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― ロレアルグループ、世界の女性科学者を支援しノーベル賞受賞者も輩出 ―

日本人女性科学者2名が受賞の快挙!

・2014年「ロレアルーユネスコ女性科学賞」: 京都大学副学長・京都大学女性研究者支援センター長・
京都大学大学院生命科学研究科教授 稲葉カヨ氏
・2014年「ロレアルーユネスコ女性科学賞 国際奨学金」: 九州大学大学院医学研究院環境医学分野久山町研究室 学術研究員 小澤未央氏


世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:フランス・パリ)とユネスコ(本部:フランス・パリ)は、生命科学の分野で目覚しい業績を挙げた世界の優れた女性科学者を表彰する2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」の受賞者5名ならびに、生命科学分野の若手女性科学者を支援する奨学金部門2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」の受賞者15名を発表しました。各賞から日本の女性科学者が受賞する快挙を遂げており、現地時間3月19日(水)19時よりパリのソルボンヌ大学にて開催される授賞式において表彰されます。

●2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」
1999年ノーベル生理学・医学賞受賞者 ギュンター・ブローベル教授を委員長とする国際選考委員会により、生命科学の分野の発展に貢献した世界の優れた女性科学者5名が選ばれました。各受賞者に賞金100,000USドル(約1,000万円)が授与されます。

今年の「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」には、日本を代表する生命科学者 稲葉カヨ(イナバ・カヨ)氏、京都大学副学長(男女共同参画担当)、京都大学女性研究者支援センター長、京都大学大学院生命科学研究科教授が受賞しました。稲葉氏は、体内に侵入してきたバクテリア、ウイルスやがん細胞などの異常細胞の脅威から体を守る免疫システムにおける樹状細胞の重要な役割を解明し、樹状細胞を体の外で処理し、再び体内に投与することによって免疫反応を促すことができることを初めて実証しました。この研究成果は、細胞療法に大きな進展をもたらし、新たな抗がん治療の確立にもつながる多大な貢献を成し遂げています。この度の受賞について稲葉氏は「女性のノーベル賞受賞者も輩出しているロレアル-ユネスコ女性科学賞のような栄えある賞をいただくことができ大変に光栄であり嬉しく思うと共に、これまで一緒に実験を続けてきた国内外の多くの研究者の方々に深く感謝しております」とコメントしています。

●2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」に初の日本人受賞者!
上記の「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」とは別に、将来が期待される生命科学分野の博士課程や博士研究員レベルの若手女性科学者を支援する「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」を設けています。毎年15名の若手女性科学者が選定され、自国以外の研究機関において2年間にわたって研究を継続できるよう、各受賞者に奨学金40,000USドル(約400万円)を贈呈します。

2014年は、初めて日本から小澤未央(オザワ・ミオ)氏、九州大学大学院医学研究院環境医学分野久山町研究室 学術研究員が受賞しました。小澤氏は、福岡県福岡市東部に隣接する久山町の高齢住民を対象に認知機能に関する高齢者調査を実施し、食事で軽度認知機能障害(認知症の前段階)を予防できることが認められた2つの研究成果を成し遂げました。留学先のロンドン大学では、現在進行形の追跡研究で収集した食事調査と認知機能検査の情報に加え、新たに脳画像の情報を用いてミネラル摂取などの食生活が軽度認知機能障害に与える影響を研究します。小澤氏は「今後もロンドン大学で研究に精進し、人々の健康に役立つ情報を発信することによって社会に貢献できる研究をしていきたいと思っております。これまでご指導いただきました先生方に深く御礼申し上げます」と受賞の喜びを語っています。
 
