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ダボス会議:経済格差に関する調査報告書を発表

最富裕層1%、世界の富の半分を独占

本日、国際NGOオックスファムは、1月22日に開幕するダボス会議に先立ち、経済格差に関する調査報告書「Working for the Few - Political capture and economic inequality (日本語タイトル:少数の利益のために―政治権力と経済格差)」を発表しました。

本報告書では、多国籍企業や最富裕層が、自らの利益に資するように政治に働きかけ、経済ルールを操り、民主主義を損なうようなやり方で富を蓄積していることを指摘しています。この結果、先進国と途上国の区別なく、前例のないほど格差が拡大しています。世界人口の1%の最富裕層が世界の富の半分を独占しており、最富裕層85人の資産総額が、世界人口の所得下位半分の総資産額に匹敵することも明らかになりました。

また、6カ国(ブラジル、インド、南アフリカ、スペイン、英国、米国)で行った世論調査の結果、約60%〜80%の人々が、国の法律が一部の富裕層に都合よくつくられていると感じていることがわかりました[注1]。

貧困は格差を是正しない限り解決しません。極端な経済格差は、少数に富と権力を集中させ、彼らが支配するルールの下での経済成長は残る大多数の人々に裨益しないため、格差がさらに拡大します。いま、各国が本格的に取り組まなければ、貧困と格差の問題は世代を超えて私たちを苦しめ続けることになります。

オックスファムは各国政府に対し、格差の拡大傾向を早急に是正するよう、働きかけます。ダボス会議の出席者に対し、「格差是正のための6つの誓約」(下記参照)を宣言するように求めます。

<報告書抜粋>

◆ 世界の富裕層は、タックスヘイブンを利用して巨額の富を隠し、租税を回避している。申告されていないオフショアの資金は21兆米ドルに上ると推計される。

◆ アメリカでは、長期にわたる金融規制緩和が経済格差の引き金となっている。その結果、同国の国民総所得に対して、高額所得者上位1%の人々の所得が占める割合は、1930年代の大恐慌以来増え続け、現在は過去最高となっている。

◆ 欧州では、裕福な投資家が金融機関から救済される一方、中間層や貧困層は緊縮財政の影響で苦しんでいる。

◆ インドでは、非常に逆進性が高い税制と、富裕層と政府の癒着の結果、過去10年間で億万長者の数が10倍に増えた一方で、貧困層向けの政府支出は低いままである。

◆ アフリカでは、特にグローバル採掘企業が、納税や特許料の支払いをたくみに回避している。これは、政府に適正に納められていれば政府の貧困対策に使えたはずの資金が、グローバル企業の手元に入っているということを意味する。

<6つの誓約>

オックスファムは、ダボス会議に出席している有力者に、6つの誓約を宣言することを求めます。

1. 累進的な課税を推進し、自らは決して租税回避をしないこと
2. 民主的な決定プロセスを無視して自分の富を政治的に利用しないこと
3. 自らが実質的所有者となっている会社や信託への投資は全て公表すること
4. 自国政府に対し、税収を保健医療、教育、市民の社会保障へ使うよう働きかけること
5. 自らが所有または支配している会社に対し、生活賃金を払うよう要求すること
6. 経済界の他の有力者に対し、これらの誓約を宣言し守るよう働きかけること

Working for the Few調査報告書のダウンロード:
http://oxfam.jp/2014/01/post_574.html

[注1] OXFAM (2014) ‘Working for the Few - Political capture and economic inequality’, Oxford. 本文10ページ目Figure 3参照。”Strongly agree”と”Agree”を合わせた割合。南アフリカの約60%から、スペインの約80%まで各国によって数値は異なる。
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