ごほうびとモチベーションに関する調査
[20/05/27]
提供元:PRTIMES
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ごほうびは「実利」と「気持ち」でモチベーションを上げる。意識の温度差、受賞経験のない人への対策急務
JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(東京都港区、代表取締役 社長執行役員:古野 浩樹、以下JTBコミュニケーションデザイン)のワーク・モチベーション研究所は、「ごほうびとモチベーションに関する調査」の報告書をまとめました。
本調査では、企業におけるインセンティブや表彰式などのごほうび施策に焦点を当て、インセンティブ制度を導入する企業の営業担当者1,030人にモチベーションや満足度について聞きました。調査結果からは、賞金や賞品の金額だけでは推し量れない、ごほうびに対する反応が浮き彫りになり、コロナ後の新しい世界における企業と個人の新しい関係のあり方が示唆されました。
<調査結果のポイント>
1. 従業員規模500人以上の企業、インセンティブを実施するのは約3割
2. インセンティブ実施企業では、従業員のモチベーションが上がるのは、「ワークライフバランス」施策と「認められる、評価される」施策
3. ごほうび施策であるインセンティブの報酬は、「報奨金・現金」、「表彰式・パーティ」が最多
4. 90%が「インセンティブを受賞したい」。理由は、「賞金が欲しい」と「表彰されるのは嬉しい」
5. インセンティブを受賞するのは、「努力した結果」「がんばりを認めることにつながる」と好意的な見方が半数。一方、受賞経験のない人は、「受賞は運しだい」と冷ややか
6. インセンティブの効果、「モチベーションが上がる」「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」
7. インセンティブ制度の問題点は、「人によって意識の温度差がある」が最多。特に女性は、この問題意識が高い
<まとめと提言>
■ごほうび施策は実利と気持ち、2つのバランスが重要
■意識の温度差を認識する
■温度差を利用する
■ごほうび施策を理解し、適切に運用することでモチベーション向上を実現する
<主な調査結果>
【1】従業員規模500人以上の企業、インセンティブを実施するのは3割。
本調査に入る前の事前調査として、業界に関わらず従業員規模が500人以上の企業に勤務する人3,439人に聞いたところで、インセンティブを実施している会社は27.9%あり、受賞経験者は16.8%という結果となりました。業界別では、不動産販売・仲介が66.7%と、最も高い実施割合を示しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-153852-1.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-992000-2.png ]
【2】モチベーションを上げる会社の施策は、「ワークライフバランス」と「認められる、評価される」施策
インセンティブを実施する、従業員規模500人以上の会社(不動産、自動車、製薬、生命保険・損害保険、銀行・信託銀行、証券の6業界)に営業職として働く従業員1,030人を対象に調査をしたところ、モチベーションを上げる会社の施策として、「ワークライフバランスがとれている(52.1%)」と「がんばったことが認められ、評価される(51.5%)」の2つが、他の選択肢を引き離して高い回答率を得ました。
ワークライフバランスという「働きやすさ」と、認められるという「働きがい」の2つの柱が、モチベーションを上げている状況が示されました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-958875-3.png ]
【3】ごほうび施策であるインセンティブの報酬は、「報奨金・現金」、「表彰式・パーティ」が最多。
ごほうび施策として実施されるインセンティブについて聞いたところ、その報酬内容としては、「報奨金・現金(66.9%)」と「表彰式やパーティ(59.9%)」が多い結果となりました。業界別では、不動産販売・仲介や自動車製造・販売、証券会社の3つでは、「報奨金・現金」の割合が、他の業界よりも高い傾向にあります。また、生命保険・損害保険では、他の業界と比べて「表彰式やパーティ」や「受賞者だけで行く特別な旅行」の割合が高く、製薬製造・販売では、他の業界と比べて「講演会やセミナーへの参加機会」が多い結果となりました。業界ごとに、提供するごほうびには特徴があることがわかります。
[画像4: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-518865-4.png ]
