倒産件数は4172件、2年ぶりの前年同期比増加 ― 全国企業倒産集計 2019年度上半期報
[19/10/08]
提供元:PRTIMES
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負債総額は5646億4800万円、半期ベースで最小
<主要ポイント>
1. 2019年度上半期の倒産件数は4172件(前年同期4012件、前年同期比4.0%増)と、2年ぶりに前年同期を上回った
2. 負債総額は5646億4800万円(前年同期7749億1000万円、前年同期比27.1%減)と、2年連続の前年同期比減少となり、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小
3. 業種別に見ると、7業種中5業種で前年同期を上回った。小売業(988件)は、人件費や原材料費の高騰などの影響を受けた飲食店が前年同期比11.3%増となったほか、衣料・雑貨など繊維製品小売の増加が目立った。運輸・通信業(145件)は、ドライバー不足や燃料費の高騰などを受け、道路貨物運送が同22.2%増
4. 地域別に見ると、9地域中8地域で前年同期を上回った。東北(207件)は、東日本大震災直後の2011年度上半期以来8年ぶりに200件超となった。九州(317件)は、小売業が半期ベースで過去最多となり、なかでも消費低迷の影響を受けた飲食料品小売、飲食店などの増加が目立つ
5. 「人手不足倒産」は88件(前年同期比15.8%増)、3年連続の前年同期比増加
6. 「後継者難倒産」は227件(前年同期比8.6%増)、2年連続の前年同期比増加
7. 「返済猶予後倒産」は255件(前年同期比23.8%増)、2年ぶりの前年同期比増加
8. 負債トップは、上海国際(株)(民事再生、東京都、9月)の約200億円
[画像: https://prtimes.jp/i/43465/45/resize/d43465-45-257762-0.jpg ]
《今後の見通し》
■アパレル不振が深刻化、中規模クラスの倒産相次ぐ
2019年度上半期(2019年4〜9月)の倒産件数(4172件、前年同期比4.0%増)は、2年ぶりに前年同期を上回った。負債総額は5646億4800万円と、2016年度上半期(6756億200万円)を下回り、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小を更新した。
業種別では、小売業(988件、前年同期比7.9%増)の増加が件数全体を押し上げたほか、製造業(479件、同6.2%増)、運輸・通信業(145件、同16.9%増)など計5業種で前年同期を上回った。衣料品や靴、鞄などのアパレル関連企業では、負債数億円から数十億円規模の倒産が相次いで発生したことなどから、負債1億円以上の倒産(999件、同1.5%増)は、リーマン・ショック直後の2009年度上半期(2670件、同0.9%増)以来10年ぶりのプラスに転じた。
■ 建設業の倒産、減少傾向は底打ちか
建設業の倒産は、直近ピークの2008年度(3556件)以降減少基調で推移し、とくに近年は国土強靭化に基づくインフラ整備や災害復興、都市部での再開発案件の増加などを背景に、前年度には過去最少(1375件)を更新した。しかし、2019年度上半期(718件)は前年同期比2.1%の増加と、震災復旧・復興工事が最盛期を過ぎた東北(前年同期比10.0%増)で2年連続増加したほか、北海道(同23.1%増)、四国(同62.5%増)、九州(同59.5%増)など地方圏で、労務費や建材費の上昇を背景とした採算悪化による倒産が目立った。
直近2019年8月の新設住宅着工戸数(国土交通省)は2カ月連続で減少し、このうち持ち家は11カ月ぶりに、また貸家は12カ月連続で前年割れとなるなど、住宅建設では落ち込みがみられている。業界全体では、公共事業を中心に今後も底堅い受注動向が見込まれるものの、地域人口の減少が進むなか、地方圏を中心にさらなる倒産増加も懸念される。
■リスケ後倒産の増勢続く
金融機関から返済条件の変更等(リスケジュール)を受けた企業による返済猶予後倒産は、2019年度上半期255件と前年同期を23.8%上回り、増加率は2半期連続で20%を超え、2014年度上半期(257件)以来5年ぶりの高水準となった。負債総額は1154億7000万円にのぼる。
金融庁は9月10日、金融機関の経営を監督するための「金融検査マニュアル」を12月に廃止する方針を公表。過去の実績を基にした画一的な検査を改め、持続可能な経営に向けた収益性や地域貢献などに重点を置いた検査に移行する。今後は柔軟な貸倒引当金の計上による将来性などを考慮した融資先支援が期待される一方、抜本的な経営改善が進まずにリスケ解消が見込めない企業の整理は緩やかに進むと想定され、その動向が注目される。
■中小零細の負担感強まり、倒産は増加傾向たどる可能性も
消費マインドが弱まるなか、5年半ぶりに消費税率の引き上げが実施された。引き上げ分の料金を価格に転嫁できていない飲食店や小売店は多いとみられるうえ、消費者の節約志向のさらなる高まりなども予想され、経営への影響が懸念される。また、この10月からは最低賃金が全国平均で過去最大の27円引き上げられ、東京都と神奈川県では全国で初めて1000円を超えた。物流費や原材料費なども上昇もしくは高止まり傾向のなか、負担感は中小零細企業ほど強い。
