インターブランド 小売ブランドのブランドランキングを発表〜 「世界的に小売業界に回復の兆し」米国ではWalmart が3年連続第1位、・Uniqlo はアジアパシフィックで第2位にランク〜
[11/04/06]
提供元:PRTIMES
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2011 年3 月29 日、Interbrand New York
世界的なブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、昨年に引き続き、世界のリテール・セクターを対象とした“Best Retail Brands 2011”を公表しました。
“Best Retail Brands 2011” レポートでは、ブランド価値で評価した米国のトップ50 ブランドをはじめ、アジアパシフィック、カナダ、英国、フランス、ドイツ、スペインの各市場のトップ・リテール・ブランドをランク付けしています。米国ブランドの評価は、本年で3 回目となります。米国ではWalmart が3 年連続でもっとも価値のあるリテール・ブランドの座を占め、その他の市場においてはWoolworths(アジアパシフィック)、Shoppers Drug Mart(カナダ)、Tesco(英国)、Carrefour(フランス)、ALDI(ドイツ)、Zara(スペイン)がそれぞれトップにランクされています。
2008 年、世界的不況の震源地となった米国。しかし、そのリテール業界は今、復活への道を歩み始めていることを調査結果は示しています。また欧州諸国の小売業者は、財布の紐を堅くしている消費者を相手にいっそうの価値創出努力を迫られており、アジアでは市場が消費者の嗜好を拡大するなか、小売業者は好機と課題の両方に直面しています。
インターブランドのグローバルCEOのJez Frampton は次のように述べています。「個人消費意欲は戻りつつあるものの、不況や市場開放、さらには人々の購買活動の仕方や場所に影響を及ぼす急速な技術革新により、消費者の行動は大きく様変わりしています。であれば小売業者としては、猜疑心を強めデジタルに精通した顧客と真の関係を築くエキサイティングな機会を創出することが必要です。」
急激な変化を特徴とするこうした環境下にあっても、ブランドを重視する企業の立ち直りの速さが証明されつつあります。
インターブランドデザインフォーラムのCEO、Bruce Dybvad は次のように述べています。「この2年間ほど、店舗拡大の動きは鈍っていますが、小売業者は顧客がもっとも求めるものにフォーカスしました。昨年、非常に好調だったブランドは顧客を理解する能力の高さを実証し、中核顧客層との関係を強化する革新的手法を見出しています。」
■リテール・セクター全体に見られる世界的に顕著な傾向
デジタル化の拡大:
テクノロジーが新たな可能性を生み出しつつあるなか、消費者は可能な限りシームレスなリテール体験を求めています。Macy、Whole Food などのブランドは顧客の声に耳を傾けながら研究開発をイノベーションと連動させ、お洒落なiPad アプリや双方向型マイクロサイトにもブランド展開しています。
社会への関心:
真の個性、明確な基本的価値観、コミュニティーへの関心を持つブランドほど、高い収益性が期待されます。コーポレート・シティズンシップの慣行が普及しつつあり、意志決定プロセスにおける差別化要因になる可能性を秘めています。Marks & Spencer は、2015 年までに世界でもっともサステナビリティの高い小売業者になる計画を進めています。
グローバル展開:
競争相手は国内のみならず国外にもいることを、リテール・ブランドは認識すべきです。多くの小売業者が国際的プレゼンスを確立しつつあり、また細分化された市場を開拓するためには、多面的なイニシアチブが不可欠になってきています。すでにアジアや米国に地歩を築いているZara は、今後オーストラリアや南アフリカにも進出する計画です。このスペインのブランドは国内市場で実績を積み重ねつつ、驚異的なスピードで拡大を続けています。
■グローバル(市場別)分析
米国: ブランド重視の企業は回復力に優れ、不況への迅速対応でピンチをチャンスに変える
不況を受け、イノベーション熱が再燃しています。Publix は、果てしない通路をガラガラとカートを押して行く従来型のスーパーマーケットに新たな価値を付加しようとしています。食料品販売にとどまらず、店舗内での健康診断や時には抗生剤の無償頒布など、顧客との関係構築に有効なプログラムを提供することで、このブランドは年々利益を拡大しています。
アジアパシフィック: 新しい価値の認識
アジアパシフィック地域の消費者は賢さを増し、知識を蓄え、要求も厳しくなっています。Woolworth やYamada Denki は、優れた品質を手頃な価格で提供することで顧客を引き付けています。インターネットの普及により消費者パワーは確実に強化されたものの、国内小売業者は顧客関係に取り組み、これを維持するためには、独自の顧客体験の提供に関して外国の競合企業から学ぶ点が少なくありません。
カナダ: 米国企業の進出を迎え撃つLululemon Athletica などカナダの強力ブランドにとっては、国内市場の足場固めが鍵となる
カナダの小売業者がブランドへの顧客ロイヤリティを維持するためには、国内消費者を引き付ける要因を分析して説得力ある提案をし、それを実現させることが不可欠です。
英国: 高価値を求める顧客の声を誤解して低価値製品を低価格で提供したブランドもあるなか、英国のブランドは顧客体験や製品品質を損なうことなく低価格化に取り組んでいる
さらに、Next などの英国ブランドは、実店舗、オンラインショップ、カタログなどマルチチャネル・プラットフォームを駆使して製品を引き立たせ、消費者に有意義な体験を提供しています。