【4】インセンティブを受賞したい人は、90%。受賞したい理由は「賞金が欲しい」「表彰されるのは嬉しい」。
インセンティブについて、「受賞したい」「どちらかと言えば受賞したい」が合わせて90%を超えました。インセンティブを実施する企業の従業員は、そのほとんどが受賞したいと願っていることがわかります。理由としては、「賞品・賞金が欲しいから(62.4%)」という実利的な理由が最も高く、次いで「表彰されるのは嬉しいことだから(50.7%)」「モチベーションが上がるから(46.2%)」という精神面の理由が高い結果となりました。ごほうびには、実利と気持ちの両方の要素が関わることがわかります。
性年代でみると、女性の40代・50代では、「評価されるのは嬉しいことだから」など、精神面の理由が大きいようです。対して、男性の20代・30代では「昇進・昇給に繋がるから」といった、今後の待遇についての数値が高い傾向にあります。
[画像5: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-790695-5.png ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-359241-6.png ]
【5】インセンティブを受賞するのは、「努力した結果」「がんばりを認めることにつながる」と好意的な見方が半数。受賞経験のない人は、「受賞は運しだい」と冷ややか。
インセンティブ受賞について全体では、「個人やチームが努力した結果」という好意的な見方が多かった一方で、受賞経験者と受賞未経験者で、意識の違いが見られました。受賞未経験者は受賞経験者に比べて、「受賞するかしないかは、運の良し悪しが大きく関係していると思う」が高く、「個人やチームのがんばりを認めることにつながると思う」のスコアが低い傾向が見られました。
これは、ものごとの原因を何に帰属させるかという、原因帰属理論に関わる結果といえます。運という、自分ではどうにもならないことに原因を帰すると、モチベーション向上にはつながりません。未受賞者はこの傾向が強い可能性があります。
[画像7: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-160028-7.png ]
【6】インセンティブの効果は、「モチベーションが上がる」「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」。
インセンティブの効果として、全体で「仕事に対するモチベーションが上がる」が最も高い結果となりました。特に受賞経験が「ほぼ毎回」では他の層よりも、「自分の仕事の成果が高まっている」や「自分の仕事は価値のあるものだと感じられる」などの回答が多く、仕事に対するモチベーションアップに繋がっていることがわかります。一方、未受賞者は複数の選択肢で数値が低い結果でした。受賞経験によって、インセンティブの効果が違うことがわかります。
[画像8: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-312857-8.png ]
【7】インセンティブ制度の問題点は、「人によって意識の温度差がある」が最多。特に女性は、この問題意識が高い。
インセンティブ制度の問題点については、全体に「人によって、インセンティブへの意識の温度差がある」が最も高い結果となりました。性年代や業界でみると、女性・50代や生命保険・損害保険では、「人によって、インセンティブへの意識の温度差がある」や「受賞者の顔ぶれが変わらない」のスコアが他の層よりも高い傾向が見られました。
インセンティブの受賞を目指して積極的に行動する人がいる一方で、そうでない人も存在し、結果としてがんばっている人が違和感や問題意識を持つことになると考えられます。
[画像9: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-445246-9.png ]
<まとめと提言>
ごほうび施策はモチベーションを向上させる2大施策の1つ
鍵は実利と気持ちのバランス、未受賞者対策
新型ウイルス感染拡大による急激な社会の変化の中で、企業などの組織の在り方や働く人の意識も大きく変わっています。こうした時代に、企業はどのような施策で従業員のモチベーションを高め、また成果を上げた従業員に対してどう報いればいいのでしょうか。
本調査では、企業が従業員へのごほうび施策として実施するインセンティブについて、その選考対象となる営業担当者1,030人に聞きました。調査結果からは、インセンティブの実態、インセンティブがモチベーションに与える影響、さらに回答者が抱える複雑な思いや希望が明らかになりました。
■ごほうび施策はモチベーションを向上させる2大施策の1つ
