テラ株式会社の樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤を併用した膵臓がん患者の予後予測因子について「World Journal of Gastroenterology」に掲載
[15/11/25]
提供元:PRTIMES
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〜血漿中のIL-6及びIL-8濃度と予後の関連性を調査〜
テラ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:矢崎 雄一郎、以下「テラ」)は、平成22年8月に学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科(以下「東京慈恵会医科大学附属柏病院」)と共同研究契約を締結し、進行膵臓がん及び進行胆道がんを対象として、抗がん剤(塩酸ゲムシタビン)を併用した、新規ペプチドであるWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法※1の安全性並びに有効性を評価するための第I相臨床研究を進めてまいりました。この度、本臨床研究について、治療前後の測定データを解析し予後予測因子の探索を行った結果が、「World Journal of Gastroenterology」(平成27年第21巻39号)に掲載されました※2。
膵臓がんは難治性がんの一つで極めて予後不良な疾患であり、わが国では、毎年30,000人以上の方が膵臓がんで亡くなっています(出典:人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編))。テラの契約医療機関における樹状細胞ワクチン療法の膵臓がんの累計症例数は、平成27年9月末現在で9,800症例中1,900症例以上となっており、あらゆるがん種の中で最も実績を積んでおります。そのため、樹状細胞ワクチン療法がどのような患者により効果が出るか、予後を予測できる因子の解明が求められてきました。
そのような中、東京慈恵会医科大学附属柏病院はテラとの臨床研究※3を通じて、樹状細胞ワクチン療法においてどのような患者に治療効果があるのかという予後予測因子の検討を進めており、この度、その研究成果が論文発表されました。
本研究は、抗がん剤を併用した、WT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法において、7例の膵臓がん患者の治療前後の血漿中に含まれるインターロイキン※4(以下「IL」)濃度を解析しています。
1年以上の長期生存を認めた例(3/7例)の治療期間において、WT1特異的遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity、以下「DTH反応」)※5がみられ、治療前と比較してIL-6とIL-8の濃度の低下が継続して観察されました。さらに、樹状細胞ワクチンを5回投与した時点で、高IL-6(2pg/ml以上)の患者と比較すると、低IL-6(2pg/ml未満)を示した患者では全生存期間(OS)が統計学的有意に延長していました(全生存期間:582〜1,050日)。病態が進行すると、WT1特異的DTH反応は顕著に減少し、がん末期では陰性となりました。また、長期投与期間中のIL-6とIL-8の血漿中濃度の低下は、WT1特異的DTH反応や全生存期間と関連していました。
以上の結果から、長期投与期間中における血漿中のIL-6とIL-8低濃度は、膵臓がん患者の抗がん剤とWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の併用における予後予測因子である可能性が示唆されました。
テラは、今後も樹状細胞ワクチン療法における研究を推進し、より良い細胞医療の開発・普及に取り組んでまいります。
【※1】樹状細胞ワクチン療法
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させるがん免疫療法です。
【※2】「World Journal of Gastroenterology」(平成27年第21巻39号)
Prognostic significance of plasma interleukin-6/-8 in pancreatic cancer patients receiving chemoimmunotherapy.
【※3】東京慈恵会医科大学附属柏病院との臨床研究
平成26年7月に「Clinical Cancer Research」(平成26年第20巻4228頁)にて、進行膵臓がんに対するWT1クラスI及びクラスIIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の安全性及び有効性の評価について発表しています。WT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤の併用が、病勢制御に寄与する可能性が示唆されています。
【※4】インターロイキン
リンパ球や単球、マクロファージなどが産生する、免疫反応に関与する物質のこと。
【※5】遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity)
体内に異物が侵入した際に、リンパ球等が異物を排除しようとする免疫が働きますが、再び同じ異物が侵入すると、その異物の特徴を覚えたリンパ球等が直ちに反応して異物を排除します。このような、異物の特徴を覚えたリンパ球が作られたかどうかを確かめる方法として遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity:DTH)が利用されています。がん免疫療法においてDTHが生じることは、メモリーT細胞が誘導されたことを示す指標となります。
【テラ株式会社について】
■社名:テラ株式会社 [英名]tella, Inc. [証券コード]東京証券取引所JASDAQ 2191
■住所:東京都港区赤坂一丁目12番32号
■電 話:(代表)03-5572-6590
■設 立平成16年6月
■資 本 金:1,346百万円(平成27年9月末)
■代 表 者:代表取締役社長 矢崎 雄一郎
