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COVID-19:紛争地で脅かされている命を守るための緊急支援




[画像1: https://prtimes.jp/i/53225/7/resize/d53225-7-924873-0.jpg ]

ジュネーブ(ICRC)- 紛争で疲弊した国々が新型コロナウイルス感染症の脅威に立ち向かうためには、国際社会と人道支援組織が今すぐに結束して支援を行う必要があります。これが、私たち赤十字国際委員会(ICRC)の国際社会への警告です。紛争地で流行の兆しが見られる前に、感染予防などのコロナ対策案を直ちに行動に移すべきです。

医療体制が充実した国でも、この感染症は命に関わる最大の脅威のひとつとなっています。戦闘で医療体制が崩壊した国や地域では、状況はより深刻です。紛争で家を追われ密集状態で暮らす避難民や、清潔な水や石けん、医薬品などの必要物資が不足した状況下にいる人々も同様に、より深刻な脅威にさらされています。

紛争で医療体制が崩れた地域では、感染者の発見や管理、経過観察に手が回らず、感染のリスクが高まっています。

ICRCのペーター・マウラー総裁は、現状を憂慮しています。「最先端の医療体制をもってしても、新型コロナウイルス感染症に太刀打ちできずにいます。私たちが活動する多くの地域では、基本的な医療設備さえ整っておらず、集中治療を提供できないのは言うまでもありません。ウイルスの感染拡大を防ぐために直ちに行動を起こさなければ、紛争や災害、開発途上などを理由に弱い立場に置かれているコミュニティーの一部が、壊滅的な被害を受けるでしょう」。

世界各地の収容施設や避難民キャンプで最悪な事態が起きることを、私たちは懸念しています。国際社会が支援を強化しなければ、シリア、イエメン、南スーダン、ナイジェリア北東部、アフガニスタンなど紛争地の医療体制は、押し寄せてくる感染者に到底対応できないでしょう。

国際社会と人道支援組織が結束し、迅速に対応することが必須です。戦争の被害を受け、医療サービスが弱体化した国々が壊滅的な状況に陥らないためにも、国際社会がこれまで以上に貢献する必要があります。国際赤十字・赤新月運動はつい先日、新型コロナウイルス感染症の差し迫った脅威に対応する能力が限られている国を支援するため、8億スイスフラン(約900億円)の拠出を国際社会に要請しました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/53225/7/resize/d53225-7-663142-1.jpg ]

避難民キャンプで物理的に人と人の間隔をあけるのは不可能であることから、一度キャンプにウイルスが持ち込まれると感染を食い止めるのは至難の業ではないか、と私たちは不安を抱いています。容赦なく、非常に速いスピードで拡散されるウイルスに、医療が追い付かない事態を想定し、憂慮しています。

暴力から逃れるために家を後にした人たちの中に感染者が出た場合、感染経路を追跡して隔離することは難しく、したがって封じ込めは現実的ではありません。

一方で、ウイルスの猛威に戦闘行為がやむわけでもなく、引き続き紛争の犠牲となっている人々のニーズは満たされなければなりません。

マウラー総裁はこう続けます。「新型ウイルスと対峙する活動が増えたとはいえ、紛争の犠牲者を放っておくことはできません。世界的規模でこの感染症が大流行している現状を受けて、人々の移動や物流の制限など必要不可欠な感染拡大予防策を国家が講じていることで、現場での活動は余計難しくなっています。悲劇を生まないためにも、政府や紛争当事者は、人道支援活動に対して優先的に便宜を図るべきです。ウイルスは国境を越えて広がります。この世界規模の問題を解決できるとしたら、それは国際社会の結束した行動だけでしょう」。

ICRCは紛争地での活動を継続しつつ、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に何とか歯止めをかけるべく、各国の赤十字・赤新月社や国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と密接に連携しながら複数の事業の立て直しを図っています。私たちが展開している新型コロナウイルス感染症関連の活動を以下にいくつか紹介します。
[画像3: https://prtimes.jp/i/53225/7/resize/d53225-7-923723-2.jpg ]

アフガニスタンおよびミャンマー:収容施設における従来の活動と医療システムへの支援を通じて、新型コロナウイルス感染症の対策・発見・予防に注力。隔離措置や衛生状況の改善、予防用品の提供など緊急対応計画に着手。

アルメニア:石鹸と消毒用品を国内の収容所12カ所の医療班に、また、赤外線検知器を刑務所4カ所に提供。

ブルキナファソ:新型コロナウイルス感染症についてのラジオCMを放送。暴力の影響を受けている地域において、安全な水と石鹸の入手状況の改善に継続して取り組むかたわら、収容所に石鹸と消毒ジェルを配付。

コロンビア:新型コロナウイルス感染症対策として、今後3カ月で国内の収容所20カ所を対象に洗面所の修繕と衛生用品の提供を支援。

コンゴ民主共和国:これまで支援してきた複数の病院で隔離病棟の設置をサポートしているほか、隔離を必要とする患者を扱うスタッフの研修や、医療施設およびICRCが訪問している収容施設における感染防止や抑制対策の実施を支援。

エルサルバドル:手洗いを奨励するため、被拘束者に石鹸を配付。

パレスチナ自治区ガザ地区:隔離されている人々に敷き布団500枚と毛布1000枚を寄付。また、感染患者の特定に有用な赤外線検知器43台を保健当局に提供。

イラク:計2万2千人を収容している13の施設に、石鹸や消毒用品に加えて、手袋やゴーグル、防護服などの予防グッズやサーモ検知器を寄付。近日中に計2万人を擁する収容所11カ所に対しても、手洗いグッズと塩素系スプレーなどを提供する予定。

メキシコ:メキシコ赤十字社と共に、安全な水や衛生用品に加えて、感染防止のための情報を提供。

レバノン:ラフィクハリリ大学病院に緊急病棟を立ち上げ、新型コロナウイルス感染症患者19名を治療中。

ソマリア:モガディシオ病院に隔離用のテントを提供。ソマリア赤新月社が支援する複数のクリニックに感染の疑いのある患者をモニタリングするシステムを設置。衛生用品を収容所に提供し、12万世帯以上に石鹸と塩素系錠剤を配付するとともに、新型コロナウイルス感染症にまつわる衛生対策について情報提供。

スーダン:井戸の手押しポンプを数十カ所修繕し、石鹸を数十万の避難民に配付。また、政府の保健当局に対して、備蓄用の手袋や防護服、消毒用品を提供。

シリア:アルホルキャンプに設置した病院 がフル稼働し、院内感染の予防に着手。
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