【産総研グループ/AIST Solutions】化学データ解析アプリ公開によるサービス提供を開始
[24/11/20]
提供元:PRTIMES
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誰でも簡単に使用可能なデータインフォマティクス技術で企業の研究開発現場のDXに貢献
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-2f109a6e9903131dfeadd4c157a1b9a0-1039x525.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
プログラミング言語を使ったデータ解析とアプリによるデータ解析の比較
【ポイント】
■ 産総研が独自開発した分光法、質量分析データの解析法をアプリとして公開
■ 解析作業はマウス操作のみ。プログラミングの知識を必要とせずだれでも簡単に使用可能
■ 化学分析へのDX導入に貢献。企業の研究開発現場で使いこなすまで支援。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/146304/table/9_1_798c9764168807eaa75fbfecc5371446.jpg ]
本アプリ開発の背景
分析装置の進化によって現在は大量の測定データが比較的容易に測定できるようになりました。さらに、クラウドの普及に伴い、誰もが多種多様な実験データを共有し、取り扱うことが可能になりました。これによって、研究開発の現場では、研究対象を様々な条件で測定し、さらには複数の装置で多角的に測定した大量のデータを収得することが可能なりましたが、その一方で、膨大なデータの解釈自体が難しくなってしまうという問題が生じています。データから重要な情報を抽出し、解釈を容易にする方法としてはAI、機械学習等に代表されるデータインフォマティクス技術が急速に普及していますが、実際にインフォマティクスの技術を使うためには、高額な市販ソフトウェアを組織単位で購入するか、各自が有料もしくは無料のプログラム言語を使って極めて複雑なコードを作成し、かつ、計算のたびに煩雑なコマンドを入力して操作を実行する必要があります。このため、化学分析の現場にデータインフォマティクスを導入しDXを目指すには、大きな導入コストや、プログラミングの知識を持った人材の育成が必要という課題がありました。
産総研での研究開発の経緯
産総研はこれまでに独自のデータ解析技術を開発してきました。例としては、1.近赤外分光器、赤外分光器等で測定された分光スペクトルからプラスチックの物性値や劣化度を非破壊で予測する回帰分析の技術(2020年7月20日 産総研プレス発表)、2.質量分析計やガスクロマトグラフによって測定されたマススペクトルやクロマトグラムからリサイクル樹脂材の違いを簡単に識別するデータ分類の技術、3.機械学習によって、分光法、X線、質量分析、熱分析といった複数の異種データから特異的なサンプルの特定や化学構造に関する情報を抽出するマルチスケール解析技術が挙げられます(2023年3月28日 産総研プレス発表)。これらのインフォマティクス技術は既に企業との材料分析に関する連携の中で数多くの成果を挙げており、企業から「自社内で広く使いたい」といった要望を受けてきました。しかしながら、これらの先端的なデータ解析技術は市販の解析ソフトウェアには組み込まれていないため、各自でプログラム言語を使ってコードを作成し、コマンドを入力して計算を実行する必要がありました。このため、新澤らはプログラミングの知識が無くても誰でも産総研の最先端の解析技術を使えるように、簡単に操作できるユーザーインターフェースを備えたアプリを開発しました。
本アプリ公開により提供されるサービスの詳細内容
今回公開されるアプリは「Regression ToolBox」、「ResPlot ToolBox」の2つです。各アプリは市販のソフトにはない産総研が開発したデータ解析手法が組み込まれています。さらに、これらのアプリはマウスのみで操作可能なユーザーインターフェースを持つため、使用者は煩雑なコマンド入力の操作をせずに簡単に最先端の解析法が使用可能です。
Regression ToolBoxは分光器によって測定したスペクトルを使って機械学習を行うアプリで、スペクトルから物性値を予測する回帰モデルが作成可能です。例えば、図1は劣化したプラスチックに近赤外光を照射し、その光吸収スペクトルからプラスチックの劣化度を予測した事例です。インターフェースに出力された図や数値を見ながらデータの範囲、スペクトルの前処理をマウス操作で選ぶだけで分析が進みますので、プログラミングやアルゴリズムに関する知識を必要とせずに高度なデータ解析が行えます。このアプリはスペクトルだけでなく分子構造データや製造プロセスデータを用いることで材料の構造から機能を予測するマテリアルズ・インフォマティクスや、製造時の工程パラメーターから製品の機能を予測するプロセス・インフォマティクスにも使用可能です。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-c7f8409b6a959e0df36da60baddc1dec-1075x604.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1:Regression ToolBoxを使ったプラスチックの非破壊劣化分析
