TICAD VI閣僚級準備会合での市民社会/ NGOの取組み
[16/06/24]
提供元:PRTIMES
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6月16-17日にガンビアのバンジュールで開催されたTICAD VI閣僚級準備会合でのNGOの活動を取りまとめました。
2016年6月13-14日、TICAD VI閣僚級準備会合の開催地であるガンビア・イスラーム共和国のセレクンダ市(首都バンジュールに隣接する都市)の「バオバブ・ホリデー・リゾート」ホテルにて、アフリカ日本協議会が事務局を担っている市民ネットワーク for TICAD より世話人3名、アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa: CCfA)より8名、ガンビア市民社会ネットワークである「ガンビアNGO協会」(The Association of NGOs in the Gambia: TANGO)が参加し、「市民社会準備戦略会議」を開催しました。
TICAD VI閣僚級準備会合に向けた準備戦略会議(2016年6月13-14日)
2016年6月13-14日、TICAD VI閣僚級準備会合の開催地であるガンビア・イスラーム共和国のセレクンダ市(首都バンジュールに隣接する都市)の「バオバブ・ホリデー・リゾート」ホテルにて、市民ネットワーク for TICAD (Afri-Can)より世話人3名、アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa: CCfA)より8名、ガンビア市民社会ネットワークである「ガンビアNGO協会」(The Association of NGOs in the Gambia: TANGO)が参加し、「市民社会準備戦略会議」を開催しました。
同会議の主な内容は、以下のとおりです。
ケニアで採択した「非国家主体・市民社会宣言」の改訂増補:主にケニアや東部・南部アフリカの市民社会で起草した同宣言に関して、北部・西部アフリカや開催国ガンビアの市民社会の意見を取り入れて改訂・増補し、アフリカ全体の市民社会が参画した質の高い政策文書へと改定しました。
「ナイロビ宣言」に対する「建設的貢献」の策定:「ナイロビ宣言」の文面について、具体的な修正や加筆を提案する「建設的貢献」文書を、会議参加者にて段落ごとに検討して策定しました。
「非国家主体・市民社会宣言」はこちらから:http://prtimes.jp/a/?f=d17161-20160624-4291.pdf
CCfAとAfri-Canは、これら二つの文書を活用し、TICAD共催団体(国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC))に対して個別の会談を申し入れるとともに、日本政府に対しては、同閣僚会議の日本政府団長である濱地雅一外務大臣政務官、実質上の責任者である丸山則夫アフリカ部長との会談を要請しました。また、要請の際に上記2点の文書を送付し、「ナイロビ宣言」草稿第2版策定の参考として活用するよう要請しました。
[画像1: http://prtimes.jp/i/17161/6/resize/d17161-6-102010-0.jpg ]
TICAD VI閣僚会合での取り組みと成果
2016年6月15日、ガンビア・イスラーム共和国セレクンダ市の「カイラバ・ビーチ・ホテル」にて閣僚会合の準備のための高級実務者会合が開催され、「ナイロビ宣言」ドラフトに関する議論が行われました。また、翌日から二日間、各国の閣僚級の代表が参加し、「ナイロビ宣言」は大筋合意にまで至りました。
(1)市民社会の取り組み
共催者との個別・合同会合:日本・アフリカおよび開催国ガンビアの市民社会は連携して、まず15日の高級実務者会合において、日本政府を除く共催者との合同会合を開催(13時30分〜14時)。世界銀行のイニシアティブにより、UNDP、UNOSAA、世界銀行、アフリカ連合委員会が参加しました。また、それより前の14日には、UNOSAAとの個別会合も開催しました。同会合では、市民社会として、すでにメールにて送付していた「市民社会宣言」および「建設的貢献」のハードコピーを提出、内容を説明するとともに協力を要請しました。各団体からは、市民社会の主張をサポートするとの表明を得られました。
閣僚級準備会合第1日目の個別課題セッションでの発言:閣僚級準備会合第1日目には、TICAD VIの主要課題であり、ナイロビ宣言の主要論点でもある3つの柱、即ち「産業化」、「保健」、「社会の安定」の3つがそれぞれ全体会2・3・4にて討議されました。ここにおいて、CCfAはいずれにおいても発言の機会を得られました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/17161/6/resize/d17161-6-694740-1.jpg ]
<発言ポイント>