フランス: 人間関係を重視し、マルチチャネルで展開する小規模店舗は長期的な顧客エンゲージメントを促進する
Carrefourでは、その小型店系列であるCarrefour City のほうが都市や町の中心部に位置する大型マーケットよりも、はるかに強力な顧客関係を築いています。Carrefour、Auchan、Casino といったブランドは特定の消費者ニーズにフォーカスし、店舗モデルを進化させながら業績を伸ばしています。
ドイツ: 長期的な価値は、価格競争よりも適切なコーポレート・シティズンシップ戦略や賢い店舗コンセプトから生み出される
「Geiz ist geil」(安いことは良いこと) - ドイツの消費者はこうしたメッセージを長年浴びせ続けられ、低価格を売り物にした広告やブランドには慣れっこになっています。しかし、このような提案は、独創的でもなければ魅力的でもありません。ドイツの小売業者はそろそろ、低価格化や値
引きの先に目を向けるべきです。広告支出が減少するなか、新規参入のDmに見られるように、コーポレート・シティズンシップ活動は新しい「ワン・ストップ・ショップ」型と同様、一つの有効かつ不可欠なブランド強化法であることが明らかになっています。
スペイン: 好況感を煽る優れたローカル適応とグローバル展開
停滞する国内市場を尻目に成長を続ける、Zara やMango などのファッション・ブランド。その秘密は、海外進出、優れたローカル適応、さらにはファッション・ショーやアーバン・トレンドを中心とするコレクションの絶え間ないリニューアルにあります。とはいえ、競争から解放されたわけではなく、H&M、Primark、Topshop といったブランドとの熾烈な競争にさらされています。また、スペインのアパレル小売業者は、同国市場に参入しつつあるUniqlo やGap といった国際ブランドの挑戦を受けつつあります。スペインの一流リテール・ブランドにとって今後も気の抜けない状況が続く見通しであり、デジタル・モバイルによる顧客接点の拡大や新たな細分化手法の発見が必要でしょう。
■“Best Retail Brands 2011” 米国リテール・ブランドTOP5(TOP50 はwww.interbrand.com 参照)
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値合計金額(単位:百万ドル)/前年比較(ブランド価値)
1 WALMART 142,030 -8%
2 TARGET 23,301 -9%
3 THE HOME DEPOT 20,315 19%
4 BEST BUY 18,823 6%
5 CVS/PHARMACY 16,561 17%
■“Best Retail Brands 2011” アジアパシフィック・リテール・ブランドTOP5
(TOP10 はwww.interbrand.com 参照)
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値(単位:百万ドル)
1 WOOLWORTHS 4,015
2 UNIQLO 2,606
3 HARVEY NORMAN 897
4 DAVID JONES 613
5 MEYER 529
■“Best Retail Brands 2011” カナダ・リテール・ブランドTOP5
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値合計金額(単位:百万ドル) 前年比較(ブランド価値)
1 SHOPPERS DRUG MART 2,613 -17%
2 CANADIAN TIRE 1,806 3%
3 LULUEMON ATHLETICA 943 24%
4 FUTURE SHOP 598 NEW
5 WINNERS 327 NEW
■“Best Retail Brands 2011” 英国リテール・ブランドTOP5(TOP10 はwww.interbrand.com 参照)
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値(単位:百万ドル)/前年比較(ブランド価値)
1 TESCO 10,102 22%
2 MARKS & SPENCER 6,074 -4%
3 BOOTS 2,480 -16%
4 ASDA 1,395 -27%
5 NEXT 1,314 NEW
■“Best Retail Brands 2011” フランス・リテール・ブランドTOP5(TOP10 はwww.interbrand.com 参照)
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値(単位:百万ドル)/前年比較(ブランド価値)
1 CARREFOUR 13,345 1%
2 AUCHAN 2,856 6%
3 LEROY MERLIN 1,579 NEW
4 L’OCCITANE 1,341 NEW
5 SEPHORA 1,313 22%
■“Best Retail Brands 2011” ドイツ・リテール・ブランドTOP5(TOP10 はwww.interbrand.com参照)
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値(単位:百万ドル)/前年比較(ブランド価値)
1 ALDI 3,525 -14%
2 MEDIAMART 1,343 -4%
3 EDEKA 1,321 6%
4 LIDL 1,176 -6%
5 KAUFLAND 524 -4%
■“Best Retail Brands 2011” スペイン・リテール・ブランドTOP5
2011 年度ランキング ブランド/2011 年度ブランド価値(単位:百万ドル)/前年比較(ブランド価値)