インセンティブを実施する企業では、「ワークライフバランス」施策と「認められる、評価される」施策が、モチベーションを高める施策として評価されていることがわかりました。「ワークライフバランス」という働きやすさを支える施策と併せて、「認められる、評価される」という働きがいを支える施策が、モチベーション向上のためには必要であることがわかります。また、インセンティブの効果として、「モチベーションが上がる」の他に、「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」ことが示されました。企業として、ごほうび施策が果たす役割を認識し、その効果を高めることで、従業員のモチベーションを上げ、成果を高めることができると考えられます。
■実利と気持ち、2つのバランスがモチベーションを高める
インセンティブを受賞したい人は90%を超えました。理由としては、「賞金が欲しいから」という実利と、「表彰されるのは嬉しいことだから」「仕事に対するモチベーションが上がるから」「自分の自信に繋がるから」という精神面に関する内容が挙げられました。インセンティブには金銭という現実的な意味合いと、受賞の価値を示す象徴的な意味合いの2つの側面があることがわかります。企業としては、単に金品を付与するだけでなく、受賞することの意義や社内的なステータスを高めることも必要といえます。例えば、多くの人から関心を寄せられたり、称賛されたりすることは、受賞の意義を高めます。多くの人、という部分は重要なカギとなります。社内の多くの人が注目している、あるいは社外からも取材されるなど話題になることは受賞の価値を高めるでしょう。どのような人が関わるかも重要です。自分にとっての重要人物、例えば家族や友人、あるいは尊敬する上司や経営者から賛辞は、特にモチベーションを高めると考えられます。そういった環境を作ることで、制度のステータスを高めることができます。
賞品の実利的な価値と、制度の象徴的な価値がバランスを取って設定されているかを見直しましょう。
■意識の温度差を認識する
インセンティブ制度の問題点としてトップに挙げられたのが、意識の温度差でした。また、受賞経験のない社員には、「受賞は運」という回答も目立ちました。同じインセンティブ制度の中にあっても、前向きに取り組む人とそうでない人、受賞は努力の結果と捉える人と運に左右されると考える人がいることがわかります。意識の多様性は大切なことではありますが、同じ組織の中で成果を上げていくに当たっては、一定の意識の共有は必要です。前向きに取り組まない人が多くなると、制度自体のステータスも低くなり、上述の象徴的な価値が低下し、結果的に前向きに取り組んでいる従業員のモチベーションも低下する可能性もあります。
ある程度の意識の温度差はあるという前提で、多様性を活かしながら、全体の平均温度を高めることが、インセンティブの効果を高めます。受賞の基準を多様にしたり、仕事の成果だけでなく活動のプロセスを評価したりすることは、冷めた意識を持つ従業員を巻き込むきっかけになります。多様な意識の社員がそれぞれ前向きに取り組むことができる体制づくりが大切です。
■温度差を利用する
温度差を利用することも考えられます。インセンティブへの取り組みに温度差のある従業員同士が協力する仕組みを作ることで、高温の従業員のモチベーションが伝わるような環境を作るのです。ペアやチームで受賞を目指したり、自分以外の従業員のモチベーションを上げたことを評価基準の1つにしたりすることなどが考えられます。その際、注意しなければならないのは、温度差が大き過ぎるケースです。モチベーションは、差が開き過ぎると相手に伝わらず、逆に低下させてしまう場合もあることがわかっています。適度な差のある従業員同士が協力し合うことで、全体に良い影響を与えるような工夫が必要です。また、相手との共通点が見つけられると、モチベーションが伝わりやすいため、従業員同士がコミュニケーションを取って、相互理解を深め、互いに共感できる部分があることを理解できると、その後の活動の中でモチベーションが伝わり、温度差の解消につながります。
ごほうび施策を理解し、適切に運用することでモチベーション向上を実現しましょう。
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<調査概要>
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査期間:2020年3月19日(木)〜3月23日(月)
・調査地域:全国
・調査対象者:全国在住の男女有職者で、以下の対象者を抽出。
1.20〜60歳
2.インセンティブ制度を導入する従業員数500人以上の企業に勤務
3.インセンティブの選考対象である営業職
4.所属企業が以下の業界に属する(不動産販売・仲介、自動車製造・販売、製薬製造・販売、生命保険・損害保険、銀行・信託銀行、証券)