世界115カ国から2,000名以上の女性科学者を支援、ノーベル受賞者2名輩出
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は、1998年にロレアルとユネスコが世界規模で女性科学者の地位向上を目指すべく創設されて以来、長期的視野に立って科学分野の発展に貢献した女性科学者の功績を称えています。また、2000年からは将来有望な若手女性科学者を支援すべく国際奨学金プログラム「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」を設け、研究を継続できるよう奨励しています。これまでに世界115カ国から2,000名以上の女性科学者(奨学生1,920名含む)を表彰しており、さらに2名の2009年ノーベル生理学・医学賞およびノーベル化学賞受賞者を輩出しています。ロレアルグループでは主要な社会貢献活動として位置づけ、次世代への啓発と女性科学者の地位向上を目指して積極的に推進しています。

略 歴
2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」受賞者

稲葉 カヨ
京都大学副学長(男女共同参画担当)、京都大学女性研究者支援センター長
京都大学大学院生命科学研究科教授
1950年8月10日(63歳)  岐阜県養老郡養老町出身
1973年 奈良女子大学理学部生物学科植物学専攻 卒業 
1978年 京都大学大学院理学研究科動物学専攻博士課程修了(京都大学理学博士)
 
1978年京都大学理学部助手、1982年から米国ロックフェラー大学客員助教授、准教授の後、1999年から同大学客員教授を務める。帰国後1992年に京都大学理学部助教授(女性初)、1995年京都大学大学院理学研究科助教授を経て、1999年から京都大学大学院生命科学研究科教授に就任。
2003年から2004年に生命科学研究科長(女性初)を務め、さらに2007年に女性研究者支援センター長、2013年から京都大学副学長(男女共同参画担当)を併任し、現在に至る。

【研究内容】正常時ならびに疾患時における免疫システム内の樹状細胞の主要な役割の解明に貢献
ワクチンが有効に作用するためには、病原体に対する抗体を作るための免疫応答が開始される必要がある。しかし、どの細胞が病原体を見つけ、この病原体に対する抗体だけを作るように指令を出すのかを理解することが大きな課題であった。これを解決したのが樹状細胞の免疫系における役割の解明である。樹状細胞は体内に広く分布し、体内に侵入してきたバクテリアやウイルス、またはがん細胞などの異常細胞をいち早く察知して情報を取り込み、その情報をリンパ球などに伝達し、これらの異物を攻撃するよう指示を出す「免疫システムの司令塔」として重要な役割を担っている。稲葉氏は最も早くこうした樹状細胞の「司令塔」としての役割を実証した研究者の一人である。

稲葉氏はまた、樹状細胞を体の中から取り出して、異物を取り込んだ樹状細胞を再び生体内に投与すると、異物に対する免疫反応を選択的に促すこともできる一方で正常時には、自分自身に対する反応は起きないように制御する作用も有していることを初めて証明した。さらに、骨髄中の樹状細胞になる未熟な細胞を試験管内で培養して樹状細胞への増殖・分化の誘導方法を確立したことにより、腫瘍の増殖を抑えることができるなど樹状細胞を用いた新たな細胞療法や抗がん治療への端緒を拓いた。

【女子学生・院生、女性研究者の支援: 待機乳児・病児保育室の設置、実験研究補助者雇用支援など】
京都大学副学長(男女共同参画担当)兼女性研究者支援センター長として、女子学生・院生や女性研究者を支援すべくより良い環境づくりに取り組んでいる。そのなかで、「待機乳児保育室」(生後9週目から15ヵ月未満対象)や「病児保育室」(生後6ヵ月から小学校3年生対象)を開室すると共に、育児介護などライフイベントを抱える女性および男性研究者への「実験研究補助者雇用支援」を行い、京都大学の女子学生を増やすために女子高校生を対象とした「車座フォーラム」を開催している。

【その他の活動】
第9回マクロファージ分子細胞生物国際シンポジウム会長(2000年 5月)、第10回国際樹状細胞シンポジウム副会長(プログラム委員長)(2008年10月)、第38回日本免疫学会学術集会長(2008年12月)、特定非営利活動法人日本免疫学会16代理事長(2008年10月〜2010年9月)、(財)放射線影響研究所・顧問(2010年4月〜2014年3月)、滋賀大学経営協議会委員、滋賀大学学長選考会議委員(2012年4月〜現在)、学術誌Journal of Experimental Medicineの編集顧問(1998年より) 

