【共同研究成果】プロポリスが腸内細菌叢の乱れを改善してサルコペニア肥満を予防するメカニズムを解明
[22/09/30]
提供元:PRTIMES
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株式会社メタジェンは、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学 病院助教 岡村 拓郎、講師 濱口 真英、教授 福井 道明らおよび株式会社山田養蜂場の研究グループと共同研究を行い、プロポリスが腸内環境を介してサルコペニア肥満を改善するメカニズムを解明しました。その研究成果が科学雑誌「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に2022年9月26日付で掲載されました。
<研究の背景>
近年患者数が世界的に急増している2型糖尿病は様々な合併症を伴いますが、これらの合併症は患者の生活の質を低下させるため糖尿病合併症の進行を予防することが重要な課題となっています。サルコペニア*やサルコペニア肥満などは糖尿病合併症のひとつと考えられていますが、サルコペニア肥満が要介護のリスクや死亡率を上昇させることが報告されている一方、有効な治療法がないことが問題視されています。
ミツバチが様々な種類の植物から蓄積した樹枝状の物質であるプロポリス**およびその抽出物には抗炎症、抗酸化、抗菌、免疫調節などの作用が知られているため、様々な病気の治療に数多く応用されています。本研究では過食と不活動によりサルコペニア肥満を来すdb/dbマウスにプロポリスを投与し耐糖能や腸内環境などに与える影響を評価しました。
*サルコペニア:ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ」と、減少の意味の「ぺニア」の造語であり、高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象をいう。25−30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行し、高齢者の活動能力低下の大きな原因となっている。
**プロポリス:一般に「蜂の糊」と呼ばれ、ミツバチがさまざまな種類の植物から集めた樹脂状の物質のことである。プロポリスとその抽出物は、防腐、抗炎症、抗酸化、抗菌、抗真菌、抗潰瘍、抗がん、免疫調節などの作用により、様々な病気の治療に数多く応用されている。ブラジル産グリーンプロポリスは、ヒトおよび動物において、脂質代謝、肥満、インスリン抵抗性を改善することが報告されている。
<研究成果の概要>
過食と不活動によりサルコペニア肥満を来すdb/dbマウスにプロポリスを投与し、種々の代謝障害の項目の評価および腸内細菌叢・腸内代謝物質の評価を行いました。プロポリスを投与したマウスではプロポリスを投与しないマウスと比較して以下の結果が得られました。
● 握力・骨格筋量・骨格筋中のアミノ酸が有意に多かった。
● 耐糖能の改善に加え、内臓脂肪の減少および筋萎縮関連遺伝子や炎症関連遺伝子の発現低下が認められた。
● 筋萎縮を惹起した筋管細胞に、プロポリスに多く含まれるアルテピリンCおよびケンフェライドを投与することでミトコンドリア機能を改善することで、筋萎縮を予防した。
また、プロポリス投与マウスに対して、腸内細菌叢・代謝物質の評価を行ったところ、以下の結果が得られました:
●プロポリスを投与しないマウスと比較してButyricicoccus属およびAcetivibrio属の腸内の存在比が高く、便中の短鎖脂肪酸濃度も有意に高かった。
● プロポリスを投与したサルコペニア肥満モデルマウスの糞便を移植したサルコペニア肥満モデルマウスでもプロポリスを投与したときと同様のサルコペニア肥満改善効果を認めた。
上記の結果により、プロポリスの摂取はその構成成分による筋管細胞のミトコンドリア機能の改善に加えて、腸内環境を改善することでサルコペニア肥満改善作用をもたらしていることが示唆されました。
<今後の展開>
超高齢社会において、サルコペニアの発症予防は最重要課題となっています。さらにサルコペニアに肥満を合併するサルコペニア肥満は糖尿病をはじめとした種々のメタボリックシンドロームの主因と考えられていることから、本研究結果は本邦における健康増進に大きく寄与するものと考えられます。
今後も株式会社メタジェンは、腸内環境の層別化に着目した研究開発を推進し、個々人の腸内環境を考慮した健康維持・疾病予防に関する製品・サービスの開発を促進することで病気ゼロを実現すべく、更に邁進してまいります。
<文献情報>
【論文タイトル】
Brazilian green propolis improves gut microbiota dysbiosis and protects against sarcopenic obesity
【著者】
岡村 拓郎1、濱口 真英1、馬場 遼1、中島 華子1、芳村 悠太1、木村智紀1、橋本 善隆1、間嶋 紗織1、千丸 貴史1、牛込 恵美1、中西 尚子1、浅野 麻衣1、山崎 真裕1、福井 道明1、西本 悠一郎2、山田 拓司2、藤倉千鶴3、浅間孝志3、奥村暢章3、高桑裕史4、佐々野僚5
【所属】
1 京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学
2株式会社メタジェン
3株式会社山田養蜂場
