日本に“クラシック”がやってきた!―――渋谷の老舗サロンで聴く、明治洋楽事始め
[24/07/19]
提供元:PRTIMES
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「ムジカーザ」というクラシック音楽専門のサロンをご存知だろうか。千代田線と小田急線が乗り入れる渋谷区・代々木上原の閑静な住宅街に佇む、コンクリート打ちっ放しの外観が特徴的な、首都圏のクラシックファンなら一度は足を運んだことがあるであろう小さなコンサートホールだ。ピアニストの黒田珠世が主宰するこのホールでは毎夜演奏家たちによる趣向を凝らしたコンサートが開かれている。中でも、黒田がブッキングする「ムジカーザ・コンサート」は年間6回のシリーズで、その年の楽壇の最前線を愉しむことができる。今年からプロデューサーに就任したピアニスト/作曲家の山田武彦によるコンサートが、7月23日(火)に開かれる。
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ムジカーザ
ピアニスト、作編曲家、教育者そしてプロデューサーとして、日本クラシック界で大きな存在感を示す山田武彦。今回のコンサートでは、ソプラノ歌手の宮地江奈、ヴァイオリン奏者の甲斐史子という気鋭のアーティストと共に、「日本クラシックの夜明け」を探訪する。
江戸時代の終焉、そして時代は明治へ―――。新政府が近代化・西洋化に直面する中で、音楽文化についても同様の変化が起きようとしていた。信濃は高遠藩出身の文部官僚、伊沢修二が先頭に立ち、まずはアメリカ、ついでドイツ(当時はプロイセン)から音楽家を招聘することから日本におけるクラシック音楽の芽が出てくる。一方で、日本古来の雅楽や邦楽も忘れてはいけない。そこで政府の打ち出した方針は「和洋折衷」。洋の東西を問わず、研究した音楽を五線譜に書き残すことで、これまでの伝承に頼る学びではなく学校教育を通じて遺していくことを目指した。
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音楽取調掛(のちの東京藝術大学)
このコンサートは、その当時の状況を描き出すところからスタートする。幸田露伴の妹で、日本で初めての官費留学生としてオーストリアで学んだ才媛・幸田延は卒業演奏会でピアノ、ヴァイオリンに加えて箏も演奏した。山田はプログラムの中で当夜の再現を目指そうとする。そして大正時代に移ると、音楽は学問から早々に一大エンターテイメントとして花開いてく。音楽取調掛が設置されていた上野から目と鼻の先の浅草ではのちに「浅草オペラ」と呼ばれることになる舞台ものが大流行り。クラシックもジャズも邦楽も歌謡曲も渾然一体となった、大きなエネルギーの渦巻くその文化は関東大震災と共に下火となってしまうが、田谷力三を始め昭和の芸能史の強固な礎となったムーブメントであった。「浅草オペラ」は山田がここ10年近く取り組んできたジャンルでもあり、定期的に浅草東洋館を中心にロングラン公演を行なっている。今回はイギリスのコミックオペラ「軍艦ピナフォーア」が披露される。
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台東区下町風俗資料館提供
クラシックのコンサートというと、巨匠の傑作にしっかりと耳を傾けるというイメージが強いかもしれない。今回のコンサートでは30曲近い音楽が次々と披露される。その中には瀧廉太郎も山田耕筰も登場する。賛美歌、箏曲、スコットランド民謡、CM音楽も演奏される。その混沌を経て、ヨーロッパで活躍する芸術家が次々と現れる日本のクラシック界が醸成されるに至った。時代が令和に移って早6年。現代の通文化的な音楽の聴かれ方はともすると山田が今回表そうとしている明治時代の渾然とした環境に似ていると言えるかもしれない。ストリーミングサービスを利用してプレイリストを楽しむような感覚を、このコンサートでも体感することができるだろう。
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山田武彦
第170回ムジカーザコンサート
山田武彦プロデュースシリーズI
黎明期の洋楽事始とその後〜日本の洋楽受容を探ろう
2024年7月23日(火)19:00開演(18:30開場)
ムジカーザ
サリヴァン:喜歌劇「ミカド」より
六段(伝八橋検校作、ボックレット編)
伊澤修二:祝日大祭日唱歌「紀元節」
幸田延:ヴァイオリンソナタ第2番
ディートリッヒ:日本行進曲「YOI!」
瀧廉太郎:荒磯
山田耕筰:かちどきと平和より
宮城道雄:春の海
プロコフィエフ:行進曲
ジンバリスト:日本の調べによる即興曲
サリヴァン:喜歌劇「軍艦ピナフォーア」より
ジャズ漫談「ほっときなさい」浅草編
マスネ:妖精のアリア 他
チケット:
〈パーティ付き/終演後〉 一般¥8,000 学生¥5,000
〈コンサートのみ〉 一般¥5,000 学生¥2,500
*全席自由、学生25歳以下
問合/予約:ムジカーザ Tel. 03-5454-0054
ホームページ内に申込フォームあり
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