株式会社ロックオン、ブロックチェーン技術のeコマースへの応用にむけて、第一段階の検証を完了。コスト削減の他にも、オムニチャネル時代のECインフラ基盤へ大きな可能性。
[16/05/09]
提供元:PRTIMES
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株式会社ロックオン(本社:大阪府大阪市北区 代表取締役社長:岩田 進、以下ロックオン)はテックビューロ株式会社(本社:大阪府大阪市西区 代表取締役社長:朝山 貴生、以下テックビューロ)が提供するブロックチェーン技術「mijin」を利用したeコマース用受注エンジンの、第一段階の技術検証を完了したことを発表いたします。
eコマースにおけるブロックチェーン技術の活用はロックオンが独自の取り組みとして国内でも先駆けて実証実験を行っています。本eコマース用受注エンジンは現在ロックオンが提供する日本No.1EC構築オープンソース(※1)「EC-CUBE」の最新版である3系において、ポイント管理部分をmijinプラグインとして動作させる形で、2016年4月、動作検証を実施いたしました。その結果、当初想定していた高負荷での有用性に加えて、複数ECシステムからのセキュアでリアルタイムな情報更新が可能であり、これからのオムニチャネルEC時代でのインフラ基盤になり得る技術である基礎的な確認を終えることができました。
本実証実験は、次に受注・会員管理への拡張を目指して、更なる開発と検証を実施します。次回の実証実験報告は、2016年6月末を目処に行う予定です。
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■検証の状況報告とブロックチェーン技術のECへの高い親和性
近年、フィンテック(※2)の分野でも注目を集めるプライベート・ブロックチェーン(※3)技術は、「消えない」「改ざんできない」「ゼロダウンタイム」といった特性を持ち、汎用的用途に利用できることが期待されています。本開発検証では、テックビューロが有する国内唯一のプライベート・ブロックチェーン技術「mijin」を、ECサイトの受注エンジンに応用することで、画期的なECインフラ基盤構築への可能性を探るものです。
今回の実証実験を通して、本検証前に想定していたブロックチェーン技術のeコマースへの親和性は、より高い可能性があると考えるに至りました。
■大規模ECサイトでの負荷コスト大幅軽減
ECサイトが成長する際に、問題となるのが受注の同時集中による機能の停止やWebサイト自体のダウンタイムです。本来は販売機会であるはずの状況が、様々なボトルネックにより大きな機会損失を生むことが多々ありました。しかし、従来の典型的なシステム構成では、ピーク時の秒間数十件の注文を滞りなく捌くためには年間数千万円ものコストが必要となり、結果的に多くの固定費が無駄になっていました。
その大きなボトルネックの一つが、在庫管理や受注部分を担うデータベースでした。ページ自体や画像ファイルについては、近年のCDNの発達により負荷の分散が比較的容易となりましたが、勘定データベースについては機器増強によるスループット向上が唯一の解決法でした。
そこで、秒間数百件の受注があるような大規模ECサイトにおいて、ゼロダウンタイムで運用が可能なインフラを構築するにあたり、本技術を応用することで大幅に構築・運用コストを軽減できると想定しております。今回はポイント管理部分においてその有用性を確認することができました。今後は、受注や会員情報の管理において、更なる技術検証を進める予定です。
■オムニチャネルECの画期的インフラ基盤として
近年、独自ECサイトとモール、更には企業の機関システムと連携するような大規模なECシステムも多くなりました。更に、リアル店舗とEC店舗との連携であるオムニチャネル対応が重要なテーマとなっており、受注情報、商品情報、顧客情報、ポイント情報、在庫情報等を異なるシステムで相互に連携する必要が出てきています。通常これら情報の相互連携には定期的なバッチ処理が適用されるため、双方に正しい情報が反映されるには5分以上のタイムラグが発生し、特にリアルタイム性が要求される在庫情報やポイント情報の更新遅延が問題となっていました。
今回、本検証において、複数の独立したシステムが任意に変更するポイント情報を、簡単かつセキュアにリアルタイムで共有する仕組みへの応用が可能であることが分かりました。これは、昨今のオムニチャネルに代表される、リアル店舗やネット店舗といった「複数店舗」上で同時に情報を更新する仕組みに応用できるため、これからのオムニチャネルEC時代の最も適したインフラ基盤となり得ることを意味しています。
■セキュアでリアルタイムにポイント情報の更新が可能であることを確認
もともとブロックチェーンには、二重払いを防止する機能と、内部データの改ざんを防止する機能、そしてデータの整合性を保つ勘定機能とが備わっています。また、それらの多くがソフトウェア内の暗号技術で完結しており、従来のデータベースやアプリケーションよりもより高いセキュリティ環境を実現することができます。
これまでの実証実験により、「mijin」を「EC-CUBE」の勘定機能に応用し、ポイントの二重計上を自動的に防止し、それらデータの不整合を排除できる可能性が高いことが確認できました。これは、これからのオムニチャネル時代におけるECのインフラ基盤となり得ることを示しています。
