フィックスターズ、量子アニーリングマシン向け開発プラットフォームを提供開始
[20/10/21]
提供元:PRTIMES
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主要な量子アニーリングマシンをサポートするミドルウェアと、商用イジングマシンで最大規模のGPUアニーリングマシン*1をセットで提供し、アプリケーション開発者を支援
マルチコアCPU/GPU/FPGAを用いた高速化技術のグローバルリーダーである株式会社フィックスターズは、10月21日、量子コンピュータの技術を活用したアプリケーションの開発者向けに、量子アニーリングをはじめとする主要なイジングマシンに対応した開発効率を高めるミドルウェア「Amplify」と、商用イジングマシンとして最大規模のGPUアニーリングマシン「Optigan」を実行環境としてセットにした開発プラットフォーム(以下、本サービス)を提供開始したことを発表しました。本サービスを使用することで、PoCから実社会問題まで幅広い範囲を対象としたアプリケーションの効率的な開発が可能になります。
本サービスは日本国内を対象に、ウェブサイト上でデモやサンプルプログラムを実行できるトライアル版(無償)、ユーザの環境から接続や利用が可能なベーシック版(月額150,000円(税別))、商用利用が可能なビジネス版(価格は問合せ)を提供します。価格情報やトライアル版の詳細はウェブサイト*2 https://quantum.fixstars.com/product をご覧ください。
[画像1: https://prtimes.jp/i/27784/18/resize/d27784-18-953043-3.png ]
図1. ミドルウェア「Amplify」とGPUアニーリングマシン「Optigan」
日本政府が「目指すべき未来社会」として提唱するSociety 5.0を実現する為の重要な技術として、量子コンピュータなどの次世代コンピュータが注目されており、産官学連携によるさまざまな業界をまたいだ協業や研究開発が加速しています*3,*4。Society5.0を実現する産業分野の様々な場面で、膨大な選択肢の中から最適な答えを見つけ出す「組合せ最適化問題」が存在しており、社会システムの高効率化には「組合せ最適化問題」を高速・高精度に解決する技術の確立が重要な要素と考えられています。そこで、「組合せ最適化問題」を高速に処理する次世代のコンピュータとして期待されているのが、量子アニーリングマシンをはじめとするイジングマシンです。
一方、量子アニーリングマシンやイジングマシンを十分に活用するには高い専門性が求められます。例えばマシンの実行には、数学的知識に基づく課題の定式化、QUBOと呼ばれるイジングマシン固有のモデル構築、各マシンの仕様や制限を考慮した物理モデルへの変換、マシン固有の入力データの作成という手順を踏みます。実行結果の取得においても、マシンの出力データに対しこのプロセスの逆を辿る必要があります。これら複雑なプロセスへの理解と実践が開発者に要求されるため、使いこなせる人材や環境が限られているのが現状です。
[画像2: https://prtimes.jp/i/27784/18/resize/d27784-18-700896-4.png ]
図2. 開発プラットフォームの全体像
こうした現状に対し、量子コンピュータの黎明期から導入支援サービスを提供しているフィックスターズ*5は、より多くの人がシンプルかつ短期間でアプリケーションを開発できるように、量子アニーリングマシンやイジングマシンを用いた開発の効率を高めるミドルウェア「Amplify」と、高性能で大規模な課題が実行可能なGPUアニーリングマシン「Optigan」をセットにした開発プラットフォームを提供します (図2)。ミドルウェア「Amplify」はアプリケーション開発で使用可能な Python/C++言語のライブラリとして、GPUアニーリングマシン「Optigan」はミドルウェアからネットワーク経由で計算機能を提供します。
本サービスを用いる事で、これまで開発者に要求されていたマシンの実行から結果の取得までの複雑なプロセスが大幅に自動化されます。そのため課題を定式化した数式をプログラムコードで記述するだけで、ハードウェアの仕様や制限を意識すること無く、マシンの実行と結果の取得が可能になります。さらに、高性能で大規模な課題が実行可能なGPUアニーリングマシンが提供されるため、これから量子アニーリングやイジングマシンに触れる開発者は本開発プラットフォームだけで初期の学習フェーズから実際のアプリケーション開発まで行うことが可能です。
実社会問題の適用可能性や大規模な課題の定式化検討においては、使用するマシンの入力可能問題サイズと実行精度が重要です。現時点では、量子アニーリングマシンは最大問題サイズ等に制限がありますが、GPUアニーリングマシン「Optigan」は商用イジングマシンとして最大級の10万ビット以上の問題の入力と高速かつ高精度な実行が可能です。これにより、実社会問題の適用検討や定式化検証の時間を短縮でき、アプリケーション開発を効率化します。
また、他社の量子アニーリングマシンやイジングマシンを使用する場合も、プログラムコードを変えることなくマシンの切り替えが可能です。そのため、本サービスは常に最先端のマシンを使用したい研究者の方にも最適です。
