世界初、プラントの異常をドローンの鼻で検知
[23/02/27]
提供元:PRTIMES
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―ドローンに搭載した超小型ガスクロマトグラフによるマルチガスの分析―
ボールウェーブ株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役:赤尾慎吾、以下、「ボールウェーブ」という。)は、株式会社JDRONE(以下「JDRONE」という。)が運用するドローンに、ボールウェーブのガスクロマトグラフ※を搭載して、(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールド(以下、「イノベ機構RTF」という。)において実証試験を行い、試験用プラントの煙突から放出されるガスの捕集と高感度な分析に成功しました。これによって、ドローンに搭載したガスクロマトグラフによるプラントの管理や防災保安業務への適用可能性を実証しました。
JDRONE、イノベ機構 RTFおよびボールウェーブは、この成果を2023年3月17日の応用物理学会春季学術講演会で発表します。本発表は、応用物理学会プログラム編集委員が聴講を推奨する「注目講演」https://meeting.jsap.or.jp/highlightedに選定されています。
※ 中空の管をリールに巻いたカラムと呼ばれる流路を混合ガスが通過する際に時間的に分離される現象を利用して、多種類のガスの種類と濃度を測定する分析装置をガスクロマトグラフと呼ぶ。一般的には卓上に設置する大型装置で、可搬型も開発されているが感度や精度の点で大型装置を下回る。
■ 装置の工夫
化学プラントやエネルギープラントの安全で効率の良い運転には、頻繁な点検による管理が必要です。しかし、プラントには高所、高温または危険ガス放出のため人が近づけない場所が多いという課題があります。そこで、JDRONEが運用するドローンにボールウェーブの超小型ガスクロマトグラフを搭載してこの課題に取り組みました(図1)。捕集するガスがドローンのプロペラが発生する強い気流で乱されないように、ガスクロマトグラフに長さ3mのCFRP(炭素繊維複合樹脂)管で作製したサンプリング機構を接続しました。
また、プラントの管理では短時間の分析が必要です。そこで、ガスを分離する部品である金属ソレノイドカラムの長さを通常の30mから10mに変更して分析時間を短縮しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/38635/19/resize/d38635-19-00d1dbb6db764539b01b-1.png ]
■ 短時間で高感度な分析に成功
最初の適用試験として、イノベ機構 RTFの試験用プラントにおいて、この装置のプラント管理への適用性を検証しました。煙突から放出される試験用ガスを30秒間捕集して分析した結果、石油を燃焼するプラントで通常観測されるヘプタン(C7)、オクタン(C8)、ノナン(C9)を捕集時間も含めて3分という短時間で分析できました(図2)。別途行ったセンサの校正によると、捕集中のノナン(C9)の平均濃度は17ppmv(100万分の17)でした。検出信号のノイズが小さいことから、飛行中の局所的なガスの捕集という難しい条件のもとで、検出下限1 ppmv以下という高感度な分析ができました。これには、ドローンの高精度な制御によりサンプリング機構を煙突先端に安定して保持できた効果も寄与しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/38635/19/resize/d38635-19-6ab027083a6336c12324-2.png ]
■ プラントの異常検知の可能性
さらに、特筆すべき成果として、オクタン(C8)のピークの近傍に、全く性質の異なるガスであるプロピレングリコール(P)が明瞭に検出されました。このガスは、通常のプラントの正常運転では発生しません。従ってこの実験結果は、プラントの不具合で発生する異常なガスを通常のガスと分離して検出できる可能性を示しています。
世界中どこでも実現できなかったこの技術を可能にした主な要因は、一般的なガスクロマトグラフより著しく小型で重量がわずか1.2kgの超小型ガスクロマトグラフ[1]です。この装置は、新しい物理的原理[2]に基づくボールウェーブの独自センサであるボールSAWセンサを利用して開発されました。
この技術により、運転中のプラントの異常検知が可能になるので、プラントの事故の低減と運転条件の最適化によるエネルギー効率の向上に寄与します。また、公共空間での危険物の発見と識別などで、防災や保安の分野でも役に立ちます。
【文献】
[1] 岩谷等:Jpn. J. Appl. Phys. 61, SG1051 (2022).
