Interbrand “Best Global Brands 2014” 「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100を発表
[14/10/09]
提供元:PRTIMES
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昨年に引き続きAppleと Googleがそれぞれ第1位と第2位を堅守、それぞれ1,000億ドルを超えるブランド価値を記録。Huawei が、中国ブランドとして初めてのランクイン。
世界最大のブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング“Best Global Brands 2014” を発表いたします。本ランキングは、グローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので、今年で15 回目の発表となります。昨年に引き続き、2年連続でApple とGoogle がランキングにおいて、それぞれ第1位、2位を占めました。Appleのブランド価値 は1,189億ドルとなり、昨年に比べ21%増やしており、2位のGoogleは同15%増の1,074億ドルとなっています。今回、インターブランドのベストグローバルブランドの歴史の中で初めて、ブランド価値が1,000億ドルを超えるブランドが、それもひとつではなく2つ、誕生したことになります。
また、もうひとつの「初」として、中国のテレコミュニケーションとネットワーク機器のメーカーHuawei (94位)が、インターブランドのランキングに中国の会社として初めて顔を出しベストグローバルブランドの歴史を作りました。現在、Samsung、Apple に次いで世界第3位のスマートフォンメーカーであるHuaweiは、その収益の65%を中国以外から獲得し、また中国国内はもちろん、ヨーロッパ、中近東、アフリカでも成長を続けており、テレコミュニケーションブランドのグローバルプレーヤーとしての地位を急速に確立しつつあります。今回のランキングに初登場した5つのブランドは、このHuaweiの他、DHL(81位)、 Land Rover(91位)、 FedEx(92位)、 Hugo Boss (97位)です。
インターブランドのグローバルCEOジェズ・フランプトン(Jez Frampton) は次のように語っています。「Apple とGoogleが華々しく1,000億ドル以上にそのブランド価値を上昇させたことは、まさに強力なブランド構築の賜物です。この2つのブランドはそのビジネスの成長とベストグローバルブランドの歴史の両方で新たな頂点に達しました。それは、人々の日々の生活の中で、シームレスに関連性を持ち、デバイスなどのハード面と、さまざまなサービスを展開するデジタル面とが統合された包括的なエコシステムで、ブランド体験を創造することによって成し得たのです。」
<”Best Global Brands 2014” - Age of You(「あなたひとり」の時代)>
世界は、ブランド構築の新たなアプローチ(時代)、”Age of You(「あなたひとり」の時代)” を迎えようとしています。
トップブランド100の発表に加え、今年のベストグローバルブランドでは、ブランド構築を通じてビジネスを成長させた4つの重要な「時代(ブランディング・アプローチ)」を検証しました。Age of Identity(アイデンティティの時代)、 Age of Value(価値の時代)、 Age of Experience(経験の時代)、そしてグローバルのビジネスの世界で今まさに起きていることが「Age of You(「あなたひとり」の時代)」です。
「生活者とさまざまなデバイスとの結びつきがより強くなり、さらには統合されるにつれ、その中で生まれるデータによって、生活者、ブランド、ひいては世界全体にとっての新たな価値が創造されています。その結果、あらゆるカテゴリーのブランドは、これまで以上に機能的・有機的につながるようになり、より”スマート”な存在へと変化しています。製品やサービスと高度に進化を続けるデバイスが、サプライチェーン全般を通じて相互に影響し合い、そして生活者一人ひとりの情報と密接に結びついています。ブランドの第4のアプローチ、Age of Youでリードをしようとするブランドは、真にパーソナライズされ、意図された望ましい体験、言い換えれば私たちインターブランドが『ミコシステム(Mecosystem)』と呼ぶものを、生活者ひとりひとりの周辺に創造する必要があるのです。こうしたブランドになるためには、数字(データ)の向こう側に人間性と真のインサイトを見出し、個人のウオント(欲求)、ニーズ(必要性)、デザイア(欲望)に応えなければなりません」とジェズ・フランプトン(インターブランド グローバルCEO)は語っています。
