【IPCC 気候変動と食料】オックスファム報告書発表
[14/03/25]
提供元:PRTIMES
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国際NGOオックスファムは、本日、報告書「気候変動の脅威によって深刻化する飢餓〜世界の食料システムの備えを検証する〜」を発表しました。この報告書では、気候変動により世界の食料危機への脅威が増しているにも関わらず、先進国・途上国問わず世界の国々は、この影響に対応するための備えが極めて不十分であることを明らかにしています。
3月25日から横浜で開催される気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会では、気候変動による食料への影響が、今まで考えられてきた以上に深刻で喫緊の脅威であることが示されます。日本においても、昨年11月からの記録的な大雪による農林水産業への被害額が35都道府県で約1240億円に上る[1]など、気候変動の食料への影響は各国で既に生じています。
オックスファムが発表した本報告書では、気候変動の影響に対する世界の食料システムの備えを検証するため、10の政策分野に基づいた指標を立て、評価しています。その結果、気候変動が人々への食料供給にもたらすことが予想される影響への備えが万全と言える国は、先進国、途上国を問わず皆無であり、その中でも影響が最も深刻でリスクが一番高いのは、世界の最貧困層と食料安全保障が確保されていない国であることが分かりました。
食料確保のために必要な10の政策
※評価の点数:各政策分野において必要とされる水準を10点とし、その水準に照らして現状を評価
政策分野1.
適応のための資金(評価1未満 /10):
先進国は貧困国の適応策に対して資金支援を行うことが必要とされていますが、必要額の2%しか現在のところ拠出されていません。
政策分野2.
社会保障(評価3 /10):
収入に占める食費の割合は貧しいほど高いといわれ、食料危機で最も影響を受けるのは貧困層の人々です。社会保障政策は、貧困層の食料へのアクセスの確保などに効果的だということが分かっていますが、世界全体で見ると、社会保障の対象となっているのは人口の2割にすぎません。
政策分野3.
食料危機支援(評価6 /10):
気候変動により食料危機へのリスクは高まっていますが、人道支援に要請された金額と、実際に各国によって拠出された金額のギャップは2001年以降3倍に拡大しました。
政策分野4.
食料備蓄(評価5 /10):
異常気象により食料生産が打撃を受けたり、食料価格が高騰した場合の備えとして、食料備蓄が重要です。しかし、世界の穀物消費に対する穀物備蓄の割合は減少傾向にあり、歴史的にみて非常に低いレベルにあります。
政策分野5.
ジェンダー(評価5 /10):
途上国において農業に従事する人々の43%が女性ですが、一般的に社会的地位が低く、公的地位を占めることが少ない女性は、防災情報などへのアクセスが著しく低いなど、気候変動への適応に不利な立場にいます。女性の置かれた文脈を適切に考慮する政策が必要です。
政策分野6.
農業分野への公的資金(評価7 /10):
世界の農業向け支援は、過去30年間で大幅に削減されました。2003年マプト宣言において、アフリカの各国首脳は、それぞれの国家予算の10%を農業に充てると約束しましたが、10年後にこの目標を達成しているのは、わずか4カ国です。
政策分野7.
農業研究開発(評価2 /10):
世界の種子の多様性は、この100年間で75%も減少しました。その土地の風土や気候の変化に適応する地域固有の在来種が失われています。変動する天候に適した在来種の再発見や種子の開発が求められています。
政策分野8.
農業灌漑(評価1未満 /10):
世界の農業の80%以上が雨水に頼っており、雨量や降雨強度の変化に対し脆弱です。ニジェール、ブルキナファソなどのアフリカ諸国では、灌漑が通っている耕作地は全体の1%未満にとどまっており、頻発する干ばつに対して厳しい状況におかれています。
政策分野9.
農作物保険(評価2 /10):
農作物保険は、農作物被害の補償や信用枠の増加、定収入の増加につながりますが、世界の農家の大半が保険に加入していません。例えば米国の91%に対し、マラウイなどの貧困国では農作物保険への加入者割合はたった1%です。
政策分野10.
