シスメックス・凸版印刷・理研ジェネシス、がん組織内の遺伝子変異を検出する完全自動化システム(研究用)の市場導入を開始
[18/08/30]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
〜がん遺伝子検査の煩雑さを解消し、検査の標準化に貢献〜
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)と凸版印刷株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:金子 眞吾 以下「凸版印刷」)、株式会社理研ジェネシス(本社:東京都、代表取締役社長:近藤 直人 以下「理研ジェネシス」)は、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する「研究用遺伝子測定装置LW-100」および関連試薬群(以下「本システム」)を共同で開発しました。
このたび3社は、本システムの研究用としての提供を開始します。臨床用途での早期実用化に向けて、本システムの臨床的有用性の検証を積極的に進め、がん組織標本を用いた遺伝子検査の標準化を目指します。
■ 開発の背景
近年の個別化医療の進展に伴い、がん治療では、遺伝子検査の結果に基づき診断や治療薬選択が行われるケースが増えており、診断ガイドラインにおいても遺伝子検査の利用が推奨されています。
がん患者の術後の治療法選択時には、手術で採取したがん組織内の遺伝子変異を調べる検査が実施されます。しかし従来の方法では、核酸抽出から遺伝子増幅(PCR)の工程でサンプル・試薬分注など多くの手作業が必要なため、遺伝子検査は専門の検査センターに委託されるケースが多く、治療法確定には時間がかかっていました。しかし、早期治療開始の流れを受け、遺伝子検査の院内検査化とそれに伴う検査の標準化が求められています。
シスメックスと凸版印刷および理研ジェネシスは、がん遺伝子検査の標準化を目指した提携を、2014年6月に開始し、シスメックスが保有する試薬開発力およびシステム化技術、凸版印刷の保有する遺伝子変異検出チップおよび消耗品開発技術、理研ジェネシスの遺伝子変異解析技術を活用して、がん組織標本を用いた遺伝子検査を自動化するシステムの共同開発を進めてきました。
■ 本システムの特長
このたび「研究用遺伝子測定装置LW-100」および核酸抽出カートリッジ、遺伝子変異検出チップなどの関連試薬群で構成され、がん組織標本のパラフィン溶解から核酸抽出および精製、遺伝子増幅、測定結果表示までの工程を自動化するシステムの研究市場への導入を開始します。
本システムは、手作業を含めた全工程を自動化することで、検査の煩雑さを解消し、がん遺伝子検査の標準化に貢献します。
また、LW-100と同時に導入する肺がんの主要バイオマーカーであるEGFR遺伝子変異(※1)の検出チップ「LW-100 EGFR 研究用試薬」は、検出対象の遺伝子変異を特異的に増幅するBNAクランプPCR法(※2)を採用しており、EGFR遺伝子変異の高感度測定を実現します。
■ 今後の展開
本システムを国内の研究市場へ導入し、臨床用途での実用化および遺伝子検査の標準化に向けた取り組みを加速するとともに、今後は、グローバルで製薬企業や医療機関と連携して、コンパニオン診断薬の開発を進めていきます。
シスメックス、凸版印刷、理研ジェネシスは、今後も遺伝子解析検査のさらなるイノベーションに向けた取り組みを加速し、患者さん一人ひとりに最適な治療をお届けするため、個別化診断技術の臨床価値創出を目指します。
【本システムの概要】
製品構成:
・研究用遺伝子測定装置LW-100
・分注チップ
・核酸抽出カートリッジ
・EGFR変異検出チップ LW-100 EGFR 研究用試薬
導入時期: 2018年8月
対象市場: 日本(研究市場)
主な特徴:
・病理検体を投入するだけで、装置内で核酸抽出、精製、解析、結果の出力までを自動処理
・複数アッセイ(最大23アッセイ)を1度に測定できる遺伝子変異検出チップを採用
・BNAクランプPCR法による高感度測定を実現
・感度:100コピー以下(総ゲノム数が10の5乗コピーの場合、0.1%相当)
・検体処理時間は 1サンプル3時間40分、3サンプル 8時間
[画像1: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-567153-0.jpg ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-865486-1.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-300155-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-585541-3.jpg ]
【注釈】
※1 EGFR遺伝子変異:
EGFRは上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor)の略称であり、細胞の増殖に関わる因子を認識することでシグナル伝達を行う受容体を指す。EGFRは多くの細胞に存在するが、EGFRを構成する遺伝子に変異が起こることでがん化やがんの浸潤・転移に関わるようになる。
※2 BNAクランプPCR法:
BNA は人工的に作られた DNA と類似の構造を持つ化合物で、相補的な核酸と強く結合し、安定な二重鎖を形成する。このような BNA の性質を利用し、検出対象以外の遺伝子に結合(クランプ)し増幅を抑制する。変異検出において、通常の PCR では、変異のない遺伝子によるバックグラウンドノイズが要因となり感度が低下するが、BNA クランプ PCR では、変異のある遺伝子だけを選択的に増幅できるため、バックグラウンドノイズが抑えられ、高感度に検出することが可能となる。
「LW-100 EGFR 研究用試薬」は、理研ジェネシスの子会社である株式会社BNA(日本)とのライセンス契約(日本特許第4731324号および第6242336号ならびにそれらの対応外国特許出願)に基づき、日本国内で製造されている。また、「EGFR 研究用試薬」は米国特許番号7294468およびその対応外国特許によって保護されている。