産業化:「産業化」は持続可能で包摂的、かつ強くしなやかな(resilient)ものでなければなりません。また、女性や若者、また障害者など社会的に脆弱な立場に置かれている人々の包摂性が必要であり、産業化の名のもとにアフリカの中小零細農民の土地の権利などが脅かされてはなりません。
保健:G7伊勢志摩サミットでの日本の貢献を称揚しました。一方、保健システムの強化、保健緊急事態への対応、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取り組みにはコミュニティ・レベルのボトムアップのアプローチ、市民社会の積極的参画が不可欠です。
社会の安定:暴力的過激主義への対応には市民社会、コミュニティ・レベルでの取り組みが不可欠です。また、過激主義は社会の分裂や断裂に根差すことから、対立の修復のための対話が積極的に行われる必要があります。さらに、若者の就労機会の確保、格差の是正、民主主義、良き統治、人権の確立が「社会の安定」の前提となります。
市民社会が3つの全体会でいずれも発言できたことは、過去のTICAD関連公式会議において初めてのことでした。これは会議の運営がこれまでよりも開放的かつ公正に行われたことを示しており、市民社会としても高く評価しています。
(2)草稿第2版に関する評価
16日に発表された「草稿第2版」は、日本の市民社会が事前に提出した「インプット」および、アフリカの市民社会も加わって作成した「建設的貢献」を大幅に取り入れ、内容的にも相当の改善を見たものとなりました。
草稿第一版をみると、日本やアフリカの各国政府は基本的にTICAD本会議を民間セクターの導入に基づく経済成長を軸としたものとしたいと考えているであろうと強く推認されます。
にもかかわらず草稿第2版に「人間の安全保障」に関わる要素を大きく導入してきた背景としては、以下のことが考えられます。
90年代末以降、日本の開発援助の価値観の「背骨」の部分をなしてきた「人間の安全保障」を無視もしくは軽視していると受け取られることには、政府中枢や外務省においても、強い懸念があったであろうこと。
そもそも、必ずしも市民社会を重視していないと考えられてきたアフリカ連合委員会や、ケニア政府をはじめ、アフリカ諸国政府の中からも、市民社会、非営利セクターの重視を主張する声が出てきたため、これを反映する必要に迫られたと思われること。
なお、ナイロビ宣言本文は大筋合意されましたが、付属文書としてついている「実施手段」部分については、十分に完成されたものとなっていません。これ関しては、今後国際機関、各国政府、市民社会のインプットを得て完成させて行くこととなっており、市民社会としても一層取組みをしていく予定です。
2016年6月13-14日、TICAD VI閣僚級準備会合の開催地であるガンビア・イスラーム共和国のセレクンダ市(首都バンジュールに隣接する都市)の「バオバブ・ホリデー・リゾート」ホテルにて、アフリカ日本協議会が事務局を担っている市民ネットワーク for TICAD より世話人3名、アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa: CCfA)より8名、ガンビア市民社会ネットワークである「ガンビアNGO協会」(The Association of NGOs in the Gambia: TANGO)が参加し、「市民社会準備戦略会議」を開催しました。
TICAD VI閣僚級準備会合に向けた準備戦略会議(2016年6月13-14日)
2016年6月13-14日、TICAD VI閣僚級準備会合の開催地であるガンビア・イスラーム共和国のセレクンダ市(首都バンジュールに隣接する都市)の「バオバブ・ホリデー・リゾート」ホテルにて、市民ネットワーク for TICAD (Afri-Can)より世話人3名、アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa: CCfA)より8名、ガンビア市民社会ネットワークである「ガンビアNGO協会」(The Association of NGOs in the Gambia: TANGO)が参加し、「市民社会準備戦略会議」を開催しました。
同会議の主な内容は、以下のとおりです。
ケニアで採択した「非国家主体・市民社会宣言」の改訂増補:主にケニアや東部・南部アフリカの市民社会で起草した同宣言に関して、北部・西部アフリカや開催国ガンビアの市民社会の意見を取り入れて改訂・増補し、アフリカ全体の市民社会が参画した質の高い政策文書へと改定しました。
「ナイロビ宣言」に対する「建設的貢献」の策定:「ナイロビ宣言」の文面について、具体的な修正や加筆を提案する「建設的貢献」文書を、会議参加者にて段落ごとに検討して策定しました。
「非国家主体・市民社会宣言」はこちらから:http://prtimes.jp/a/?f=d17161-20160624-4291.pdf
