イラクでヤジディ教徒の少女たちが性暴力の犠牲に
[14/12/24]
提供元:PRTIMES
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浮き彫りになる残忍な「イスラム国」支配
「イスラム国」を自称する武装グループに拉致されたヤジディ教徒の女性や少女が、拷問や強かんなどの性暴力の被害にあっている。被害者は数百人にのぼり、多くは14、5歳の少女、あるいはもっと幼い子どもたちだ。恐怖のあまり自ら命を絶つ者もいる。イスラム国の戦闘員は強かんを攻撃の武器として利用しており、これは戦争犯罪、人道に対する罪に相当する。
イラクで少数派のヤジディ教徒は、北西部ジンジャール地方から民族少数派や宗教少数派を一掃しようと企むイスラム国の標的になってきた。アムネスティは新たに発表した報告書で、ヤジディ教徒の何百という女性や少女が、イスラム国の戦闘員や支持者と強制的に結婚させられたり、売られたり、あるいは贈り物扱いを受けている恐るべき実態を明らかにした。報告書はイスラム国から逃れてきた女性・少女40人以上に行った聞き取り調査に基づくものだ。被害者の数は数千にのぼる可能性もある。また、捕えられた人びとの多くは、イスラム教への改宗を強制されている。
イスラム国に捕まった女性や少女たちの中には恐怖のあまり、自ら命を絶つ者もいる。モスルで捕らわれていた19歳のジランさんは、強かんされることを恐れて自殺した。ジランさんと同室だった少女は、アムネスティにこう話してくれた。
「ある日、私たちは踊りの衣装のような服を与えられ、お風呂に入ってからそれに着替えるように言われた。ジランは浴室で自殺した。手首を切ってから、首を吊って。ジランはとてもきれいだった。自分が男に与えられると知って、自殺したのだと思う」
ジランさんやこの少女のいた部屋には20人がいて、10歳と12歳の少女もいたという。彼女は後で逃げ出すことができた。
イスラム国の元から逃げてきた27歳のワファさんは 、自分と妹が自殺を試みた様子を語った。強制的に結婚させられると脅されたからだ。スカーフで首を絞めようとしたが、同じ部屋で寝ていた2人の少女が目を覚まし、止めに入ったそうだ。
「首に巻いたお互いのスカーフを力いっぱい引っ張ったの。そこで気を失って。その後何日か声を出すことができなかった」
加害者のほとんどはイラク人かシリア人で、多くがイスラム国の戦闘員だが、その支持者もいると考えられている。捕まったことがある人たちの話では、普通の家庭に住まわされ、捕まえた者の妻や子供と暮らしていたそうだ。
生き延びたヤジディ教徒の人びとは、何十人もの身内がイスラム国に捕まっているか殺されており、そのことも彼らを苦しめる。
16歳のランダさんはシンジャール山近隣の村出身で、20人近くの家族とともに拉致された。身重の母親もいた。ランダさんは自分の2倍もの年齢の男に売られたか贈られたかし、その男に強かんされた。痛ましい体験をこう話す。
「私と家族に奴らがした仕打ちは、あまりに辛い。イスラム国は、私たちの暮らしをめちゃくちゃにした。これからみんなどうなるの? また会えるかも、わからない」
彼女たちが受けた恐ろしい性暴力の肉体的・精神的なダメージは、計り知れない。拷問され奴隷のように扱われた人も多くいる。何とか逃げ出せた人も、心に深い傷を抱えたままである。
性暴力のトラウマは、強かんを受けた者という烙印でさらに悪化する。被害者は自分の名誉、家族の名誉が汚されたと感じ、世間の目を恐れる。
性暴力の被害者は最大限の助けやサポートを切に望んでいるが、受けられた人は多くない。医療などの被害者支援を行っているクルド自治政府や国連や人道機関は、取り組みを強化しなくてはならない。必要な人すべてにすぐに支援が届くような積極策を打ち出し、支援が得られることを女性や少女に知ってもらう工夫をしなければならない。
