ファーウェイ、MWC 2015で5Gの新たな技術セットを提案
[15/03/05]
提供元:PRTIMES
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新たな無線インターフェース、新たなアーキテクチャ、新たな運用システム
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は、3月2日から5日にかけてスペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress(MWC)2015で、初めて5Gネットワーク・アーキテクチャと無線インターフェース技術セットを公開しました。
昨年11月に中国・上海で開催されたGlobal Mobile Broadband World Forum 2014で、当時のファーウェイの輪番CEO徐直軍(エリック・シュー)は次のように提言しました。「5Gでは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の発展に注力し、モバイル・インターネットの拡張と高度化を実現する飛躍的な技術進化が必要です。」 IoTや垂直統合型の産業で5Gを利用できれば、通信事業者にとって市場の拡大とビジネス・チャンスに繋がります。また、モバイル・インターネット・サービスの拡張と高度化により、ユーザー体験がさらに向上し、ユーザーの定着率が高くなります。これにより、ARPU(Average Revenue Per User)が増加し、通信事業者は収益を確保できます。
5Gネットワークでは、サービス処理に関わるあらゆる機能をオープンな形で取り込んで、サービスやネットワークのカスタマイズをする必要があります。こうした要求を満たすために、ファーウェイは、MWC 2015で5Gの新たな無線インターフェース、アーキテクチャ、運用システムのコンセプトを提案しました。
ファーウェイの展示ブースでは、光の点滅(フラッシュ)を利用して5Gネットワークの物理および論理アーキテクチャを表現したデモを実施しました。このデモでは、物理アーキテクチャをスライスして様々なサービス要件を満たす様子や、ネットワーク・エレメント(NE)の動的な変化やスライス処理に関わる機能を表現しました。
[画像: http://prtimes.jp/i/7389/67/resize/c-7389-2015030517-269e1c5598d999eb49ec166dea7a695a.jpeg ]
無線インターフェース技術の展示会場では、実際の利用シーンを想定した無線インターフェースの波形技術と、マルチアクセス技術がサービス要件に従って動的に調整される様子のデモを行いました。また、この展示会場では、5Gの無線インターフェース技術のコンセプトとサービス要件への対応力をシンプルに理解していただけるように、近い将来実現が期待される3D通話(広帯域)、無人自動車(低遅延)、IoT(マルチ接続)という3つの典型的な利用シーンの展示を中心にご紹介しました。
また、別の展示ブースで、ファーウェイは次世代の運用サポート・システムである「Telco OS」を展示しました。これはインターネット・アーキテクチャに基づいたオープンなOSです。通信事業者にとってTelco OSは、全ての資産(サードパーティの資産を含む)をユーザー向けの製品やソリューションとして統合できる次世代のOSです。開発者にとっては、Telco OSがチャネルとカスタマイズ・サービスを開発するための基盤となります。またユーザーにとって、Telco OSはユーザー自身が必要とする製品やソリューションのカスタマイズに参加できるデジタル市場空間となります。
さて、ファーウェイが考える5G技術をいろいろな例をあげて説明してみたいと思います。
無線ネットワーク・アーキテクチャは、各ネットワークエレメント(NE)をメンバーとする大規模な組織に例えることができます。4Gネットワーク・アーキテクチャでは、基地局側でデータの伝送と処理を行い、コア・ネットワークがデータの転送とサービスの制御を実施するなど、組織内で各メンバーのタスクがあるように、各NEに対する機能が厳密に定義されています。4G時代は、モバイル・インターネットのサービス・タイプがシンプルなため、各サービス処理はプロトコルで定義されています。全てのNEが事前に定義した方法で効果的に協調し、ネットワーク全体でタスクを効率的に完了する必要があります。