本サービスは既に複数のプロジェクトで利用実績があります。例えば、2020年6月にモバイルコンピューティング推進コンソーシアムが発表した「量子コンピュータの産業応用実装に向けた実証実験成果報告」*6内の「物流センターにおける人員配置最適化」の事例紹介では、物流センターの梱包・出荷作業に従事する作業者100名を対象とした人員配置最適化について検討を行いました。本サービスを使用することで、作業者のスキルを考慮した最適な人員配置表を短時間で作成出来るだけでなく、「午後2時間だけ働きたい」といった作業者からの要望にも即座に提案できるようになり、効率的かつ様々な働き方の支援が可能であることが示されました。
本サービスを早期からご利用いただいている早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科教授 戸川望氏は、以下のようにコメントしています。「量子アニーリングマシンをはじめとする次世代の計算機を利用するには、まだまだハードルが高く、いかに使いこなすかが、重要な課題となります。本サービスにより、多くの方々が次世代の計算機を簡単に使いこなすことができ、飛躍的に産業応用を促進するものと期待します。」
産学連携を積極的に行い、量子アニーリングマシンによる情報処理技術の研究を推進されている、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科准教授 田中宗氏(早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構研究院客員准教授を兼任)は以下のようにコメントしています。 「量子アニーリングマシンの能力を最大限に引き出すためには、その物理特性を理解することやプログラミングのための高度な知識が必要になります。フィックスターズが本サービスを提供することにより、これから量子アニーリングマシンを活用したい多くの企業にとって障壁が大きく緩和され、実用事例の創出が促進されると期待します。」
フィックスターズ 代表取締役社長/CEO の三木聡は、以下のようにコメントしています。「この度、量子アニーリングマシンの普及を支援するサービスを発表できたことを大変嬉しく思います。フィックスターズは創業以来、高度なソフトウェア技術を事業の中核に据え、日々進化を遂げるハードウェアアーキテクチャ毎の最適化や、並列処理等を用いた高速化ソリューションを提供してまいりました。特定領域において圧倒的な性能を示す量子アニーリングマシンの開発プラットフォームを提供することで、お客様のビジネスの更なる加速を実現してまいります。」
本サービスは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の成果を一部活用しています。
【注釈】
*1 GPUアニーリングマシンはフィックスターズが開発したイジングマシンの一種で、GPU上で動作するアニーリングマシンです。
*2 量子コンピューティングウェブサイト https://quantum.fixstars.com/product
*3 NEDO 「イジングマシン共通ソフトウェア基盤の研究開発」に採択(2018/10/9, フィックスターズ)
https://www.fixstars.com/ja/news/2110/
*4 SIP 「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術:光電子情報処理」の委託先に選定(2019/11/14, フィックスターズ) https://www.fixstars.com/ja/news/2133/
*5 D-Wave社と協業を開始(2017/6/26付、フィックスターズ) https://www.fixstars.com/ja/news/1974/
*6 「量子コンピュータの産業応用実装に向けた実証実験成果報告」(2020/6/5付、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)
プレスリリース https://www.mcpc-jp.org/press/pdf/press_20200605.pdf
事例紹介(38-43ページ) https://www.mcpc-jp.org/news/pdf/20200325_potential.pdf
フィックスターズについて
フィックスターズは、"Speed up your Business" をコーポレートメッセージとして掲げるテクノロジーカンパニーです。マルチコアプロセッサを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化および最適化と、省電力かつ高速IOを実現する新メモリ技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療、製造、金融、エンターテインメントなど、様々な分野のお客様のビジネスを加速し、グリーンITを実現しています。
社名 株式会社フィックスターズ https://www.fixstars.com/jp/
所在地 東京都品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎ウエストタワー18階
設立 2002年8月8日
資本金 5億5,296万円 (2019年9月末現在)