1 ZARA 7,468 10%
2 EL CORTE INGLES 2,368 7%
3 MANGO 1,071 -4%
4 MERCADONA 693 -7%
5 DIA 599 NEW
※詳細はこちらからもご覧頂けます。
http://www.interbrand.com/ja/BestRetailBrands/2011.aspx
<The Best Retail Brands 2011 のブランド価値評価について>
■CRITERIA FOR CONSIDERATION 評価対象基準
「リテール・ブランド」には、さまざまな規模や事業形態があります。本評価においては、売上高の50%以上をそのブランドを冠した店舗から得ているものを対象としています。また外食業界(レストラン、ファーストフード)、コンビニエンスストア等は評価の対象外となっています。
■Methodology 評価方法
インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、そしてブランドによる将来収益の確かさ、という観点からみたブランド価値の評価です。証券アナリストが事業の価値を分析・評価するのと同じように、「将来どれくらい収益を上げると予想されるか?」という視点に基づいて、ブランドの価値を分析・評価します。その手法は、ブランドの金銭的価値測定のための世界標準として、国際標準化機構(ISO)からISO 10668 の認定を受けています。評価は、具体的に以下の3 つの分析によって構成されています。
「財務分析」 - 企業が生み出す利益の将来予測を行う
まず、ブランドが冠された事業の現在及び将来の収益を予想します。そして、その売上から営業費用、税金、そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、将来の経済的利益を算出します。本分析は公開されている企業情報を基にしており、将来予想は、アナリストによる業績予想をベースとしています。
「ブランドの役割分析」 - 利益のうち、ブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析します。本評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割について、私たちが過去25 年にわたり実施してきたブランド価値評価実績のデータ・ベースを活用し、業界別にベンチマーク分析を行います。そして、業界ベンチマークを基にして、独自の調査・分析により個別ブランドの“ブランドの貢献分”のスコアを算出します。
「ブランド力分析」 - ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド力の分析は、市場でのロイヤリティ、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算するものです。この評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、市場でのブランドのポジション、消費者の認知・好感度、イメージ、ブランドに対するサポートといった、ブランドに関わるさまざまな観点で評価しています。 評価されたスコアは、それに対応した割引率へと変換されます。その割引率で将来のブランド利益を割り引くことで、ブランド価値が算定されます。
※ 「ブランドの役割分析」、「ブランド力分析」は、公表されているさまざまな報告書等を使用して行っており、弊社グローバル各オフィスの専門コンサルタントの多面的な評価を踏まえ算定されます。
<インターブランドについて>
インターブランドは、1974 年に設立された世界的なブランドコンサルティング会社です。世界26カ国・約40 のオフィスを通じ、世界的に展開している企業をはじめ、さまざまな組織・団体に対し、ブランディングに関する多様なサービスを提供しています。
‘Creating and managing brand value’ のミッションのもと、戦略的な視点とクリエイティブの視点の両面から「ブランドを創り、その価値を高め、維持し、評価する」という一連のサービスを提供し、クライアントのもっとも価値ある資産であるブランドの価値向上をサポートしています。その事業内容はブランド価値向上に向けた戦略の立案、ネーミングやデザイン開発などのクリエーション、さらにはブランド価値の社内外への浸透・定着の支援に至るブランドエンゲージメントまで多岐にわたっています。
近年、日本企業の多くは、これまで競争優位の源泉となってきた品質、技術力、価格競争力などによる差別化が困難になるという非常に大きな課題に直面しています。そのため、新たな競争優位の源泉として、「ブランド」に注目し、その価値を高めることを目的にブランドマネジメントに積極的に取組まれています。
インターブランドは1984 年より世界に先駆けて、企業の視点(財務)と顧客の視点(マーケティング)の両面からブランドの価値を金額に換算する手法* を開発し、これまでに5,000 以上のブランドの評価を行ってきました。さらに「ブランド価値」の重要性を認識していただくことを目的として、1999 年より毎年、全世界のブランドを対象とした“Best Global Brands” を発表しています。
インターブランドについての詳しい情報についてはhttp://interbrand.com をご覧ください。
*インターブンランドの「ブランド価値評価」は、国際標準化機構(ISO)からブランドの金銭的価値測定のための世界標準であるISO 10668 の認定を受けています。
以上
お問い合わせ
株式会社インターブランドジャパン
担当 : 中村正道 ・ 畠山寛光
tel:03-3230-1075 fax:03-3230-8772