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「経済安全保障重要技術育成プログラム」成層圏を長期飛行する無人機によって海洋状況を把握する技術の開発・実証に着手

世界に先駆けて高高度プラットフォーム活用に必要なリモートセンシングなどの技術確立を目指す




NEDOは経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」(以下、本プログラム)の一環で実施する研究開発として、「高高度無人機による海洋状況把握技術の開発・実証」(以下、本事業)に着手します。
 本事業では、世界に先駆けて、成層圏の特定位置に長時間継続的に停留して通信を提供する高高度プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)をセンシングプラットフォームとして活用するために必要な技術の確立を目指します。
 具体的には、リモートセンシング技術の開発やセンサーから得られた情報共有のためのデータプラットフォーム技術、HAPSの運航に係る技術の研究開発を行います。さらに、高高度無人機の実用化に向けては供給電力に限界があることから、高緯度での長期航行を実現する動力源確保のためのフィジビリティスタディを行います。
 これにより、海洋状況把握(MDA:Maritime Domain Awareness)の能力を強化し、海洋の安全や海洋産業の成長を目指します。

1.経済安全保障重要技術育成プログラムについて
 世界的に、科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性を確保するためには、研究基盤を強化することはもちろんのこと、市場経済のメカニズムのみに委ねるのではなく、国が強力に重要技術の研究開発を進め、育成していく必要があります。
 そこで、経済安全保障を強化・推進するため、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するため、本プログラム※1が創設されました。
 本プログラムでは、NEDOに造成された基金※2により、国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想※3に基づき、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発とその成果の活用を推進します。

2.事業の概要
 本事業への参画を希望する実施者を募集し、審査を行った結果、次の2テーマを採択しました。
 本事業で高高度無人機の活用による「〔1〕海洋状況把握技術に関する研究開発」と「〔2〕高高度無人機の長期航行技術に関する研究開発」を実施し、成層圏の特定位置に長時間継続的に停留できるHAPSのセンシングプラットフォームの活用に必要な技術開発を世界に先駆けて進めることで、日本の戦略的不可欠性の獲得を目指します。

3.実施内容・採択テーマ
【〔1〕海洋状況把握技術に関する研究開発】
 HAPSに搭載するため、従来大型の無人機にしか搭載できなかった光学/赤外線(EO/IR:Electro-Optical/Infrared)センサー、合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)を軽量化、省電力化し、実際の飛行軌道を想定した実証を行います。さらに、HAPSへ搭載する複数センサーから収集したデータを複合的に解析するシステムの開発・実証や、MDAで利用するHAPSの飛行経路や飛行計画など通信ミッションとは異なる特異なケースでの運用に適した運行管理と気象情報の提供を可能にするシステムの開発・実証を実施します。
 事 業 名:経済安全保障重要技術育成プログラム/高高度無人機による海洋状況把握技術の開発実証/高高
       度無人機による海洋状況把握技術の研究開発
 予   算:60億円
 期   間:2024年度〜2028年度(予定)
 実施予定先:株式会社Space Compass、新明和工業株式会社、株式会社三菱総合研究所
 実 施 概 要:別紙1のとおり

【〔2〕高高度無人機の長期航行技術に関する研究開発】
 HAPSの日本周辺での長期航行を実現するための動力要素技術の開発を目的に、高緯度で高効率発電が可能な太陽光パネルや高密度エネルギー蓄電池の開発・実証を視野に入れ、成層圏での飛行実証段階にある機体の技術動向分析を行います。そして、HAPSに搭載し長期航行を実現する太陽光パネルや蓄電池の開発要素、達成目標の抽出を行うフィジビリティスタディを実施します。
 事 業 名:経済安全保障重要技術育成プログラム/高高度無人機による海洋状況把握技術の開発・実証/
       HAPS用高エネルギー密度電池パックおよび高効率発電が可能な太陽電池の研究開発
 予   算:2億円
 期   間:2024年度(予定)
 実施予定先:ソフトバンク株式会社
 実 施 概 要:別紙2のとおり

※上記「別紙1」および「別紙2」については、いずれも以下のURLよりご確認ください。
 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101760.html

【注釈】
※1 本プログラム
 事業名:経済安全保障重要技術育成プログラム
 事業期間:2022年度〜2031年度
 事業概要:経済安全保障重要技術育成プログラム https://www.nedo.go.jp/activities/k-program.html
※2 NEDOに造成された基金
 本基金は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)第63条第1項における「特定重要技術の研究開発の促進および、その成果の適切な活用を目的するもの」として指定基金として指定されています。
※3 国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想
 「研究開発ビジョン」とは、経済安全保障推進会議および統合イノベーション戦略推進会議で取りまとめられる、支援対象とする重要技術や重要技術となり得る要素技術などを示したものです。「研究開発構想」とは、研究開発ビジョンをもとに内閣府および経済産業省が具体的な研究開発の構想を示すために策定するものです。最新の資料は、内閣府ホームページ(経済安全保障重要技術育成プログラム https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/kprogram.html)を参照ください。
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