代表者 代表取締役社長 三木 聡
報道関係のお問い合わせ
株式会社フィックスターズ マーケティング担当
Email: press@fixstars.com
Tel: 03-6420-0751
マルチコアCPU/GPU/FPGAを用いた高速化技術のグローバルリーダーである株式会社フィックスターズは、10月21日、量子コンピュータの技術を活用したアプリケーションの開発者向けに、量子アニーリングをはじめとする主要なイジングマシンに対応した開発効率を高めるミドルウェア「Amplify」と、商用イジングマシンとして最大規模のGPUアニーリングマシン「Optigan」を実行環境としてセットにした開発プラットフォーム(以下、本サービス)を提供開始したことを発表しました。本サービスを使用することで、PoCから実社会問題まで幅広い範囲を対象としたアプリケーションの効率的な開発が可能になります。
本サービスは日本国内を対象に、ウェブサイト上でデモやサンプルプログラムを実行できるトライアル版(無償)、ユーザの環境から接続や利用が可能なベーシック版(月額150,000円(税別))、商用利用が可能なビジネス版(価格は問合せ)を提供します。価格情報やトライアル版の詳細はウェブサイト*2 https://quantum.fixstars.com/product をご覧ください。
[画像1: https://prtimes.jp/i/27784/18/resize/d27784-18-953043-3.png ]
図1. ミドルウェア「Amplify」とGPUアニーリングマシン「Optigan」
日本政府が「目指すべき未来社会」として提唱するSociety 5.0を実現する為の重要な技術として、量子コンピュータなどの次世代コンピュータが注目されており、産官学連携によるさまざまな業界をまたいだ協業や研究開発が加速しています*3,*4。Society5.0を実現する産業分野の様々な場面で、膨大な選択肢の中から最適な答えを見つけ出す「組合せ最適化問題」が存在しており、社会システムの高効率化には「組合せ最適化問題」を高速・高精度に解決する技術の確立が重要な要素と考えられています。そこで、「組合せ最適化問題」を高速に処理する次世代のコンピュータとして期待されているのが、量子アニーリングマシンをはじめとするイジングマシンです。
一方、量子アニーリングマシンやイジングマシンを十分に活用するには高い専門性が求められます。例えばマシンの実行には、数学的知識に基づく課題の定式化、QUBOと呼ばれるイジングマシン固有のモデル構築、各マシンの仕様や制限を考慮した物理モデルへの変換、マシン固有の入力データの作成という手順を踏みます。実行結果の取得においても、マシンの出力データに対しこのプロセスの逆を辿る必要があります。これら複雑なプロセスへの理解と実践が開発者に要求されるため、使いこなせる人材や環境が限られているのが現状です。
[画像2: https://prtimes.jp/i/27784/18/resize/d27784-18-700896-4.png ]
図2. 開発プラットフォームの全体像
こうした現状に対し、量子コンピュータの黎明期から導入支援サービスを提供しているフィックスターズ*5は、より多くの人がシンプルかつ短期間でアプリケーションを開発できるように、量子アニーリングマシンやイジングマシンを用いた開発の効率を高めるミドルウェア「Amplify」と、高性能で大規模な課題が実行可能なGPUアニーリングマシン「Optigan」をセットにした開発プラットフォームを提供します (図2)。ミドルウェア「Amplify」はアプリケーション開発で使用可能な Python/C++言語のライブラリとして、GPUアニーリングマシン「Optigan」はミドルウェアからネットワーク経由で計算機能を提供します。
本サービスを用いる事で、これまで開発者に要求されていたマシンの実行から結果の取得までの複雑なプロセスが大幅に自動化されます。そのため課題を定式化した数式をプログラムコードで記述するだけで、ハードウェアの仕様や制限を意識すること無く、マシンの実行と結果の取得が可能になります。さらに、高性能で大規模な課題が実行可能なGPUアニーリングマシンが提供されるため、これから量子アニーリングやイジングマシンに触れる開発者は本開発プラットフォームだけで初期の学習フェーズから実際のアプリケーション開発まで行うことが可能です。
実社会問題の適用可能性や大規模な課題の定式化検討においては、使用するマシンの入力可能問題サイズと実行精度が重要です。現時点では、量子アニーリングマシンは最大問題サイズ等に制限がありますが、GPUアニーリングマシン「Optigan」は商用イジングマシンとして最大級の10万ビット以上の問題の入力と高速かつ高精度な実行が可能です。これにより、実社会問題の適用検討や定式化検証の時間を短縮でき、アプリケーション開発を効率化します。
また、他社の量子アニーリングマシンやイジングマシンを使用する場合も、プログラムコードを変えることなくマシンの切り替えが可能です。そのため、本サービスは常に最先端のマシンを使用したい研究者の方にも最適です。