一方5G時代では、ユーザーと開発者の双方がサービスのカスタマイズに寄与することになるでしょう。そのため、プロトコルで定義されたサービス・タイプのほかに、カスタマイズおよびパーソナライズされた新たなサービス・タイプが数多く生まれるでしょう。このような場合、固定化したネットワークのアーキテクチャでは柔軟性がないため、多様化するサービス要件に対応することができません。組織で言えば、各メンバーが定義されたタスクに関わらず、柔軟に対応していく必要があるということです。
次にIoV(Internet of Vehicles:自動車のインターネット)を例として説明します。4Gのネットワーク・アーキテクチャでは、基地局側で自動運転車の状態や周囲の状況などの情報をコア・ネットワーク側に送信します。その後、中央にあるコントローラがMAN(Metropolitan Area Network)と伝送ネットワークを経由して運転操作に関する命令を対象とする自動車に送ります。しかし、この方法では、E2Eでの遅延が1秒を超えてしまうため、自動車が運転操作命令を受信するまでに交通事故が発生してしまうかもしれません。
この問題を解決するために、5Gのネットワーク・アーキテクチャでは、柔軟性をさらに高め、各レイヤでサービス処理の制御権をNEに引き渡し、NEの機能を実際のサービス要件に基づいて定義できるようにする必要があります。IoVの例で言えば、自動運転車のための超低遅延化を実現するために、5Gネットワークでは、基地局がデータの伝送から処理、転送、サービス制御までをまとめて行うことになるでしょう。つまり、基地局側で自動車の状態と運転操作命令を処理するため、遅延を1ミリ秒未満に抑えられることになります。これにより、自動車が運転操作命令を即座に受信し、スムーズに運転操作に適用させることが可能になります。
しかし、基地局側での機能統合は最上の手段とはいえません。基地局側に統合された一部の機能が、基地局の多くのリソースを消費するからです。また、全てのサービスで超低遅延化が求められるわけではありません。例えば、スマート・センサーはセンサーの状態に関する収集データを一定の間隔でアップロードするだけなので、ネットワークの帯域や伝送遅延に対する厳しい要件はありません。このような利用シーンでは、基地局側でデータを中央のプロセッサに送って処理を行います。このような使い分けをすることで基地局の負荷が効率的に低減され、より多くのスマート・センサーが基地局に接続できるようになります。また空いているリソースをその他のサービスに割り当てることも可能になります。
5Gネットワーク・アーキテクチャの特長は以下の通りです。
· 接続管理、モビリティ管理、セキュリティ管理、ルーティング管理の統合
· サービスおよびユーザー中心の設計
· 垂直統合型産業における多大なアプリケーションをサポート
· 柔軟でフラットな組織構成
組織の例えに戻ると、この組織構成内の各メンバーの役割は固定されていません。どのメンバー(組織における一般社員のような立場のメンバー)でも、サービス要件に基づいて上位のリーダーになる資格があります。こうした組織構成では、オンデマンドで意思決定が行われるため、トップダウン型の伝達や承認はありません。また、これにより様々なタスクの処理効率が最大化され、通信事業者はパイプ提供者からサービス提供者への変革を図ることが可能になります。
またこのパイプ提供者からサービス提供者への変革については、無線インターフェースについても同じことが言えるでしょう。無線インターフェースは、端末を無線ネットワークに接続するためのチャネルです。4Gネットワークでは、波形技術とマルチアクセス技術が無線インターフェース技術間で規定されています(OFDM、OFDMA、半二重FDD/TDD)。そのため、1つのパイプ内で送信される時間と周波数のリソース・ブロックのサイズと各リソース・ブロックで搬送されるユーザー数は常に同じです。つまり、4Gの無線インターフェースとは、一定サイズの大型トラックのみが通過できるハイウェイのようなものであり、1台のトラックで最大4人のユーザーの荷物(データ)を運ぶことが可能です。