・有効回答数:1,030サンプル
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JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(東京都港区、代表取締役 社長執行役員:古野 浩樹、以下JTBコミュニケーションデザイン)のワーク・モチベーション研究所は、「ごほうびとモチベーションに関する調査」の報告書をまとめました。
本調査では、企業におけるインセンティブや表彰式などのごほうび施策に焦点を当て、インセンティブ制度を導入する企業の営業担当者1,030人にモチベーションや満足度について聞きました。調査結果からは、賞金や賞品の金額だけでは推し量れない、ごほうびに対する反応が浮き彫りになり、コロナ後の新しい世界における企業と個人の新しい関係のあり方が示唆されました。
<調査結果のポイント>
1. 従業員規模500人以上の企業、インセンティブを実施するのは約3割
2. インセンティブ実施企業では、従業員のモチベーションが上がるのは、「ワークライフバランス」施策と「認められる、評価される」施策
3. ごほうび施策であるインセンティブの報酬は、「報奨金・現金」、「表彰式・パーティ」が最多
4. 90%が「インセンティブを受賞したい」。理由は、「賞金が欲しい」と「表彰されるのは嬉しい」
5. インセンティブを受賞するのは、「努力した結果」「がんばりを認めることにつながる」と好意的な見方が半数。一方、受賞経験のない人は、「受賞は運しだい」と冷ややか
6. インセンティブの効果、「モチベーションが上がる」「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」
7. インセンティブ制度の問題点は、「人によって意識の温度差がある」が最多。特に女性は、この問題意識が高い
<まとめと提言>
■ごほうび施策は実利と気持ち、2つのバランスが重要
■意識の温度差を認識する
■温度差を利用する
■ごほうび施策を理解し、適切に運用することでモチベーション向上を実現する
<主な調査結果>
【1】従業員規模500人以上の企業、インセンティブを実施するのは3割。
本調査に入る前の事前調査として、業界に関わらず従業員規模が500人以上の企業に勤務する人3,439人に聞いたところで、インセンティブを実施している会社は27.9%あり、受賞経験者は16.8%という結果となりました。業界別では、不動産販売・仲介が66.7%と、最も高い実施割合を示しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-153852-1.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-992000-2.png ]
【2】モチベーションを上げる会社の施策は、「ワークライフバランス」と「認められる、評価される」施策
インセンティブを実施する、従業員規模500人以上の会社(不動産、自動車、製薬、生命保険・損害保険、銀行・信託銀行、証券の6業界)に営業職として働く従業員1,030人を対象に調査をしたところ、モチベーションを上げる会社の施策として、「ワークライフバランスがとれている(52.1%)」と「がんばったことが認められ、評価される(51.5%)」の2つが、他の選択肢を引き離して高い回答率を得ました。
ワークライフバランスという「働きやすさ」と、認められるという「働きがい」の2つの柱が、モチベーションを上げている状況が示されました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-958875-3.png ]
【3】ごほうび施策であるインセンティブの報酬は、「報奨金・現金」、「表彰式・パーティ」が最多。
ごほうび施策として実施されるインセンティブについて聞いたところ、その報酬内容としては、「報奨金・現金(66.9%)」と「表彰式やパーティ(59.9%)」が多い結果となりました。業界別では、不動産販売・仲介や自動車製造・販売、証券会社の3つでは、「報奨金・現金」の割合が、他の業界よりも高い傾向にあります。また、生命保険・損害保険では、他の業界と比べて「表彰式やパーティ」や「受賞者だけで行く特別な旅行」の割合が高く、製薬製造・販売では、他の業界と比べて「講演会やセミナーへの参加機会」が多い結果となりました。業界ごとに、提供するごほうびには特徴があることがわかります。
[画像4: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-518865-4.png ]
【4】インセンティブを受賞したい人は、90%。受賞したい理由は「賞金が欲しい」「表彰されるのは嬉しい」。