※被害者の名前は仮名です。写真は「イスラム国」によって虐待を受けた少女。
▽アムネスティ日本公式サイト
www.amnesty.or.jp
「イスラム国」を自称する武装グループに拉致されたヤジディ教徒の女性や少女が、拷問や強かんなどの性暴力の被害にあっている。被害者は数百人にのぼり、多くは14、5歳の少女、あるいはもっと幼い子どもたちだ。恐怖のあまり自ら命を絶つ者もいる。イスラム国の戦闘員は強かんを攻撃の武器として利用しており、これは戦争犯罪、人道に対する罪に相当する。
イラクで少数派のヤジディ教徒は、北西部ジンジャール地方から民族少数派や宗教少数派を一掃しようと企むイスラム国の標的になってきた。アムネスティは新たに発表した報告書で、ヤジディ教徒の何百という女性や少女が、イスラム国の戦闘員や支持者と強制的に結婚させられたり、売られたり、あるいは贈り物扱いを受けている恐るべき実態を明らかにした。報告書はイスラム国から逃れてきた女性・少女40人以上に行った聞き取り調査に基づくものだ。被害者の数は数千にのぼる可能性もある。また、捕えられた人びとの多くは、イスラム教への改宗を強制されている。
イスラム国に捕まった女性や少女たちの中には恐怖のあまり、自ら命を絶つ者もいる。モスルで捕らわれていた19歳のジランさんは、強かんされることを恐れて自殺した。ジランさんと同室だった少女は、アムネスティにこう話してくれた。
「ある日、私たちは踊りの衣装のような服を与えられ、お風呂に入ってからそれに着替えるように言われた。ジランは浴室で自殺した。手首を切ってから、首を吊って。ジランはとてもきれいだった。自分が男に与えられると知って、自殺したのだと思う」
ジランさんやこの少女のいた部屋には20人がいて、10歳と12歳の少女もいたという。彼女は後で逃げ出すことができた。
イスラム国の元から逃げてきた27歳のワファさんは 、自分と妹が自殺を試みた様子を語った。強制的に結婚させられると脅されたからだ。スカーフで首を絞めようとしたが、同じ部屋で寝ていた2人の少女が目を覚まし、止めに入ったそうだ。
「首に巻いたお互いのスカーフを力いっぱい引っ張ったの。そこで気を失って。その後何日か声を出すことができなかった」
加害者のほとんどはイラク人かシリア人で、多くがイスラム国の戦闘員だが、その支持者もいると考えられている。捕まったことがある人たちの話では、普通の家庭に住まわされ、捕まえた者の妻や子供と暮らしていたそうだ。
生き延びたヤジディ教徒の人びとは、何十人もの身内がイスラム国に捕まっているか殺されており、そのことも彼らを苦しめる。
16歳のランダさんはシンジャール山近隣の村出身で、20人近くの家族とともに拉致された。身重の母親もいた。ランダさんは自分の2倍もの年齢の男に売られたか贈られたかし、その男に強かんされた。痛ましい体験をこう話す。
「私と家族に奴らがした仕打ちは、あまりに辛い。イスラム国は、私たちの暮らしをめちゃくちゃにした。これからみんなどうなるの? また会えるかも、わからない」
彼女たちが受けた恐ろしい性暴力の肉体的・精神的なダメージは、計り知れない。拷問され奴隷のように扱われた人も多くいる。何とか逃げ出せた人も、心に深い傷を抱えたままである。
性暴力のトラウマは、強かんを受けた者という烙印でさらに悪化する。被害者は自分の名誉、家族の名誉が汚されたと感じ、世間の目を恐れる。
性暴力の被害者は最大限の助けやサポートを切に望んでいるが、受けられた人は多くない。医療などの被害者支援を行っているクルド自治政府や国連や人道機関は、取り組みを強化しなくてはならない。必要な人すべてにすぐに支援が届くような積極策を打ち出し、支援が得られることを女性や少女に知ってもらう工夫をしなければならない。
※被害者の名前は仮名です。写真は「イスラム国」によって虐待を受けた少女。
▽アムネスティ日本公式サイト
www.amnesty.or.jp