<“Best Global Brands 2014” ハイライト>
ブランド価値の増加率上位5ブランドはFacebook、Audi、Amazon、Volkswagen, Nissan
Facebook(29位、前年比86%増):世界最大のソーシャルネットワークFacebook は、昨年に引き続き予想をはるかに上回る成功を収めています。1年前に5億6200万ドルだった第二四半期の営業収入は、驚異的な14億ドルに達しています。特にモバイル広告事業が好調で、史上初めてモバイル広告の収益が四半期における全広告収益の過半数(53%)を超えました。また、メッセージサービスWhatsAppを190億ドルで、Oculus VR を20億ドルで買収し、新しい戦略を明らかにしている印しです。Facebookは競合サービスとアプリケーションに溢れ巨大なポートフォリオを作りつつあります。
Audi(45位、前年比27%増):Audi は今年のBest Global Brandsにおいて最もブランド価値を伸ばした自動車ブランドです。昨年は過去最高の世界販売台数を記録し、営業利益は60億ドル以上に達するなど、記録づくめの年となりました。今年は、ラスベガスで開催されたCES( International Consumer Electronics Show)に出展し、自動運転システムを搭載したA7で世間を驚かし、また17の新型および改良型モデルを発売するだけでなく、競合のBMW(11位)に対する勢いを増すべくスポーツタイプR8をベースにした電気自動車の生産を発表しています。更なる成長に向けて、2018年までに300億ドル以上を製品開発、技術革新、生産拠点へ投資する予定です。また、今年初頭に発表したGoogleとのパートナーシップにより、アンドロイドのソフトウェアを導入したAudiの車を楽しむことができます。
Amazon(15位、前年比25%増):「地上で最も顧客を中心に据えている企業」であるAmazon にとって、昨年に引き続き最高の年となりました。Amazon の卓越した適応力の強さは、Amazonのブランド神話の一部になっているとも言えます。たった一週間で100万人以上の契約者を獲得したAmazon Prime といったサービスを通じてコアビジネスを強固なものにしています。人気商品の拡張ラインとしてKindle Paperwhite やFire Phoneを発売し、より多くの顧客をAmazonに取り込むことに成功すると同時に、HBOとのコンテンツライセンス契約によりエンターテイメント市場への参入を果たしています。
Volkswagen (31位、前年比23%増):ヨーロッパ有数の自動車ブランドであるVolkswagen は、今年のBest Global Brandsで大幅にブランド価値を伸ばしています。2018 年までに世界で最も優れた自動車ブランドになることを目指し、今年のパリのモーターショーで最新モデルのXL Sport Vを公開し、Volkswagenブランドが革新的なパワー、情熱、技術力の代名詞となったと言えます。その生産技術とデザイン性の高さに加え、”Think Blue”コンセプトにより環境保護の持続性が会社の至上命題であることを証明し続けています。
Nissan (56位、前年比23%):良好な財務状況とブランド力の強さを誇るNissanは、Best Global Brandsのランキングでそのブランド価値を高め続けています。
強力なブランドと市場占有率との密接な関係性を明確に認識し、ブランド戦略を経営の中心におきながら、全社でブランド力を高める取り組みを続けています。最近発売された新車のQashqaiyやMurano、そしてRogue は、まさに“Innovation and Excitement for EVERYONE”というブランドがめざす姿を体現したものと言えます。
2014年に初ランクインしたブランドはDHL、Land Rover、FedEx、Huawei、Hugo Boss
DHL(81位):急拡大するEコマース市場により、物流企業には限りないビジネスチャンスが広がっています。オンラインショッピングがグローバルの規模で成長し続けており、今後5年で200%の成長を見込まれる中、DHL やFedExといったブランドは、着実にEコマースへの参入を進めています。今年のBest Global Brandsに初ランクインした5ブランドの中で最もブランド価値が高いDHL は、新興市場開拓の5ヵ年計画を最近発表し、グローバルでの事業拡大を推し進めています。その計画の一部として、MAIL部門はPOST-eCommerce-Parcel と変更され、新しい戦略を反映した事業変革を遂げようとしています。