【所属学会】
日本免疫学会(理事:2000-2004、2006-2010、2012-2015)、日本樹状細胞研究会(副理事長:2008-現在)、日本癌学会、日本マクロファージ分子細胞生物研究会、京都T細胞カンファランス、アメリカ免疫学会、国際サイトカイン・インターフェロン学会、米国白血球学会、ニューヨーク科学アカデミー、米国科学振興協会など


略 歴

2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」受賞者

小澤(おざわ) 未央(みお)
九州大学大学院医学研究院環境医学分野久山町研究室 学術研究員
1983年6月24日(30歳)  鹿児島県鹿児島市出身
2007年 福岡女子大学人間環境学部栄養健康科学科 卒業
2013年 九州大学大学院医学系学府医学専攻博士後期課程修了(医学博士)

2013年4月より九州大学大学院医学系学府環境医学分野久山町研究室テクニカルスタッフ、2014年1月より同研究室の学術研究員、現在に至る。

【留学先機関】
ロンドン大学 疫学・公衆衛生学分野 (2014年4月予定〜) 

【研究内容】食事で軽度認知機能障害(認知症の前段階)を予防する                       
久山町研究では、1985 年から福岡県福岡市東部に隣接する久山町の高齢住民を対象に認知機能に関する高齢者調査を実施しデータを収集してきた。小澤氏は2009年から久山町研究に携わり、これまでに食事と認知症発症との関連について二つの研究成果を報告している。一つはカリウム、カルシウム、マグネシウムの高摂取が認知症、特に血管性認知症の発症との関連を認めたことを報告している(Ozawa M et al, J Am Geriatr Soc 2012)。 もう一つは、大豆製品と豆腐、緑黄色野菜、淡色野菜、藻類、牛乳・乳製品の高摂取と米の低摂取に特徴づけられる食事パターンと認知症発症との関連を検討し、この食事パターンの傾向が高いほどアルツハイマー病を含む認知症発症のリスクを低下させることを報告した(Ozawa M et al, Am J Clin Nutr 2013)。

留学先であるロンドン大学では、現在進行形の追跡研究で収集した食事調査と認知機能検査の情報に加え、現在オックスフォード大学で収集している脳画像(MRI; magnetic resonance imaging)の情報を用いて、食事が軽度認知機能障害に与える影響を検討する。脳画像を用いることによって、認知症の症状が出る前の脳の変化、つまり認知症の前段階の軽度認知機能障害をとらえることができる。これらのデータを用いて、久山町研究で関連が示唆されたミネラル、食事パターンをはじめとして、これまでに世界で認知症との関連が報告されている食事性因子と軽度認知機能障害との関連を検討する。

【中学生・高校生レベルの若い女子学生が科学に興味を持つにはどうしたらよいと思うか?】
「若い女子学生の多くは、科学の実態を想像しにくいまたは把握しにくい状況に置かれている。女性科学者と話す機会が増えれば、より多くの若い女子学生が科学者としての職業を選択するきっかけになるのではないかと思う。」

【主な受賞歴・その他の活動】
なし

【所属学会】
日本疫学会、日本循環器病予防学会、日本老年医学会、日本未病システム学会

2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」受賞者
稲葉氏の受賞は、2000年 岡崎恒子氏(名古屋大学名誉教授)、2005年 米沢富美子氏(慶応大学名誉教授)、2009年 小林昭子氏(日本大学文理学部化学科教授、東京大学名誉教授)、2013年 黒田玲子氏(東京理科大学総合研究機構教授、東京大学名誉教授)に続いて5人目となります。

・ アジア・太平洋地域: 稲葉 カヨ(Kayo INABA) 京都大学副学長(男女共同参画担当)、京都大学女性研究者支援センター長、京都大学大学院生命科学研究科教授
受賞理由: 正常時ならびに疾患時における免疫システム内の樹状細胞の主要な役割の解明に貢献