あるサービスのために大量の荷物を運ぶ必要がある場合、車両のサイズに合わせてこの荷物を複数に分ける必要があります。また一部のユーザーのサービス・ブロックが小さかったとしても、1台の車両で運べる荷物は最大4ユーザーまでになります。そのような一定の制限枠を設けないと、目的地に到着した際に各ユーザーの荷物が区別できなくなってしまうからです。つまり、各端末は必要なデータを復調することができなくなってしまうのです。さらに、4Gシステムは半二重モード(FDDまたはTDD)を利用するため、4Gのハイウェイは一方通行となります。FDDモードでは、ハイウェイを走る全車両が同じ方向に移動しなければなりません。またTDDモードでは、ハイウェイを走る全車両は、同時刻には同じ方向に移動しなければならないため、無線リソースの時間上の固定化が発生します。そのため、現在使用されている無線インターフェース技術では周波数リソースをフルに活用することができず、サービス要件ごとの対応もできません。
モバイル・インターネット体験でイノベーションを促進しIoT発展の要件を満たすには、4Gの無線インターフェースの制約を乗り越える5Gシステムで無線インターフェース技術の飛躍的な技術革新が必要です。
MWC 2015において、ファーウェイは新たな波形技術であるFiltered-OFDM(Filtered-Orthogonal Frequency Division Multiplexing:フィルター直交周波数分割多重)、新たなマルチアクセス技術であるSCMA(Sparse Code Multiple Access)、新たなチャネル・コードであるPolar符号、全二重モードなどの無線インターフェース技術セットを公開しました。こうした新しい技術は周波数利用効率を高め、サービスごとに異なる無線インターフェースの伝送要件に対してより柔軟に対処することを可能にします。Filtered-OFDM技術は、無線インターフェースの波形(ハイウェイ)を動的に調整することを可能にする技術です。すなわち、ユーザーの荷物のサイズが大きくなった場合は、そのサイズに応じて大きな車両で運ぶことが可能になります。また、ハイウェイを車両の高さと幅に基づいて調整し、トラフィック速度を最大化することが可能になります。
SCMAは、これらの荷物をコードでラベル付けする技術です。これにより、1台の車両で最大6ユーザーの荷物を運ぶことが可能になり、荷物が目的地に届いたら、ユーザー(端末)側で自分のコードを識別するだけで自分の荷物を受け取ることができます。Polar符号は、荷物の輸送中におけるハイウェイの安全性と信頼性を保証するものです。各車両で運ばれた荷物が正しく目的地に到着すれば、ビット・エラー率が低くなります。全二重モードでは、ハイウェイを走る車両が同時に双方向に移動することができるため、リソースの利用効率を大幅に高めることができます。
4Gと5Gの比較:
· 4Gのハイウェイ(無線インターフェース)
4Gのハイウェイを走る車両は高さと幅が全て同じで、同時に同じ方向に移動します。1台の車両につき最大4ユーザーの荷物を搬送可能です。また、走行中に事故が発生して荷物が紛失する場合があります。この場合、荷物を再配送する必要があります。
· 5Gのハイウェイ(無線インターフェース)
5Gのハイウェイを走る車両は高さと幅がそれぞれ異なり、移動する方向も別々になります。1台の車両につき最大6ユーザーの荷物を搬送可能です。また、走行中に事故はほとんど発生しないため、荷物を効率的かつ適切なタイミングでユーザーに届けることが可能です。
ファーウェイのフィールド試験の結果によると、5Gの無線インターフェース技術の利用により、無線周波数の利用効率が300%以上向上し、時間と周波数のリソース・ブロック・サイズと伝送チャネルの安全性に対する個別のサービス要件に柔軟に対応可能です。
5Gへの注目度が高くなるにつれて、各ユーザーや各業界で求められる要件が次第に定義されつつあります。こうしたなか、ファーウェイは5GのR&Dで業界をリードしています。
· 2012年、ファーウェイは初めて5Gのサンプル基地局を開発
· 2014年、ファーウェイは初めて100 Gbit/秒のサンプル基地局を開発
· 2015年、ファーウェイは初めて5Gネットワーク・アーキテクチャの明確な内容を発表
