東京海上グループならびにイノカ、脱炭素対応や生物多様性保全で要となる藻場の再生と拡大に向けた共同研究を開始
[23/10/21]
提供元:PRTIMES
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第一弾として、沖縄県石垣島のウミショウブの藻場の再生を目指した研究をスタート生物多様性の回復と脱炭素の実現で、ブルーカーボンや生物多様性クレジット取得も目指す
東京海上アセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 横田 靖博、以下TMAM)、株式会社イノカ(代表者 高倉 葉太、以下イノカ)、東京海上ディーアール株式会社(代表取締役社長 堤 伸浩、以下TdR)は、生物多様性の保全や二酸化炭素の吸収で脱炭素を推進する藻場の再生にむけた共同研究を開始します。
第一弾として、沖縄県石垣市野底(のそこ)エリアにおいて、従来から自然保全活動を推進しているエコツアーふくみみ(代表者 大堀健司)ならびに石垣市立野底小学校(校長 仲皿 利治)と協力し、石垣市野底エリアにおけるウミショウブの藻場の再生と研究を進めてまいります。
具体的には、絶滅危惧種である海草ウミショウブをイノカのラボで保護し、最適な生育環境や環境変化に強いウミショウブの研究などを行います。その後、実際の海へと移植し藻場を再生させ、生物多様性の回復と脱炭素の実現を目指します。同時にブルーカーボンや生物多様性クレジットの取得も目指した取組みを行います。
背景
近年、気候変動が地球環境および経済・社会活動に及ぼす悪影響は、世界的な問題として関心が高まっています。特に、自然生態系への影響に関する議論が活発化しており、2021年に開催されたCOP26における「グラスゴー気候合意」で、世界全体に及ぶ危機である気候変動と生物多様性の損失は相互関係にあることが改めて確認されました。
世界的に生物多様性の損失への危機感が高まる中、2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年グローバルターゲットが設定されました。日本では2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、生物多様性保全に向けた国家目標が掲げられています。事業会社に関しても、2023年9月に企業の生物多様性における開示フレームワークであるTNFD(※1)の最終版が公表されるなど、自然や生態系の保護・保全と回復に向けた生物多様性への対応が急速に求められる状況になっています。これらのグローバルな潮流を受け、企業は気候変動や脱炭素対応中心の取組みに加え、今後、生物多様性への影響にも配慮した事業活動が求められます。
そのような状況の中、海洋国家である日本において藻場を育む海藻・海草は、GHG(Greenhouse Gas)吸収による脱炭素を進めるだけでなく、日本の伝統的な食文化や健康産業において重要な役割を果たし、更に沿岸漁業の対象となる魚種の40パーセント近い種類が藻場・干潟に依存して生存しているなど生物多様性の観点でもとても重要な存在です。
しかし、近年藻場は深刻な危機に直面しています。特に、環境変化や人間による環境汚染等によって、海藻が激減する「磯焼け」と呼ばれる現象が深刻な問題となっています。磯焼けが進むことで、私たちが食用としているノリや昆布などが収穫できなくなり、沿岸部の生物多様性が失われ、さらにGHGの吸収源が著しく減少する問題が発生しています。
今回の共同研究の内容
石垣市野底崎の南側、多良間の浜から吹通川の河口周辺は日本における海草ウミショウブの生息地の北限地としてウミショウブの群落が広がり、夏の開花時期には白い雄花が海面を埋め尽くす美しい光景が見られる貴重なエリアでした。
しかし、近年では南西諸島を含む熱帯・亜熱帯の海に生息する絶滅危惧種のアオウミガメが増加し、希少な海草の食害を引き起こすなど新たな問題が発生しており、ウミショウブの群生地が消滅の危機に瀕しています。
そこで、テクノロジーを利活用したサステナビリティに資する新たな取組みとして、3社は、長年石垣市で環境保全や環境教育を推進しているエコツアーふくみみの大堀代表ならびに野底小学校と協力し、藻場の再生による脱炭素の推進および生物多様性の保全、再生を目的にした共同研究を開始しました。
このように地球温暖化に伴う海水温の上昇や生態系バランスの変化による生物多様性の消失など、今後日本全体で対応が必要となる課題について、既にその問題が顕在化している石垣島で最初のプロジェクトをスタート出来ることはとても意義深いと考えております。
3社はまずイノカの環境移送技術(※2)を用いて、ウミショウブを陸上で育成することで、ウミショウブの生態や最適な藻場再生のための研究を行います。その後実際の海への移植、モニタリングを実施し、その成果を陸上での育成にフィードバックすることで、より効果的な藻場再生の研究を行います。
