【2022年度】全国の高等学校におけるICT(※1)活用実態調査――生徒用モバイル端末の配備率は8割超に。GIGAスクール構想下(※2)で教員・生徒の課題も変化
[22/02/25]
提供元:PRTIMES
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教育出版の株式会社旺文社(本社:東京都新宿区、代表取締役:粂川 秀樹)は、高等学校におけるICT機器・サービスの導入状況および活用の実態について、アンケート調査を実施いたしました。今年で6回目となる本調査では、全国計805の高等学校から回答を集計。ICTの教育利用に関する近年の傾向と課題について、過去の調査データとの比較を交えた分析結果を公開いたします。
この調査結果を受け、旺文社では、各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでまいります。
※1 ICT:Information and Communication Technologyの略語。情報処理や通信に関する技術、設備の総称。
※2 GIGAスクール構想:小・中・高等学校などの教育現場で先端技術を効果的に活用できるようにするため、文部科学省が推進する取り組み。児童・生徒各自がパソコンやタブレットといったICT端末を利用するための環境構築が進められている。
【調査結果サマリ】
?生徒用のモバイルICT端末を導入している高等学校は85.8%、授業利用可能な無線ネットワーク環境整備も加速
台数を問わず生徒用のモバイルICT端末を校内に導入している高等学校の割合は、全体の8割超(85.8%)に。中でも「タブレット型」端末の割合は昨年度調査から17.4ポイント増の69.8%となり、普及端末の大勢を占めている状況です。モバイル端末利用のための環境整備も進み、通常授業に無線ネットワークを利用できる高等学校の割合は全体の76.6%に達しました。
?「BYOD」(※3)を導入する高等学校が38.5%に拡大する一方、スマートフォン等の私物端末利用に関しては懸念の声も
生徒私物のPC・スマートフォン等の端末を教育目的で利用(=「BYOD」)する高等学校は、昨年度調査からさらに増え、全体の4割弱に届いています。費用負担や休校時の連絡手段といった問題をクリアできる方策として期待される一方、学校現場での利用にあたっては、充電・破損などへの対応や私用目的と切り分けるモラルの問題なども不安視されています。
? ICT活用によって変化する教員負担の質と量、GIGAスクール構想が掲げる理想に近づくための課題意識
文部科学省が掲げるGIGAスクール構想下で、「生徒向け1人1台端末」の環境構築が着実に進み、これまでにない学びや指導のプロセスが生まれるかたわら、端末管理や情報モラル教育が教員の負担増になるといった歪みも顕在化しています。ICT活用が「校務負担の軽減」に大きく期待される一方、「活用スキルの引き上げ」が最大の課題とされる現状に、構想とのギャップを埋めるための時間と取り組みが必要であることがわかりました。
※3 BYOD:Bring Your Own Deviceの略語。元々は企業などの団体組織において個人所有のモバイル端末を職場に持ち込み、それを業務目的の情報端末として運用するといった取り組み。
高等学校で進むモバイルICT端末の利用と無線ネットワークの整備
全国の高等学校で導入・使用されているICT機器についての調査では、「生徒用のPC端末(タブレット型)」(69.8%)が昨年調査からさらに増え、回答割合トップの「大型提示装置(電子黒板・プロジェクター等)」(86.5%)に迫る勢いです。同じモバイル型端末である「生徒用のPC端末(ノート型)」(38.8%)の割合も昨年から増え、「タブレット型」と「ノート型」を合わせた、モバイルICT端末の導入率(両者回答の重複を除く)は85.8%に上っています。〈図1〉
また、高等学校におけるネットワーク環境の整備状況についての調査では、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」(37.5%)と「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」(39.1%)の割合がさらに増えました。校内のエリアを限定せず、モバイルICT端末を日常的に授業利用できる環境の整備が急速に進んでいます。〈図2〉
[画像1: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-a38cfe9eb5e3252ce656-16.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-e880dff74d3285c7f548-17.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-12164eb5aa04fceb99c3-18.png ]
