デーティングサービスでの“盛られた”プロフィール写真によって作られた理想と現実との乖離について、研究内容をWISS 2016で発表
[16/12/14]
提供元:PRTIMES
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研究論文名:「プロフィール写真の理想と現実の乖離を緩和させるDating Serviceの検討」
株式会社 Diverse(東京都渋谷区、代表取締役社長:津元 啓史)の恋愛を学術的に研究する「Diverse 技術研究所」(岩本拓也、絵空摩耶、栗原一貴<津田塾大学学芸学部情報科学科准教授>)と、「北陸先端科学技術大学院大学知識科学系、ヒューマンライフデザイン領域」西本一志教授の研究グループは、加工後のプロフィール写真から徐々に「盛り」を減少させ、その変化に被験者が気づくかどうかの調査を実施しました。この研究成果を、本年12月14日(水)に、24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016 (WISS 2016)(※1)において、発表いたしました。
■研究の概要
デーティングサービス(※2)で自分の写真を加工(盛る)することは一般的になってきました。
加工された写真は相手に魅力的に映ることが多く、オンライン上でのコミュニケーションがより円滑に進む可能性があります。しかし、実際に対面する際に加工されたプロフィール写真によって作られた理想と現実に乖離があると、相手にネガティブな印象を与えかねません。
そこで我々は、コミュニケーション開始時には加工した写真を使い、これを徐々に加工前の状態に戻すことで実際の対面時に相手に与えるギャップ感を緩和させるシステムの構築を目指し、被験者に加工が徐々に減少する写真を提示し、変化に気がつくかを調査しました。
■論文発表の概要
【研究論文名】
プロフィール写真の理想と現実の乖離を緩和させるDating Service の検討
https://www.wiss.org/WISS2016Proceedings/demo/3-A02.pdf
【本研究に携わった研究者】
岩本拓也1、絵空摩耶1、栗原一貴2、西本一志3
【所属】
1Diverse技術研究所、2津田塾大学、3北陸先端科学技術大学院大学
【公開学会】
24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016 (WISS 2016)
【公表日】
2016年12月14日
■研究成果の概要
(背景)
人間は大きな変化も徐々に変化させることで、さほど変化を認知できないことがわかっており、Changing Blindnessと呼ばれています。そこで我々は、加工した写真を使ってコミュニケーションが開始されたとしても、徐々に加工前の状態に戻すことで、実際での対面時に相手へのギャップを緩和させることが可能と仮説立てました。本研究では予備実験として、被験者に加工が減少する写真を提示し、変化に気がつくかの調査を行いました。
(研究手法)
実験は3名の女性被験者に自撮り写真(加工前・加工後)を提供してもらい、それを30秒(表1)と5秒(表2)で加工後から加工前に変化させた動画を作成しました。図1は加工前と加工後の差分を可視化したものです。黒色は変化が無く、赤色が若干の変化、黄色が大きく変化した部位を示しています。10名の被験者(男女5名づつ)には事前に顔のどこかが変化することを伝え、変化したポイントを適切に回答できるかを調査しました。
【実験イメージ動画】
30秒変化:https://youtu.be/QJyHrI6U3V0
5秒変化:https://youtu.be/m-46wuX1HYM
[画像1: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-743722-1.jpg ]
(実験結果)
[画像2: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-741531-2.jpg ]
[画像3: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-943543-3.jpg ]
実験の結果、1人あたりの平均正答数が7箇所の変化に対して1.2箇所と低い値になりました。また、男女別の正答率も男性1.2箇所、女性1.2箇所と同等の値になり、性差は見られませんでした。
以上の結果から、加工の度合いにもよりますが、人間の顔画像を加工後から加工前へと変化させたとしても閲覧者はその変化に気づきにくいということが判明しました。しかし、顔や度合いにもよりますが、顔のパーツ(目や鼻)を加工した場合は顔の輪郭を加工し小顔にするよりも、変化に気がつきやすい可能性がでてきました。また、5秒間の動画では変化が急激に起きますが、その分変化に認知できるわけではない可能性が示唆されました。
■研究内容のポイント
[画像4: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-702830-0.jpg ]
美化を目的としたプロフィール写真の加工を「盛る(もる)」と呼ぶ。デーティングサービスで加工された写真を使用し、実際に対面する際には、加工された写真からのイメージと実際の雰囲気で乖離が生じてしまう。
10名の被験者に7箇所加工済みの写真から未加工の写真に変化することを伝えた上で変化部分を確認したが、全ての変化に気づいたものはおらず、一人あたり最大で2箇所、平均1.2箇所であった。
変化にかける時間が長いほど気づきづらい事が推測されるため、相手に与える印象の影響を緩和させるコミュニケーションツールを開発し、実サービスでの利用を目指す。
■今後の展望
Diverse技術研究所としての最終的な目的は、この実験から得たものを実際のデーティングサービスとして利用できるものにすることです。その場合、利用者は本稿での実験条件よりもはるかに長い時間をかけてゆっくり変化する画像を見ることになるため、より変化に気がつきにくいと予想されます(実験では30秒でしたが,実際のサービスでは数日かけて変化していきます)。
今後は、徐々に変化させることで相手に与える印象への影響や、デーティングサービスを想定したチャットのようなコミュニケーションツールを開発し、実サービスを想定した実験を行っていきます。
(注釈)
※1 WISS 2016 … 24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016。日本ソフトウェア科学会、インタラクティブシステムとソフトウェア研究会が主催するインタラクティブシステムの大型ワークショップ。