・ 欧州: ブリジット・キーファ(Brigitte KIEFFER) マギル大学ダグラス研究センター(カナダ)サイエンティフィック・ディレクター、 ストラスブール大学(フランス)教授、遺伝子分子生物細胞学研究所(フランス)研究部長
受賞理由: 痛み、精神疾患、薬物中毒における脳のメカニズムの解明に貢献

・ 北米: ローリー・グリムシャ(Laurie GLIMCHER) ワイルコーネル大学医学部(ニューヨーク州ニューヨーク)学部長、    コーネル大学(ニューヨーク州イサカ)医務局長
受賞理由: 免疫反応をコントロールする因子の発見とアレルギー反応ならびに自己免疫、感染性や悪性疾患における役割の解明に貢献

・ 中南米: セシリア・ブゥザ (Cecilia BOUZAT) 国立科学技術研究評議会委員(アルゼンチン)、スール大学バイアブランカ校(アルゼンチン)教授、バイアブランカ生化学研究所(アルゼンチン)副所長
受賞理由: 脳細胞間のコミュニケーションと筋肉への情報伝達機能の基礎的理解に貢献

・ アフリカ・アラブ諸国: セジェネ・ケレム(Segenet KELEMU) 国際昆虫生理生態センター(ケニヤ)会長
受賞理由: 微生物を利用し、熱帯や亜熱帯地域の飼料草の抵抗力と生産性の改善に貢献

2014年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」は、日本のほか、モーリシャス、ヨルダン、ナイジェリア、パナマ、シンガポール、トルコ、ボリビア、チリ、ハンガリー、南アフリカ、スペイン、スーダン、チュニジア、パキスタンから受賞しています。

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ロレアルグループについて (www.loreal.com)
1909年にパリで化学者ウージェンヌ・シュエレールによって設立され、世界130 カ国・地域で事業を展開し、73,000人の従業員を有する世界最大の化粧品会社です。「ランコム」「シュウ ウエムラ」「キールズ」「イヴ・サンローラン」     「ロレアル パリ」「ロレアル プロフェッショナル」「メイベリン ニューヨーク」など、28ブランドをグローバル規模で展開しています。創立当初から研究活動を最重要視し、化粧品科学を一つの独立した科学分野へと育て上げてきました。また、女性研究者を積極的に登用しており、約3,800名の研究者のうち、女性が占める割合は70%に上ります。

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日本ロレアルについて (www.nihon-loreal.jp/corp/)
1963年から事業を開始し、1996年に日本法人である日本ロレアル株式会社が設立されました。2,300人の従業員を  有し、化粧品の輸入、製造、販売、マーケティングを行っています。現在、上記のブランドを含め20のブランドを取り  扱っています。1983年に日本に研究開発拠点を置き、現在、日本ロレアルリサーチ&イノベーションセンター(川崎市・溝の口)として、日本をはじめ、アジアの研究開発の中心的な役割を担っています。240名以上の研究者を有し、うち女性研究者は60%を占めています。また、2012年より、研究所のトップに日本人初の女性が就任しています。
2005年から生命・物質科学分野における博士後期課程在籍または進学予定の若手女性科学者を支援する奨学金 「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を推進しています。2013年を含め、32名の若手女性科学者が受賞しています。
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ユネスコについて (www.unesco.org)
1945年に設立されたユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、本部をパリに置き、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じた、国際平和と人類の福祉を促進することを目的とした国際連合の専門機関です。2011年11月23日現在の加盟国数は195カ国あり、また世界53カ所に地域事務所を置いて活動を展開しています。科学においては、技術、イノベーションや教育の発展に注力しているほか、海洋資源や生物多様性の保全、科学的知識に基づく気候変動や自然災害への対応策に取り組んでいます。とりわけ研究において、あらゆる人種差別の撤廃と男女共同参画を推進しています。

お問い合わせ先: 日本ロレアル株式会社 コーポレート・コミュニケーション本部 船津(ふなつ)TEL: 03-6911-8104 EMAIL: LFUNATSU@jp.loreal.com
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