インセンティブについて、「受賞したい」「どちらかと言えば受賞したい」が合わせて90%を超えました。インセンティブを実施する企業の従業員は、そのほとんどが受賞したいと願っていることがわかります。理由としては、「賞品・賞金が欲しいから(62.4%)」という実利的な理由が最も高く、次いで「表彰されるのは嬉しいことだから(50.7%)」「モチベーションが上がるから(46.2%)」という精神面の理由が高い結果となりました。ごほうびには、実利と気持ちの両方の要素が関わることがわかります。
性年代でみると、女性の40代・50代では、「評価されるのは嬉しいことだから」など、精神面の理由が大きいようです。対して、男性の20代・30代では「昇進・昇給に繋がるから」といった、今後の待遇についての数値が高い傾向にあります。
[画像5: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-790695-5.png ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-359241-6.png ]
【5】インセンティブを受賞するのは、「努力した結果」「がんばりを認めることにつながる」と好意的な見方が半数。受賞経験のない人は、「受賞は運しだい」と冷ややか。
インセンティブ受賞について全体では、「個人やチームが努力した結果」という好意的な見方が多かった一方で、受賞経験者と受賞未経験者で、意識の違いが見られました。受賞未経験者は受賞経験者に比べて、「受賞するかしないかは、運の良し悪しが大きく関係していると思う」が高く、「個人やチームのがんばりを認めることにつながると思う」のスコアが低い傾向が見られました。
これは、ものごとの原因を何に帰属させるかという、原因帰属理論に関わる結果といえます。運という、自分ではどうにもならないことに原因を帰すると、モチベーション向上にはつながりません。未受賞者はこの傾向が強い可能性があります。
[画像7: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-160028-7.png ]
【6】インセンティブの効果は、「モチベーションが上がる」「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」。
インセンティブの効果として、全体で「仕事に対するモチベーションが上がる」が最も高い結果となりました。特に受賞経験が「ほぼ毎回」では他の層よりも、「自分の仕事の成果が高まっている」や「自分の仕事は価値のあるものだと感じられる」などの回答が多く、仕事に対するモチベーションアップに繋がっていることがわかります。一方、未受賞者は複数の選択肢で数値が低い結果でした。受賞経験によって、インセンティブの効果が違うことがわかります。
[画像8: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-312857-8.png ]
【7】インセンティブ制度の問題点は、「人によって意識の温度差がある」が最多。特に女性は、この問題意識が高い。
インセンティブ制度の問題点については、全体に「人によって、インセンティブへの意識の温度差がある」が最も高い結果となりました。性年代や業界でみると、女性・50代や生命保険・損害保険では、「人によって、インセンティブへの意識の温度差がある」や「受賞者の顔ぶれが変わらない」のスコアが他の層よりも高い傾向が見られました。
インセンティブの受賞を目指して積極的に行動する人がいる一方で、そうでない人も存在し、結果としてがんばっている人が違和感や問題意識を持つことになると考えられます。
[画像9: https://prtimes.jp/i/21206/27/resize/d21206-27-445246-9.png ]
<まとめと提言>
ごほうび施策はモチベーションを向上させる2大施策の1つ
鍵は実利と気持ちのバランス、未受賞者対策
新型ウイルス感染拡大による急激な社会の変化の中で、企業などの組織の在り方や働く人の意識も大きく変わっています。こうした時代に、企業はどのような施策で従業員のモチベーションを高め、また成果を上げた従業員に対してどう報いればいいのでしょうか。
本調査では、企業が従業員へのごほうび施策として実施するインセンティブについて、その選考対象となる営業担当者1,030人に聞きました。調査結果からは、インセンティブの実態、インセンティブがモチベーションに与える影響、さらに回答者が抱える複雑な思いや希望が明らかになりました。
■ごほうび施策はモチベーションを向上させる2大施策の1つ