■ロックオンとテックビューロの今後の取り組み
本開発検証作業は2016年1月から開始し、2016年4月時点において、「mijin」と「EC-CUBE」との連携システムは完成いたしました。今後、セキュリティや性能といった運用上の検証に加え、EC-CUBE以外のシステムとの連携処理を開発し、ECで利用できる汎用的なインフラ基盤を構築してまいります。
将来的にはロックオンより「EC-CUBE」における「mijin」利用パッケージを独占販売することや、ロックオンのソリューション事業部(http://www.lockon.co.jp/ec-solution/)での、本技術を利用した大規模ECサイトやオムニチャネルEC構築の受注、更には本ECインフラ基盤の単体提供を視野に入れております。
なお、「mijin」は2016年夏にオープンソースとして公開予定であり、商用ライセンスの価格は年間数十万円程度を予定しております。
■「株式会社ロックオン」について(Webサイト:http://www.lockon.co.jp/)
株式会社ロックオンは、導入社数7000社を超えるマーケティングプラットフォーム『アドエビス』を始め、国産リスティング広告運用プラットフォーム『THREe』、国内No.1 EC構築オープンソース『EC-CUBE』、マーケティング関連の研究・情報発信を行う『マーケティングメトリックス研究所』など、国内最大級のマーケティングソリューションを提供しています。2014年9月には東京証券取引所マザーズに上場し、関西発ITベンチャー企業として更なる国内での事業拡大を目指しています。また、日本国内にとどまらず、米国シリコンバレーやベトナムに関連会社を設立するなど、海外にも積極的に展開中です。
■「EC-CUBE」について( Webサイト:http://www.ec-cube.net/)
ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」は、ロックオンが開発したECサイト構築パッケージをオープンソースとして2006年9月に公開したもので、日本No.1 EC構築オープンソースとして認定されており、ダウンロード数170万件超、推定22,000店舗以上で実際に稼働しております(ロックオン調べ)。 2014年9月には企業間商取引(BtoB)向けECサイト構築パッケージ「EC-CUBE B2B」をリリース。2015年7月には「拡張性」の向上を追及した最新バージョン「EC-CUBE 3.0」をリリースいたしました。
■「テックビューロ株式会社」について( Webサイト:http://techbureau.jp/)
テックビューロ株式会社は、暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発しているクリプト・フィンテック・ラボ(Crypto-Fintech Lab.)です。ビットコインを含む暗合通貨の為替取引プラットフォーム「Zaif」やプライベート・ブロックチェーン基盤ソフトウェア「mijin」の他、ブロックチェーン技術導入の受託開発やコンサルティングサービスを提供しております。
■「mijin」について( Webサイト:http://mijin.io/)
「mijin」は、クラウド上や自社データセンター内に、企業内や企業間で利用可能なプライベート・ブロックチェーン環境を構築できるプラットフォームです。既存のデータベースや勘定システムを置き換えて劇的にコストを削減すると同時に、改ざん不可能なセキュリティ環境が構築できる他、実質ゼロダウンタイムを実現します。金融機関から電子マネー、ポイント、オンラインゲーム、ロジスティクスまで、幅広くご利用頂けます。「mijinクラウドチェーン」は、この「mijin」をクラウド上で利用できるようにしたPaaS(Platform as a Service)です。
※1:独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による
※2: フィンテック(FinTech)とは金融(Financial)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、金融とITを融合させた金融システムの革新的活用を意味します。従来は、このフィンテックが担う分野は金融機関向けにサービスを提供する大手ITベンダーが関与するものでした。しかし、ここ数年は技術革新とともに比較的小規模のベンチャー・スタートアップ企業の参入が多くなり注目を集めています。
※3: ビットコインによって発明された、P2P方式によるデータ処理の基盤技術です。複数のコンピューターが分散型合意形成を行い、暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理するのが特徴です。安価なコンピューターで稼働し、ゼロダウンタイムと、改ざん不可能なセキュリティを実現します。バックアップや冗長化も必要なく、劇的なコスト削減が可能であり、キャパシティを超えても落ちないため、金融機関にも注目されています。
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