FedEx (92位):FedEx も急成長するEコマース市場を最大限に利用すべく、サービスの再編を進めています。まず、顧客がいつ、どこに荷物が配達されるのか管理しやすくなる新しいサービスを今年初めに導入しました。このFedEx Delivery Managerというサービスは、無料のモバイルアプリを含む多機能デジタルプラットフォームを通じて利用でき、顧客は、電子メールやメッセージ、電話を通じて配達の連絡を受け取ることができます。また、従来の店舗においてオンラインでのセールスを増やすために、多くのオンラインベースのサービスも開発しています。リテールは、FedEx のオンラインサービスを自分たちのオンラインシステムに容易に統合することでき、それによって彼らは出荷情報を追跡することができます。FedExのWeb Integration Wizardにより顧客はお店のホームページから配送状況を直接確認することができるようになっています。
Land Rover(91位):英国の自動車メーカー Land Rover は、斬新なスタイリング、最先端の技術プラットフォーム、小型化されたエンジンでその製品ラインアップを洗練し続けています。2008年にインドの自動車メーカーTata Motors に買収されて以来、Land Rover は毎年2桁の伸びを記録しています。昨年のLand Rover の販売台数は前年比15%の約350,000台に増えています。
Huawei (94位):前述の通り、Huawei は今年初登場したブランドであると同時に、Best Global Brandsに中国ブランドとして初めてランクインしたブランドです。この中国のテレコミュニケーション・ネットワーク機器メーカーの2013年の税引き前利益は、前年の156億中国元から34.4%増の210億中国元(33億8000万ドル)と報告されています。産業構造が変化し、全ての企業が伝統的なストレージや機器の生産からクラウドサービス、3G ルーティング、セキュリティソリューション等へ事業シフトし続ける中、Huawei は携帯電話からキャリア級のネットワークに至るまでのIT市場の主要分野を独占する勢いにあります。
「Huaweiは、急速な成長とともにブランドへの長期投資によって、世界で最も価値あるブランドの1つとして、この地位を得ることにつながったと言えます。米国での知名度は決して高いものではありませんでしたが、Huaweiは徐々にそのリーチを世界に広げてきました。企業へのソリューション事業だけではなく、個人向け製品においても、引き続きこの優れた能力を発揮することでしょう。そして新興市場ばかりでなく先進諸国においても顧客のニーズを満たす理想的なポジションを築いてます」と、フランプトンは述べています。
Hugo Boss (97位):ドイツの高級ファッションブランドであるHugo Boss は、昨年、世界的に最も業績を上げたアパレルブランドの1つです。セールスの過半数を占めるヨーロッパにおいて10%の収益増、アメリカ大陸では7%、アジアでは特に中国の景気後退の影響を受けましたが2%の伸びを記録しています。また、パートナーを通じての販売を止め、自社店舗による運営を始め、それに伴って価格ポイント制の導入や商品の見せ方についてよりコントロール出来るようになりました。Hugo Bossは、今年、創業20周年を迎え、ロンドンのサーチ・ギャラリーでの展覧会、マイクロサイト、マルチチャネルキャンペーンを展開しています。マイクロサイトでは、20のHugo Bossを象徴する商品と20人の国際的に評価の高いアーティストを紹介したり、サーチギャラリーでの展覧会の様子を見ることができます。また、その商品をクリックするとeコマースサイトへ直接つながるようになっており、そのまま製品を買うことや、店舗で商品を見ることができるようになっています。
<“Best Global Brands 2014” 業界別ハイライト>
世界のリーディング自動車ブランドは、将来の自動車のあり方を再考し続けています。エネルギー効率の良い製品とテクノロジーの統合に注力することにより、顧客のブランドロイヤリティーとブランド価値を高めていこうとしています。
