シンガポールの輸出の8割が外国に帰属する付加価値
[18/08/30]
提供元:PRTIMES
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〜日本アセアンセンターがシンガポールのGVCに関する研究成果を発表〜
▼論文「ASEANにけるグローバル・バリュー・チェーン:シンガポール」
https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide/centrewide/
[画像1: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-786953-4.jpg ]
国際機関日本アセアンセンター(東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1階 事務総長:藤田正孝)は、2018年8月29日、シンガポールにおけるグローバル・バリュー・チェーン(GVC)に係る研究成果を発表しました。(英語のみ。URL: https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide/centrewide/ )。本研究は、シンガポールにおけるGVCについての分析に加え、更なる持続可能な開発という観点から、GVCによる利益を最大化しリスクを最小限に留めるための政策決定者に対する実践的な提言も含むものです。
今回発表した「Global Value Chains in ASEAN: Singapore(ASEANにけるグローバル・バリュー・チェーン:シンガポール)」と題する論文の中で、センターはシンガポールからの付加価値輸出の内62%が国外でつくられた付加価値であり、国内の外資系企業による輸出を含めると、輸出における外国に帰属する付加価値の割合が8割に達することを明らかにしました。
なお、本論文は、センターが今後発表を予定しているGVCについての16本の論文のうちの一つです。センターでは2016年にASEAN[注1]諸国のGVCに関する研究調査事業を開始して以来、既にASEAN全体と、国別ではブルネイとフィリピン、産業別では観光業を採り上げた論文を各1本発表しており、残りの11本の論文についても順次発表していきます。[注2] これらの論文はセンターが、Eora[注3]と国連貿易開発会議(UNCTAD)の協力を得て構築した付加価値貿易に関するデータに基づいています。
本論文の要旨は、次の通りです。
都市国家で、建国時には主要な経済的資産はなかったシンガポールだが、サービス中心の大規模経済へと発展し、ASEAN諸国の中では最大の輸出国となった。また、シンガポールにおいては国内で付与された付加価値ではなく、外国で付与された付加価値貿易の割合が最大である。よって、シンガポールは、国内で創造された付加価値において、ASEAN諸国の中で第4位でしかない。【図表1】
総輸出に占める外国で付与された付加価値の割合は、産業及びシンガポールのGVCへの参加国によって異なる(全産業の平均は62%【図表2】)。シンガポールからの輸出に付加価値を提供する上位2ヵ国であった日本とアメリカは、2005年にはASEANにおける首位を失った【図表3】。但し、日本とアメリカの輸出における損失は、国際生産によってある程度補われた。
GVCにおける日シンガポール関係は数多くの製品を組み込んでおり、日本製品はシンガポールの輸出の6%に寄与している。
シンガポールの付加価値輸出の80%は、外資系企業のシンガポールでの国際生産を含め、外国に帰属する付加価値と推定されている。
シンガポールの輸出製品は主として最終需要で、最終製品に組み込まれるハイテク製品であるため、シンガポールにおけるGVCの下流部分は、ASEAN加盟国の中では最も短い。
シンガポールの輸出製品は世界市場に流通しているため、同国のGVCは通常ASEAN域外にまで広がる。
経済におけるGVCからの恩恵を維持するために、シンガポールは、高い水準の外国直接投資(FDI)を維持し、技術革新がもたらす利益を分配することを通じて、様々な機能を提供する能力を向上させるべきである。
[注1] ASEAN (東南アジア諸国連合)は、1967年に結成された地域協力機構。 加盟10カ国(ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、 インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)総人口は6億4千万人を超える。
[注2] 本件は、ASEAN各国のバリュー・チェーンに関するデータを構築・更新し、同データに基き分析論文を作成する、複数年に亘る研究活動の一環。本事業では、計16本の証拠に基く、政策志向の論文を作成する。この度発表したASEAN地域全体に関する論文(Paper 1)に加え、ASEAN各国を対象にした論文が各1本(Paper 2〜11)、また、電気機器、自動車、衣服及び繊維製品、アグリビジネスと観光の5つの産業分野に焦点を当てた論文が各1本(Paper 12〜16)発表される予定。
[注3] Eoraはシドニー大学に本拠地を置く、国際色豊かな研究プロジェクト・チームであり、「多地域インプット・アウトプット データベース」(www.worldmrio.com)を開発した。同データベースは、付加価値貿易の推定値の基になっており、センターによるGVCに関しての研究事業において使用されている。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-191843-0.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-173221-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-739537-3.jpg ]
<<国際機関日本アセアンセンター>>
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10カ国政府と日本政府により1981年に設立。
貿易・投資・観光・人物交流の4分野を中心に、ASEAN商品の輸出促進、日系企業の進出支援、人材育成、日ASEAN間の観光促進等を通して、日本とASEAN諸国との関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
<<本リリースについてのお問合せ先>>
国際機関日本アセアンセンター 企画調整官室
東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1F
Tel:03-5402-8118
