アキュラシステム誕生20周年、アキュラホーム創業35周年記念 シンポジウム「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦×住み手の変革」開催
[14/07/17]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
〜 転換期にある住宅市場、つくり手に求められる役割を再認識する 〜
アキュラシステム誕生20周年、アキュラホーム創業35周年記念
シンポジウム「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦×住み手の変革」開催
〜 転換期にある住宅市場、つくり手に求められる役割を再認識する 〜
日本最大の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:株式会社アキュラホーム 代表取締役社長宮沢俊哉、東京都新宿区)は、7月3日(木)に目黒雅叙園(東京都目黒区)に於いて「第15回ジャーブネット全国大会」を開催し、シンポジウム「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革」を行いました。当日は、ジャーブネット会員企業など約560名が集いました。
全国大会は、年に1度、全国各地の会員工務店とアキュラホーム幹部社員が集い、1年間の活動実績を発表し、当年の方針を共有する場として開催しています。今年度は工務店経営支援システム「アキュラシステム」誕生20周年、アキュラホーム創業35周年を記念し、「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
転換期にある住宅業界において、住み手の住まいに対する意識の変化に、つくり手はどのようなアプローチができるか、様々な角度から検証。「住まい」「つくり手」「住まい手」三者を分析し、地域に根ざした工務店の役割を再認識する契機となりました。
■ 講演:「箱の産業」から「場の産業」への大転換
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 教授 松村秀一氏
住宅業界は時代の潮目、住宅という箱を生産供給する産業から、より望ましい生活を展開する場を提供する産業へと転換している。大転換期には各々が明確にそれを認識し、生活者や利用者の視点を持ち異業種と組む等、意識を変えて新しい血を入れていく事が必要だ。これからは住宅のストックが中心の社会へと移行する。地域の豊かなストックを利用する構想力---要望ではなく生活者の構想を引き出す力が必要になる。入居者が自由に部屋をつくれるカスタマイズ賃貸が注目されているのもその一つであり、10年前には全く考えられなかった状況だ。そして生活を展開する場としての地域を守る家守=エリアマネジメントが重要で、個々の箱の価値を高めることにつながる。さらに、ストックを新築に近づけるリフォームではなく新築とは違う価値を見出すリノベーションへとシフトし、建物の長所を伸ばし場として提供する産業へと向かう。DIYが普及し材工の図式が崩れる中、住宅業界は工の合理的再編を迫られ、人々の生活の豊かさに貢献していくコンテンツ産業になる。
■ 講演:住みこなすことを楽しむ文化
京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻 教授 高田光雄氏
近代化の過程で、日本の住まいは、自然やまちと関わることを厄介なものとして削ぎ落としてきた。生産の合理化で、つくり手が一方的に作った箱に住まい手が住むという構図も一般化した。これにより、住まい手が工夫をして住まいと関わることが少なくなった。住まい手と住まいが相互に働きかけることができれば、住宅性能として表示できる「住みごこち」だけではない「住みごたえ」という価値を再発見することができる。住まい手が代わっても住みこなしていける住みごたえのある住まいづくりを、いくつかの現場で考えてみた。例えば、築60年超の京都の堀川団地では、実験的に4人の若者が部屋をDIYしながら住んでいる。古い建物の長所を住み手なりに解釈し伸ばしていく取り組みである。また、団塊ジュニアの子育て層が住む京町家の再生では、外皮を高気密・高断熱化するのではなく、建物内部に断熱建具などで、入れ子状の空間をつくる改修をした。この改修は、温熱環境を調整するだけでなく、住まいと庭やまちとの関係を強め、生活を楽しく豊かなものにしている。住まい手の感性、若者の発想を育てる家づくりを考えていきたい。