以 上
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)と凸版印刷株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:金子 眞吾 以下「凸版印刷」)、株式会社理研ジェネシス(本社:東京都、代表取締役社長:近藤 直人 以下「理研ジェネシス」)は、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する「研究用遺伝子測定装置LW-100」および関連試薬群(以下「本システム」)を共同で開発しました。
このたび3社は、本システムの研究用としての提供を開始します。臨床用途での早期実用化に向けて、本システムの臨床的有用性の検証を積極的に進め、がん組織標本を用いた遺伝子検査の標準化を目指します。
■ 開発の背景
近年の個別化医療の進展に伴い、がん治療では、遺伝子検査の結果に基づき診断や治療薬選択が行われるケースが増えており、診断ガイドラインにおいても遺伝子検査の利用が推奨されています。
がん患者の術後の治療法選択時には、手術で採取したがん組織内の遺伝子変異を調べる検査が実施されます。しかし従来の方法では、核酸抽出から遺伝子増幅(PCR)の工程でサンプル・試薬分注など多くの手作業が必要なため、遺伝子検査は専門の検査センターに委託されるケースが多く、治療法確定には時間がかかっていました。しかし、早期治療開始の流れを受け、遺伝子検査の院内検査化とそれに伴う検査の標準化が求められています。
シスメックスと凸版印刷および理研ジェネシスは、がん遺伝子検査の標準化を目指した提携を、2014年6月に開始し、シスメックスが保有する試薬開発力およびシステム化技術、凸版印刷の保有する遺伝子変異検出チップおよび消耗品開発技術、理研ジェネシスの遺伝子変異解析技術を活用して、がん組織標本を用いた遺伝子検査を自動化するシステムの共同開発を進めてきました。
■ 本システムの特長
このたび「研究用遺伝子測定装置LW-100」および核酸抽出カートリッジ、遺伝子変異検出チップなどの関連試薬群で構成され、がん組織標本のパラフィン溶解から核酸抽出および精製、遺伝子増幅、測定結果表示までの工程を自動化するシステムの研究市場への導入を開始します。
本システムは、手作業を含めた全工程を自動化することで、検査の煩雑さを解消し、がん遺伝子検査の標準化に貢献します。
また、LW-100と同時に導入する肺がんの主要バイオマーカーであるEGFR遺伝子変異(※1)の検出チップ「LW-100 EGFR 研究用試薬」は、検出対象の遺伝子変異を特異的に増幅するBNAクランプPCR法(※2)を採用しており、EGFR遺伝子変異の高感度測定を実現します。
■ 今後の展開
本システムを国内の研究市場へ導入し、臨床用途での実用化および遺伝子検査の標準化に向けた取り組みを加速するとともに、今後は、グローバルで製薬企業や医療機関と連携して、コンパニオン診断薬の開発を進めていきます。
シスメックス、凸版印刷、理研ジェネシスは、今後も遺伝子解析検査のさらなるイノベーションに向けた取り組みを加速し、患者さん一人ひとりに最適な治療をお届けするため、個別化診断技術の臨床価値創出を目指します。
【本システムの概要】
製品構成:
・研究用遺伝子測定装置LW-100
・分注チップ
・核酸抽出カートリッジ
・EGFR変異検出チップ LW-100 EGFR 研究用試薬
導入時期: 2018年8月
対象市場: 日本(研究市場)
主な特徴:
・病理検体を投入するだけで、装置内で核酸抽出、精製、解析、結果の出力までを自動処理
・複数アッセイ(最大23アッセイ)を1度に測定できる遺伝子変異検出チップを採用
・BNAクランプPCR法による高感度測定を実現
・感度:100コピー以下(総ゲノム数が10の5乗コピーの場合、0.1%相当)
・検体処理時間は 1サンプル3時間40分、3サンプル 8時間
[画像1: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-567153-0.jpg ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-865486-1.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-300155-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/33034/73/resize/d33034-73-585541-3.jpg ]
【注釈】
※1 EGFR遺伝子変異:
EGFRは上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor)の略称であり、細胞の増殖に関わる因子を認識することでシグナル伝達を行う受容体を指す。EGFRは多くの細胞に存在するが、EGFRを構成する遺伝子に変異が起こることでがん化やがんの浸潤・転移に関わるようになる。
※2 BNAクランプPCR法:
BNA は人工的に作られた DNA と類似の構造を持つ化合物で、相補的な核酸と強く結合し、安定な二重鎖を形成する。このような BNA の性質を利用し、検出対象以外の遺伝子に結合(クランプ)し増幅を抑制する。変異検出において、通常の PCR では、変異のない遺伝子によるバックグラウンドノイズが要因となり感度が低下するが、BNA クランプ PCR では、変異のある遺伝子だけを選択的に増幅できるため、バックグラウンドノイズが抑えられ、高感度に検出することが可能となる。
「LW-100 EGFR 研究用試薬」は、理研ジェネシスの子会社である株式会社BNA(日本)とのライセンス契約(日本特許第4731324号および第6242336号ならびにそれらの対応外国特許出願)に基づき、日本国内で製造されている。また、「EGFR 研究用試薬」は米国特許番号7294468およびその対応外国特許によって保護されている。
以 上