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国立遺伝学研究所とちとせグループ マイクロバイオームデータ利活用促進に向けたデータベース機能拡張について提携を開始

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 (静岡県三島市、以下遺伝研)とちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所(神奈川県川崎市、以下ちとせ)は、このたび、黒川顕教授・森宙史准教授らが中心となって開発を進める微生物統合データベースMicrobeDB.jp(注釈1)の民間利活用・社会実装促進を目的とした提携を行います。遺伝研の集積する大規模微生物データを、ちとせの有するAI技術や解析基盤(注釈2)を用いた解析サービスに活用することで、ヘルスケア産業界でのデータの利活用促進に貢献します。




ヒトの体内や環境中に存在する微生物叢(マイクロバイオーム)は、健康や美容、医療のほか、農業、環境保全、軽度不調(注釈3)など様々な分野での応用が期待されています。世界中のマイクロバイオームに関する研究論文の報告数は年間1万件を超え、年々増加しています。これらの論文に付随して公開される膨大なデータを産業界でのビジネス開発に応用するには、データを集積するためのデータ基盤の整備と、データから有用な知見を見出すための解析基盤の構築が必要になります。

遺伝研は、微生物統合データベースMicrobeDB.jpを2011年より公開しています。MicrobeDB.jpでは、世界中の研究論文に付随して公開された160万サンプルを超えるマイクロバイオームデータが自動収集されており、ヒトの健康状態などを含む付加情報(メタデータ)と紐付けられて整備されています。これにより、微生物名のほか、ヒトの年齢や疾患等のメタデータからサンプルを絞り込むことが可能な極めて検索性の高いデータ基盤となっています。

ちとせは、千年先まで続く豊かな世界の実現に貢献すべく、日本や東南アジアを中心に、化石資源中心の消費型社会からバイオマス資源基点の循環型社会に近づけるための研究開発・事業開発を行っています。微生物、藻類、動物細胞などの”小さな生き物”を活用する技術に強みを持ち、微生物の培養を自動制御するAI技術や、環境中の微生物の豊富さなどを評価するデータ解析技術・解析基盤を有しています。

このたびの提携により、MicrobeDB.jp内に集積されたデータをちとせの有する解析基盤上で扱うことが可能になり、ちとせがもつAI技術によってマイクロバイオームデータからヒトの健康状態を予測したり、マイクロバイオームを整えるために効果的な生活習慣を導き出すといった解析サービスに用いることができるようになりました。
さらに、ちとせがヘルスケア産業界から抽出したニーズに合わせてMicrobeDB.jpのデータや機能を拡張することで、遺伝研とちとせは、ちとせが顧客とするヘルスケア企業のビジネス開発においてデータをより活用しやすい基盤にアップデートしていきます。今後、学術論文データという公共リソースの利用価値を最大化し、エビデンスに基づいたヘルスケア産業創出に繋げて参ります。

なお、このたびの提携は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 第2期 スマートバイオ産業・農業基盤技術事業におけるちとせと遺伝研の取り組みから発展した大規模データを民間企業が利活用する社会実装の形となります。SIPでは、1000人以上の健常な日本人から、腸内マイクロバイオームデータや身体情報、健康情報、生活習慣等のデータが取得されており、それらを集積したデータベース(SIP Healthcare Group Sharing Database:SHD, 注釈4)が2024年度より一般公開される予定です。これにより、MicrobeDBの学術論文データとSHDの健常人データの比較が可能となり、質の高い公共データを活用した疾患とマイクロバイオームとの関連解析などが促進されることが期待されます。


(注釈1)MicrobeDB.jp
ゲノム情報を核として遺伝子・系統・環境等の様々な微生物情報を統合したデータベース。国際塩基配列データベース (International Nucleotide Sequence Databases, INSD)に登録されている世界中のマイクロバイオームデータについて、疾患情報・環境情報等のメタデータを紐付けた上で、統一した解析手法(解析パイプライン)によって微生物の系統組成情報・機能遺伝子組成情報に変換した形で集積されている。本データベースは、JST NBDC「統合化推進プログラム」において、遺伝研ゲノム進化研究室(黒川教授)およびゲノム多様性研究室(森准教授)が中心となり開発・運用を行っている。
https://microbedb.jp/

(注釈2)ちとせのデータ解析基盤
MicrobeDB.jp内のマイクロバイオームデータは、SPARQLエンドポイントを通して取得され、クラウド環境上に構築された、ちとせデータ格納基盤に格納される。データ格納基盤はそのデータの様相や使途によってデータレイク・データウェアハウス・データストアの複層管理がなされる。これらのデータは、秘匿性の高いプライベートサブネット環境上で機械学習や統計解析に供することができ、解析操作はコマンドラインによる仮想環境またはブラウザ上での解析UI(ユーザーインターフェース)を通して行うことができる。

(注釈3)軽度不調
人々が主観的に感じる軽度な心身の不調のこと。日本セルフケアフード協議会(https://scfc.or.jp/)がエビデンスとしての商品の認証を推進している。

(注釈4)SIP Healthcare Group Sharing Database:SHD
https://gr-sharingdbs.biosciencedbc.jp/shd


[画像: https://prtimes.jp/i/34251/26/resize/d34251-26-a78db01b2c04a8403177-0.png ]



<各機関概要>
●国立遺伝学研究所
https://www.nig.ac.jp/
遺伝学の中核拠点として生命システムの解明を目指す先端研究を進めています。また、大学共同利用機関として、生命科学に関わる学術・産業界に遺伝学の共同利用・共同研究の場を提供しています。

●ちとせグループ
https://chitose-bio.com/jp/
ちとせグループは、世界のバイオエコノミーをリードするバイオ企業群です。千年先まで人類が豊かに暮らせる環境を残すべく国や多くの企業と協力し、経済合理性を成立させながら技術を社会に展開しています。

◯ちとせグループ全体を統括する「CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.」の概要
・設立 :2011年10月
・本社 :シンガポール
・代表者 :CEO 藤田朋宏 Ph.D.

◯ちとせグループの中核法人として、技術開発・事業開発を行う「株式会社ちとせ研究所」の概要
・設立 :2002年11月
・本社 :神奈川県川崎市
・代表者 :代表取締役 CEO 藤田朋宏 Ph.D./代表取締役 COO 釘宮理恵
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