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「事前学習用画像データセット生成モジュール」の開発コンテストで入賞者を決定

―日本発、機械的なデータセット生成手法でAI分野の国際競争力強化を目指す―




 NEDOは人工知能(AI)の社会実装に向けた「次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発プロジェクト」(以下、本事業)の一環で開催した「事前学習用画像データセット生成モジュールコンテスト」(以下、コンテスト)の入賞者を決定し、表彰式を3月12日にオンラインで行います。
 NEDOは本事業のテーマの一つとして、AIの開発を効率化する技術の研究開発を行っており、2022年度より新たな試みとして、競争的な環境下で技術開発を促すためのコンテストを開催しています。2023年度は、写真などの自然画像を用いず、数式やアルゴリズムなどをもとにAI適用の鍵となる事前学習用画像データセットを機械的に生成する画像AI向けモジュールの開発をテーマにコンテストを開催しました。
 コンテストでは、登録420人、予選参加者35人の中から上位10人を選出し、本戦を行ったところ、ベンチマークを上回る認識率となる画像を生成できるモジュールが複数提案されるとともに、新たなアプローチに基づくモジュールも提案されました。表彰式では、このようなアイデアが生まれた過程など、工夫した点を入賞者が報告します。
 今後NEDOは、今回開発されたモジュールをオープンソースソフトウエアとして公開し、広くAI研究者が活用できる環境を整え、日本発のAI技術で国際競争力の強化を目指します。

[画像1: https://prtimes.jp/i/135644/13/resize/d135644-13-736bab41b5e381bfc3d8-0.jpg ]



1.概要
 AI技術の社会実装を進める上で、大きな課題の一つが「開発期間の短縮」です。NEDOは、本事業※1の一環として、大学や企業、海外の研究者など、より広範な参加者により、競争的な環境下で技術開発を促すことが効果的と考え、2022年度からコンテスト形式での研究開発を行っています(運営事務局を株式会社SIGNATEに委託)。2022年度は、開発現場で時間を要し、効率化が求められているハイパパラメータ※2の最適化(Hyperparameter Optimization、HPO)を行うモジュール※3の開発をテーマに実施しました。
 2023年度は、写真などの自然画像を用いず、数式やアルゴリズムなどをもとにAI適用の鍵となる事前学習用画像データセットを機械的に生成する画像AI向けモジュールの開発をテーマにコンテストを開催しました。AIが画像を認識するためには、AIの学習のもととなるモデル画像が必要です。今回のテーマの基礎となる考え方はすでに報告※4されており、フラクタル画像、輪郭強調画像、ドット画像など、数式によって生成した事前学習用データセットが、自然画像に匹敵あるいは超える認識性能を発現したことは画期的であり、AIの学習プロセスを大きく変革する可能性を秘めたものです。テーマ設定にあたっては、上記の考え方を提唱し、NEDOの「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」の中の「数式ドリブン自動生成データセットに基づく事前学習モデル構築技術の開発」を研究する、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究者の協力を得ました。
 コンテスト※5は、2023年9月1日から2024年1月15日まで開催され、厳選な審査の結果、入賞者が確定しましたので、このたび3月12日にオンライン(一般公開)で表彰式を行います。


2.コンテストの概要および表彰式
 コンテストは予選と本戦の2段階で行われ、多数の参加者が斬新な発想で画像生成手法を提案し、その性能を競いました。提案された画像生成手法は、既存のフラクタル画像の改良、新たな数式によるもの、複数の数式を組み合わせたもの、アルゴリズム的に生成するもの、これらを組み合わせたものなど多様なものがありました。また、本戦では、予選に対して評価用に生成するサンプル数を大幅に増やす規定としており、生成する画像を増やした時に、AIの認識性能が向上する(特徴量空間の網羅性が向上する)仕組みを含んだ画像生成手法とすることが求められました。
 コンテストには、登録が420人あり、予選に参加した35人のうち、上位10人が本戦に進み、産総研が運営する「AI橋渡しクラウド(ABCI)※6」を利用して評価を行いました。本戦では、以下の二つの部門で入賞者を決定しました。

 【定量評価部門】プログラムで機械的に精度を判定。懸賞金:1位 120万円、2位 100万円、3位 80万円。
 【定性評価部門】参加者の説明資料をもとに、開発アプローチの新規性および了解性を有識者が判定。
         懸賞金:50万円。対象者数:2人。

[画像2: https://prtimes.jp/i/135644/13/resize/d135644-13-232ff19f057103c0680e-1.jpg ]


表彰式は以下の通り実施します。
・開催日時:2024年3月12日(火)17時00分〜18時30分
・報告内容:主催者側から今回のコンテストの狙いを説明するとともに、入賞者に、参加の動機、今回の課題への 取り組み方針、特に工夫した点について、簡単にご紹介いただく予定です。
・視聴方法:表彰式はオンラインで視聴することができます。視聴方法やタイムテーブルなど詳細は以下の専用サイトで公開します。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。
事前学習用画像データセット生成モジュールコンテスト表彰式参加申し込みフォーム
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_3tuLKuJhRdCUFEj3ztGm5Q

3.成果および今後の予定
 本コンテストでは、ベンチマーク※7を上回る認識率の画像を生成できるモジュールが複数提案されるとともに、新たなアプローチで新規のモジュールも開発されました。これにより、競争的な環境下で新しいアイデアに基づく事前学習用画像データセット生成アルゴリズムの開発が促進されました。
 今後NEDOは、今回開発されたモジュールを日本発のオープンソースソフトウエア(OSS)として4月をめどにコンテストの本戦サイト内で公開し、本技術の普及を図るとともに、コンテストで収集した開発・改良アプローチの調査や分析、入賞者へのヒアリングを行うことで、新たなアイデアの創出や人材の発掘・育成、先端AI関係者間のネットワーク構築の促進につなげていきます。さらに、新たなコンテストの企画を検討しており、大学や企業、海外の研究者などから広く参加者を募ることで、より競争的な環境下で技術開発を促し、日本のAI技術の国際競争力の強化を目指します。

【注釈】
※1 本事業
事 業 名:次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発プロジェクト
事業期間:2018年度〜2023年度
事業概要:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100138.html
※2 ハイパパラメータ
機械学習において、学習前に設定しなければならないパラメータです。学習する精度などに大きな影響を与えます。
※3 モジュール
プログラムにおける特定の機能を持ったひとまとまりの構成要素です。なお、今回開発したHPOモジュールは、開発環境として産総研所有のAI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure、ABCI)を利用することも可能です。
※4 報告
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220613/pr20220613.html
※5 コンテスト
コンテスト予選概要:https://signate.jp/competitions/1071
コンテスト本戦概要:https://signate.jp/competitions/1073
※6 AI橋渡しクラウド(ABCI)
参考:https://abci.ai/ja/
※7 ベンチマーク
コンテストのスコアの基準としてコンテスト事務局が設定したスコアです。

※新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。
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