[2] 山中等:Appl. Phys. Lett. 76, 2729 (2000).
■ ボールウェーブ株式会社について
当社は、東北大学発技術シーズであるケミカルセンサ「ボールSAW センサ」を用いて、微量水分や多種類のガスを高速・高感度にセンシングすることで、安全・安心・クリーンで持続可能な社会の実現を目指す大学発ベンチャー企業です。
水晶球が持つ高温・高圧 耐性、高耐食性に加え、従来技術と比較して約 100 倍の高感度と高速応答性を備えるボール SAW センサを搭載する微量水分計やガスクロマトグラフなどの開発・製造・販売を行っています。
ウェブサイト: http://ballwave.jp/
■ 株式会社JDRONEについて
弊社は、無人航空機の運用サービス事業を主力として、無人ヘリコプター、無人飛行機、マルチコプターなど、
業務内容に適した無人航空機を用いて、お客様のニーズに沿ったソリューションサービスを提供しております。
最も得意とする自動航行機能付きの無人ヘリコプターにおいては、東日本大震災の原発事故によって拡散した放射性物質の調査を継続的に実施し、福島復興に向け取り組んでおります。
また、一般的にドローンと呼ばれているマルチコプターにおいては、運用サービスに加えて、カスタマイズ、メンテナンス及び操縦講習も請け負っております。
ウェブサイト:https://jdrone.tokyo/lineup/
【お問い合わせ先】
ボールウェーブ株式会社(担当:管理部長 森 拓哉)
E-mail:mori@ballwave.jp / 電話番号: 022-302-6659
株式会社JDRONE(担当:担当マネージャー 平山 弘克)
E-mail:Hirokatsu_Hirayama.jdrone@totec.co.jp / 電話番号: 0244-26-6966
ボールウェーブ株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役:赤尾慎吾、以下、「ボールウェーブ」という。)は、株式会社JDRONE(以下「JDRONE」という。)が運用するドローンに、ボールウェーブのガスクロマトグラフ※を搭載して、(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールド(以下、「イノベ機構RTF」という。)において実証試験を行い、試験用プラントの煙突から放出されるガスの捕集と高感度な分析に成功しました。これによって、ドローンに搭載したガスクロマトグラフによるプラントの管理や防災保安業務への適用可能性を実証しました。
JDRONE、イノベ機構 RTFおよびボールウェーブは、この成果を2023年3月17日の応用物理学会春季学術講演会で発表します。本発表は、応用物理学会プログラム編集委員が聴講を推奨する「注目講演」https://meeting.jsap.or.jp/highlightedに選定されています。
※ 中空の管をリールに巻いたカラムと呼ばれる流路を混合ガスが通過する際に時間的に分離される現象を利用して、多種類のガスの種類と濃度を測定する分析装置をガスクロマトグラフと呼ぶ。一般的には卓上に設置する大型装置で、可搬型も開発されているが感度や精度の点で大型装置を下回る。
■ 装置の工夫
化学プラントやエネルギープラントの安全で効率の良い運転には、頻繁な点検による管理が必要です。しかし、プラントには高所、高温または危険ガス放出のため人が近づけない場所が多いという課題があります。そこで、JDRONEが運用するドローンにボールウェーブの超小型ガスクロマトグラフを搭載してこの課題に取り組みました(図1)。捕集するガスがドローンのプロペラが発生する強い気流で乱されないように、ガスクロマトグラフに長さ3mのCFRP(炭素繊維複合樹脂)管で作製したサンプリング機構を接続しました。
また、プラントの管理では短時間の分析が必要です。そこで、ガスを分離する部品である金属ソレノイドカラムの長さを通常の30mから10mに変更して分析時間を短縮しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/38635/19/resize/d38635-19-00d1dbb6db764539b01b-1.png ]