4アジレント・テクノロジー株式会社
5株式会社アイスティサイエンス
【掲載誌】
Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle
【掲載日】
2022年9月26日
【DOI】
10.1002/jcsm.13076
【リンク先】
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13076
<研究の背景>
近年患者数が世界的に急増している2型糖尿病は様々な合併症を伴いますが、これらの合併症は患者の生活の質を低下させるため糖尿病合併症の進行を予防することが重要な課題となっています。サルコペニア*やサルコペニア肥満などは糖尿病合併症のひとつと考えられていますが、サルコペニア肥満が要介護のリスクや死亡率を上昇させることが報告されている一方、有効な治療法がないことが問題視されています。
ミツバチが様々な種類の植物から蓄積した樹枝状の物質であるプロポリス**およびその抽出物には抗炎症、抗酸化、抗菌、免疫調節などの作用が知られているため、様々な病気の治療に数多く応用されています。本研究では過食と不活動によりサルコペニア肥満を来すdb/dbマウスにプロポリスを投与し耐糖能や腸内環境などに与える影響を評価しました。
*サルコペニア:ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ」と、減少の意味の「ぺニア」の造語であり、高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象をいう。25−30歳頃から進行が始まり生涯を通して進行し、高齢者の活動能力低下の大きな原因となっている。
**プロポリス:一般に「蜂の糊」と呼ばれ、ミツバチがさまざまな種類の植物から集めた樹脂状の物質のことである。プロポリスとその抽出物は、防腐、抗炎症、抗酸化、抗菌、抗真菌、抗潰瘍、抗がん、免疫調節などの作用により、様々な病気の治療に数多く応用されている。ブラジル産グリーンプロポリスは、ヒトおよび動物において、脂質代謝、肥満、インスリン抵抗性を改善することが報告されている。
<研究成果の概要>
過食と不活動によりサルコペニア肥満を来すdb/dbマウスにプロポリスを投与し、種々の代謝障害の項目の評価および腸内細菌叢・腸内代謝物質の評価を行いました。プロポリスを投与したマウスではプロポリスを投与しないマウスと比較して以下の結果が得られました。
● 握力・骨格筋量・骨格筋中のアミノ酸が有意に多かった。
● 耐糖能の改善に加え、内臓脂肪の減少および筋萎縮関連遺伝子や炎症関連遺伝子の発現低下が認められた。
● 筋萎縮を惹起した筋管細胞に、プロポリスに多く含まれるアルテピリンCおよびケンフェライドを投与することでミトコンドリア機能を改善することで、筋萎縮を予防した。
また、プロポリス投与マウスに対して、腸内細菌叢・代謝物質の評価を行ったところ、以下の結果が得られました:
●プロポリスを投与しないマウスと比較してButyricicoccus属およびAcetivibrio属の腸内の存在比が高く、便中の短鎖脂肪酸濃度も有意に高かった。
● プロポリスを投与したサルコペニア肥満モデルマウスの糞便を移植したサルコペニア肥満モデルマウスでもプロポリスを投与したときと同様のサルコペニア肥満改善効果を認めた。
上記の結果により、プロポリスの摂取はその構成成分による筋管細胞のミトコンドリア機能の改善に加えて、腸内環境を改善することでサルコペニア肥満改善作用をもたらしていることが示唆されました。
<今後の展開>
超高齢社会において、サルコペニアの発症予防は最重要課題となっています。さらにサルコペニアに肥満を合併するサルコペニア肥満は糖尿病をはじめとした種々のメタボリックシンドロームの主因と考えられていることから、本研究結果は本邦における健康増進に大きく寄与するものと考えられます。
今後も株式会社メタジェンは、腸内環境の層別化に着目した研究開発を推進し、個々人の腸内環境を考慮した健康維持・疾病予防に関する製品・サービスの開発を促進することで病気ゼロを実現すべく、更に邁進してまいります。
<文献情報>
【論文タイトル】
Brazilian green propolis improves gut microbiota dysbiosis and protects against sarcopenic obesity
【著者】
岡村 拓郎1、濱口 真英1、馬場 遼1、中島 華子1、芳村 悠太1、木村智紀1、橋本 善隆1、間嶋 紗織1、千丸 貴史1、牛込 恵美1、中西 尚子1、浅野 麻衣1、山崎 真裕1、福井 道明1、西本 悠一郎2、山田 拓司2、藤倉千鶴3、浅間孝志3、奥村暢章3、高桑裕史4、佐々野僚5
【所属】
1 京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学
2株式会社メタジェン
3株式会社山田養蜂場
4アジレント・テクノロジー株式会社
5株式会社アイスティサイエンス
【掲載誌】
Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle
【掲載日】
2022年9月26日
【DOI】
10.1002/jcsm.13076
【リンク先】
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13076