肺がん患者の多遺伝子検査の実施率が急増、医療ビッグデータの調査結果が医学雑誌『Cancer Medicine』に掲載
[24/11/14]
提供元:PRTIMES
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肺がん支援団体の一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサーと共同調査
肺がん患者の遺伝子検査の現状について、急性期病院の経営支援を行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(代表取締役社長:渡辺幸子、以下GHC ※1)および肺がんの支援団体である一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー(代表:長谷川一男、以下A4LC ※2)が医療ビッグデータを用いて共同調査した結果に基づく論文「Patient-Initiated Nationwide Survey on Testing for Actionable Oncogenic Drivers in Non-Small Cell Lung Cancer in Japan」(筆頭著者・池田 慧氏=神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 医長)が、米ジョン・ワイリー・アンド・サンズが発行する腫瘍学の医学雑誌『Cancer Medicine』に掲載されました。研究により、肺がん患者に対する多遺伝子検査(マルチプレックス遺伝子パネル検査)の実施率が近年、全国的に急増していることが明らかになりました。
【URL】https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cam4.70375
◆背景
近年、がんの原因となる遺伝子変異(ドライバー遺伝子)が複数存在することが分かってきました。がんの死亡者数が最も多い肺がん、中でもその大半を占める非小細胞肺がんは9種類のドライバー遺伝子、これらに対応する18の薬剤が承認されてきました。これらの薬剤は「分子標的薬」と呼ばれ、従来の殺細胞性の抗がん剤と比して、特定のがん原因遺伝子に直接作用するため、効果も高い傾向にあります。これらの薬剤を使用するためには「コンパニオン診断検査」にて、対応したドライバー遺伝子変異の検出が不可欠となります。ただ、これまでの報告では、非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断検査における多遺伝子検査の実施率が低いことが示されていました。
◆方法
本調査は、2019年1月から2022年12月までのステージIVの非小細胞肺がん患者を対象に、2022年時点で分子標的薬が使用可能なコンパニオン診断検査の実施状況を調査した。データはグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが保有するDPCデータ(※3)を用いた。調査対象は204病院15,719人の症例です。
◆結果
2019年1月から2022年12月までの期間、遺伝子検査を受けなかったステージIVの非小細胞肺がん患者の割合は21.5%から33.1%だった。一方、2021年後半から5つ以上のドライバー遺伝子について検査された患者の割合が大幅に増加しています(図表参照)。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46782/41/46782-41-f5bd50fb508da3f0be9d6e67d1848444-567x337.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
◆結論
本調査により、ステージIVの非小細胞肺がん患者における多遺伝子検査の実施率が近年、全国的に上昇していることが明らかになりました。その一方、依然として2割以上の患者が遺伝子検査を行っていないという現状も分かりました。さらなる多遺伝子検査の実施率向上のため、より一層の啓発活動が必要であると考えられます。
※1:株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医師、看護師、薬剤師など医療資格者が在籍する急性期病院の経営コンサルティングファーム。最大1000病院の診療データをベースに、医療と経営の質向上を目指したコンサルティングおよび経営分析システム「病院ダッシュボードχ(カイ)」を提供する。累計クライアント数は700病院超。日本病院会と業務提携して中小出来高病院向け経営分析レポート「JHAstis(ジャスティス)」の執筆・配信を担当する。がん診療拠点病院の約半数が参加する「CQI研究会」の事務局や米メイヨークリニックとの共同研究など国内外の医療機関等との研究事業も精力的に行う。財務省の「財政制度等審議会 財政制度分科会」の政策決定や日本集中治療医学会の政策提言に用いるデータ分析を手がけたほか、「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」では委員も務めて、今後の医療提供体制に向けて極めて重要なデータ分析を担当した。「アキよしかわの『ポストコロナの時代の病院経営』」(日経メディカル・オンラインで2020〜2021年連載)など寄稿のほか、日本放送協会などテレビ、日本経済新聞など新聞、「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」など取材対応多数。主な著書・論文は『医療崩壊の真実』(エムディーエヌコーポレーション)、『日米がん格差』(講談社)、“Geographic variation in surgical outcomes and cost between the United States and Japan” American Journal of Managed Care (2016 Sep;22(9):600-7)、“Taking the leap to make bundled payments work Incentives drive realities in American, Japanese healthcare systems” Medical Group Management Association (2015 Sep; Vol. 1.)、“Cancer in the Time of COVID-19 in Japan: Collateral Damage” Collateral Global (2021)など。
※2:一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー
非営利活動法人肺がん患者会ワンステップ兼肺がん患者連絡会代表である長谷川一男、元認定非営利活動法人キャンサーネットジャパン事務長である柳澤昭浩、がん情報サイト「オンコロ」設立者である可知 健太が、患者会、アドボケート、情報メディアというそれぞれの立場では実現困難であることを実現するために2021年設立。
※3:DPCデータ
