試験に参加しています。
ローザンヌ大学病院(CHUV)について
CHUVは、ローザンヌ大学(UNIL)Faculty of Biology and Medicineとともに、医療、研究、教育、訓練の各分野で主導的役割を果たしています。いずれも、レマン湖周辺に位置する「Health Valley」を構成する施設です。
医学、科学、人文科学の融合をミッションとするCHUVでは、患者さん一人一人に合った診療を心がけ、国内外の複数の医療機関との提携により最良のケアを患者さんに提供しています。UNIL CHUVのDepartment of Oncology内のDivision of Medical Oncologyはスイス最大の腫瘍内科であり、年間45,000件以上の診察を行っています。また、Experimental Therapeutic Center(CTE)では100以上の臨床試験を実施しています。
Department of Oncologyは、Ludwig Institute for Cancer Research(LICR)の一部であり、免疫腫瘍学および細胞治療分野の前臨床研究、トランスレーショナルリサーチ、臨床研究が活発に行われています。欧州におけるがん治療の基準施設であるCHUVは、MOSAICの主要パートナーの1つとして、免疫療法におけるバイオマーカーの特定、腫瘍微小環境の解析、がんゲノミクスに関する幅広いノウハウによりプロジェクトに貢献します。
Erlangenについて
Institute of Pathology of Uniklinikum Erlangen(UKER)は、従来型のハイスループット診断病理学サービスを提供する施設です。従来型の外科病理学、免疫組織化学的検査(IHC)、分子病理学、デジタル病理学に関する幅広い専門知識を備え、専門医11名、研修医9名、専門スタッフ40名以上が活動しています。
培った専門知識を駆使して診断および研究に取り組んでおり、MOSAICのUKER研究責任医師(PI)であるProf. Dr. Arndt Hartmann、Dr. Markus EcksteinおよびPD Dr. Ramona Erberは、がん研究分野のエキスパートであり、特に泌尿生殖器病理学、乳腺病理学、婦人科病理学、免疫病理学を専門としています。
また、Institute of Pathology of Uniklinikum Erlangenは(免疫)腫瘍学領域における複数の臨床試験の中央病理検査機関を務めています。Uniklinikum Erlangenは、Comprehensive Cancer Center Erlangen-EMNおよびNational Center for Tumor Diseases(NCT WERA)のパートナーです。
シャリテ・ベルリン医科大学について
シャリテはフンボルト大学およびベルリン自由大学の医学部です。ドイツ、ベルリン市内の3ヵ所の総合病院に3,000床以上を整備したシャリテは、欧州最大規模の大学病院の1つであり、国際的にも通常、上位10施設に入る医療機関とみなされています。特に、がん、炎症、心血管疾患、神経科学、希少疾病などを専門としています。
Charite Comprehensive Cancer Center(CCCC)はドイツ最大のがんセンターであり、シャリテの各診療科をシームレスにつなぐ多科連携を確保した患者さんへのケアおよびがん研究を推進する役目を担っています。重点領域の1つが、総合的ながん精密医療であり、シグナル伝達阻害剤やさまざまながん免疫療法の初期臨床試験を行っています。CCCCは、ベルリンの研究機関や国内外のネットワークとの緊密な連携のもと、主な研究領域の1つとして、シングルセルマルチオミクス技術およびデータ科学に取り組んでいます。
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