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西太平洋のサンゴの分析により、過去237年間の海水温変動を復元!

〜20世紀の温暖化による夏の海水温上昇が明らかに〜

岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)の井上麻夕里教授(地球科学)、大学院自然科学研究科の智原睦美大学院生(博士前期課程2年(当時))、産業技術総合研究所地質調査総合センター地質情報研究部門の鈴木淳研究グループ長、高知大学教育研究部自然科学系理工学部門の池原実教授らの研究グループは、フィリピンから採取されたハマサンゴ骨格試料の化学分析から、1766〜2002年までの海水温と塩分の記録を復元し、19世紀〜20世紀初頭にかけては自然要因の影響を強く受けて海水温が変動しているのに対し、特に1976年以降は人為的要因による温暖化に伴い海水温が上昇傾向にあることを示しました。

この研究成果は、11 月 29 日午後 6 時(日本時間)に米国地球物理学連合(AGU)の公式ジャ ーナル「Paleoceanography and Paleoclimatology」に公開されました。

現在では海洋観測網が発達しており、海洋の基本的な情報である水温は誰でも知ることができます。しかし、1950年以前の観測データはまだ少なく、さらに1900年代初頭になると太平洋の観測データはごくわずかです。そこで、本研究グループは年輪を形成しながら100年以上も成長を続けるハマサンゴを地質学的試料として扱うことで、過去200年以上の連続的な海水温の復元を行いました。これにより、黒潮の出発点でもある西太平洋熱帯域がいつから、どのように人為的要因による温暖化の影響を受けていたのかを明らかにしました。

本研究は、海水温と塩分データの空白域・空白時期の一部分を埋めることで、気候モデルなどの精度上昇にも貢献することが期待されます。

発表のポイント


・19世紀の西太平洋熱帯域は、火山噴火や太平洋十年規模変動と密接な関係にあることが示唆されました。
・1976年以降は西太平洋熱帯域の複数地点で温暖化傾向が見られ、特に夏の温暖化が顕著であることが示されました。
・自然要因では西太平洋熱帯域内で海水温の変動パターンに多様性が見られたのに対し、人為的要因では一様な温暖化傾向が見られました。

プレスリリースの詳細はこちら
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20231130_2/pr20231130_2.html
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