気象観測(評価3 /10):
正確な気象情報の提供は、気候変動に直面する農家への助けとなりますが、例えば、日本では1,200平方キロメートルに対し観測所が1つあるのに比べ、アフリカのチャドでは80,000平方キロメートル(オーストリアに匹敵)に対し1つしかありません。
*******************
3月31日に発表される予定のIPCC第5次報告書では、地球の平均気温が3度から4度上昇した場合、適応策を講じたとしても、地球の広範囲において食料生産が困難になると警鐘を鳴らしています。
また、同報告書は食料の高騰と暴落も同時に警告しています。オックスファムの試算によると、2030年までに世界の穀物価格は2倍になり、その半分が気候変動による影響によるものです。オックスファムは、各国政府、ビジネス界、そして世界の市民に対して、気候変動、そして気候変動によって深刻化する飢餓問題に団結して取り組むことを呼びかけています。
以上
[1] 3月17日付け農林水産省発表資料http://www.maff.go.jp/j/saigai/setgai/2511.html
3月25日から横浜で開催される気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会では、気候変動による食料への影響が、今まで考えられてきた以上に深刻で喫緊の脅威であることが示されます。日本においても、昨年11月からの記録的な大雪による農林水産業への被害額が35都道府県で約1240億円に上る[1]など、気候変動の食料への影響は各国で既に生じています。
オックスファムが発表した本報告書では、気候変動の影響に対する世界の食料システムの備えを検証するため、10の政策分野に基づいた指標を立て、評価しています。その結果、気候変動が人々への食料供給にもたらすことが予想される影響への備えが万全と言える国は、先進国、途上国を問わず皆無であり、その中でも影響が最も深刻でリスクが一番高いのは、世界の最貧困層と食料安全保障が確保されていない国であることが分かりました。
食料確保のために必要な10の政策
※評価の点数:各政策分野において必要とされる水準を10点とし、その水準に照らして現状を評価
政策分野1.
適応のための資金(評価1未満 /10):
先進国は貧困国の適応策に対して資金支援を行うことが必要とされていますが、必要額の2%しか現在のところ拠出されていません。
政策分野2.
社会保障(評価3 /10):
収入に占める食費の割合は貧しいほど高いといわれ、食料危機で最も影響を受けるのは貧困層の人々です。社会保障政策は、貧困層の食料へのアクセスの確保などに効果的だということが分かっていますが、世界全体で見ると、社会保障の対象となっているのは人口の2割にすぎません。
政策分野3.
食料危機支援(評価6 /10):
気候変動により食料危機へのリスクは高まっていますが、人道支援に要請された金額と、実際に各国によって拠出された金額のギャップは2001年以降3倍に拡大しました。
政策分野4.
食料備蓄(評価5 /10):
異常気象により食料生産が打撃を受けたり、食料価格が高騰した場合の備えとして、食料備蓄が重要です。しかし、世界の穀物消費に対する穀物備蓄の割合は減少傾向にあり、歴史的にみて非常に低いレベルにあります。
政策分野5.
ジェンダー(評価5 /10):
途上国において農業に従事する人々の43%が女性ですが、一般的に社会的地位が低く、公的地位を占めることが少ない女性は、防災情報などへのアクセスが著しく低いなど、気候変動への適応に不利な立場にいます。女性の置かれた文脈を適切に考慮する政策が必要です。
政策分野6.
農業分野への公的資金(評価7 /10):
世界の農業向け支援は、過去30年間で大幅に削減されました。2003年マプト宣言において、アフリカの各国首脳は、それぞれの国家予算の10%を農業に充てると約束しましたが、10年後にこの目標を達成しているのは、わずか4カ国です。
政策分野7.
農業研究開発(評価2 /10):
世界の種子の多様性は、この100年間で75%も減少しました。その土地の風土や気候の変化に適応する地域固有の在来種が失われています。変動する天候に適した在来種の再発見や種子の開発が求められています。
政策分野8.
農業灌漑(評価1未満 /10):
世界の農業の80%以上が雨水に頼っており、雨量や降雨強度の変化に対し脆弱です。ニジェール、ブルキナファソなどのアフリカ諸国では、灌漑が通っている耕作地は全体の1%未満にとどまっており、頻発する干ばつに対して厳しい状況におかれています。
政策分野9.
農作物保険(評価2 /10):
農作物保険は、農作物被害の補償や信用枠の増加、定収入の増加につながりますが、世界の農家の大半が保険に加入していません。例えば米国の91%に対し、マラウイなどの貧困国では農作物保険への加入者割合はたった1%です。
政策分野10.
気象観測(評価3 /10):
正確な気象情報の提供は、気候変動に直面する農家への助けとなりますが、例えば、日本では1,200平方キロメートルに対し観測所が1つあるのに比べ、アフリカのチャドでは80,000平方キロメートル(オーストリアに匹敵)に対し1つしかありません。
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3月31日に発表される予定のIPCC第5次報告書では、地球の平均気温が3度から4度上昇した場合、適応策を講じたとしても、地球の広範囲において食料生産が困難になると警鐘を鳴らしています。
また、同報告書は食料の高騰と暴落も同時に警告しています。オックスファムの試算によると、2030年までに世界の穀物価格は2倍になり、その半分が気候変動による影響によるものです。オックスファムは、各国政府、ビジネス界、そして世界の市民に対して、気候変動、そして気候変動によって深刻化する飢餓問題に団結して取り組むことを呼びかけています。
以上
[1] 3月17日付け農林水産省発表資料http://www.maff.go.jp/j/saigai/setgai/2511.html