今後は、収益環境のさらなる悪化が見込まれる飲食店、小売店など労働集約的な業種の倒産が件数全体を押し上げながら、緩やかな増加傾向をたどる可能性が高まっている。
<主要ポイント>
1. 2019年度上半期の倒産件数は4172件(前年同期4012件、前年同期比4.0%増)と、2年ぶりに前年同期を上回った
2. 負債総額は5646億4800万円(前年同期7749億1000万円、前年同期比27.1%減)と、2年連続の前年同期比減少となり、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小
3. 業種別に見ると、7業種中5業種で前年同期を上回った。小売業(988件)は、人件費や原材料費の高騰などの影響を受けた飲食店が前年同期比11.3%増となったほか、衣料・雑貨など繊維製品小売の増加が目立った。運輸・通信業(145件)は、ドライバー不足や燃料費の高騰などを受け、道路貨物運送が同22.2%増
4. 地域別に見ると、9地域中8地域で前年同期を上回った。東北(207件)は、東日本大震災直後の2011年度上半期以来8年ぶりに200件超となった。九州(317件)は、小売業が半期ベースで過去最多となり、なかでも消費低迷の影響を受けた飲食料品小売、飲食店などの増加が目立つ
5. 「人手不足倒産」は88件(前年同期比15.8%増)、3年連続の前年同期比増加
6. 「後継者難倒産」は227件(前年同期比8.6%増)、2年連続の前年同期比増加
7. 「返済猶予後倒産」は255件(前年同期比23.8%増)、2年ぶりの前年同期比増加
8. 負債トップは、上海国際(株)(民事再生、東京都、9月)の約200億円
[画像: https://prtimes.jp/i/43465/45/resize/d43465-45-257762-0.jpg ]
《今後の見通し》
■アパレル不振が深刻化、中規模クラスの倒産相次ぐ
2019年度上半期(2019年4〜9月)の倒産件数(4172件、前年同期比4.0%増)は、2年ぶりに前年同期を上回った。負債総額は5646億4800万円と、2016年度上半期(6756億200万円)を下回り、比較可能な2000年度以降の半期ベースで最小を更新した。
業種別では、小売業(988件、前年同期比7.9%増)の増加が件数全体を押し上げたほか、製造業(479件、同6.2%増)、運輸・通信業(145件、同16.9%増)など計5業種で前年同期を上回った。衣料品や靴、鞄などのアパレル関連企業では、負債数億円から数十億円規模の倒産が相次いで発生したことなどから、負債1億円以上の倒産(999件、同1.5%増)は、リーマン・ショック直後の2009年度上半期(2670件、同0.9%増)以来10年ぶりのプラスに転じた。
■ 建設業の倒産、減少傾向は底打ちか
建設業の倒産は、直近ピークの2008年度(3556件)以降減少基調で推移し、とくに近年は国土強靭化に基づくインフラ整備や災害復興、都市部での再開発案件の増加などを背景に、前年度には過去最少(1375件)を更新した。しかし、2019年度上半期(718件)は前年同期比2.1%の増加と、震災復旧・復興工事が最盛期を過ぎた東北(前年同期比10.0%増)で2年連続増加したほか、北海道(同23.1%増)、四国(同62.5%増)、九州(同59.5%増)など地方圏で、労務費や建材費の上昇を背景とした採算悪化による倒産が目立った。
直近2019年8月の新設住宅着工戸数(国土交通省)は2カ月連続で減少し、このうち持ち家は11カ月ぶりに、また貸家は12カ月連続で前年割れとなるなど、住宅建設では落ち込みがみられている。業界全体では、公共事業を中心に今後も底堅い受注動向が見込まれるものの、地域人口の減少が進むなか、地方圏を中心にさらなる倒産増加も懸念される。
■リスケ後倒産の増勢続く
金融機関から返済条件の変更等(リスケジュール)を受けた企業による返済猶予後倒産は、2019年度上半期255件と前年同期を23.8%上回り、増加率は2半期連続で20%を超え、2014年度上半期(257件)以来5年ぶりの高水準となった。負債総額は1154億7000万円にのぼる。
金融庁は9月10日、金融機関の経営を監督するための「金融検査マニュアル」を12月に廃止する方針を公表。過去の実績を基にした画一的な検査を改め、持続可能な経営に向けた収益性や地域貢献などに重点を置いた検査に移行する。今後は柔軟な貸倒引当金の計上による将来性などを考慮した融資先支援が期待される一方、抜本的な経営改善が進まずにリスケ解消が見込めない企業の整理は緩やかに進むと想定され、その動向が注目される。
■中小零細の負担感強まり、倒産は増加傾向たどる可能性も
消費マインドが弱まるなか、5年半ぶりに消費税率の引き上げが実施された。引き上げ分の料金を価格に転嫁できていない飲食店や小売店は多いとみられるうえ、消費者の節約志向のさらなる高まりなども予想され、経営への影響が懸念される。また、この10月からは最低賃金が全国平均で過去最大の27円引き上げられ、東京都と神奈川県では全国で初めて1000円を超えた。物流費や原材料費なども上昇もしくは高止まり傾向のなか、負担感は中小零細企業ほど強い。
今後は、収益環境のさらなる悪化が見込まれる飲食店、小売店など労働集約的な業種の倒産が件数全体を押し上げながら、緩やかな増加傾向をたどる可能性が高まっている。