Fax:03-5402-8003
E-mail: ajc-pr@asean.or.jp
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https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide/centrewide/
[画像1: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-786953-4.jpg ]
国際機関日本アセアンセンター(東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1階 事務総長:藤田正孝)は、2018年8月29日、シンガポールにおけるグローバル・バリュー・チェーン(GVC)に係る研究成果を発表しました。(英語のみ。URL: https://www.asean.or.jp/ja/centre-wide/centrewide/ )。本研究は、シンガポールにおけるGVCについての分析に加え、更なる持続可能な開発という観点から、GVCによる利益を最大化しリスクを最小限に留めるための政策決定者に対する実践的な提言も含むものです。
今回発表した「Global Value Chains in ASEAN: Singapore(ASEANにけるグローバル・バリュー・チェーン:シンガポール)」と題する論文の中で、センターはシンガポールからの付加価値輸出の内62%が国外でつくられた付加価値であり、国内の外資系企業による輸出を含めると、輸出における外国に帰属する付加価値の割合が8割に達することを明らかにしました。
なお、本論文は、センターが今後発表を予定しているGVCについての16本の論文のうちの一つです。センターでは2016年にASEAN[注1]諸国のGVCに関する研究調査事業を開始して以来、既にASEAN全体と、国別ではブルネイとフィリピン、産業別では観光業を採り上げた論文を各1本発表しており、残りの11本の論文についても順次発表していきます。[注2] これらの論文はセンターが、Eora[注3]と国連貿易開発会議(UNCTAD)の協力を得て構築した付加価値貿易に関するデータに基づいています。
本論文の要旨は、次の通りです。
都市国家で、建国時には主要な経済的資産はなかったシンガポールだが、サービス中心の大規模経済へと発展し、ASEAN諸国の中では最大の輸出国となった。また、シンガポールにおいては国内で付与された付加価値ではなく、外国で付与された付加価値貿易の割合が最大である。よって、シンガポールは、国内で創造された付加価値において、ASEAN諸国の中で第4位でしかない。【図表1】
総輸出に占める外国で付与された付加価値の割合は、産業及びシンガポールのGVCへの参加国によって異なる(全産業の平均は62%【図表2】)。シンガポールからの輸出に付加価値を提供する上位2ヵ国であった日本とアメリカは、2005年にはASEANにおける首位を失った【図表3】。但し、日本とアメリカの輸出における損失は、国際生産によってある程度補われた。
GVCにおける日シンガポール関係は数多くの製品を組み込んでおり、日本製品はシンガポールの輸出の6%に寄与している。
シンガポールの付加価値輸出の80%は、外資系企業のシンガポールでの国際生産を含め、外国に帰属する付加価値と推定されている。
シンガポールの輸出製品は主として最終需要で、最終製品に組み込まれるハイテク製品であるため、シンガポールにおけるGVCの下流部分は、ASEAN加盟国の中では最も短い。
シンガポールの輸出製品は世界市場に流通しているため、同国のGVCは通常ASEAN域外にまで広がる。
経済におけるGVCからの恩恵を維持するために、シンガポールは、高い水準の外国直接投資(FDI)を維持し、技術革新がもたらす利益を分配することを通じて、様々な機能を提供する能力を向上させるべきである。
[注1] ASEAN (東南アジア諸国連合)は、1967年に結成された地域協力機構。 加盟10カ国(ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、 インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)総人口は6億4千万人を超える。
[注2] 本件は、ASEAN各国のバリュー・チェーンに関するデータを構築・更新し、同データに基き分析論文を作成する、複数年に亘る研究活動の一環。本事業では、計16本の証拠に基く、政策志向の論文を作成する。この度発表したASEAN地域全体に関する論文(Paper 1)に加え、ASEAN各国を対象にした論文が各1本(Paper 2〜11)、また、電気機器、自動車、衣服及び繊維製品、アグリビジネスと観光の5つの産業分野に焦点を当てた論文が各1本(Paper 12〜16)発表される予定。
[注3] Eoraはシドニー大学に本拠地を置く、国際色豊かな研究プロジェクト・チームであり、「多地域インプット・アウトプット データベース」(www.worldmrio.com)を開発した。同データベースは、付加価値貿易の推定値の基になっており、センターによるGVCに関しての研究事業において使用されている。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-191843-0.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-173221-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/10699/71/resize/d10699-71-739537-3.jpg ]
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正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10カ国政府と日本政府により1981年に設立。
貿易・投資・観光・人物交流の4分野を中心に、ASEAN商品の輸出促進、日系企業の進出支援、人材育成、日ASEAN間の観光促進等を通して、日本とASEAN諸国との関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
<<本リリースについてのお問合せ先>>
国際機関日本アセアンセンター 企画調整官室
東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1F
Tel:03-5402-8118
Fax:03-5402-8003
E-mail: ajc-pr@asean.or.jp