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スペクトラム社の8チャネルデジタイザシステムが雷研究に採用

稲妻生成の謎の解明にスペクトラム社のADCカードが貢献

デジタイザなどの計測機器メーカであるスペクトラム・インスツルメンテーション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ /以下、スペクトラム社)のADC(A/Dコンバータ)カードが、稲妻の生成の謎に迫る研究のためにデューク大学の科学者チームに採用されました。




雷の稲妻が発生するメカニズムは複雑で、未だ完全には解き明かされていません。米国ノースカロライナ州のデューク大学では、カマー教授(Prof. Cummer)率いるチームがこの謎の解明に挑戦しています。稲妻は多くの場合、不透明な雲の中で発生するため、その中で何が起きているのかを見ることができません。しかし、稲妻が放つ閃光は、捕捉し観測が可能なUHF(極超短波)とVHF(超短波)の周波数帯の電波も発生させています。ここでの課題は、稲妻発生前と発生中の数秒間に膨大な量のデータを処理し記録しなければならないということです。デューク大学の科学者らは、この課題に対処するために、スペクトラム社のADCカードを採用しました。この研究の目的は、稲妻が生成される仕組みを理解し、その知識を活かして落雷の被害から建物を守ること、また気候変動が雷雨の発生件数の増減に関与しているかどうかを理解することにあります。

[画像1: https://prtimes.jp/i/95734/19/resize/d95734-19-64fa1224bf757c34462b-0.jpg ]

同期させた2枚のM4i.4451-x8デジタイザを雷研究に使用

デューク大学電気・コンピューター工学科のスティーブン・A・カマー(Steven A. Cummer)教授は、次のように説明しています。「数年前まで、このような膨大なデータを捕捉したり処理したりできるものは存在しませんでした。私たちの研究では、活発な雷雨の発生中、1時間あたり1TBを超えるデータを記録する必要が生じることがよくあります。そこで、4チャネルを備えたスペクトラム社のM4i.4451-x8デジタイザカードを選択し、2枚を録画装置に搭載することにしました。2枚のデジタイザカードは、スペクトラム社のStar-Hubを介して接続されていて、8基のアンテナからのデータを同時に記録することが可能です。アンテナを使用して干渉計を形成しているので、Star-Hubがすべてを完全に、確実に同期を保証してくれることは非常に重要です。異なるアンテナが拾う信号間のわずかな時間差から、最大で50km先まで稲妻の発生場所を特定することができます。採用したADCカードは、各チャネルのサンプリングレードが500MS/sあり、必要とする大量のデータを収集することが可能です。また、14ビットの分解能は、微小な信号をすべて確実に捕捉してくれます」

稲妻発生直前の貴重な一瞬を捉える


カマー教授の研究の一部は、稲妻が発生する直前と直後の瞬間に焦点を当てたものです。一旦生成された稲妻の構造は解明されています。稲妻は、長さが数百メートルに及ぶこともある、イオン化した高温の空気の通り道です。「私たちが挑む課題は、稲妻が発生する前のデータを捉えることです。過去に遡ってデータを収集する簡単な方法が存在しない以上、閃光のデータの取得を光学的な方法に頼っているうちは発生前データの収集は事実上不可能です」と、カマー教授は言います。「ところが今、スペクトラム製品を基本にしたシステムを採用したことにより、稲妻発生前のデータを捉えることができるようになりました。このデジタイザカードは、常にデータを記録し、必要のないデータは上書きします。稲妻現象の発生がトリガとなり、発生直後の1秒間だけでなく、発生直前の1秒間のデータも記録するのです。これは、データがカードのメモリ内に常に取り込まれていて、トリガされた場合にのみ保存される仕組みだからです。カードのメモリは1枚につき2ギガサンプルで、私たちが必要とする毎秒数百メガサンプルの信号すべてを捉えるのに十分なストレージスペースを有しています。信号は取得後、SDDに書き込まれます。それが完了するとシステムは即座にリセットされ、次の稲妻現象のデータを記録し始めます。稲妻が数時間にわたり数秒おきに発生するような激しい雷雨からデータを取得するためには、このように継続的に記録できることが不可欠です」
カマー教授は、8チャネルのシステムについて、カードの制御とプログラミングをスペクトラム社の計測ソフトウェア「SBench 6」を使用して行っていると説明しています。「非常に使いやすく汎用性の高いソフトウェアです。おかげでこのプロジェクトでは、専用のソフトウェアプログラムをゼロから作成する必要がなく、時間を節約することができました」
[画像2: https://prtimes.jp/i/95734/19/resize/d95734-19-c170f6d94236a26ec026-1.jpg ]

8基あるアンテナのうちの1基を設置するカマー教授

雷が放出するガンマ線


カマー教授と彼のチームが調査しているもう1つの謎は、なぜ雷には高エネルギーのガンマ線を発生させるものとさせないものがあるのかということです。雷からガンマ線が放出されることは、30年近く前に発見されました。人工衛星に搭載されたガンマ線検出装置が、地球から放出される信号を検知したのです。それまで科学者たちは、ガンマ線は深宇宙からのみ発せられるものと考えていました。雷雨で発生するガンマ線は閃光が生じる直前に放出されるため、このプロジェクトで収集された稲妻の発生前データは、物理学者がこの種のガンマ線の発生メカニズムを理解するのに大きく貢献することでしょう。

雷解析の一例


8基のアンテナを備えたこの8チャネルのシステムは移動が可能ですが、今までのところ、ダーラムにあるデューク大学校内に固定された状態で運用されています。2019年4月12日21:24:40UTCに、ここで解析された稲妻の閃光が記録されました。注目すべきは、この閃光全体が雷雲の中で発生しており、地上から見えたのは稲妻が反射して光る雲だけだった点です。しかし、VHF帯電波を計測することにより、右のダイアグラムが示すように稲妻の構造全体を捉えることに成功しました。方位角と高度をもとに、空中のあらゆるポジションが明確に示されています。下記リンクから、稲妻のタイミングシーケンスを表した動画を見ることができます。この動画は、1秒間の閃光をスローモーションで48秒に引き伸ばしたものです。画面に現れる点はそれぞれ、閃光から検出され位置が特定された異なる電波源を示しています。これらすべての点を一緒に表示したことで、稲妻発生時の空間と時間の構造が非常に鮮明に映し出されました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/95734/19/resize/d95734-19-fca564a57479b752af85-2.jpg ]

動画のリンク:
https://spectrum-instrumentation.com/videos/lightning.mp4

スティーブン・カマー教授とヤンジャオ・プー博士(Dr. Yunjiao Pu)による研究論文は、この雷現象を詳しく分析しています。
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1029/2019GL085635

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は30年間に、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com/をご確認ください。
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