ResPlot ToolBoxは質量分析で得られたマススペクトルやクロマトグラム間の僅かな違いを検出する産総研独自のデータ解析法「残差プロット」を行うためのアプリです。マススペクトルやクロマトグラムには異なる化学成分に由来するピークが多数発生し、複雑なパターンを形成します。このため、複数のサンプルを比較し、わずかな差異を検出するのは、高度な専門知識を必要とする非常に難しい作業となります。図2はリサイクルされたポリプロピレン原料とバージン原料の違いを分析した事例です。2つのポリプロピレン原料のクロマトグラムはお互いに似通ったピークのパターンを示しており、わずかな組成の違いを特定するにはピークの1つ1つを細かく比較するという、非常に手間のかかる作業が必要です。ResPlot ToolBoxは2つのマススペクトルやクロマトグラムを残差プロットと呼ばれる二次元図を使って比較することで、マススペクトル間の違いを誰でも簡単に識別することが可能です。例えば、図2の残差プロットには一方のリサイクル原料には含まれるものの、バージン原料にはない化学成分のパターンが示されており、この結果からはリサイクルの工程でポリエチレンが混入したことが分かります。このように、ResPlot ToolBoxは質量分析の専門知識が無くとも、誰でも簡単にサンプルの分類が可能になります。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-9045e7fb285650d41436a9f624b34a78-1112x591.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2:ResPlot ToolBoxを使ったリサイクル樹脂材の判別
産総研グループでは、本アプリの導入を希望する企業や研究機関へ提供を開始します。研究開発の現場へDX技術を導入するには、単にデータ解析用アプリの操作方法を習得するだけではなく、自社のデータにどのように使えばよいのかという「技術の使いこなし」が重要になります。データ解析の専門家だけでなく、化学分析、材料合成に長けたメンバーで構成されるチームが、アプリの操作方法だけでなく自社の測定データへの適用もサポートし、最終的には研究現場のDXまで伴走します。
なお、アプリの使用には「共同研究」や「技術コンサルティング」等に基づいた連携契約が必要です。契約手続きはAIST Solutionsが担当します。
本サービス提供に関するセミナーのお知らせ
本サービスに関して、11/21(木)-22(金)に東京ビックサイトで開催される「ケミカルマテリアルJapan2024」にてセミナーを開催します。
関連情報:https://www.aist-solutions.co.jp/events_webinars/exhibition_2024112122.html
[XH2-3]11月22日(金曜日) 13:50〜14:30 [セミナーH]
セミナー『データインフォマティクス用アプリを使ったプラスチックの品質評価』
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-780c35541e6de16e5c57956649b073b1-2160x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
新澤 英之
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
材料・化学領域 機能化学研究部門
化学材料評価グループ 研究グループ長
<登壇テーマ>
データインフォマティクス用アプリを使ったプラスチックの品質評価。
直感的に操作可能なGUIを持ち、マウス操作で化学データのインフォマティクス解析が行えるアプリを開発。
本セミナーではこのアプリを使ったプラスチックの分析事例を紹介。
用語解説
・データインフォマティクス
コンピューターと情報科学技術を利用して、膨大なデータから重要な情報を効率的に抽出するための技術
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
データインフォマティクス等のデジタル技術を活用して業務やビジネスモデル、さらには研究開発の方式を変革すること
お問い合わせ先
株式会社AIST Solutions