イノカは今回の研究を通じて、海藻・海草の陸上研究から実際のフィールドへの適用ノウハウを獲得でき、今後全国各地の海における海藻・海草を活用した生物多様性保全や再生へと応用することが可能になります。
また、TMAMとイノカは藻場の生物多様性保全や二酸化炭素の吸収量の計測などを実施し、現地のモニタリングをベースにブルーカーボンや近年注目を集める生物多様性クレジットの生成を目指します。
TdRは地元協力者と連携し、今回の活動エリアを環境省が推進する自然共生サイト(※3)へ登録することを目指します。これにより環境省を通じて国際データベースに登録され、COP15のグローバルターゲット(昆明・モントリオール2030年目標)に貢献することになります。また、これら実際のサイトにおける生物多様性保全活動で得られた成果や知見を、自社の気候変動・自然資本領域におけるコンサルティング事業に応用して参ります。
TMAMは環境省が主催する支援証明書(※4)モデル的試行ワーキンググループへの参加を通じて生物多様性保全活動の成果と支援証明書やTNFD開示への連動を検討し、また同時にTNFD開示を中心とした自然資本・生物多様性に関する情報を用いた企業価値評価手法の開発を進めて参ります。これにより事業会社における生物多様性保全活動の企業価値への影響を可視化することが可能となり、企業とのエンゲージメント活動へも活用することで、投資先企業の企業価値向上への貢献を目指します。
目指す姿
3社はこの研究を通じて社会的に意義のある活動を経済・金融と結び付けることでよりサステナブルな取組みへと発展させ、社会課題を解決すると同時に経済成長・企業価値向上の実現を目指します。
今回の共同研究を通じて、実際のサイトと陸上での研究・保全活動の連携、自然共生サイトやOECM(※3)への登録、それを基にした支援証明書やTNFD開示への連動、さらには活動から生まれるブルーカーボンや生物多様性クレジットの生成ノウハウなど、海の領域での生物多様性保全および脱炭素の取組みに必要となる一連のノウハウ獲得が可能になると考えております。 加えて、今後の更なる発展としてTMAMとイノカはより循環的なモデルの構築を目指し海藻や海草の飼料への転用や養殖などを含めた新たな展開の可能性についても研究を進めて行く計画です。
これら成果やノウハウを活かして今後は全国各地や全世界における生物多様性保全や脱炭素の取組みに加えて既に事業会社が実施している生物多様性保全活動へ転用することで、2030年グローバルターゲットの達成に向けて貢献してまいります。
「未来世代」に向けた取組み
今回イノカの環境移送技術を活用し、野底小学校にも陸上水槽を設置することで、子どもたちにウミショウブの育成を身近に感じてもらう計画です。またイノカが提供する環境教育プログラム(※5)を活用して、大堀代表の協力を得ながら、野底小学校の児童向けに環境教育を実施し、未来を担う子どもたちとともに地球環境保護についての教育を進めて参ります。
実際のウミショウブの移植に関しても、大堀代表など地元協力者、野底小学校の児童達、イノカの社員、TMAMの社員やその家族と共同で実施する予定です。今後も地域の方々の想いを最も大切にし、地域の方と協力しながら石垣島の自然を回復させ、維持していくことへと貢献して参ります。
以上のように、TMAMはこれらの取組みを通じて金融の力を使い海洋や農業などの分野で脱炭素と生物多様性保全の推進に貢献することを目指します。加えて、ベンチャー企業との連携や未来世代への教育を通じて日本経済の発展に貢献してまいります 。
※1 TNFD(The Taskforce on Nature related Financial Disclosures):自然関連財務情報開示タスクフォース。民間企業や金融機関が、自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築するために設立された国際的な組織。TNFDは、資金の流れをネイチャーポジティブに移行させるという観点で、自然関連リスクの管理と情報開示に関するフレームワークを開発、提供している。2023年9月に最終提言であるTNFDv1.0を公開した。
※2 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐にわたる要素を考慮しながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術
※3 自然共生サイト:民間の取組み等によって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する区域を指す。認定区域は、保護地域との重複を除き、OECM (=Other effective area-based conservation measures:国が指定する保護地区以外で、生物多様性を効果的にかつ長期的に保全しうる地域を指す)として国際データベースに登録される。