Best Global Brands にランクインした14の自動車ブランド全体のブランド価値は2,119億ドルとなり、昨年より14.6%増の成長を遂げています。自動車部門のブランド価値増加率トップ5のうち3ブランドについては、昨年は過去最高の業績を残しています。今年ランクインした14の自動車ブランドは次のとおりです。Toyota (8位、前年比20%増)、Mercedes-Benz(10位、前年比8%増)、 BMW(11位、前年比7%増)、 Honda (20位、前年比17%増)、Volkswagen (31位、前年比23%増)、Ford (39位、前年比18%増)、Hyundai(40位、前年比16%増)、Audi (45位、前年比27%増)、Nissan (56位、前年比23%増)、Porsche (60位、前年比11%増)、Kia (74位、前年比15%増)、Chevrolet (82位、前年比10%増)、Harley-Davidson(87位、前年比13%増)、 Land Rover (91位、NEW)。Best Global Brands で2004以来自動車業界の首位であるToyota は環境技術のリーダーであり、17年前にPriusの第一世代を発売して以来、世界で総計320万台販売しています。また、現在は、Prius Plug-in Hybrid を含め総計25のハイブリッドモデルを提供しています。Toyota は2014年度には70億ドルを環境技術に費やし、前年度比11%増加しています。また、ITと車の融合が急速に進む中、自動車部門のブランド価値増加率上位のAudi、 Volkswagen、 Nissanは、人間と車の関係を再定義し、顧客とより強い情緒的な結びつきを創ろうとしています。
テクノロジー部門は、最もブランド価値があるカテゴリーとして世界をリードしています。その中で変化のスピードに対応し切れないかつてのリーディングブランドも見られます。
今年のTop100ブランドのうち、テクノロジー部門から13ブランドがランクインしています。このカテゴリーは全体として前年比11.3%増で、ブランド価値は4,932億ドルに上ります。Facebook(29位、前年比86%増)、Apple(1位、前年比21%増)、 Google(2位、前年比15%増) は、今年最もブランド価値を増加したブランドと言えますが、その一方で、かつてリーディングブランドの地位にありながら、ブランド価値を大きく落としたブランドもあります。フィンランドのコミュニケーション・インフォメーション・テクノロジーメーカーのNokia (98位、前年比44%減)は、以前は携帯電話業界で圧倒的な強さを誇っていたものの、Apple やSamsungとの競争の末、2010年以降、市場占有率が下がり、昨年の57位から98位と順位も下がっています。Microsoft(5位、前年比3%増)は、今年4月にNokiaの携帯事業を買収し、マネジメントと営業の組織変更を行っていますが、 Microsoft がどのようにNokiaブランドを活用し、将来どのように発展させていくのかはっきりしません。日本のコンシューマーエレクトロニクスメーカーNintendo (100位、前年比33%減)は、今年は33ランク下がり100位、ブランド価値は41億ドルと昨年に引き続きブランド価値を落としています。Nintendo は、ハードウエア事業の厳しい状況を認め、岩田聡CEOもモバイル市場への進出をはじめ、新規事業を展開する方針を示しました。今年初め、岩田CEOは2016年3月までに健康関連ビジネスをスタートさせる予定であると発表しています。
世界的な経済回復の中で、金融セグメントのブランド価値は順調に回復。
金融セグメントのブランドの価値は、近年確実な伸びを続けています。今年のBest Global Brands ランキングに出ている金融セグメントの11ブランドはすべてブランド価値を増加させています。American Express (23位、前年比11%増)、HSBC (33位、前年比8%増)、J. P. Morgan (35位、前年比9%増)、Goldman Sachs (47位、前年比3%増)、Citi (48位、前年比10%増)、AXA(53位、前年比14%増)、 Allianz (55位、前年比15%増)、Morgan Stanley(63位、前年比11%増)、 Visa (69位、前年比10%増)、Santander (75位、前年比16%増)、MasterCard (88位、前年比13%増)。全体として金融セグメントは、顧客に積極的に関与し、よりシームレスに、便利で完全に統合された体験を提供することでブランド価値作りを引き続き行っています。多くの企業はモバイル・マーケティング、ソーシャルメディア、オンラインビデオその他に関する投資を増やしています。その努力は今年のBest Global Brands ランキングに見られるように、実を結んでいると言えます。
ラグジュアリーブランドは、デジタルプラットフォームを引き続き積極的に導入。新たな「あなたひとり」の時代は、パーソナライズされた、意図した望ましいブランド体験への道を開きつつあります。
