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マリ・チャド:MSFのマラリア予防で乳幼児の症例7割減




国境なき医師団(MSF)が、アフリカのマリとチャドの2ヵ国で、乳幼児を対象に2012年7月から行っているマラリア予防プログラムの効果で、新規患者数が大幅に減っている。5歳未満の乳幼児約17万5000人に季節性マラリアの化学的予防(SMC)を行ったところ、合併症を伴わないマラリアの症例数が地域ごとに7割前後減少した。また、重症マラリアの減少も報告されている。

MSFは、マリ南部のクティアラとチャドのモイサラ地区で、生後3ヵ月から5歳までの子ども約17万5000人を対象にマラリア予防プログラムを行っている。対象とした年齢層は、マラリアで免疫系が衰弱して亡くなるリスクが最も高い。プログラムの暫定結果では、合併症を伴わないマラリア症例数がマリの対象地域で70%弱減少、チャドでは最大で86%減少した。重症マラリア症例数の著しい減少も報告されている。

MSFのマラリア専門家、エストレリャ・ラスリー医師は「SMCの全体的な効果は引き続き分析する必要があります。ただ、MSFのプログラムは患者の大幅な減少につながっています。重要なのは、プログラムの影響が見え始めていることです。MSFが活動しているマリの病院の小児病棟では、半数以上の病床が空きました。過去数年間、マラリアがピークの季節には見られなかったことです。病床利用率が100%を超えているのが普通でしたから」と話す。

MSFは、マリとチャドで、幼い子どもにとって最も致死性の高い病気であるマラリアの治療・予防プログラムを運営している。2012年に入り、マリ南部のクティアラでは、これまでに1万2000人以上のマラリア患者が外来治療を行った。また、重度栄養失調を併発した3500人の子どもを入院させて治療した。チャドのモイサラでは、MSFの支援する医療施設やMSFの訓練を受けた村の保健職員(非医療従事者)を通じて、1万8000人以上にマラリア治療を提供している。

世界保健機関(WHO)も、2012年3月、SMCを推奨すると発表している。深刻な季節性マラリアが流行するアフリカ・サヘル地帯で、複数の国で調査を行った結果に基づいて判断した。

WHOによると、世界では年間推計65万人がマラリアで亡くなっている。その90%がサハラ以南のアフリカの人びとで、幼い子どもが中心だという。
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