■ 鼎談:木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革
講演の内容を踏まえ、現代の多様化するライフスタイルのなかでつくり手に求められること、これからのつくり手のあり方について、松村氏(前掲)、高田氏(前掲)、株式会社風 代表取締役の大久保恭子氏が鼎談。
<ストックの長所を活かす地域づくり>
大久保:お二人のお話は互いに視点は異なるものの、実は「優良なストックの形成」という点で共通していた。
高田:リノベーションはストックのいいところを育てることが大事で、子育てと一緒。多様な可能性を残して育てるためには、場(まち)づくりへの関わりが必要だ。これからは「価値観の異なる人が共存し緩やかにつながる住まい・まちづくり」という視点が一層重要になる。まちのしがらみは煩わしい問題を伴うが、歴史を紐解くと様々な問題解決のヒントが得られる。例えば、江戸時代の家守りのしくみは、現代のマンション管理や空家活用に役立つ。過去からの学びを現代に上手く活かせば次の展開を発見できる。
大久保:共働きをしながら子育て、という多忙な30〜40代の住み手は、自然やまちとつながる日本の伝統的な知恵にもとづく高雅な住まいや住み方からは遠ざかり、季節感や近所のつながりが稀薄になっています。また持たずに豊かな暮らしを目指す住み手も見られます。このように変化する住み手に対して場の提供も含め、つくり手はどのように働きかければよいか。
松村:彼らは居住体験が少なく、庭に柿がなることすら新鮮。我々の年代とは違う感性で生活を楽しみ、それをSNSで拡散、仲間にも豊かな暮らしが再発見されていく。「東京R不動産」が有名な例。ストックの世界ではリアルな生活レポートが求められていて、それが人を刺激しモノを動かしている。我々プロが勝手に思い込んでいる価値観は、世代や視点が違う人には通用しない。誰も評価しないストックでもそれなりの住み方を編み出す。プロは仕組みを用意するだけでよいかもしれない。
大久保:こうした若い世代の住み方、暮らし方は新しい住スタイルを生み、ひいては新たな住文化の創造につながっていく。
<まちづくりも含めた人への挑戦>
大久保:場の提供に必要な生活構想力とは、建築に必要な理系の能力もさることながら、場の提供の対象となる住み手を明確化するマーケティング力、住み手がどのような暮らしを求めているかを把握する生活理解力、提供する場を住トレンド化・ファッション化して情報発信するためのプレゼンテーション力などの文系的能力に近い。
松村:まさに、住まい手が生活をエンジョイする人達に変わってきており、プロも生活自体を楽しまないといいアドバイスはできない。
高田:「面白い事をやっている工務店に就職したい」という女子学生もいる。そういう時代がきている。地域の拠点としての工務店の強みを、まちづくりビジネスに展開してほしい。
大久保:ストック再生ビジネスは手間と時間がかかるが、これを収益面も含め持続的に発展させるにはどのような取り組みが求められるか。
松村:地域での新しい取り組みは、大きな資本にはできない、工務店にこそできる仕事。新築木造だけにとらわれず、異業種との連携を含め、まちや人へ開いてほしい。
高田:30〜40代の忙しい世代が、古い建物に価値を見出して「面白い」と集まってくる。この感性が連鎖していくところに、つくり手の課題解決の糸口がある。こうするべきと決定論的に考えず、色々な選択肢を残す考え方でしなやかにまちと関わってはどうか。
■ 第15回ジャーブネット全国大会 概要
年に1度、全国各地の会員とアキュラホーム幹部社員が集い、1年間の活動実績と当年の方針を共有する場として開催。近年はシンポジウム等を開催し、会員だけでなく学会関係者、行政、住宅関連団体、一般の方へも開かれた会として発展している。
■ ジャーブネット(JAHBnet)とは
ジャーブネットは全国320社の工務店・ビルダーなどが加盟する工務店ネットワーク組織。アキュラホームが94年に独自の住宅建設合理化ノウハウを体系化した「アキュラシステム」を開発。これまでに約2600社の全国の工務店に導入されると共に、98年に(財)日本住宅・木材技術センターの「木造住宅供給支援システム」に認定され、その仕組みをもって工務店組織「アキュラネット」(現ジャーブネット)を設立。全国規模のネットワークによるスケールメリット、地域密着企業ならではのダイレクトサービスを併せ持つネットワークとして全国のユーザーに「良質な住宅を適性価格」で提供。