ファーウェイは、新たなネットワーク・アーキテクチャ、新たな無線インターフェース技術、新たな運用システムの実現に向けて5G R&Dへの投資をさらに増やしてきます。こうしたR&Dへの投資により、ユーザーの要件を満たし、通信事業者の発展をサポートしていきます。また、ファーウェイは業界のパートナーと密接に協力して、グローバルな5G標準化と2020年の商用利用を目指しています。
MWC 2015は、 3月2日から5日にかけてスペイン・バルセロナで開催されます。 ファーウェイは会場となるFira Gran Viaのホール1とホール3で最新の製品とソリューションを展示する予定です。 詳細については以下のウェブサイト(英語)をご参照ください。
http://www.huawei.com/minisite/mwc2015/preview/en/
【ファーウェイについて】
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、 英語表記:HUAWEI)は、 世界有数のICTソリューション・プロバイダーであり、 1987年に中国・深圳(シンセン)に設立された従業員持株制による民間企業です。 「通信技術を通じて人々の生活を豊かにする」というビジョンのもと、 お客様志向のイノベーションとパートナーシップにより、 通信・企業ネットワーク、 端末、 クラウド分野にわたり、 お客様の競争優位性を高めるエンド・ツー・エンドのICTソリューション・ポートフォリオを確立しています。 ファーウェイの15万人におよぶ従業員は通信事業者、 企業、 消費者の皆様へ最大の価値を提供すべく尽力しており、 競争力の高いソリューションとサービスを170か国以上で提供し、 世界人口の3分の1にもおよぶ人々のICTソリューション・ニーズに応えています。
日本法人(ファーウェイ・ジャパン)は2005年に設立され、 日本市場のニーズに応えるべく幅広い製品ならびにサービスを提供しています。 詳しくは、 当社ウェブサイト:www.huawei.com/jp/、 フェイスブック:www.facebook.com/HUAWEI.JAPAN、 ツイッター:twitter.com/HUAWEI_Japan_PR、 LINE:‘ファーウェイ’で検索、 YouTube: http://www.youtube.com/user/HuaweiDeviceJP をご覧ください。
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)は、3月2日から5日にかけてスペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress(MWC)2015で、初めて5Gネットワーク・アーキテクチャと無線インターフェース技術セットを公開しました。
昨年11月に中国・上海で開催されたGlobal Mobile Broadband World Forum 2014で、当時のファーウェイの輪番CEO徐直軍(エリック・シュー)は次のように提言しました。「5Gでは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の発展に注力し、モバイル・インターネットの拡張と高度化を実現する飛躍的な技術進化が必要です。」 IoTや垂直統合型の産業で5Gを利用できれば、通信事業者にとって市場の拡大とビジネス・チャンスに繋がります。また、モバイル・インターネット・サービスの拡張と高度化により、ユーザー体験がさらに向上し、ユーザーの定着率が高くなります。これにより、ARPU(Average Revenue Per User)が増加し、通信事業者は収益を確保できます。
5Gネットワークでは、サービス処理に関わるあらゆる機能をオープンな形で取り込んで、サービスやネットワークのカスタマイズをする必要があります。こうした要求を満たすために、ファーウェイは、MWC 2015で5Gの新たな無線インターフェース、アーキテクチャ、運用システムのコンセプトを提案しました。
ファーウェイの展示ブースでは、光の点滅(フラッシュ)を利用して5Gネットワークの物理および論理アーキテクチャを表現したデモを実施しました。このデモでは、物理アーキテクチャをスライスして様々なサービス要件を満たす様子や、ネットワーク・エレメント(NE)の動的な変化やスライス処理に関わる機能を表現しました。