ラグジュアリーブランドはオンラインチャネルでの露出やセールスへの取組みが比較的遅かった分、それぞれの顧客のあるべき体験について、再考を迫られています。Luxury Interactive and ShopIgniter が報じているように、ラグジュアリーブランドのマーケターの65%が、今後デジタルマーケティングが彼らのブランドにとって、最も重要なマーケティングアプローチになると予想しています。
世界最大のブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング“Best Global Brands 2014” を発表いたします。本ランキングは、グローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので、今年で15 回目の発表となります。昨年に引き続き、2年連続でApple とGoogle がランキングにおいて、それぞれ第1位、2位を占めました。Appleのブランド価値 は1,189億ドルとなり、昨年に比べ21%増やしており、2位のGoogleは同15%増の1,074億ドルとなっています。今回、インターブランドのベストグローバルブランドの歴史の中で初めて、ブランド価値が1,000億ドルを超えるブランドが、それもひとつではなく2つ、誕生したことになります。
また、もうひとつの「初」として、中国のテレコミュニケーションとネットワーク機器のメーカーHuawei (94位)が、インターブランドのランキングに中国の会社として初めて顔を出しベストグローバルブランドの歴史を作りました。現在、Samsung、Apple に次いで世界第3位のスマートフォンメーカーであるHuaweiは、その収益の65%を中国以外から獲得し、また中国国内はもちろん、ヨーロッパ、中近東、アフリカでも成長を続けており、テレコミュニケーションブランドのグローバルプレーヤーとしての地位を急速に確立しつつあります。今回のランキングに初登場した5つのブランドは、このHuaweiの他、DHL(81位)、 Land Rover(91位)、 FedEx(92位)、 Hugo Boss (97位)です。
インターブランドのグローバルCEOジェズ・フランプトン(Jez Frampton) は次のように語っています。「Apple とGoogleが華々しく1,000億ドル以上にそのブランド価値を上昇させたことは、まさに強力なブランド構築の賜物です。この2つのブランドはそのビジネスの成長とベストグローバルブランドの歴史の両方で新たな頂点に達しました。それは、人々の日々の生活の中で、シームレスに関連性を持ち、デバイスなどのハード面と、さまざまなサービスを展開するデジタル面とが統合された包括的なエコシステムで、ブランド体験を創造することによって成し得たのです。」
<”Best Global Brands 2014” - Age of You(「あなたひとり」の時代)>
世界は、ブランド構築の新たなアプローチ(時代)、”Age of You(「あなたひとり」の時代)” を迎えようとしています。
トップブランド100の発表に加え、今年のベストグローバルブランドでは、ブランド構築を通じてビジネスを成長させた4つの重要な「時代(ブランディング・アプローチ)」を検証しました。Age of Identity(アイデンティティの時代)、 Age of Value(価値の時代)、 Age of Experience(経験の時代)、そしてグローバルのビジネスの世界で今まさに起きていることが「Age of You(「あなたひとり」の時代)」です。
「生活者とさまざまなデバイスとの結びつきがより強くなり、さらには統合されるにつれ、その中で生まれるデータによって、生活者、ブランド、ひいては世界全体にとっての新たな価値が創造されています。その結果、あらゆるカテゴリーのブランドは、これまで以上に機能的・有機的につながるようになり、より”スマート”な存在へと変化しています。製品やサービスと高度に進化を続けるデバイスが、サプライチェーン全般を通じて相互に影響し合い、そして生活者一人ひとりの情報と密接に結びついています。ブランドの第4のアプローチ、Age of Youでリードをしようとするブランドは、真にパーソナライズされ、意図された望ましい体験、言い換えれば私たちインターブランドが『ミコシステム(Mecosystem)』と呼ぶものを、生活者ひとりひとりの周辺に創造する必要があるのです。こうしたブランドになるためには、数字(データ)の向こう側に人間性と真のインサイトを見出し、個人のウオント(欲求)、ニーズ(必要性)、デザイア(欲望)に応えなければなりません」とジェズ・フランプトン(インターブランド グローバルCEO)は語っています。
<“Best Global Brands 2014” ハイライト>
ブランド価値の増加率上位5ブランドはFacebook、Audi、Amazon、Volkswagen, Nissan
