食料ロス・廃棄削減への大きな進展がSDGs達成の鍵 2019年版世界食料農業白書
[19/10/23]
提供元:PRTIMES
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FAOの最新の世界食料農業白書では、食料ロスの効果的削減に向けた適切な対策の特定に役立つ、収穫後から小売の前段階までの食料ロスの新しい推定値を提供している。
[画像: https://prtimes.jp/i/36027/20/resize/d36027-20-404081-0.jpg ]
ローマ―国連食糧農業機関(FAO)が10月14日に発行した新しい報告書は、サプライチェーンの様々な段階において、どれだけの食料が、どこで、なぜ無駄にされたかを明らかにすると同時に、効果的な削減のための意思決定を呼びかけ、進捗を測定する新しい方法を示しています。
これらの新たな情報は、食料ロス・廃棄を削減するという重要なターゲットの達成に役立つだけでなく、食料安全保障と環境の持続可能性に関連する数多くの持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献できる、と報告書は述べています。
2019年版世界食料農業白書は、農場での処理や保管、輸送を含め、収穫してから小売に達する前までの段階で、世界の食料の約14パーセントが失われてると報告しています。 ただし食料ロスは、同じ商品群やサプライチェーンの段階でも、地域によって大きなばらつきがあります。
報告書は、サプライチェーンの各段階での食料ロスを慎重に測定する必要性を強調し、新しい方法論を提供しています。 これにより、サプライチェーン全体を通して食料が損なわれる主要な箇所を特定しやすくなります。 これらの箇所は、食料ロスが最大規模であり、食料安全保障と経済的側面へ最大の影響を及ぼし、削減のための適切な対策を特定すべき箇所なのです。
報告書はまた、保存期間の制限、外観の美的基準を満たす食品を求める消費者行動、食料廃棄削減へのインセンティブの低さに関連する、小売・消費レベルでの食料廃棄削減の重要性も指摘しています。
屈冬玉FAO事務局長は本書の序文で、「食料ロス・廃棄削減への前進の努力は、その取り組みが問題の確固たる理解に基づいている場合にのみ、真に効果的です」と述べています。屈事務局長はまた、「世界中で8億2000万人以上が毎日空腹をかかえている時に、どうして我々は食べ物を捨てることができるのでしょうか?」と問いかけています。
的を絞った行動のために、食料ロスの決定的箇所を特定する
報告書は、食品間、サプライチェーンの各段階、地域毎でのロス・廃棄の割合に、大きなばらつきがあるとし、割合が高い箇所に削減の大きな可能性があることを示唆しています。
一般に食料ロス・廃棄は、穀物・豆類よりも果物・野菜の方がサプライチェーンの全段階で多くなりますが、例外は農場と東アジア・東南アジアにおける輸送段階です。
低所得国では、先進国に比べて整備が遅れているインフラに起因し、新鮮な果物や野菜に食料ロスが多く見られます。実際、多くの低所得国では、冷蔵倉庫などの貯蔵施設が整っていないため、保管中に大量の食料を損失してしまいます。
ほとんどの高所得国では冷蔵倉庫を含めた適切な保管施設がサプライチェーン全体で利用可能な状況であるにもかかわらず、技術的な故障や温度・湿度の管理不備、過剰在庫のために、やはり保管段階で食料ロスが発生します。
本報告書では、食料ロスの決定的な箇所を特定するために、FAOが実施した多くのケーススタディによる結果も報告しています。 それらの結果では、あらゆる種類の食品において最も頻繁に特定される食料ロスの決定的箇所は、収穫の段階であると指摘しています。 農場での保管中の食料ロスの主な原因としては、不十分な貯蔵施設や処理方法も挙げられています。 果物や根茎・塊茎作物では、包装や輸送も食料ロス発生の決定的な原因です。
このような調査結果は、食料ロス削減のためにどのような介入が可能かを特定する際に、貴重な指針を提供します。
インセンティブを正しく与える
報告書は各国に対して、あらゆる段階での食料ロス・廃棄の根本原因に取り組む努力を強化するよう促し、食料ロス・廃棄を減らすための政策と介入のための指針を提示しています。
食料ロス・廃棄削減には、一般的に費用がかかり、農家・供給業者・消費者は、利益が費用を上回る場合にのみ、必要な措置を講じます。 したがって、サプライチェーン上の様々な利害関係者のインセンティブを改善するためには、純利益を増やすか、あるいは既存の純利益に関するより良い情報を提供できるような選択肢を見つけ出す必要があります。
利害関係者は、食料ロス・廃棄削減の利点を認識していても、行動を実行に移すことを妨げる制約に直面することがあります。 例えば、開発途上国の民間セクター、特に小規模農家は、財政的支援がなければ、そのような行動の実践にかかる高価な初期費用を負担できない可能性があります。 食料ロスに関する詳細な情報がない場合には、借り入れをしやすくするという選択肢もあります。
この報告書は、政府がより効率的な介入のための制約や妥協策を分析する上でも役立ちます。 例えば、食料ロス・廃棄を減らすことの利点について供給者と消費者に意識啓発を行い、様々な形の行動や政策を通じて供給者と消費者の意思決定に影響を与えることができます。
しかし報告書は、食料ロス・廃棄を減らすことを目的とした政策措置には一貫性が必要であり、既存の行動や取り組みの説明責任を果たすために、介入策に対する効果的なモニタリングと評価が組み込まれるべきであると強調しています。
原文プレスリリース(英語)はこちら
A major step forward in reducing food loss and waste is critical to achieve the SDGs
http://www.fao.org/news/story/en/item/1238015/
2019年版世界食料農業白書は以下からご覧いただけます。
The State of Food and Agriculture in the World (SOFA 2019)