[画像: http://prtimes.jp/i/7389/67/resize/c-7389-2015030517-269e1c5598d999eb49ec166dea7a695a.jpeg ]
無線インターフェース技術の展示会場では、実際の利用シーンを想定した無線インターフェースの波形技術と、マルチアクセス技術がサービス要件に従って動的に調整される様子のデモを行いました。また、この展示会場では、5Gの無線インターフェース技術のコンセプトとサービス要件への対応力をシンプルに理解していただけるように、近い将来実現が期待される3D通話(広帯域)、無人自動車(低遅延)、IoT(マルチ接続)という3つの典型的な利用シーンの展示を中心にご紹介しました。
また、別の展示ブースで、ファーウェイは次世代の運用サポート・システムである「Telco OS」を展示しました。これはインターネット・アーキテクチャに基づいたオープンなOSです。通信事業者にとってTelco OSは、全ての資産(サードパーティの資産を含む)をユーザー向けの製品やソリューションとして統合できる次世代のOSです。開発者にとっては、Telco OSがチャネルとカスタマイズ・サービスを開発するための基盤となります。またユーザーにとって、Telco OSはユーザー自身が必要とする製品やソリューションのカスタマイズに参加できるデジタル市場空間となります。
さて、ファーウェイが考える5G技術をいろいろな例をあげて説明してみたいと思います。
無線ネットワーク・アーキテクチャは、各ネットワークエレメント(NE)をメンバーとする大規模な組織に例えることができます。4Gネットワーク・アーキテクチャでは、基地局側でデータの伝送と処理を行い、コア・ネットワークがデータの転送とサービスの制御を実施するなど、組織内で各メンバーのタスクがあるように、各NEに対する機能が厳密に定義されています。4G時代は、モバイル・インターネットのサービス・タイプがシンプルなため、各サービス処理はプロトコルで定義されています。全てのNEが事前に定義した方法で効果的に協調し、ネットワーク全体でタスクを効率的に完了する必要があります。
一方5G時代では、ユーザーと開発者の双方がサービスのカスタマイズに寄与することになるでしょう。そのため、プロトコルで定義されたサービス・タイプのほかに、カスタマイズおよびパーソナライズされた新たなサービス・タイプが数多く生まれるでしょう。このような場合、固定化したネットワークのアーキテクチャでは柔軟性がないため、多様化するサービス要件に対応することができません。組織で言えば、各メンバーが定義されたタスクに関わらず、柔軟に対応していく必要があるということです。
次にIoV(Internet of Vehicles:自動車のインターネット)を例として説明します。4Gのネットワーク・アーキテクチャでは、基地局側で自動運転車の状態や周囲の状況などの情報をコア・ネットワーク側に送信します。その後、中央にあるコントローラがMAN(Metropolitan Area Network)と伝送ネットワークを経由して運転操作に関する命令を対象とする自動車に送ります。しかし、この方法では、E2Eでの遅延が1秒を超えてしまうため、自動車が運転操作命令を受信するまでに交通事故が発生してしまうかもしれません。
この問題を解決するために、5Gのネットワーク・アーキテクチャでは、柔軟性をさらに高め、各レイヤでサービス処理の制御権をNEに引き渡し、NEの機能を実際のサービス要件に基づいて定義できるようにする必要があります。IoVの例で言えば、自動運転車のための超低遅延化を実現するために、5Gネットワークでは、基地局がデータの伝送から処理、転送、サービス制御までをまとめて行うことになるでしょう。つまり、基地局側で自動車の状態と運転操作命令を処理するため、遅延を1ミリ秒未満に抑えられることになります。これにより、自動車が運転操作命令を即座に受信し、スムーズに運転操作に適用させることが可能になります。