Facebook(29位、前年比86%増):世界最大のソーシャルネットワークFacebook は、昨年に引き続き予想をはるかに上回る成功を収めています。1年前に5億6200万ドルだった第二四半期の営業収入は、驚異的な14億ドルに達しています。特にモバイル広告事業が好調で、史上初めてモバイル広告の収益が四半期における全広告収益の過半数(53%)を超えました。また、メッセージサービスWhatsAppを190億ドルで、Oculus VR を20億ドルで買収し、新しい戦略を明らかにしている印しです。Facebookは競合サービスとアプリケーションに溢れ巨大なポートフォリオを作りつつあります。
Audi(45位、前年比27%増):Audi は今年のBest Global Brandsにおいて最もブランド価値を伸ばした自動車ブランドです。昨年は過去最高の世界販売台数を記録し、営業利益は60億ドル以上に達するなど、記録づくめの年となりました。今年は、ラスベガスで開催されたCES( International Consumer Electronics Show)に出展し、自動運転システムを搭載したA7で世間を驚かし、また17の新型および改良型モデルを発売するだけでなく、競合のBMW(11位)に対する勢いを増すべくスポーツタイプR8をベースにした電気自動車の生産を発表しています。更なる成長に向けて、2018年までに300億ドル以上を製品開発、技術革新、生産拠点へ投資する予定です。また、今年初頭に発表したGoogleとのパートナーシップにより、アンドロイドのソフトウェアを導入したAudiの車を楽しむことができます。
Amazon(15位、前年比25%増):「地上で最も顧客を中心に据えている企業」であるAmazon にとって、昨年に引き続き最高の年となりました。Amazon の卓越した適応力の強さは、Amazonのブランド神話の一部になっているとも言えます。たった一週間で100万人以上の契約者を獲得したAmazon Prime といったサービスを通じてコアビジネスを強固なものにしています。人気商品の拡張ラインとしてKindle Paperwhite やFire Phoneを発売し、より多くの顧客をAmazonに取り込むことに成功すると同時に、HBOとのコンテンツライセンス契約によりエンターテイメント市場への参入を果たしています。
Volkswagen (31位、前年比23%増):ヨーロッパ有数の自動車ブランドであるVolkswagen は、今年のBest Global Brandsで大幅にブランド価値を伸ばしています。2018 年までに世界で最も優れた自動車ブランドになることを目指し、今年のパリのモーターショーで最新モデルのXL Sport Vを公開し、Volkswagenブランドが革新的なパワー、情熱、技術力の代名詞となったと言えます。その生産技術とデザイン性の高さに加え、”Think Blue”コンセプトにより環境保護の持続性が会社の至上命題であることを証明し続けています。
Nissan (56位、前年比23%):良好な財務状況とブランド力の強さを誇るNissanは、Best Global Brandsのランキングでそのブランド価値を高め続けています。
強力なブランドと市場占有率との密接な関係性を明確に認識し、ブランド戦略を経営の中心におきながら、全社でブランド力を高める取り組みを続けています。最近発売された新車のQashqaiyやMurano、そしてRogue は、まさに“Innovation and Excitement for EVERYONE”というブランドがめざす姿を体現したものと言えます。
2014年に初ランクインしたブランドはDHL、Land Rover、FedEx、Huawei、Hugo Boss
DHL(81位):急拡大するEコマース市場により、物流企業には限りないビジネスチャンスが広がっています。オンラインショッピングがグローバルの規模で成長し続けており、今後5年で200%の成長を見込まれる中、DHL やFedExといったブランドは、着実にEコマースへの参入を進めています。今年のBest Global Brandsに初ランクインした5ブランドの中で最もブランド価値が高いDHL は、新興市場開拓の5ヵ年計画を最近発表し、グローバルでの事業拡大を推し進めています。その計画の一部として、MAIL部門はPOST-eCommerce-Parcel と変更され、新しい戦略を反映した事業変革を遂げようとしています。
