【SolidWorks】鉄道車両の「台車」設計の完全3次元化を目指す 設計プロセス革新による、世界市場での競争力強化を
[11/06/24]
提供元:PRTIMES
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国内屈指の鉄鋼メーカーである住友金属工業株式会社において、主に鉄道・自動車向け製品を製造している交通産機品カンパニーでの、SolidWorksの活用事例のご紹介です。
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2010年、住友金属の交通産機品カンパニーは、鉄道の車両と車輪の中間に位置する「台車」の設計について、完全3次元化を中核に、設計効率向上を目指すプロジェクトをスタートさせた。現在、鉄道は、地球環境にやさしい輸送手段として再評価され、旅客用高速鉄道を中心に、欧州・アジアなどの世界市場が急速に拡大しつつある。住友金属は、3次元一貫設計をベースにした設計プロセス革新によって、リードタイム短縮、設計品質向上に裏打ちされた他社差別化や、手戻り激減によるコストダウンを実現して、世界市場での競争力を一段と強化しようとしている。
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http://www.solidworks.co.jp/newsarticle/casestudy/sumitomometals
2002年ごろから、「台車」の設計者がSolidWorksを用いるようになったきっかけは、解析用モデルの生成作業であった。
台車は、車両とそこに乗り込んだ数百人の乗客の重量を合計した20トン前後の荷重を支えながら、時速100km、200km、300kmなどの車輪・車軸の動きを維持するものだ。人命を守るため、信頼性・安全性を高めるために、強度解析がきわめて重要である。
「従来は、解析専任部署がFEM(有限要素法解析)を極め、さらには、さまざまな外力を複合的な荷重として掌握して安全率を総合評価するFEM強度解析ツールも自社開発し、特許を取得してきました」と、鉄道台車製造部 第一台車設計室 参事 佐藤與志氏は説明する。
しかし、解析は設計途中で設計者が行ったほうが効率的だ。1996年ごろ、設計者用の構造解析ソフトを導入。さらに、設計で作成した2次元データから、構造解析ソフトで用いる3次元モデルを作成するために導入したのが、SolidWorksである。
SolidWorksの魅力は、初心者にもわかりやすく親しみやすいことだ。設計者は、当初は2次元CADの延長線にあるツールを使ってモデリングしていたが、試しにSolidWorksを数ライセンス導入したところ、利用はごく自然にSolidWorksへ移行してしまった。
設計者自身による解析が定着してくると、今度は、モデリングから設計検証までを同一ツール上で一気に行いたいというニーズが高まってきた。そこで2009年から2010年にかけて、SolidWorksPremiumを追加。それまでに導入していたSolidWorksと合わせて、設計者自身による強度解析を効率よく行う体制が整った。
「台車フレームの強度シミュレーションは線形解析が中心であり、SolidWorks Premiumの機能で十分足ります。それ以上に、モデリングから解析までを同一ツールで一本化するメリットは大きい」と佐藤氏は語る。
特にうれしいのは、複数ツール間で、バージョンアップの同期をとるのに苦労をしなくて済むことだ。「SolidWorksは使いやすさがどんどん進化するCADであるだけに、これからは最新バージョンを積極的に使って、作業効率を高めたい」と佐藤氏。
2010年、今度は、台車の設計プロセス全体で、完全3次元化を目指す新たなチャレンジが始まった。
「鉄道会社などのお客様は、車両、モーターなどをいろいろなメーカー品を比較して、個別に購入します。台車は、こうした多様な要素を搭載し、つなぎ、まとめ上げる存在。選定された複数メーカー間で何度もレビューして調整しますが、アセンブリすると干渉を起こすこともあります。車両や駆動装置のメーカーの多くが設計を3次元化している今日、台車設計も3次元化して、スムーズな協調設計を実現したい」と佐藤氏は語る。
「今は、2次元で設計した後、3次元化して解析を行い、設計修正では2次元に戻り、またそれを3次元化して解析をやり直し、いよいよ設計が固まったら2次元で紙図面を出図しています。2次元から3次元への変換作業を何度も行っているため、効率が悪いし、ミスも発生しやすい。構想設計から、詳細設計、解析、修正、出図までSolidWorksで一貫させることが当面の課題です」と、鉄道台車製造部 台車技術管理室 水杉美彦氏は語る。
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設計プロセス革新が成功すれば、設計のリードタイム短縮、設計品質向上、新人設計者を含めた全体のレベルアップ、後工程での手直し作業の激減など、他社差別化につながる大きな効果が期待できる。
部品点数が多い高速車両用の台車も、干渉チェックを徹底できるようになる。車両などのメーカーとの協調設計も大きく前進するはずだ。
「さらにその次は、製造部門へ3次元ビューワを使って設計情報をわかりやすく提供するなど、ものづくり革新の輪を設計部門の外へも広げていきたい」と田口氏は意欲的に語る。
鉄道車両品は、公共性が高いだけに、安全性第一である。同時に、供給責任は重く、納期や数量を厳守することがきわめて大切だ。また、需要が拡大する欧州、アジアでの競争に打ち勝つために、コスト削減にも一段と力を入れる必要がある。
台車設計のプロセス革新は、交通産機品カンパニーがこうしたさまざまな課題を乗り越えて、世界市場でさらに大きく飛躍するためのスプリングボードの役目を果たすに違いない。
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