インセンティブを実施する企業では、「ワークライフバランス」施策と「認められる、評価される」施策が、モチベーションを高める施策として評価されていることがわかりました。「ワークライフバランス」という働きやすさを支える施策と併せて、「認められる、評価される」という働きがいを支える施策が、モチベーション向上のためには必要であることがわかります。また、インセンティブの効果として、「モチベーションが上がる」の他に、「競争心が湧く」「仕事の成果が高まる」ことが示されました。企業として、ごほうび施策が果たす役割を認識し、その効果を高めることで、従業員のモチベーションを上げ、成果を高めることができると考えられます。
■実利と気持ち、2つのバランスがモチベーションを高める
インセンティブを受賞したい人は90%を超えました。理由としては、「賞金が欲しいから」という実利と、「表彰されるのは嬉しいことだから」「仕事に対するモチベーションが上がるから」「自分の自信に繋がるから」という精神面に関する内容が挙げられました。インセンティブには金銭という現実的な意味合いと、受賞の価値を示す象徴的な意味合いの2つの側面があることがわかります。企業としては、単に金品を付与するだけでなく、受賞することの意義や社内的なステータスを高めることも必要といえます。例えば、多くの人から関心を寄せられたり、称賛されたりすることは、受賞の意義を高めます。多くの人、という部分は重要なカギとなります。社内の多くの人が注目している、あるいは社外からも取材されるなど話題になることは受賞の価値を高めるでしょう。どのような人が関わるかも重要です。自分にとっての重要人物、例えば家族や友人、あるいは尊敬する上司や経営者から賛辞は、特にモチベーションを高めると考えられます。そういった環境を作ることで、制度のステータスを高めることができます。
賞品の実利的な価値と、制度の象徴的な価値がバランスを取って設定されているかを見直しましょう。
■意識の温度差を認識する
インセンティブ制度の問題点としてトップに挙げられたのが、意識の温度差でした。また、受賞経験のない社員には、「受賞は運」という回答も目立ちました。同じインセンティブ制度の中にあっても、前向きに取り組む人とそうでない人、受賞は努力の結果と捉える人と運に左右されると考える人がいることがわかります。意識の多様性は大切なことではありますが、同じ組織の中で成果を上げていくに当たっては、一定の意識の共有は必要です。前向きに取り組まない人が多くなると、制度自体のステータスも低くなり、上述の象徴的な価値が低下し、結果的に前向きに取り組んでいる従業員のモチベーションも低下する可能性もあります。
ある程度の意識の温度差はあるという前提で、多様性を活かしながら、全体の平均温度を高めることが、インセンティブの効果を高めます。受賞の基準を多様にしたり、仕事の成果だけでなく活動のプロセスを評価したりすることは、冷めた意識を持つ従業員を巻き込むきっかけになります。多様な意識の社員がそれぞれ前向きに取り組むことができる体制づくりが大切です。
■温度差を利用する
温度差を利用することも考えられます。インセンティブへの取り組みに温度差のある従業員同士が協力する仕組みを作ることで、高温の従業員のモチベーションが伝わるような環境を作るのです。ペアやチームで受賞を目指したり、自分以外の従業員のモチベーションを上げたことを評価基準の1つにしたりすることなどが考えられます。その際、注意しなければならないのは、温度差が大き過ぎるケースです。モチベーションは、差が開き過ぎると相手に伝わらず、逆に低下させてしまう場合もあることがわかっています。適度な差のある従業員同士が協力し合うことで、全体に良い影響を与えるような工夫が必要です。また、相手との共通点が見つけられると、モチベーションが伝わりやすいため、従業員同士がコミュニケーションを取って、相互理解を深め、互いに共感できる部分があることを理解できると、その後の活動の中でモチベーションが伝わり、温度差の解消につながります。
ごほうび施策を理解し、適切に運用することでモチベーション向上を実現しましょう。
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<調査概要>
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査期間:2020年3月19日(木)〜3月23日(月)
・調査地域:全国
・調査対象者:全国在住の男女有職者で、以下の対象者を抽出。
1.20〜60歳
2.インセンティブ制度を導入する従業員数500人以上の企業に勤務
3.インセンティブの選考対象である営業職
4.所属企業が以下の業界に属する(不動産販売・仲介、自動車製造・販売、製薬製造・販売、生命保険・損害保険、銀行・信託銀行、証券)
・有効回答数:1,030サンプル
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