FedEx (92位):FedEx も急成長するEコマース市場を最大限に利用すべく、サービスの再編を進めています。まず、顧客がいつ、どこに荷物が配達されるのか管理しやすくなる新しいサービスを今年初めに導入しました。このFedEx Delivery Managerというサービスは、無料のモバイルアプリを含む多機能デジタルプラットフォームを通じて利用でき、顧客は、電子メールやメッセージ、電話を通じて配達の連絡を受け取ることができます。また、従来の店舗においてオンラインでのセールスを増やすために、多くのオンラインベースのサービスも開発しています。リテールは、FedEx のオンラインサービスを自分たちのオンラインシステムに容易に統合することでき、それによって彼らは出荷情報を追跡することができます。FedExのWeb Integration Wizardにより顧客はお店のホームページから配送状況を直接確認することができるようになっています。
Land Rover(91位):英国の自動車メーカー Land Rover は、斬新なスタイリング、最先端の技術プラットフォーム、小型化されたエンジンでその製品ラインアップを洗練し続けています。2008年にインドの自動車メーカーTata Motors に買収されて以来、Land Rover は毎年2桁の伸びを記録しています。昨年のLand Rover の販売台数は前年比15%の約350,000台に増えています。
Huawei (94位):前述の通り、Huawei は今年初登場したブランドであると同時に、Best Global Brandsに中国ブランドとして初めてランクインしたブランドです。この中国のテレコミュニケーション・ネットワーク機器メーカーの2013年の税引き前利益は、前年の156億中国元から34.4%増の210億中国元(33億8000万ドル)と報告されています。産業構造が変化し、全ての企業が伝統的なストレージや機器の生産からクラウドサービス、3G ルーティング、セキュリティソリューション等へ事業シフトし続ける中、Huawei は携帯電話からキャリア級のネットワークに至るまでのIT市場の主要分野を独占する勢いにあります。
「Huaweiは、急速な成長とともにブランドへの長期投資によって、世界で最も価値あるブランドの1つとして、この地位を得ることにつながったと言えます。米国での知名度は決して高いものではありませんでしたが、Huaweiは徐々にそのリーチを世界に広げてきました。企業へのソリューション事業だけではなく、個人向け製品においても、引き続きこの優れた能力を発揮することでしょう。そして新興市場ばかりでなく先進諸国においても顧客のニーズを満たす理想的なポジションを築いてます」と、フランプトンは述べています。
Hugo Boss (97位):ドイツの高級ファッションブランドであるHugo Boss は、昨年、世界的に最も業績を上げたアパレルブランドの1つです。セールスの過半数を占めるヨーロッパにおいて10%の収益増、アメリカ大陸では7%、アジアでは特に中国の景気後退の影響を受けましたが2%の伸びを記録しています。また、パートナーを通じての販売を止め、自社店舗による運営を始め、それに伴って価格ポイント制の導入や商品の見せ方についてよりコントロール出来るようになりました。Hugo Bossは、今年、創業20周年を迎え、ロンドンのサーチ・ギャラリーでの展覧会、マイクロサイト、マルチチャネルキャンペーンを展開しています。マイクロサイトでは、20のHugo Bossを象徴する商品と20人の国際的に評価の高いアーティストを紹介したり、サーチギャラリーでの展覧会の様子を見ることができます。また、その商品をクリックするとeコマースサイトへ直接つながるようになっており、そのまま製品を買うことや、店舗で商品を見ることができるようになっています。
<“Best Global Brands 2014” 業界別ハイライト>
世界のリーディング自動車ブランドは、将来の自動車のあり方を再考し続けています。エネルギー効率の良い製品とテクノロジーの統合に注力することにより、顧客のブランドロイヤリティーとブランド価値を高めていこうとしています。
Best Global Brands にランクインした14の自動車ブランド全体のブランド価値は2,119億ドルとなり、昨年より14.6%増の成長を遂げています。自動車部門のブランド価値増加率トップ5のうち3ブランドについては、昨年は過去最高の業績を残しています。今年ランクインした14の自動車ブランドは次のとおりです。Toyota (8位、前年比20%増)、Mercedes-Benz(10位、前年比8%増)、 BMW(11位、前年比7%増)、 Honda (20位、前年比17%増)、Volkswagen (31位、前年比23%増)、Ford (39位、前年比18%増)、Hyundai(40位、前年比16%増)、Audi (45位、前年比27%増)、Nissan (56位、前年比23%増)、Porsche (60位、前年比11%増)、Kia (74位、前年比15%増)、Chevrolet (82位、前年比10%増)、Harley-Davidson(87位、前年比13%増)、 Land Rover (91位、NEW)。