※4 支援証明書:自然共生サイトにおいて、生態系保全に関する支援活動を行ったことを証明する制度。2023年9月時点では、環境省が枠組みを検討中。
※5 環境教育プログラム:環境移送技術を活用した水槽の維持管理・研究のサポート
東京海上アセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 横田 靖博、以下TMAM)、株式会社イノカ(代表者 高倉 葉太、以下イノカ)、東京海上ディーアール株式会社(代表取締役社長 堤 伸浩、以下TdR)は、生物多様性の保全や二酸化炭素の吸収で脱炭素を推進する藻場の再生にむけた共同研究を開始します。
第一弾として、沖縄県石垣市野底(のそこ)エリアにおいて、従来から自然保全活動を推進しているエコツアーふくみみ(代表者 大堀健司)ならびに石垣市立野底小学校(校長 仲皿 利治)と協力し、石垣市野底エリアにおけるウミショウブの藻場の再生と研究を進めてまいります。
具体的には、絶滅危惧種である海草ウミショウブをイノカのラボで保護し、最適な生育環境や環境変化に強いウミショウブの研究などを行います。その後、実際の海へと移植し藻場を再生させ、生物多様性の回復と脱炭素の実現を目指します。同時にブルーカーボンや生物多様性クレジットの取得も目指した取組みを行います。
背景
近年、気候変動が地球環境および経済・社会活動に及ぼす悪影響は、世界的な問題として関心が高まっています。特に、自然生態系への影響に関する議論が活発化しており、2021年に開催されたCOP26における「グラスゴー気候合意」で、世界全体に及ぶ危機である気候変動と生物多様性の損失は相互関係にあることが改めて確認されました。
世界的に生物多様性の損失への危機感が高まる中、2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、2030年グローバルターゲットが設定されました。日本では2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、生物多様性保全に向けた国家目標が掲げられています。事業会社に関しても、2023年9月に企業の生物多様性における開示フレームワークであるTNFD(※1)の最終版が公表されるなど、自然や生態系の保護・保全と回復に向けた生物多様性への対応が急速に求められる状況になっています。これらのグローバルな潮流を受け、企業は気候変動や脱炭素対応中心の取組みに加え、今後、生物多様性への影響にも配慮した事業活動が求められます。
そのような状況の中、海洋国家である日本において藻場を育む海藻・海草は、GHG(Greenhouse Gas)吸収による脱炭素を進めるだけでなく、日本の伝統的な食文化や健康産業において重要な役割を果たし、更に沿岸漁業の対象となる魚種の40パーセント近い種類が藻場・干潟に依存して生存しているなど生物多様性の観点でもとても重要な存在です。
しかし、近年藻場は深刻な危機に直面しています。特に、環境変化や人間による環境汚染等によって、海藻が激減する「磯焼け」と呼ばれる現象が深刻な問題となっています。磯焼けが進むことで、私たちが食用としているノリや昆布などが収穫できなくなり、沿岸部の生物多様性が失われ、さらにGHGの吸収源が著しく減少する問題が発生しています。
今回の共同研究の内容
石垣市野底崎の南側、多良間の浜から吹通川の河口周辺は日本における海草ウミショウブの生息地の北限地としてウミショウブの群落が広がり、夏の開花時期には白い雄花が海面を埋め尽くす美しい光景が見られる貴重なエリアでした。
しかし、近年では南西諸島を含む熱帯・亜熱帯の海に生息する絶滅危惧種のアオウミガメが増加し、希少な海草の食害を引き起こすなど新たな問題が発生しており、ウミショウブの群生地が消滅の危機に瀕しています。
そこで、テクノロジーを利活用したサステナビリティに資する新たな取組みとして、3社は、長年石垣市で環境保全や環境教育を推進しているエコツアーふくみみの大堀代表ならびに野底小学校と協力し、藻場の再生による脱炭素の推進および生物多様性の保全、再生を目的にした共同研究を開始しました。
このように地球温暖化に伴う海水温の上昇や生態系バランスの変化による生物多様性の消失など、今後日本全体で対応が必要となる課題について、既にその問題が顕在化している石垣島で最初のプロジェクトをスタート出来ることはとても意義深いと考えております。
3社はまずイノカの環境移送技術(※2)を用いて、ウミショウブを陸上で育成することで、ウミショウブの生態や最適な藻場再生のための研究を行います。その後実際の海への移植、モニタリングを実施し、その成果を陸上での育成にフィードバックすることで、より効果的な藻場再生の研究を行います。
イノカは今回の研究を通じて、海藻・海草の陸上研究から実際のフィールドへの適用ノウハウを獲得でき、今後全国各地の海における海藻・海草を活用した生物多様性保全や再生へと応用することが可能になります。