私物端末の教育的利用(「BYOD」)拡大と使用制限緩和における課題
高等学校において生徒の私物端末を教育利用する「BYOD」の取り組みは、昨年調査時からさらに広がっています。ICT機器の導入・使用状況に関する調査では、「生徒の私物端末(スマートフォン・PC等)」(38.5%)の回答率がさらに伸び、同じモバイルICT端末の「生徒用のPC端末(ノート型)」と同等の割合となっています。感染症対策による休校措置が取られた2020年以来、生徒に対するリモートでの指導や連絡手段を確保しておきたいとする学校側の意識が、「BYOD」を支持する数字の伸びに表れています。〈図1〉
一方、校内における生徒の私物端末(スマートフォン等)の使用制限状況について調べたところ、「校内で自由に使用できる」(17.0%)、「学習などの目的であれば校内で自由に使用できる」(28.6%)の回答割合は昨年から微増したものの、全体的な使用制限に係る方針に大きな傾向変化は見られませんでした。〈図3〉 これには、以下に挙げたような意見から、ハードウェアの管理面に関する懸念に加え、生徒の情報モラルやコミュニケーションにおける課題意識も反映されていることがわかります。
【回答コメント例】生徒の私物端末利用についての課題
・「授業で本格的に利用するには、さまざまな機種への充電対応が必要」(公立/工業科)
・「校内での端末故障・破損などへの対応に苦慮している」(公立/地理歴史科)
・「私用と同じ使い方(動画視聴・ゲームなど)をしない〈心を育てる〉必要性を感じる」(私立/英語科)
・「端末利用推進の中で変化する生徒たちの水面下の関係性を、学校側が把握しなくてはいけない」(公立/情報科)
生徒・教員の「1人1台」端末利用状況とサービス運用上の課題
生徒用モバイルICT端末の導入校に対して配備状況の内訳を調べたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高等学校の割合は50.1%となり、本調査を開始した2017年度以来初めて半数を超えました。〈図4〉 今後に端末の導入予定があるとする高等学校においては、回答校の82.0%が「生徒1人1台配備」を見込んでいると答えており、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想においてハード面の土台となる端末配備は、高等学校でも着実に進んでいる状況です。〈図5〉
一方、教員が利用するICT端末および教務支援サービスについての調査では、「1人1台専用端末を利用できる」という回答の合計が全体の8割を超えています。〈図6〉 さらに、「個人の判断でどのようなサービスでも利用できる」(19.7%)の回答割合を学校種別ごとに分けてみると、国公立高等学校が12.2%、私立高等学校が32.8%と差が出ており、サービスの運用に至る意思決定のプロセスは学校により異なる様相です。教員用端末と教務支援サービスの運用については、以下のような課題を指摘する声も上がりました。
【回答コメント例】教員用端末およびサービス運用についての課題
・「教員の私物端末や善意に頼っている部分が大きい」(公立/数学科)
・「生徒の端末と同じOSの端末が教員に配布される予定がなく、指導する側として困っている」(公立/商業科)
・「校内ネットワークのアクセス制限が厳しく、思うように外部提供サービスを利用できない」(公立/教務部)
[画像4: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-f9d3291d83774aefeba1-19.png ]
[画像5: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-414c2178d62c9f99a720-20.png ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-121ebe575f0b5827a018-25.png ]
高等学校で膨らむICT活用への期待と新たに生まれる課題意識
ICTの必要性を感じるポイントについての調査では、「校務負担の軽減」(82.0%)、「教材のペーパーレス化」(70.7%)の回答割合が昨年から大幅に増えました。2020年次の休校措置により突発的な需要が生じた「リモートでの課題配信」(64.0%)、「オンライン遠隔授業」(54.2%)などの項目は依然として回答割合が高いものの、登校・通常授業のペースが戻った2021年次は、生徒への対面指導における教務面での効率改善や教員の負担軽減に注目が集まった形です。〈図7〉 実際に、導入した生徒用モバイルICT端末の活用状況についての調査では、「活用できている」という回答割合の合計が端末導入校全体の7割を超え、学校側がICT運用に対して一定の手応えを感じていることがわかります。〈図8〉