Best Global Brands で2004以来自動車業界の首位であるToyota は環境技術のリーダーであり、17年前にPriusの第一世代を発売して以来、世界で総計320万台販売しています。また、現在は、Prius Plug-in Hybrid を含め総計25のハイブリッドモデルを提供しています。Toyota は2014年度には70億ドルを環境技術に費やし、前年度比11%増加しています。また、ITと車の融合が急速に進む中、自動車部門のブランド価値増加率上位のAudi、 Volkswagen、 Nissanは、人間と車の関係を再定義し、顧客とより強い情緒的な結びつきを創ろうとしています。
テクノロジー部門は、最もブランド価値があるカテゴリーとして世界をリードしています。その中で変化のスピードに対応し切れないかつてのリーディングブランドも見られます。
今年のTop100ブランドのうち、テクノロジー部門から13ブランドがランクインしています。このカテゴリーは全体として前年比11.3%増で、ブランド価値は4,932億ドルに上ります。Facebook(29位、前年比86%増)、Apple(1位、前年比21%増)、 Google(2位、前年比15%増) は、今年最もブランド価値を増加したブランドと言えますが、その一方で、かつてリーディングブランドの地位にありながら、ブランド価値を大きく落としたブランドもあります。フィンランドのコミュニケーション・インフォメーション・テクノロジーメーカーのNokia (98位、前年比44%減)は、以前は携帯電話業界で圧倒的な強さを誇っていたものの、Apple やSamsungとの競争の末、2010年以降、市場占有率が下がり、昨年の57位から98位と順位も下がっています。Microsoft(5位、前年比3%増)は、今年4月にNokiaの携帯事業を買収し、マネジメントと営業の組織変更を行っていますが、 Microsoft がどのようにNokiaブランドを活用し、将来どのように発展させていくのかはっきりしません。日本のコンシューマーエレクトロニクスメーカーNintendo (100位、前年比33%減)は、今年は33ランク下がり100位、ブランド価値は41億ドルと昨年に引き続きブランド価値を落としています。Nintendo は、ハードウエア事業の厳しい状況を認め、岩田聡CEOもモバイル市場への進出をはじめ、新規事業を展開する方針を示しました。今年初め、岩田CEOは2016年3月までに健康関連ビジネスをスタートさせる予定であると発表しています。
世界的な経済回復の中で、金融セグメントのブランド価値は順調に回復。
金融セグメントのブランドの価値は、近年確実な伸びを続けています。今年のBest Global Brands ランキングに出ている金融セグメントの11ブランドはすべてブランド価値を増加させています。American Express (23位、前年比11%増)、HSBC (33位、前年比8%増)、J. P. Morgan (35位、前年比9%増)、Goldman Sachs (47位、前年比3%増)、Citi (48位、前年比10%増)、AXA(53位、前年比14%増)、 Allianz (55位、前年比15%増)、Morgan Stanley(63位、前年比11%増)、 Visa (69位、前年比10%増)、Santander (75位、前年比16%増)、MasterCard (88位、前年比13%増)。全体として金融セグメントは、顧客に積極的に関与し、よりシームレスに、便利で完全に統合された体験を提供することでブランド価値作りを引き続き行っています。多くの企業はモバイル・マーケティング、ソーシャルメディア、オンラインビデオその他に関する投資を増やしています。その努力は今年のBest Global Brands ランキングに見られるように、実を結んでいると言えます。
ラグジュアリーブランドは、デジタルプラットフォームを引き続き積極的に導入。新たな「あなたひとり」の時代は、パーソナライズされた、意図した望ましいブランド体験への道を開きつつあります。
ラグジュアリーブランドはオンラインチャネルでの露出やセールスへの取組みが比較的遅かった分、それぞれの顧客のあるべき体験について、再考を迫られています。Luxury Interactive and ShopIgniter が報じているように、ラグジュアリーブランドのマーケターの65%が、今後デジタルマーケティングが彼らのブランドにとって、最も重要なマーケティングアプローチになると予想しています。