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2023年 株式市場の最新予想をサクソバンクのアナリストが公開

世界の株式市場は年初から徐々に回復を遂げ、株式が15%〜20%下落する可能性は低いと予想

サクソバンク(Saxo Bank A/S)の株式戦略責任者である Peter Garnry (ピーター・ガンリュー) による株式市場の動向分析を発表しました。




[画像: https://prtimes.jp/i/112775/4/resize/d112775-4-35ae50c33a7e44a55f7d-0.jpg ]

■サマリー
昨年第4四半期はエコノミストやアナリストが来るべきリセッションの時期を巡り議論を繰り広げ、著名投資家のウォーレン・バフェットでさえ世界の株式市場が20%下落しても慎重姿勢を維持しました。しかし、今年に入って経済は再び勢いを取り戻し、グロース株を中心にアニマルスピリットの回復が株式市場の上昇を支えています。このところの上昇相場は債券利回りの上昇を吸収し、金利リスクがほぼ相殺されている可能性を示唆しています。ここから先の展開は、経済がリセッションを回避して持続的な回復を遂げるか、あるいは再びリセッション懸念が台頭するかが、鍵となります。


■2023年は好調な滑り出しに
昨年10月に急激な金利上昇が世界の株式市場に与えるインパクトはピークに達し、市場は急速にリセッションリスクを織り込み、不透明なインフレ見通しや経済活動の減速が株式リスクプレミアムの拡大につながり、株式は下落するとのシナリオに傾きました。しかし、昨年の悲観的なシナリオに反して、長期債の利回りと期待インフレ率が切り下がる中、株式市場は年初から徐々に回復を遂げました。昨年12月にはテスラ株や暗号資産を巡る懸念の高まりを背景に、株式市場が大きく売られる局面もありました。しかし、これらの懸念は今年に入って後退し、MSCIワールド・インデックスは年初来で8.3%、バブル株(投機的な成長株)は27%上昇しています。グロース株ではその他にも来週の株式レポートで取り上げる予定のエネルギー貯蔵、半導体、eコマース関連の銘柄が年初から20%以上上昇しています。年初からの力強い上昇を踏まえると、テック株はこのまま長期的に上昇するのか、あるいはテック株の弱気なポジションの入れ替えによる短期的な上昇にとどまるのか、という疑問が湧いてきます。

当グループのシナリオは、「2023年第1四半期予想:株式市場:2023年は痛みを伴う転換期に」( https://www.home.saxo/ja-jp/content/articles/quarterly-outlook/jp--a-painful-phase-transition-08022023 ) で述べた通りです。価値システムの二極化(独裁国家vs民主主義国家)による対立や、過去10年間続いたハイテクブームの陰で放置されてきたインフラの再構築が進む中で、有形資産が無形資産をアウトパフォームするという、痛みを伴う転換期を迎えます。当グループのテーマ別バスケット全体の過去1年間のモメンタムを比較した場合に防衛、再生可能エネルギー、コモディティ、原子力、物流、建設、輸送インフラ関連の銘柄が最も好調なパフォーマンスを上げていることも、当グループのシナリオに沿った変化が生じていることを裏付けています。


■リセッションが相場の鍵に
株式市場にとっての主なリスクは、「リセッション入りするかどうか」ということに他なりません。過去数か月にわたってお伝えしてきたように、米国の主要経済指標はリセッションは避けられない見通しです。ブルームバーグ・エコノミクスのモデルによると、昨年10月時点でアメリカ経済が1年以内にリセッション入りする確率は100%であると推定されています。一方、経済指標は引き続き堅調に推移しており、米経済はクレジット・ブームの最中にあり、キャタピラー社が最近行った決算カンファレンスで言及したように建設需要は持ち直しています。こうした中で、世界経済の再加速が中国の経済再開と重なることによって、インフレ圧力が強まり、長期国債の利回りが足元の水準から一段の上昇に向かう可能性が懸念されます。ただ、その場合も2023年に企業の利益マージンが極端に悪化しない限り、株式が15%〜20%下落する可能性は低いと考えられます。

今、株式市場は理想的なシナリオを織り込んでいます。もしそれが実現するならば、このまま世界経済は再び加速する中でインフレは年率2.5%の水準へと回帰し、中国経済は順調に回復を遂げ、地政学的リスクは大きく悪化せず、エネルギー危機は徐々に収束に向かうことになります。これらが全て同時に起こる可能性はあり、どこかのタイミングで何らかの変化が生じることは間違いありません。ただ少なくとも足元では、株式市場の上昇相場が続いています。ここで警戒すべき点は、コモディティ市場が景気再加速のシナリオに反する相場展開を見せていることです。ブルームバーグ商品指数は年初から4%下落しており、中国経済再開に対してポジティブに反応していないようです。


ピーター・ガンリュー(Peter Garnry)について
2010年にサクソバンクに入社し、現在株式戦略責任者を務める。2016年には、金融市場へコンピューターモデルを応用する手法に特化したクオンツ戦略チームの責任者に就任。株式市場と個別株式の分析を行っています。
https://www.home.saxo/ja-jp/insights/news-and-research/authors/peter-garnry

サクソバンク(Saxo Bank A/S)について
1992年に設立されたサクソバンク(Saxo Bank A/S、以下サクソバンク)は、デンマーク金融監督庁の認可を受け、同国コペンハーゲンに本社を置くグローバルオンライン銀行です。ロンドン、アムステルダム、シンガポール、上海、香港、シドニー、東京、パリ、チューリッヒ、ドバイなど、世界中の金融センターに60国籍以上、2,100人以上の従業員がおり、世界180カ国以上の顧客やパートナーにサービスを提供しています。サクソバンクの取引・投資プラットフォームは25カ国語で40,000以上の商品が提供されています。

サクソバンク証券株式会社について
サクソバンク証券株式会社は2006年に設立され、サクソバンク(Saxo Bank A/S)の100%子会社であり、金融庁の認可を受けたオンライン証券会社です。150種類以上の通貨ペアを提供する外国為替証拠金(FX)、9,000銘柄以上を取り扱うCFD、米国・欧州・中国をはじめとする11,000銘柄以上を取り扱う外国株式など多彩な商品を競争力のある取引手数料で提供しています。より詳しい情報はホームページをご覧ください。
https://www.home.saxo/jp
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
所在地 :〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー22F
加入団体:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会


【ご留意事項】
■当予測は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当予測は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当予測は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。
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