■従業員数:48名(平成27年6月末)
■事業内容:医療機関に対する樹状細胞ワクチン療法等、細胞医療に関する技術・運用ノウハウの提供
樹状細胞ワクチン療法等、再生・細胞医療に関する研究開発
■U R L:http://www.tella.jp/
テラ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:矢崎 雄一郎、以下「テラ」)は、平成22年8月に学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科(以下「東京慈恵会医科大学附属柏病院」)と共同研究契約を締結し、進行膵臓がん及び進行胆道がんを対象として、抗がん剤(塩酸ゲムシタビン)を併用した、新規ペプチドであるWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法※1の安全性並びに有効性を評価するための第I相臨床研究を進めてまいりました。この度、本臨床研究について、治療前後の測定データを解析し予後予測因子の探索を行った結果が、「World Journal of Gastroenterology」(平成27年第21巻39号)に掲載されました※2。
膵臓がんは難治性がんの一つで極めて予後不良な疾患であり、わが国では、毎年30,000人以上の方が膵臓がんで亡くなっています(出典:人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編))。テラの契約医療機関における樹状細胞ワクチン療法の膵臓がんの累計症例数は、平成27年9月末現在で9,800症例中1,900症例以上となっており、あらゆるがん種の中で最も実績を積んでおります。そのため、樹状細胞ワクチン療法がどのような患者により効果が出るか、予後を予測できる因子の解明が求められてきました。
そのような中、東京慈恵会医科大学附属柏病院はテラとの臨床研究※3を通じて、樹状細胞ワクチン療法においてどのような患者に治療効果があるのかという予後予測因子の検討を進めており、この度、その研究成果が論文発表されました。
本研究は、抗がん剤を併用した、WT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法において、7例の膵臓がん患者の治療前後の血漿中に含まれるインターロイキン※4(以下「IL」)濃度を解析しています。
1年以上の長期生存を認めた例(3/7例)の治療期間において、WT1特異的遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity、以下「DTH反応」)※5がみられ、治療前と比較してIL-6とIL-8の濃度の低下が継続して観察されました。さらに、樹状細胞ワクチンを5回投与した時点で、高IL-6(2pg/ml以上)の患者と比較すると、低IL-6(2pg/ml未満)を示した患者では全生存期間(OS)が統計学的有意に延長していました(全生存期間:582〜1,050日)。病態が進行すると、WT1特異的DTH反応は顕著に減少し、がん末期では陰性となりました。また、長期投与期間中のIL-6とIL-8の血漿中濃度の低下は、WT1特異的DTH反応や全生存期間と関連していました。
以上の結果から、長期投与期間中における血漿中のIL-6とIL-8低濃度は、膵臓がん患者の抗がん剤とWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の併用における予後予測因子である可能性が示唆されました。
テラは、今後も樹状細胞ワクチン療法における研究を推進し、より良い細胞医療の開発・普及に取り組んでまいります。
【※1】樹状細胞ワクチン療法
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させるがん免疫療法です。
【※2】「World Journal of Gastroenterology」(平成27年第21巻39号)
Prognostic significance of plasma interleukin-6/-8 in pancreatic cancer patients receiving chemoimmunotherapy.
【※3】東京慈恵会医科大学附属柏病院との臨床研究
平成26年7月に「Clinical Cancer Research」(平成26年第20巻4228頁)にて、進行膵臓がんに対するWT1クラスI及びクラスIIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の安全性及び有効性の評価について発表しています。WT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤の併用が、病勢制御に寄与する可能性が示唆されています。
【※4】インターロイキン
リンパ球や単球、マクロファージなどが産生する、免疫反応に関与する物質のこと。
【※5】遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity)
体内に異物が侵入した際に、リンパ球等が異物を排除しようとする免疫が働きますが、再び同じ異物が侵入すると、その異物の特徴を覚えたリンパ球等が直ちに反応して異物を排除します。このような、異物の特徴を覚えたリンパ球が作られたかどうかを確かめる方法として遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity:DTH)が利用されています。がん免疫療法においてDTHが生じることは、メモリーT細胞が誘導されたことを示す指標となります。
【テラ株式会社について】
■社名:テラ株式会社 [英名]tella, Inc. [証券コード]東京証券取引所JASDAQ 2191
■住所:東京都港区赤坂一丁目12番32号
■電 話:(代表)03-5572-6590
■設 立平成16年6月
■資 本 金:1,346百万円(平成27年9月末)
■代 表 者:代表取締役社長 矢崎 雄一郎
■従業員数:48名(平成27年6月末)
■事業内容:医療機関に対する樹状細胞ワクチン療法等、細胞医療に関する技術・運用ノウハウの提供
樹状細胞ワクチン療法等、再生・細胞医療に関する研究開発
■U R L:http://www.tella.jp/