FIXERと順天堂大、生成AIを活用した医療DXへ共同研究―厚労省が補助、電子カルテ情報を基に生成AIで診療報酬を算定―病院の請求業務を省力化、会計システム改修費用を大幅削減へ
[24/03/27]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
株式会社FIXERと順天堂大学は2月1日から、生成AIを活用した「医療DX」(注1)の共同研究を始めました。FIXERが提供する生成AIサービス「GaiXer(ガイザー)」を活用し、電子カルテの情報をもとに診療報酬算定の労力を減らす仕組みをつくります。GaiXerを利用することで、従来は病院全体で数日かかっていた診療報酬の算定を数分程度(生成AIによる原案作成に数十秒、ヒトのチェックを合わせて数分程度)に減らせる見込みです。将来は、診療報酬の改定に伴う医療関連システムの改修コスト削減にもつながり、国が進める医療費の削減にも寄与する見通しです。当社と順天堂大学は今年度中(2024年3月末)までに報告書を作成し、厚生労働省に提出いたします。
(注1)医療DX(デジタルトランスフォーメーション)=医療分野(病院・薬局などの医療機関や介護関連施設)のDXのこと。患者の医療データを電子化して医療機関同士で共有するなど、デジタル技術を活用する。医療の効率や質を向上させ、患者がより良質な医療やケアを受けられるようにすることが狙い。
■診療報酬算定の現状
患者が病院で受けた医療サービスの対価として負担する「診療報酬」は、現状では非常に複雑な仕組みで計算されています。
具体的にいえば、診療報酬の算定は、医師が電子カルテに記録した診療内容を基に進められます。医療機関の医事部門は、これらの記録と厚生労働省が定める診療報酬点数表を照らし合わせ、提供した医療サービスに対応する点数を割り当てます。算定された総点数は、医事会計システムを通じて請求金額に変換され、患者の保険種類に応じた自己負担額も計算されます。このプロセスにより、医療サービスの正確な請求が行われます。
しかし、こうした複雑な仕組みによる弊害も目立ってきております。例えば、診療報酬の計算に手間や時間がかかるために、医師や職員の労務負担が増えてしまうことです。加えて、新型コロナウイルスなど新しい病気が拡大した際の病院の対応能力にも支障をきたします。
■算定時間短縮へ生成AIを活用、システム改修費用の削減にも寄与
こうした中で、FIXERと順天堂大学は、生成AIサービス「GaiXer」に電子カルテの記載内容を理解させ、厚労省が定めた「標準請求コード」を直接選択できるようにする新たな仕組みの研究を始めました。第一段階では電子カルテ情報に紐づいたオーダーから生成AIで請求内容を選択可能か検証します。第二段階では電子カルテの記載内容から直接、生成AIが請求内容を選択できるか否かを検証する予定です。
GaiXerを活用することにより、従来は完成まで、病院全体で数日かかることが多かった診療報酬の作成時間を、数分程度(生成AIによる原案作成に数十秒、医師のチェックを合わせて数分程度)に短縮できる見通しです。共同研究には、医師や医療事務の関係者も協力し、診療報酬の生成精度の向上を目指します。
現在は2年に1度の診療報酬改定のたびに全国の医療機関で、会計システム(レセプト電算システム)やソフトウエアの改修や更新をする必要があります。こうした改修作業には莫大な費用がかかり、病院運営や医療財政のひっ迫につながります。厚生労働省はこうした仕組みを見直し、費用を削減する施策を進めており、今回の共同研究は国の重要な施策を後押しすると考えております。
共同研究の正式名称は「生成AIを活用したレセプト作成機能の構築と診療行為等データの二次利用基盤の構築に向けた調査研究」で、厚生労働省を通じて国庫補助を受けております。FIXERと順天堂大学は今年度中に報告書をとりまとめ、厚労省に提出する計画です。研究成果が有用と評価された場合、国が構築を進めようとしている全国の医療機関の会計処理を合理化する仕組みのなかで、ご活用いただける可能性があります。FIXERは今回の取り組みを通じ、国や医療機関が進める医療DXに貢献してまいります。
■医療DXの背景
少子・高齢化が進む日本では、今後、労働力人口が減少し続ける見通しです。2024年4月からは医師の「働き方改革」が導入され、時間外労働の総量規制も実施されます。このため、医療機関は少ない人数で多くの高齢者を支える体制をつくる必要があります。医療現場の人材を有効活用し、生産性を高めるためにデジタル技術やAIを活用した医療DXによる業務効率化は不可欠です。
高齢者の増加により、医療費も急速に膨らむ見通しです。国の社会保障費負担の抑制や財政健全化のためにも医療分野の業務効率化は重要です。新型コロナウイルス感染症の流行拡大時には、医療データの収集や医療機関の連携がうまくできないなど、医療現場が混乱しました。国や医療機関が進める医療DXは、今後の感染症拡大などの危機に迅速に対応する観点でも注目されており、生成AIの技術も課題解決に大きく貢献するとされています。
■エンタープライズ向け生成型AIサービス 「GaiXer (ガイザー)」について
[画像1: https://prtimes.jp/i/9536/80/resize/d9536-80-06fc8637caf3b0fe8924-1.png ]
GaiXerはChatGPT等に代表される生成AI技術を活用した行政・企業向けサービスです。日々進化する大規模言語モデル(LLM)をメニューから選択して実行、結果を比較することで最適なモデルを選択できることが特徴で、Azure OpenAI Serviceを軸に開発し、データ保護機能、アクセス制御機能を通じ安全にご利用いただけるセキュリティを備えています。
業種別のテンプレートを活用したプロンプト作成支援や、ファイル、Webサイト、社内マニュアルの学習に基づく高品質な回答生成が可能で、対話形式でプロンプトが生成できるテンプレート機能もあり、利用初日から高い生成品質を得ることが可能です。加えて、クラウド上の様々なサービスと結合することで、カスタマーサポート支援や文書作成業務の効率化など、さまざまな分野での活用を可能としています。
■ 株式会社FIXERについて
FIXERはクラウド黎明期に創業したクラウドネイティブカンパニーです。
当社はクラウド基盤である「Microsoft Azure」が本格的にサービスを開始する前の2009年に創業。2010年の正式サービス開始と同時にエンタープライズシステムのクラウド化をプライムとして引き受け、日本におけるクラウドの黎明期からAzure普及の一翼を担ってきました。政府がクラウドを行政システムの第1選択とする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を示した2018年以降、エンタープライズシステムのクラウド環境へのリフト(移行)&シフト(進化)のニーズは、ますます高まっています。こうした中、FIXERがこれまで培ってきたクラウドネイティブなテクノロジーで日本のDXを加速させることが、我々のミッションであると考えています。
会社名:株式会社FIXER
代表者:代表取締役社長 松岡 清一
所在地:東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館 最上階
Webサイト:https://www.fixer.co.jp/
※Microsoft、Azure、Azure OpenAI Serviceは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
[画像2: https://prtimes.jp/i/9536/80/resize/d9536-80-2bab96256ea1d3c20ee0-0.png ]