2020年以降のAI(人工知能)トレンド- AppierチーフAIサイエンティスト 兼 台湾国立清華大学 准教授 ミン・スンによる考察
[20/01/09]
提供元:PRTIMES
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AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、共同創業者/CEO:チハン・ユー、以下Appier)のチーフAIサイエンティストであるミン・スンは、AI研究における知見を活かし、5G商用化や空飛ぶクルマの構想実現化が期待される2020年において、AI(人工知能)の実用に関する予想を発表しました。
■ AI予測 1:AIは人間が提示した目標達成に向けて自ら行動できるようになる
現在利用が広がっているAI技術は、精度の高い予測を導き出すための「データ分析」に活用されています。現状では、AIによるデータ分析後、経営者、事業責任者、マーケティング担当者など、業務における意思決定者が、AIが示したデータをもとに次の作業を決定しています。しかし、2020年以降は、AIが自ら次の行動を決定する能力を持つことが期待されます。ディープラーニングが高度化することで、少量のデータからでも精度の高い学習・分析が可能になるからです。
デジタルマーケティングの分野を例にとると、AIが顧客の過去の行動を分析することで、彼らがオンラインで特定の商品を購入するかどうかの予測が可能です。一方、購入頻度が少ないユーザーや初めて購入するユーザーの場合には分析すべきデータが少ない、またはデータがありません。しかし今後のAIは、データが少ない、もしくは無いユーザーの行動データと、頻繁に購入を行うユーザーの行動データとの違いを特定し、そこから学習したデータに基づいて分析するように改良されます。さらに、AIは、購入頻度の高いユーザーの行動を予測するという単純なタスクを超えて、購入を決めかねているユーザーまたは購入頻度の低いユーザーの行動パターンを把握し、顧客の購入体験の改善や、購入を促すようなマーケティング施策を提案できるようになります。
■ AI予測 2:人工知能と人間のインテリジェンスを組み合わせた最適なコラボレーションを実現
現時点でのAIと人間の大きな違いの1つは、ほとんどのAIは1つの目標を達成することに、優れているのに対し、人間は通常、複数の目標のバランスをとり、目標を達成するためにそのバランスを変更や調整できるということです。例えば、A地点からB地点へのドライブは明確な目標ですが、人間のドライバーはその他の目標に、速度、安全性、ドライブの快適性なども黙示的に考慮します。今後はAIも、人間と同様に、一度に複数の目標のバランスをより良く取れることが期待されています。
従来のAIは、定量化が可能な1つもしくは複数の目標を人間が手動で組み合わせることで学習訓練を受けてきました。新しいAIは、複数の目標を最適化し、目標間のトレードオフを探求するよう学習させることができます。人間はこのように学習させたAIが特定のトレードオフで動作するよう制御します。例えば、AI搭載の車を「最大の快適さで30分以内にA地点からB地点に行ける」よう、人間が制御するのです。または、「快適性を保ちつつ10分以内にA地点からB地点にたどり着く」ようにAIを制御することもできます。人間が制御しやすいAIすなわち人間中心のAI技術の実現の一例です。一般的に、すべてのAIシステムを人間のエンドユーザーを考慮して設計することで、人工知能と人間のインテリジェンスを組み合わせた最適なコラボレーションが可能となります。
■ AI予測 3:「分散学習」の進歩
AIを活用するためにはデータが最も重要です。データを効果的に活用するには、最適なデータを収集、管理、アクセシビリティおよび統合する技術や環境を整備しなければなりません。テキスト、動画、画像、音声のように多様なフォーマットのデータが大量に生成されている中、企業や政府が情報を共有するための効果的なデータエコシステムの開発が必要になります。これは、種類(テキスト、動画、画像、音声など)や量がバラバラである既存のデータから、複数のGPUを活用して、最適な学習を可能とする「分散学習」の能力が、ますます大切になってくることを意味します。
全体的に、AIがより多くの能力を持つことにより、ビジネスと社会にとって大きな便益がもたされます。より速くかつ、より正確に仕事を行うことができるツールを活用し、人々はより効率的に作業できるようになります。代わりに創造的な開発や、共感できる思慮深いコミュニケーションなど、人間本来の能力を活用するために費やせる時間も増えます。そのうえ、AIは無限ともいえる応用のイノベーションを可能にします。AIがより多くのことを実行できるようになるにつれて、世界中のAI研究者や実践者は、有用な方法を見つけます。これにより、私たちの生き方、働き方、多様な時間の使い方がより良い方向に進むと確信しています。
Appier について
[画像1: https://prtimes.jp/i/25921/68/resize/d25921-68-965502-0.jpg ]
Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/ をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/category/newsletter/ に掲載しています。