本サービスは既に複数のプロジェクトで利用実績があります。例えば、2020年6月にモバイルコンピューティング推進コンソーシアムが発表した「量子コンピュータの産業応用実装に向けた実証実験成果報告」*6内の「物流センターにおける人員配置最適化」の事例紹介では、物流センターの梱包・出荷作業に従事する作業者100名を対象とした人員配置最適化について検討を行いました。本サービスを使用することで、作業者のスキルを考慮した最適な人員配置表を短時間で作成出来るだけでなく、「午後2時間だけ働きたい」といった作業者からの要望にも即座に提案できるようになり、効率的かつ様々な働き方の支援が可能であることが示されました。
本サービスを早期からご利用いただいている早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科教授 戸川望氏は、以下のようにコメントしています。「量子アニーリングマシンをはじめとする次世代の計算機を利用するには、まだまだハードルが高く、いかに使いこなすかが、重要な課題となります。本サービスにより、多くの方々が次世代の計算機を簡単に使いこなすことができ、飛躍的に産業応用を促進するものと期待します。」
産学連携を積極的に行い、量子アニーリングマシンによる情報処理技術の研究を推進されている、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科准教授 田中宗氏(早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構研究院客員准教授を兼任)は以下のようにコメントしています。 「量子アニーリングマシンの能力を最大限に引き出すためには、その物理特性を理解することやプログラミングのための高度な知識が必要になります。フィックスターズが本サービスを提供することにより、これから量子アニーリングマシンを活用したい多くの企業にとって障壁が大きく緩和され、実用事例の創出が促進されると期待します。」
フィックスターズ 代表取締役社長/CEO の三木聡は、以下のようにコメントしています。「この度、量子アニーリングマシンの普及を支援するサービスを発表できたことを大変嬉しく思います。フィックスターズは創業以来、高度なソフトウェア技術を事業の中核に据え、日々進化を遂げるハードウェアアーキテクチャ毎の最適化や、並列処理等を用いた高速化ソリューションを提供してまいりました。特定領域において圧倒的な性能を示す量子アニーリングマシンの開発プラットフォームを提供することで、お客様のビジネスの更なる加速を実現してまいります。」
本サービスは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の成果を一部活用しています。
【注釈】
*1 GPUアニーリングマシンはフィックスターズが開発したイジングマシンの一種で、GPU上で動作するアニーリングマシンです。
*2 量子コンピューティングウェブサイト https://quantum.fixstars.com/product
*3 NEDO 「イジングマシン共通ソフトウェア基盤の研究開発」に採択(2018/10/9, フィックスターズ)
https://www.fixstars.com/ja/news/2110/
*4 SIP 「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術:光電子情報処理」の委託先に選定(2019/11/14, フィックスターズ) https://www.fixstars.com/ja/news/2133/
*5 D-Wave社と協業を開始(2017/6/26付、フィックスターズ) https://www.fixstars.com/ja/news/1974/
*6 「量子コンピュータの産業応用実装に向けた実証実験成果報告」(2020/6/5付、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)
プレスリリース https://www.mcpc-jp.org/press/pdf/press_20200605.pdf
事例紹介(38-43ページ) https://www.mcpc-jp.org/news/pdf/20200325_potential.pdf
フィックスターズについて
フィックスターズは、"Speed up your Business" をコーポレートメッセージとして掲げるテクノロジーカンパニーです。マルチコアプロセッサを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化および最適化と、省電力かつ高速IOを実現する新メモリ技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療、製造、金融、エンターテインメントなど、様々な分野のお客様のビジネスを加速し、グリーンITを実現しています。
社名 株式会社フィックスターズ https://www.fixstars.com/jp/
所在地 東京都品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎ウエストタワー18階
設立 2002年8月8日
資本金 5億5,296万円 (2019年9月末現在)
代表者 代表取締役社長 三木 聡
報道関係のお問い合わせ
株式会社フィックスターズ マーケティング担当
Email: press@fixstars.com
Tel: 03-6420-0751