しかし、基地局側での機能統合は最上の手段とはいえません。基地局側に統合された一部の機能が、基地局の多くのリソースを消費するからです。また、全てのサービスで超低遅延化が求められるわけではありません。例えば、スマート・センサーはセンサーの状態に関する収集データを一定の間隔でアップロードするだけなので、ネットワークの帯域や伝送遅延に対する厳しい要件はありません。このような利用シーンでは、基地局側でデータを中央のプロセッサに送って処理を行います。このような使い分けをすることで基地局の負荷が効率的に低減され、より多くのスマート・センサーが基地局に接続できるようになります。また空いているリソースをその他のサービスに割り当てることも可能になります。
5Gネットワーク・アーキテクチャの特長は以下の通りです。
· 接続管理、モビリティ管理、セキュリティ管理、ルーティング管理の統合
· サービスおよびユーザー中心の設計
· 垂直統合型産業における多大なアプリケーションをサポート
· 柔軟でフラットな組織構成
組織の例えに戻ると、この組織構成内の各メンバーの役割は固定されていません。どのメンバー(組織における一般社員のような立場のメンバー)でも、サービス要件に基づいて上位のリーダーになる資格があります。こうした組織構成では、オンデマンドで意思決定が行われるため、トップダウン型の伝達や承認はありません。また、これにより様々なタスクの処理効率が最大化され、通信事業者はパイプ提供者からサービス提供者への変革を図ることが可能になります。
またこのパイプ提供者からサービス提供者への変革については、無線インターフェースについても同じことが言えるでしょう。無線インターフェースは、端末を無線ネットワークに接続するためのチャネルです。4Gネットワークでは、波形技術とマルチアクセス技術が無線インターフェース技術間で規定されています(OFDM、OFDMA、半二重FDD/TDD)。そのため、1つのパイプ内で送信される時間と周波数のリソース・ブロックのサイズと各リソース・ブロックで搬送されるユーザー数は常に同じです。つまり、4Gの無線インターフェースとは、一定サイズの大型トラックのみが通過できるハイウェイのようなものであり、1台のトラックで最大4人のユーザーの荷物(データ)を運ぶことが可能です。
あるサービスのために大量の荷物を運ぶ必要がある場合、車両のサイズに合わせてこの荷物を複数に分ける必要があります。また一部のユーザーのサービス・ブロックが小さかったとしても、1台の車両で運べる荷物は最大4ユーザーまでになります。そのような一定の制限枠を設けないと、目的地に到着した際に各ユーザーの荷物が区別できなくなってしまうからです。つまり、各端末は必要なデータを復調することができなくなってしまうのです。さらに、4Gシステムは半二重モード(FDDまたはTDD)を利用するため、4Gのハイウェイは一方通行となります。FDDモードでは、ハイウェイを走る全車両が同じ方向に移動しなければなりません。またTDDモードでは、ハイウェイを走る全車両は、同時刻には同じ方向に移動しなければならないため、無線リソースの時間上の固定化が発生します。そのため、現在使用されている無線インターフェース技術では周波数リソースをフルに活用することができず、サービス要件ごとの対応もできません。
モバイル・インターネット体験でイノベーションを促進しIoT発展の要件を満たすには、4Gの無線インターフェースの制約を乗り越える5Gシステムで無線インターフェース技術の飛躍的な技術革新が必要です。
MWC 2015において、ファーウェイは新たな波形技術であるFiltered-OFDM(Filtered-Orthogonal Frequency Division Multiplexing:フィルター直交周波数分割多重)、新たなマルチアクセス技術であるSCMA(Sparse Code Multiple Access)、新たなチャネル・コードであるPolar符号、全二重モードなどの無線インターフェース技術セットを公開しました。こうした新しい技術は周波数利用効率を高め、サービスごとに異なる無線インターフェースの伝送要件に対してより柔軟に対処することを可能にします。Filtered-OFDM技術は、無線インターフェースの波形(ハイウェイ)を動的に調整することを可能にする技術です。すなわち、ユーザーの荷物のサイズが大きくなった場合は、そのサイズに応じて大きな車両で運ぶことが可能になります。また、ハイウェイを車両の高さと幅に基づいて調整し、トラフィック速度を最大化することが可能になります。