ミン・スンについて
[画像2: https://prtimes.jp/i/25921/68/resize/d25921-68-961954-1.png ]
2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。
■ AI予測 1:AIは人間が提示した目標達成に向けて自ら行動できるようになる
現在利用が広がっているAI技術は、精度の高い予測を導き出すための「データ分析」に活用されています。現状では、AIによるデータ分析後、経営者、事業責任者、マーケティング担当者など、業務における意思決定者が、AIが示したデータをもとに次の作業を決定しています。しかし、2020年以降は、AIが自ら次の行動を決定する能力を持つことが期待されます。ディープラーニングが高度化することで、少量のデータからでも精度の高い学習・分析が可能になるからです。
デジタルマーケティングの分野を例にとると、AIが顧客の過去の行動を分析することで、彼らがオンラインで特定の商品を購入するかどうかの予測が可能です。一方、購入頻度が少ないユーザーや初めて購入するユーザーの場合には分析すべきデータが少ない、またはデータがありません。しかし今後のAIは、データが少ない、もしくは無いユーザーの行動データと、頻繁に購入を行うユーザーの行動データとの違いを特定し、そこから学習したデータに基づいて分析するように改良されます。さらに、AIは、購入頻度の高いユーザーの行動を予測するという単純なタスクを超えて、購入を決めかねているユーザーまたは購入頻度の低いユーザーの行動パターンを把握し、顧客の購入体験の改善や、購入を促すようなマーケティング施策を提案できるようになります。
■ AI予測 2:人工知能と人間のインテリジェンスを組み合わせた最適なコラボレーションを実現
現時点でのAIと人間の大きな違いの1つは、ほとんどのAIは1つの目標を達成することに、優れているのに対し、人間は通常、複数の目標のバランスをとり、目標を達成するためにそのバランスを変更や調整できるということです。例えば、A地点からB地点へのドライブは明確な目標ですが、人間のドライバーはその他の目標に、速度、安全性、ドライブの快適性なども黙示的に考慮します。今後はAIも、人間と同様に、一度に複数の目標のバランスをより良く取れることが期待されています。
従来のAIは、定量化が可能な1つもしくは複数の目標を人間が手動で組み合わせることで学習訓練を受けてきました。新しいAIは、複数の目標を最適化し、目標間のトレードオフを探求するよう学習させることができます。人間はこのように学習させたAIが特定のトレードオフで動作するよう制御します。例えば、AI搭載の車を「最大の快適さで30分以内にA地点からB地点に行ける」よう、人間が制御するのです。または、「快適性を保ちつつ10分以内にA地点からB地点にたどり着く」ようにAIを制御することもできます。人間が制御しやすいAIすなわち人間中心のAI技術の実現の一例です。一般的に、すべてのAIシステムを人間のエンドユーザーを考慮して設計することで、人工知能と人間のインテリジェンスを組み合わせた最適なコラボレーションが可能となります。
■ AI予測 3:「分散学習」の進歩
AIを活用するためにはデータが最も重要です。データを効果的に活用するには、最適なデータを収集、管理、アクセシビリティおよび統合する技術や環境を整備しなければなりません。テキスト、動画、画像、音声のように多様なフォーマットのデータが大量に生成されている中、企業や政府が情報を共有するための効果的なデータエコシステムの開発が必要になります。これは、種類(テキスト、動画、画像、音声など)や量がバラバラである既存のデータから、複数のGPUを活用して、最適な学習を可能とする「分散学習」の能力が、ますます大切になってくることを意味します。
全体的に、AIがより多くの能力を持つことにより、ビジネスと社会にとって大きな便益がもたされます。より速くかつ、より正確に仕事を行うことができるツールを活用し、人々はより効率的に作業できるようになります。代わりに創造的な開発や、共感できる思慮深いコミュニケーションなど、人間本来の能力を活用するために費やせる時間も増えます。そのうえ、AIは無限ともいえる応用のイノベーションを可能にします。AIがより多くのことを実行できるようになるにつれて、世界中のAI研究者や実践者は、有用な方法を見つけます。これにより、私たちの生き方、働き方、多様な時間の使い方がより良い方向に進むと確信しています。
Appier について
[画像1: https://prtimes.jp/i/25921/68/resize/d25921-68-965502-0.jpg ]
Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/ をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/category/newsletter/ に掲載しています。
ミン・スンについて
[画像2: https://prtimes.jp/i/25921/68/resize/d25921-68-961954-1.png ]
2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。