■ 短時間で高感度な分析に成功
最初の適用試験として、イノベ機構 RTFの試験用プラントにおいて、この装置のプラント管理への適用性を検証しました。煙突から放出される試験用ガスを30秒間捕集して分析した結果、石油を燃焼するプラントで通常観測されるヘプタン(C7)、オクタン(C8)、ノナン(C9)を捕集時間も含めて3分という短時間で分析できました(図2)。別途行ったセンサの校正によると、捕集中のノナン(C9)の平均濃度は17ppmv(100万分の17)でした。検出信号のノイズが小さいことから、飛行中の局所的なガスの捕集という難しい条件のもとで、検出下限1 ppmv以下という高感度な分析ができました。これには、ドローンの高精度な制御によりサンプリング機構を煙突先端に安定して保持できた効果も寄与しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/38635/19/resize/d38635-19-6ab027083a6336c12324-2.png ]
■ プラントの異常検知の可能性
さらに、特筆すべき成果として、オクタン(C8)のピークの近傍に、全く性質の異なるガスであるプロピレングリコール(P)が明瞭に検出されました。このガスは、通常のプラントの正常運転では発生しません。従ってこの実験結果は、プラントの不具合で発生する異常なガスを通常のガスと分離して検出できる可能性を示しています。
世界中どこでも実現できなかったこの技術を可能にした主な要因は、一般的なガスクロマトグラフより著しく小型で重量がわずか1.2kgの超小型ガスクロマトグラフ[1]です。この装置は、新しい物理的原理[2]に基づくボールウェーブの独自センサであるボールSAWセンサを利用して開発されました。
この技術により、運転中のプラントの異常検知が可能になるので、プラントの事故の低減と運転条件の最適化によるエネルギー効率の向上に寄与します。また、公共空間での危険物の発見と識別などで、防災や保安の分野でも役に立ちます。
【文献】
[1] 岩谷等:Jpn. J. Appl. Phys. 61, SG1051 (2022).
[2] 山中等:Appl. Phys. Lett. 76, 2729 (2000).
■ ボールウェーブ株式会社について
当社は、東北大学発技術シーズであるケミカルセンサ「ボールSAW センサ」を用いて、微量水分や多種類のガスを高速・高感度にセンシングすることで、安全・安心・クリーンで持続可能な社会の実現を目指す大学発ベンチャー企業です。
水晶球が持つ高温・高圧 耐性、高耐食性に加え、従来技術と比較して約 100 倍の高感度と高速応答性を備えるボール SAW センサを搭載する微量水分計やガスクロマトグラフなどの開発・製造・販売を行っています。
ウェブサイト: http://ballwave.jp/
■ 株式会社JDRONEについて
弊社は、無人航空機の運用サービス事業を主力として、無人ヘリコプター、無人飛行機、マルチコプターなど、
業務内容に適した無人航空機を用いて、お客様のニーズに沿ったソリューションサービスを提供しております。
最も得意とする自動航行機能付きの無人ヘリコプターにおいては、東日本大震災の原発事故によって拡散した放射性物質の調査を継続的に実施し、福島復興に向け取り組んでおります。
また、一般的にドローンと呼ばれているマルチコプターにおいては、運用サービスに加えて、カスタマイズ、メンテナンス及び操縦講習も請け負っております。
ウェブサイト:https://jdrone.tokyo/lineup/
【お問い合わせ先】
ボールウェーブ株式会社(担当:管理部長 森 拓哉)
E-mail:mori@ballwave.jp / 電話番号: 022-302-6659
株式会社JDRONE(担当:担当マネージャー 平山 弘克)
E-mail:Hirokatsu_Hirayama.jdrone@totec.co.jp / 電話番号: 0244-26-6966