http://www.fao.org/state-of-food-agriculture/en/
[表: https://prtimes.jp/data/corp/36027/table/20_1.jpg ]
[画像: https://prtimes.jp/i/36027/20/resize/d36027-20-404081-0.jpg ]
ローマ―国連食糧農業機関(FAO)が10月14日に発行した新しい報告書は、サプライチェーンの様々な段階において、どれだけの食料が、どこで、なぜ無駄にされたかを明らかにすると同時に、効果的な削減のための意思決定を呼びかけ、進捗を測定する新しい方法を示しています。
これらの新たな情報は、食料ロス・廃棄を削減するという重要なターゲットの達成に役立つだけでなく、食料安全保障と環境の持続可能性に関連する数多くの持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献できる、と報告書は述べています。
2019年版世界食料農業白書は、農場での処理や保管、輸送を含め、収穫してから小売に達する前までの段階で、世界の食料の約14パーセントが失われてると報告しています。 ただし食料ロスは、同じ商品群やサプライチェーンの段階でも、地域によって大きなばらつきがあります。
報告書は、サプライチェーンの各段階での食料ロスを慎重に測定する必要性を強調し、新しい方法論を提供しています。 これにより、サプライチェーン全体を通して食料が損なわれる主要な箇所を特定しやすくなります。 これらの箇所は、食料ロスが最大規模であり、食料安全保障と経済的側面へ最大の影響を及ぼし、削減のための適切な対策を特定すべき箇所なのです。
報告書はまた、保存期間の制限、外観の美的基準を満たす食品を求める消費者行動、食料廃棄削減へのインセンティブの低さに関連する、小売・消費レベルでの食料廃棄削減の重要性も指摘しています。
屈冬玉FAO事務局長は本書の序文で、「食料ロス・廃棄削減への前進の努力は、その取り組みが問題の確固たる理解に基づいている場合にのみ、真に効果的です」と述べています。屈事務局長はまた、「世界中で8億2000万人以上が毎日空腹をかかえている時に、どうして我々は食べ物を捨てることができるのでしょうか?」と問いかけています。
的を絞った行動のために、食料ロスの決定的箇所を特定する
報告書は、食品間、サプライチェーンの各段階、地域毎でのロス・廃棄の割合に、大きなばらつきがあるとし、割合が高い箇所に削減の大きな可能性があることを示唆しています。
一般に食料ロス・廃棄は、穀物・豆類よりも果物・野菜の方がサプライチェーンの全段階で多くなりますが、例外は農場と東アジア・東南アジアにおける輸送段階です。
低所得国では、先進国に比べて整備が遅れているインフラに起因し、新鮮な果物や野菜に食料ロスが多く見られます。実際、多くの低所得国では、冷蔵倉庫などの貯蔵施設が整っていないため、保管中に大量の食料を損失してしまいます。
ほとんどの高所得国では冷蔵倉庫を含めた適切な保管施設がサプライチェーン全体で利用可能な状況であるにもかかわらず、技術的な故障や温度・湿度の管理不備、過剰在庫のために、やはり保管段階で食料ロスが発生します。
本報告書では、食料ロスの決定的な箇所を特定するために、FAOが実施した多くのケーススタディによる結果も報告しています。 それらの結果では、あらゆる種類の食品において最も頻繁に特定される食料ロスの決定的箇所は、収穫の段階であると指摘しています。 農場での保管中の食料ロスの主な原因としては、不十分な貯蔵施設や処理方法も挙げられています。 果物や根茎・塊茎作物では、包装や輸送も食料ロス発生の決定的な原因です。
このような調査結果は、食料ロス削減のためにどのような介入が可能かを特定する際に、貴重な指針を提供します。
インセンティブを正しく与える
報告書は各国に対して、あらゆる段階での食料ロス・廃棄の根本原因に取り組む努力を強化するよう促し、食料ロス・廃棄を減らすための政策と介入のための指針を提示しています。
食料ロス・廃棄削減には、一般的に費用がかかり、農家・供給業者・消費者は、利益が費用を上回る場合にのみ、必要な措置を講じます。 したがって、サプライチェーン上の様々な利害関係者のインセンティブを改善するためには、純利益を増やすか、あるいは既存の純利益に関するより良い情報を提供できるような選択肢を見つけ出す必要があります。
利害関係者は、食料ロス・廃棄削減の利点を認識していても、行動を実行に移すことを妨げる制約に直面することがあります。 例えば、開発途上国の民間セクター、特に小規模農家は、財政的支援がなければ、そのような行動の実践にかかる高価な初期費用を負担できない可能性があります。 食料ロスに関する詳細な情報がない場合には、借り入れをしやすくするという選択肢もあります。
この報告書は、政府がより効率的な介入のための制約や妥協策を分析する上でも役立ちます。 例えば、食料ロス・廃棄を減らすことの利点について供給者と消費者に意識啓発を行い、様々な形の行動や政策を通じて供給者と消費者の意思決定に影響を与えることができます。
しかし報告書は、食料ロス・廃棄を減らすことを目的とした政策措置には一貫性が必要であり、既存の行動や取り組みの説明責任を果たすために、介入策に対する効果的なモニタリングと評価が組み込まれるべきであると強調しています。
原文プレスリリース(英語)はこちら
A major step forward in reducing food loss and waste is critical to achieve the SDGs
http://www.fao.org/news/story/en/item/1238015/
2019年版世界食料農業白書は以下からご覧いただけます。
The State of Food and Agriculture in the World (SOFA 2019)
http://www.fao.org/state-of-food-agriculture/en/
[表: https://prtimes.jp/data/corp/36027/table/20_1.jpg ]