また、TMAMとイノカは藻場の生物多様性保全や二酸化炭素の吸収量の計測などを実施し、現地のモニタリングをベースにブルーカーボンや近年注目を集める生物多様性クレジットの生成を目指します。
TdRは地元協力者と連携し、今回の活動エリアを環境省が推進する自然共生サイト(※3)へ登録することを目指します。これにより環境省を通じて国際データベースに登録され、COP15のグローバルターゲット(昆明・モントリオール2030年目標)に貢献することになります。また、これら実際のサイトにおける生物多様性保全活動で得られた成果や知見を、自社の気候変動・自然資本領域におけるコンサルティング事業に応用して参ります。
TMAMは環境省が主催する支援証明書(※4)モデル的試行ワーキンググループへの参加を通じて生物多様性保全活動の成果と支援証明書やTNFD開示への連動を検討し、また同時にTNFD開示を中心とした自然資本・生物多様性に関する情報を用いた企業価値評価手法の開発を進めて参ります。これにより事業会社における生物多様性保全活動の企業価値への影響を可視化することが可能となり、企業とのエンゲージメント活動へも活用することで、投資先企業の企業価値向上への貢献を目指します。
目指す姿
3社はこの研究を通じて社会的に意義のある活動を経済・金融と結び付けることでよりサステナブルな取組みへと発展させ、社会課題を解決すると同時に経済成長・企業価値向上の実現を目指します。
今回の共同研究を通じて、実際のサイトと陸上での研究・保全活動の連携、自然共生サイトやOECM(※3)への登録、それを基にした支援証明書やTNFD開示への連動、さらには活動から生まれるブルーカーボンや生物多様性クレジットの生成ノウハウなど、海の領域での生物多様性保全および脱炭素の取組みに必要となる一連のノウハウ獲得が可能になると考えております。 加えて、今後の更なる発展としてTMAMとイノカはより循環的なモデルの構築を目指し海藻や海草の飼料への転用や養殖などを含めた新たな展開の可能性についても研究を進めて行く計画です。
これら成果やノウハウを活かして今後は全国各地や全世界における生物多様性保全や脱炭素の取組みに加えて既に事業会社が実施している生物多様性保全活動へ転用することで、2030年グローバルターゲットの達成に向けて貢献してまいります。
「未来世代」に向けた取組み
今回イノカの環境移送技術を活用し、野底小学校にも陸上水槽を設置することで、子どもたちにウミショウブの育成を身近に感じてもらう計画です。またイノカが提供する環境教育プログラム(※5)を活用して、大堀代表の協力を得ながら、野底小学校の児童向けに環境教育を実施し、未来を担う子どもたちとともに地球環境保護についての教育を進めて参ります。
実際のウミショウブの移植に関しても、大堀代表など地元協力者、野底小学校の児童達、イノカの社員、TMAMの社員やその家族と共同で実施する予定です。今後も地域の方々の想いを最も大切にし、地域の方と協力しながら石垣島の自然を回復させ、維持していくことへと貢献して参ります。
以上のように、TMAMはこれらの取組みを通じて金融の力を使い海洋や農業などの分野で脱炭素と生物多様性保全の推進に貢献することを目指します。加えて、ベンチャー企業との連携や未来世代への教育を通じて日本経済の発展に貢献してまいります 。
※1 TNFD(The Taskforce on Nature related Financial Disclosures):自然関連財務情報開示タスクフォース。民間企業や金融機関が、自然資本及び生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築するために設立された国際的な組織。TNFDは、資金の流れをネイチャーポジティブに移行させるという観点で、自然関連リスクの管理と情報開示に関するフレームワークを開発、提供している。2023年9月に最終提言であるTNFDv1.0を公開した。
※2 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐にわたる要素を考慮しながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術
※3 自然共生サイト:民間の取組み等によって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する区域を指す。認定区域は、保護地域との重複を除き、OECM (=Other effective area-based conservation measures:国が指定する保護地区以外で、生物多様性を効果的にかつ長期的に保全しうる地域を指す)として国際データベースに登録される。
※4 支援証明書:自然共生サイトにおいて、生態系保全に関する支援活動を行ったことを証明する制度。2023年9月時点では、環境省が枠組みを検討中。
※5 環境教育プログラム:環境移送技術を活用した水槽の維持管理・研究のサポート