CCfAとAfri-Canは、これら二つの文書を活用し、TICAD共催団体(国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC))に対して個別の会談を申し入れるとともに、日本政府に対しては、同閣僚会議の日本政府団長である濱地雅一外務大臣政務官、実質上の責任者である丸山則夫アフリカ部長との会談を要請しました。また、要請の際に上記2点の文書を送付し、「ナイロビ宣言」草稿第2版策定の参考として活用するよう要請しました。
[画像1: http://prtimes.jp/i/17161/6/resize/d17161-6-102010-0.jpg ]
TICAD VI閣僚会合での取り組みと成果
2016年6月15日、ガンビア・イスラーム共和国セレクンダ市の「カイラバ・ビーチ・ホテル」にて閣僚会合の準備のための高級実務者会合が開催され、「ナイロビ宣言」ドラフトに関する議論が行われました。また、翌日から二日間、各国の閣僚級の代表が参加し、「ナイロビ宣言」は大筋合意にまで至りました。
(1)市民社会の取り組み
共催者との個別・合同会合:日本・アフリカおよび開催国ガンビアの市民社会は連携して、まず15日の高級実務者会合において、日本政府を除く共催者との合同会合を開催(13時30分〜14時)。世界銀行のイニシアティブにより、UNDP、UNOSAA、世界銀行、アフリカ連合委員会が参加しました。また、それより前の14日には、UNOSAAとの個別会合も開催しました。同会合では、市民社会として、すでにメールにて送付していた「市民社会宣言」および「建設的貢献」のハードコピーを提出、内容を説明するとともに協力を要請しました。各団体からは、市民社会の主張をサポートするとの表明を得られました。
閣僚級準備会合第1日目の個別課題セッションでの発言:閣僚級準備会合第1日目には、TICAD VIの主要課題であり、ナイロビ宣言の主要論点でもある3つの柱、即ち「産業化」、「保健」、「社会の安定」の3つがそれぞれ全体会2・3・4にて討議されました。ここにおいて、CCfAはいずれにおいても発言の機会を得られました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/17161/6/resize/d17161-6-694740-1.jpg ]
<発言ポイント>
産業化:「産業化」は持続可能で包摂的、かつ強くしなやかな(resilient)ものでなければなりません。また、女性や若者、また障害者など社会的に脆弱な立場に置かれている人々の包摂性が必要であり、産業化の名のもとにアフリカの中小零細農民の土地の権利などが脅かされてはなりません。
保健:G7伊勢志摩サミットでの日本の貢献を称揚しました。一方、保健システムの強化、保健緊急事態への対応、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取り組みにはコミュニティ・レベルのボトムアップのアプローチ、市民社会の積極的参画が不可欠です。
社会の安定:暴力的過激主義への対応には市民社会、コミュニティ・レベルでの取り組みが不可欠です。また、過激主義は社会の分裂や断裂に根差すことから、対立の修復のための対話が積極的に行われる必要があります。さらに、若者の就労機会の確保、格差の是正、民主主義、良き統治、人権の確立が「社会の安定」の前提となります。
市民社会が3つの全体会でいずれも発言できたことは、過去のTICAD関連公式会議において初めてのことでした。これは会議の運営がこれまでよりも開放的かつ公正に行われたことを示しており、市民社会としても高く評価しています。
(2)草稿第2版に関する評価
16日に発表された「草稿第2版」は、日本の市民社会が事前に提出した「インプット」および、アフリカの市民社会も加わって作成した「建設的貢献」を大幅に取り入れ、内容的にも相当の改善を見たものとなりました。
草稿第一版をみると、日本やアフリカの各国政府は基本的にTICAD本会議を民間セクターの導入に基づく経済成長を軸としたものとしたいと考えているであろうと強く推認されます。
にもかかわらず草稿第2版に「人間の安全保障」に関わる要素を大きく導入してきた背景としては、以下のことが考えられます。
90年代末以降、日本の開発援助の価値観の「背骨」の部分をなしてきた「人間の安全保障」を無視もしくは軽視していると受け取られることには、政府中枢や外務省においても、強い懸念があったであろうこと。
そもそも、必ずしも市民社会を重視していないと考えられてきたアフリカ連合委員会や、ケニア政府をはじめ、アフリカ諸国政府の中からも、市民社会、非営利セクターの重視を主張する声が出てきたため、これを反映する必要に迫られたと思われること。
なお、ナイロビ宣言本文は大筋合意されましたが、付属文書としてついている「実施手段」部分については、十分に完成されたものとなっていません。これ関しては、今後国際機関、各国政府、市民社会のインプットを得て完成させて行くこととなっており、市民社会としても一層取組みをしていく予定です。