アキュラシステム誕生20周年、アキュラホーム創業35周年記念
シンポジウム「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦×住み手の変革」開催
〜 転換期にある住宅市場、つくり手に求められる役割を再認識する 〜
日本最大の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:株式会社アキュラホーム 代表取締役社長宮沢俊哉、東京都新宿区)は、7月3日(木)に目黒雅叙園(東京都目黒区)に於いて「第15回ジャーブネット全国大会」を開催し、シンポジウム「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革」を行いました。当日は、ジャーブネット会員企業など約560名が集いました。
全国大会は、年に1度、全国各地の会員工務店とアキュラホーム幹部社員が集い、1年間の活動実績を発表し、当年の方針を共有する場として開催しています。今年度は工務店経営支援システム「アキュラシステム」誕生20周年、アキュラホーム創業35周年を記念し、「木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
転換期にある住宅業界において、住み手の住まいに対する意識の変化に、つくり手はどのようなアプローチができるか、様々な角度から検証。「住まい」「つくり手」「住まい手」三者を分析し、地域に根ざした工務店の役割を再認識する契機となりました。
■ 講演:「箱の産業」から「場の産業」への大転換
東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 教授 松村秀一氏
住宅業界は時代の潮目、住宅という箱を生産供給する産業から、より望ましい生活を展開する場を提供する産業へと転換している。大転換期には各々が明確にそれを認識し、生活者や利用者の視点を持ち異業種と組む等、意識を変えて新しい血を入れていく事が必要だ。これからは住宅のストックが中心の社会へと移行する。地域の豊かなストックを利用する構想力---要望ではなく生活者の構想を引き出す力が必要になる。入居者が自由に部屋をつくれるカスタマイズ賃貸が注目されているのもその一つであり、10年前には全く考えられなかった状況だ。そして生活を展開する場としての地域を守る家守=エリアマネジメントが重要で、個々の箱の価値を高めることにつながる。さらに、ストックを新築に近づけるリフォームではなく新築とは違う価値を見出すリノベーションへとシフトし、建物の長所を伸ばし場として提供する産業へと向かう。DIYが普及し材工の図式が崩れる中、住宅業界は工の合理的再編を迫られ、人々の生活の豊かさに貢献していくコンテンツ産業になる。
■ 講演:住みこなすことを楽しむ文化
京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻 教授 高田光雄氏
近代化の過程で、日本の住まいは、自然やまちと関わることを厄介なものとして削ぎ落としてきた。生産の合理化で、つくり手が一方的に作った箱に住まい手が住むという構図も一般化した。これにより、住まい手が工夫をして住まいと関わることが少なくなった。住まい手と住まいが相互に働きかけることができれば、住宅性能として表示できる「住みごこち」だけではない「住みごたえ」という価値を再発見することができる。住まい手が代わっても住みこなしていける住みごたえのある住まいづくりを、いくつかの現場で考えてみた。例えば、築60年超の京都の堀川団地では、実験的に4人の若者が部屋をDIYしながら住んでいる。古い建物の長所を住み手なりに解釈し伸ばしていく取り組みである。また、団塊ジュニアの子育て層が住む京町家の再生では、外皮を高気密・高断熱化するのではなく、建物内部に断熱建具などで、入れ子状の空間をつくる改修をした。この改修は、温熱環境を調整するだけでなく、住まいと庭やまちとの関係を強め、生活を楽しく豊かなものにしている。住まい手の感性、若者の発想を育てる家づくりを考えていきたい。