本サービス利用に関するお問合せ https://www.aist-solutions.co.jp/contact/form.html
取材、報道に関するお問合せ info@aist-solutions.co.jp
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-2f109a6e9903131dfeadd4c157a1b9a0-1039x525.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
プログラミング言語を使ったデータ解析とアプリによるデータ解析の比較
【ポイント】
■ 産総研が独自開発した分光法、質量分析データの解析法をアプリとして公開
■ 解析作業はマウス操作のみ。プログラミングの知識を必要とせずだれでも簡単に使用可能
■ 化学分析へのDX導入に貢献。企業の研究開発現場で使いこなすまで支援。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/146304/table/9_1_798c9764168807eaa75fbfecc5371446.jpg ]
本アプリ開発の背景
分析装置の進化によって現在は大量の測定データが比較的容易に測定できるようになりました。さらに、クラウドの普及に伴い、誰もが多種多様な実験データを共有し、取り扱うことが可能になりました。これによって、研究開発の現場では、研究対象を様々な条件で測定し、さらには複数の装置で多角的に測定した大量のデータを収得することが可能なりましたが、その一方で、膨大なデータの解釈自体が難しくなってしまうという問題が生じています。データから重要な情報を抽出し、解釈を容易にする方法としてはAI、機械学習等に代表されるデータインフォマティクス技術が急速に普及していますが、実際にインフォマティクスの技術を使うためには、高額な市販ソフトウェアを組織単位で購入するか、各自が有料もしくは無料のプログラム言語を使って極めて複雑なコードを作成し、かつ、計算のたびに煩雑なコマンドを入力して操作を実行する必要があります。このため、化学分析の現場にデータインフォマティクスを導入しDXを目指すには、大きな導入コストや、プログラミングの知識を持った人材の育成が必要という課題がありました。
産総研での研究開発の経緯
産総研はこれまでに独自のデータ解析技術を開発してきました。例としては、1.近赤外分光器、赤外分光器等で測定された分光スペクトルからプラスチックの物性値や劣化度を非破壊で予測する回帰分析の技術(2020年7月20日 産総研プレス発表)、2.質量分析計やガスクロマトグラフによって測定されたマススペクトルやクロマトグラムからリサイクル樹脂材の違いを簡単に識別するデータ分類の技術、3.機械学習によって、分光法、X線、質量分析、熱分析といった複数の異種データから特異的なサンプルの特定や化学構造に関する情報を抽出するマルチスケール解析技術が挙げられます(2023年3月28日 産総研プレス発表)。これらのインフォマティクス技術は既に企業との材料分析に関する連携の中で数多くの成果を挙げており、企業から「自社内で広く使いたい」といった要望を受けてきました。しかしながら、これらの先端的なデータ解析技術は市販の解析ソフトウェアには組み込まれていないため、各自でプログラム言語を使ってコードを作成し、コマンドを入力して計算を実行する必要がありました。このため、新澤らはプログラミングの知識が無くても誰でも産総研の最先端の解析技術を使えるように、簡単に操作できるユーザーインターフェースを備えたアプリを開発しました。
本アプリ公開により提供されるサービスの詳細内容
今回公開されるアプリは「Regression ToolBox」、「ResPlot ToolBox」の2つです。各アプリは市販のソフトにはない産総研が開発したデータ解析手法が組み込まれています。さらに、これらのアプリはマウスのみで操作可能なユーザーインターフェースを持つため、使用者は煩雑なコマンド入力の操作をせずに簡単に最先端の解析法が使用可能です。
Regression ToolBoxは分光器によって測定したスペクトルを使って機械学習を行うアプリで、スペクトルから物性値を予測する回帰モデルが作成可能です。例えば、図1は劣化したプラスチックに近赤外光を照射し、その光吸収スペクトルからプラスチックの劣化度を予測した事例です。インターフェースに出力された図や数値を見ながらデータの範囲、スペクトルの前処理をマウス操作で選ぶだけで分析が進みますので、プログラミングやアルゴリズムに関する知識を必要とせずに高度なデータ解析が行えます。このアプリはスペクトルだけでなく分子構造データや製造プロセスデータを用いることで材料の構造から機能を予測するマテリアルズ・インフォマティクスや、製造時の工程パラメーターから製品の機能を予測するプロセス・インフォマティクスにも使用可能です。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-c7f8409b6a959e0df36da60baddc1dec-1075x604.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1:Regression ToolBoxを使ったプラスチックの非破壊劣化分析