SCMAは、これらの荷物をコードでラベル付けする技術です。これにより、1台の車両で最大6ユーザーの荷物を運ぶことが可能になり、荷物が目的地に届いたら、ユーザー(端末)側で自分のコードを識別するだけで自分の荷物を受け取ることができます。Polar符号は、荷物の輸送中におけるハイウェイの安全性と信頼性を保証するものです。各車両で運ばれた荷物が正しく目的地に到着すれば、ビット・エラー率が低くなります。全二重モードでは、ハイウェイを走る車両が同時に双方向に移動することができるため、リソースの利用効率を大幅に高めることができます。
4Gと5Gの比較:
· 4Gのハイウェイ(無線インターフェース)
4Gのハイウェイを走る車両は高さと幅が全て同じで、同時に同じ方向に移動します。1台の車両につき最大4ユーザーの荷物を搬送可能です。また、走行中に事故が発生して荷物が紛失する場合があります。この場合、荷物を再配送する必要があります。
· 5Gのハイウェイ(無線インターフェース)
5Gのハイウェイを走る車両は高さと幅がそれぞれ異なり、移動する方向も別々になります。1台の車両につき最大6ユーザーの荷物を搬送可能です。また、走行中に事故はほとんど発生しないため、荷物を効率的かつ適切なタイミングでユーザーに届けることが可能です。
ファーウェイのフィールド試験の結果によると、5Gの無線インターフェース技術の利用により、無線周波数の利用効率が300%以上向上し、時間と周波数のリソース・ブロック・サイズと伝送チャネルの安全性に対する個別のサービス要件に柔軟に対応可能です。
5Gへの注目度が高くなるにつれて、各ユーザーや各業界で求められる要件が次第に定義されつつあります。こうしたなか、ファーウェイは5GのR&Dで業界をリードしています。
· 2012年、ファーウェイは初めて5Gのサンプル基地局を開発
· 2014年、ファーウェイは初めて100 Gbit/秒のサンプル基地局を開発
· 2015年、ファーウェイは初めて5Gネットワーク・アーキテクチャの明確な内容を発表
ファーウェイは、新たなネットワーク・アーキテクチャ、新たな無線インターフェース技術、新たな運用システムの実現に向けて5G R&Dへの投資をさらに増やしてきます。こうしたR&Dへの投資により、ユーザーの要件を満たし、通信事業者の発展をサポートしていきます。また、ファーウェイは業界のパートナーと密接に協力して、グローバルな5G標準化と2020年の商用利用を目指しています。
MWC 2015は、 3月2日から5日にかけてスペイン・バルセロナで開催されます。 ファーウェイは会場となるFira Gran Viaのホール1とホール3で最新の製品とソリューションを展示する予定です。 詳細については以下のウェブサイト(英語)をご参照ください。
http://www.huawei.com/minisite/mwc2015/preview/en/
【ファーウェイについて】
ファーウェイ(中国語表記:華為技術、 英語表記:HUAWEI)は、 世界有数のICTソリューション・プロバイダーであり、 1987年に中国・深圳(シンセン)に設立された従業員持株制による民間企業です。 「通信技術を通じて人々の生活を豊かにする」というビジョンのもと、 お客様志向のイノベーションとパートナーシップにより、 通信・企業ネットワーク、 端末、 クラウド分野にわたり、 お客様の競争優位性を高めるエンド・ツー・エンドのICTソリューション・ポートフォリオを確立しています。 ファーウェイの15万人におよぶ従業員は通信事業者、 企業、 消費者の皆様へ最大の価値を提供すべく尽力しており、 競争力の高いソリューションとサービスを170か国以上で提供し、 世界人口の3分の1にもおよぶ人々のICTソリューション・ニーズに応えています。
日本法人(ファーウェイ・ジャパン)は2005年に設立され、 日本市場のニーズに応えるべく幅広い製品ならびにサービスを提供しています。 詳しくは、 当社ウェブサイト:www.huawei.com/jp/、 フェイスブック:www.facebook.com/HUAWEI.JAPAN、 ツイッター:twitter.com/HUAWEI_Japan_PR、 LINE:‘ファーウェイ’で検索、 YouTube: http://www.youtube.com/user/HuaweiDeviceJP をご覧ください。