■ 鼎談:木造住宅の未来〜つくり手の挑戦 × 住み手の変革
講演の内容を踏まえ、現代の多様化するライフスタイルのなかでつくり手に求められること、これからのつくり手のあり方について、松村氏(前掲)、高田氏(前掲)、株式会社風 代表取締役の大久保恭子氏が鼎談。
<ストックの長所を活かす地域づくり>
大久保:お二人のお話は互いに視点は異なるものの、実は「優良なストックの形成」という点で共通していた。
高田:リノベーションはストックのいいところを育てることが大事で、子育てと一緒。多様な可能性を残して育てるためには、場(まち)づくりへの関わりが必要だ。これからは「価値観の異なる人が共存し緩やかにつながる住まい・まちづくり」という視点が一層重要になる。まちのしがらみは煩わしい問題を伴うが、歴史を紐解くと様々な問題解決のヒントが得られる。例えば、江戸時代の家守りのしくみは、現代のマンション管理や空家活用に役立つ。過去からの学びを現代に上手く活かせば次の展開を発見できる。
大久保:共働きをしながら子育て、という多忙な30〜40代の住み手は、自然やまちとつながる日本の伝統的な知恵にもとづく高雅な住まいや住み方からは遠ざかり、季節感や近所のつながりが稀薄になっています。また持たずに豊かな暮らしを目指す住み手も見られます。このように変化する住み手に対して場の提供も含め、つくり手はどのように働きかければよいか。
松村:彼らは居住体験が少なく、庭に柿がなることすら新鮮。我々の年代とは違う感性で生活を楽しみ、それをSNSで拡散、仲間にも豊かな暮らしが再発見されていく。「東京R不動産」が有名な例。ストックの世界ではリアルな生活レポートが求められていて、それが人を刺激しモノを動かしている。我々プロが勝手に思い込んでいる価値観は、世代や視点が違う人には通用しない。誰も評価しないストックでもそれなりの住み方を編み出す。プロは仕組みを用意するだけでよいかもしれない。
大久保:こうした若い世代の住み方、暮らし方は新しい住スタイルを生み、ひいては新たな住文化の創造につながっていく。
<まちづくりも含めた人への挑戦>
大久保:場の提供に必要な生活構想力とは、建築に必要な理系の能力もさることながら、場の提供の対象となる住み手を明確化するマーケティング力、住み手がどのような暮らしを求めているかを把握する生活理解力、提供する場を住トレンド化・ファッション化して情報発信するためのプレゼンテーション力などの文系的能力に近い。
松村:まさに、住まい手が生活をエンジョイする人達に変わってきており、プロも生活自体を楽しまないといいアドバイスはできない。
高田:「面白い事をやっている工務店に就職したい」という女子学生もいる。そういう時代がきている。地域の拠点としての工務店の強みを、まちづくりビジネスに展開してほしい。
大久保:ストック再生ビジネスは手間と時間がかかるが、これを収益面も含め持続的に発展させるにはどのような取り組みが求められるか。
松村:地域での新しい取り組みは、大きな資本にはできない、工務店にこそできる仕事。新築木造だけにとらわれず、異業種との連携を含め、まちや人へ開いてほしい。
高田:30〜40代の忙しい世代が、古い建物に価値を見出して「面白い」と集まってくる。この感性が連鎖していくところに、つくり手の課題解決の糸口がある。こうするべきと決定論的に考えず、色々な選択肢を残す考え方でしなやかにまちと関わってはどうか。
■ 第15回ジャーブネット全国大会 概要
年に1度、全国各地の会員とアキュラホーム幹部社員が集い、1年間の活動実績と当年の方針を共有する場として開催。近年はシンポジウム等を開催し、会員だけでなく学会関係者、行政、住宅関連団体、一般の方へも開かれた会として発展している。
■ ジャーブネット(JAHBnet)とは
ジャーブネットは全国320社の工務店・ビルダーなどが加盟する工務店ネットワーク組織。アキュラホームが94年に独自の住宅建設合理化ノウハウを体系化した「アキュラシステム」を開発。これまでに約2600社の全国の工務店に導入されると共に、98年に(財)日本住宅・木材技術センターの「木造住宅供給支援システム」に認定され、その仕組みをもって工務店組織「アキュラネット」(現ジャーブネット)を設立。全国規模のネットワークによるスケールメリット、地域密着企業ならではのダイレクトサービスを併せ持つネットワークとして全国のユーザーに「良質な住宅を適性価格」で提供。