ResPlot ToolBoxは質量分析で得られたマススペクトルやクロマトグラム間の僅かな違いを検出する産総研独自のデータ解析法「残差プロット」を行うためのアプリです。マススペクトルやクロマトグラムには異なる化学成分に由来するピークが多数発生し、複雑なパターンを形成します。このため、複数のサンプルを比較し、わずかな差異を検出するのは、高度な専門知識を必要とする非常に難しい作業となります。図2はリサイクルされたポリプロピレン原料とバージン原料の違いを分析した事例です。2つのポリプロピレン原料のクロマトグラムはお互いに似通ったピークのパターンを示しており、わずかな組成の違いを特定するにはピークの1つ1つを細かく比較するという、非常に手間のかかる作業が必要です。ResPlot ToolBoxは2つのマススペクトルやクロマトグラムを残差プロットと呼ばれる二次元図を使って比較することで、マススペクトル間の違いを誰でも簡単に識別することが可能です。例えば、図2の残差プロットには一方のリサイクル原料には含まれるものの、バージン原料にはない化学成分のパターンが示されており、この結果からはリサイクルの工程でポリエチレンが混入したことが分かります。このように、ResPlot ToolBoxは質量分析の専門知識が無くとも、誰でも簡単にサンプルの分類が可能になります。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-9045e7fb285650d41436a9f624b34a78-1112x591.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2:ResPlot ToolBoxを使ったリサイクル樹脂材の判別
産総研グループでは、本アプリの導入を希望する企業や研究機関へ提供を開始します。研究開発の現場へDX技術を導入するには、単にデータ解析用アプリの操作方法を習得するだけではなく、自社のデータにどのように使えばよいのかという「技術の使いこなし」が重要になります。データ解析の専門家だけでなく、化学分析、材料合成に長けたメンバーで構成されるチームが、アプリの操作方法だけでなく自社の測定データへの適用もサポートし、最終的には研究現場のDXまで伴走します。
なお、アプリの使用には「共同研究」や「技術コンサルティング」等に基づいた連携契約が必要です。契約手続きはAIST Solutionsが担当します。
本サービス提供に関するセミナーのお知らせ
本サービスに関して、11/21(木)-22(金)に東京ビックサイトで開催される「ケミカルマテリアルJapan2024」にてセミナーを開催します。
関連情報:https://www.aist-solutions.co.jp/events_webinars/exhibition_2024112122.html
[XH2-3]11月22日(金曜日) 13:50〜14:30 [セミナーH]
セミナー『データインフォマティクス用アプリを使ったプラスチックの品質評価』
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/146304/9/146304-9-780c35541e6de16e5c57956649b073b1-2160x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
新澤 英之
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
材料・化学領域 機能化学研究部門
化学材料評価グループ 研究グループ長
<登壇テーマ>
データインフォマティクス用アプリを使ったプラスチックの品質評価。
直感的に操作可能なGUIを持ち、マウス操作で化学データのインフォマティクス解析が行えるアプリを開発。
本セミナーではこのアプリを使ったプラスチックの分析事例を紹介。
用語解説
・データインフォマティクス
コンピューターと情報科学技術を利用して、膨大なデータから重要な情報を効率的に抽出するための技術
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
データインフォマティクス等のデジタル技術を活用して業務やビジネスモデル、さらには研究開発の方式を変革すること
お問い合わせ先
株式会社AIST Solutions
本サービス利用に関するお問合せ https://www.aist-solutions.co.jp/contact/form.html
取材、報道に関するお問合せ info@aist-solutions.co.jp