※2 デーティングサービス(Dating Service) … 海外における恋愛・婚活支援サービスの呼称であり、主にオンラインのサービスを指す。
株式会社 Diverse(東京都渋谷区、代表取締役社長:津元 啓史)の恋愛を学術的に研究する「Diverse 技術研究所」(岩本拓也、絵空摩耶、栗原一貴<津田塾大学学芸学部情報科学科准教授>)と、「北陸先端科学技術大学院大学知識科学系、ヒューマンライフデザイン領域」西本一志教授の研究グループは、加工後のプロフィール写真から徐々に「盛り」を減少させ、その変化に被験者が気づくかどうかの調査を実施しました。この研究成果を、本年12月14日(水)に、24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016 (WISS 2016)(※1)において、発表いたしました。
■研究の概要
デーティングサービス(※2)で自分の写真を加工(盛る)することは一般的になってきました。
加工された写真は相手に魅力的に映ることが多く、オンライン上でのコミュニケーションがより円滑に進む可能性があります。しかし、実際に対面する際に加工されたプロフィール写真によって作られた理想と現実に乖離があると、相手にネガティブな印象を与えかねません。
そこで我々は、コミュニケーション開始時には加工した写真を使い、これを徐々に加工前の状態に戻すことで実際の対面時に相手に与えるギャップ感を緩和させるシステムの構築を目指し、被験者に加工が徐々に減少する写真を提示し、変化に気がつくかを調査しました。
■論文発表の概要
【研究論文名】
プロフィール写真の理想と現実の乖離を緩和させるDating Service の検討
https://www.wiss.org/WISS2016Proceedings/demo/3-A02.pdf
【本研究に携わった研究者】
岩本拓也1、絵空摩耶1、栗原一貴2、西本一志3
【所属】
1Diverse技術研究所、2津田塾大学、3北陸先端科学技術大学院大学
【公開学会】
24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016 (WISS 2016)
【公表日】
2016年12月14日
■研究成果の概要
(背景)
人間は大きな変化も徐々に変化させることで、さほど変化を認知できないことがわかっており、Changing Blindnessと呼ばれています。そこで我々は、加工した写真を使ってコミュニケーションが開始されたとしても、徐々に加工前の状態に戻すことで、実際での対面時に相手へのギャップを緩和させることが可能と仮説立てました。本研究では予備実験として、被験者に加工が減少する写真を提示し、変化に気がつくかの調査を行いました。
(研究手法)
実験は3名の女性被験者に自撮り写真(加工前・加工後)を提供してもらい、それを30秒(表1)と5秒(表2)で加工後から加工前に変化させた動画を作成しました。図1は加工前と加工後の差分を可視化したものです。黒色は変化が無く、赤色が若干の変化、黄色が大きく変化した部位を示しています。10名の被験者(男女5名づつ)には事前に顔のどこかが変化することを伝え、変化したポイントを適切に回答できるかを調査しました。
【実験イメージ動画】
30秒変化:https://youtu.be/QJyHrI6U3V0
5秒変化:https://youtu.be/m-46wuX1HYM
[画像1: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-743722-1.jpg ]
(実験結果)
[画像2: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-741531-2.jpg ]
[画像3: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-943543-3.jpg ]
実験の結果、1人あたりの平均正答数が7箇所の変化に対して1.2箇所と低い値になりました。また、男女別の正答率も男性1.2箇所、女性1.2箇所と同等の値になり、性差は見られませんでした。
以上の結果から、加工の度合いにもよりますが、人間の顔画像を加工後から加工前へと変化させたとしても閲覧者はその変化に気づきにくいということが判明しました。しかし、顔や度合いにもよりますが、顔のパーツ(目や鼻)を加工した場合は顔の輪郭を加工し小顔にするよりも、変化に気がつきやすい可能性がでてきました。また、5秒間の動画では変化が急激に起きますが、その分変化に認知できるわけではない可能性が示唆されました。
■研究内容のポイント
[画像4: http://prtimes.jp/i/18971/20/resize/d18971-20-702830-0.jpg ]
美化を目的としたプロフィール写真の加工を「盛る(もる)」と呼ぶ。デーティングサービスで加工された写真を使用し、実際に対面する際には、加工された写真からのイメージと実際の雰囲気で乖離が生じてしまう。
10名の被験者に7箇所加工済みの写真から未加工の写真に変化することを伝えた上で変化部分を確認したが、全ての変化に気づいたものはおらず、一人あたり最大で2箇所、平均1.2箇所であった。
変化にかける時間が長いほど気づきづらい事が推測されるため、相手に与える印象の影響を緩和させるコミュニケーションツールを開発し、実サービスでの利用を目指す。
■今後の展望
Diverse技術研究所としての最終的な目的は、この実験から得たものを実際のデーティングサービスとして利用できるものにすることです。その場合、利用者は本稿での実験条件よりもはるかに長い時間をかけてゆっくり変化する画像を見ることになるため、より変化に気がつきにくいと予想されます(実験では30秒でしたが,実際のサービスでは数日かけて変化していきます)。
今後は、徐々に変化させることで相手に与える印象への影響や、デーティングサービスを想定したチャットのようなコミュニケーションツールを開発し、実サービスを想定した実験を行っていきます。
(注釈)
※1 WISS 2016 … 24th Workshop on Interactive Systems and Software 2016。日本ソフトウェア科学会、インタラクティブシステムとソフトウェア研究会が主催するインタラクティブシステムの大型ワークショップ。
※2 デーティングサービス(Dating Service) … 海外における恋愛・婚活支援サービスの呼称であり、主にオンラインのサービスを指す。