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院が作成を義務付けられているデータ。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1786病院(2024年6月時点)。
肺がん患者の遺伝子検査の現状について、急性期病院の経営支援を行う株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(代表取締役社長:渡辺幸子、以下GHC ※1)および肺がんの支援団体である一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー(代表:長谷川一男、以下A4LC ※2)が医療ビッグデータを用いて共同調査した結果に基づく論文「Patient-Initiated Nationwide Survey on Testing for Actionable Oncogenic Drivers in Non-Small Cell Lung Cancer in Japan」(筆頭著者・池田 慧氏=神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 医長)が、米ジョン・ワイリー・アンド・サンズが発行する腫瘍学の医学雑誌『Cancer Medicine』に掲載されました。研究により、肺がん患者に対する多遺伝子検査(マルチプレックス遺伝子パネル検査)の実施率が近年、全国的に急増していることが明らかになりました。
【URL】https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cam4.70375
◆背景
近年、がんの原因となる遺伝子変異(ドライバー遺伝子)が複数存在することが分かってきました。がんの死亡者数が最も多い肺がん、中でもその大半を占める非小細胞肺がんは9種類のドライバー遺伝子、これらに対応する18の薬剤が承認されてきました。これらの薬剤は「分子標的薬」と呼ばれ、従来の殺細胞性の抗がん剤と比して、特定のがん原因遺伝子に直接作用するため、効果も高い傾向にあります。これらの薬剤を使用するためには「コンパニオン診断検査」にて、対応したドライバー遺伝子変異の検出が不可欠となります。ただ、これまでの報告では、非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断検査における多遺伝子検査の実施率が低いことが示されていました。
◆方法
本調査は、2019年1月から2022年12月までのステージIVの非小細胞肺がん患者を対象に、2022年時点で分子標的薬が使用可能なコンパニオン診断検査の実施状況を調査した。データはグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが保有するDPCデータ(※3)を用いた。調査対象は204病院15,719人の症例です。
◆結果
2019年1月から2022年12月までの期間、遺伝子検査を受けなかったステージIVの非小細胞肺がん患者の割合は21.5%から33.1%だった。一方、2021年後半から5つ以上のドライバー遺伝子について検査された患者の割合が大幅に増加しています(図表参照)。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46782/41/46782-41-f5bd50fb508da3f0be9d6e67d1848444-567x337.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
◆結論
本調査により、ステージIVの非小細胞肺がん患者における多遺伝子検査の実施率が近年、全国的に上昇していることが明らかになりました。その一方、依然として2割以上の患者が遺伝子検査を行っていないという現状も分かりました。さらなる多遺伝子検査の実施率向上のため、より一層の啓発活動が必要であると考えられます。
※1:株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン
医師、看護師、薬剤師など医療資格者が在籍する急性期病院の経営コンサルティングファーム。最大1000病院の診療データをベースに、医療と経営の質向上を目指したコンサルティングおよび経営分析システム「病院ダッシュボードχ(カイ)」を提供する。累計クライアント数は700病院超。日本病院会と業務提携して中小出来高病院向け経営分析レポート「JHAstis(ジャスティス)」の執筆・配信を担当する。がん診療拠点病院の約半数が参加する「CQI研究会」の事務局や米メイヨークリニックとの共同研究など国内外の医療機関等との研究事業も精力的に行う。財務省の「財政制度等審議会 財政制度分科会」の政策決定や日本集中治療医学会の政策提言に用いるデータ分析を手がけたほか、「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」では委員も務めて、今後の医療提供体制に向けて極めて重要なデータ分析を担当した。「アキよしかわの『ポストコロナの時代の病院経営』」(日経メディカル・オンラインで2020〜2021年連載)など寄稿のほか、日本放送協会などテレビ、日本経済新聞など新聞、「週刊ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」など取材対応多数。主な著書・論文は『医療崩壊の真実』(エムディーエヌコーポレーション)、『日米がん格差』(講談社)、“Geographic variation in surgical outcomes and cost between the United States and Japan” American Journal of Managed Care (2016 Sep;22(9):600-7)、“Taking the leap to make bundled payments work Incentives drive realities in American, Japanese healthcare systems” Medical Group Management Association (2015 Sep; Vol. 1.)、“Cancer in the Time of COVID-19 in Japan: Collateral Damage” Collateral Global (2021)など。
※2:一般社団法人アライアンス・フォー・ラング・キャンサー
非営利活動法人肺がん患者会ワンステップ兼肺がん患者連絡会代表である長谷川一男、元認定非営利活動法人キャンサーネットジャパン事務長である柳澤昭浩、がん情報サイト「オンコロ」設立者である可知 健太が、患者会、アドボケート、情報メディアというそれぞれの立場では実現困難であることを実現するために2021年設立。
※3:DPCデータ
包括支払い方式で入院医療費を請求する「DPC(診療群分類別包括払い)制度」の対象病院が作成を義務付けられているデータ。DPC制度は、従来型の出来高制度と比較して、1日当たりの報酬が決まっているため、過剰な診療の抑制や必要なコスト削減を促すことが期待できる。主に病床数が多く、重症患者を診療する急性期病院の多くが導入している。対象病院は1786病院(2024年6月時点)。