一方、ICT活用へのさらなる期待や課題意識は、「十分活用できている」(10.2%)の割合が昨年調査時から減少し、「まあまあ活用できている」(60.2%)の割合が増えたことにも表れています。活用における課題についての調査では、「教員の活用スキルの引き上げ」(85.7%)が過去調査に引き続き最多の回答割合となり、高等学校内でICT運用が必要となるシーンの増加や、それに伴って求められる知見や技術、サポート体制についての問題が顕在化していることを裏付けています。〈図9〉
また、課題として挙げられる点については、「生徒の情報モラルの向上」(67.8%)の回答割合が昨年から10ポイント以上増加しました。生徒個人の情報リテラシー課題に加え、SNSやチャット機能などを通して生まれがちなトラブルに対し、懸念や危惧を抱く声が多く上がりました。
【回答コメント例】GIGAスクール構想下においてICT活用に寄せる期待と課題
・「校務の負担軽減が期待できる一方、スキルの修得が課題」(公立/国語科)
・「ICT機器を使用すること自体が目的となったり、適切な教材を見出すために多大な時間を費やすことになったりすることを心配している」(公立/数学科)
・「生徒の選択肢が広がり自学自習できる環境が整う一方、生徒のやる気をどのように引き出していくかが課題」(公立/理科)
・「情報収集は簡単になったが、情報の正確さを確かめる術や集めた情報から深く考察するには、どのような指導法が良いのか考える必要がある」(公立/英語科)
・「情報モラルやセキュリティ、端末管理など学校にかかる負担が想像以上に大きい」(公立/情報科)
・「業務軽減やペーパーレス化に期待する一方、チャット機能やメールなどが新たないじめの場になることを懸念」(公立/工業科)
[画像7: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-c6ee922a70299edb63a2-22.png ]
[画像8: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-131f9d8dd80554a88161-23.png ]
[画像9: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-315e78216e6900c07fd7-24.png ]
総括:教育ICTの活用効果と価値向上に向けた課題
本調査では、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想を受けて、高等学校におけるモバイルICT端末の導入と利用がさらに広がったことがわかりました。ICTの運用基盤となる端末普及やネットワーク等の環境整備が進む中、生徒たちの意識をどのように教育的な利用目的に向けられるか、教員がどこまで高度な活用技術を持って指導できるか、学校側の苦悩や課題意識も浮かび上がっています。
ICT活用に対して教員や生徒・保護者が抱く期待や理想と、実際の運用にあたって生じる障壁やトラブルとのギャップをひとつずつ解消することが、ICTの活用価値を本質的に高めていくために必要なステップです。
今回の調査結果をもとに、今後旺文社では、各高等学校の実情と需要に応えられるような教育コンテンツ・サービスを提供し、教員向けに活用の実践例を交えたセミナーを開催するなど、高等学校を始めとした教育の場をサポートする取り組みを進めてまいります。
<高等学校アンケート調査実施要領>
※過去年度の調査結果は、旺文社HPよりご覧いただけます。
(2017年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/459
(2018年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/509
(2019年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/548
(2020年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/586
(2021年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/643
調査テーマ:全国の高等学校におけるICT活用状況についての調査
調査目的:高等学校現場におけるICT機器の導入ならびにICT関連サービスの活用状況の実態を調べ、
導入拡大・継続運用のための課題や、今後必要とされるサービス内容を把握する
調査対象:旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校 計5,062校 *中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く
調査方法:対象校に対してアンケートDMを送付し、FAXおよびWebページにて回答を受け付け
調査規模:全805校からのアンケート回答結果を分析
調査時期:2021年12月上旬〜2022年1月上旬
調査発表日:2022年2月25日
旺文社提供/学校向け教育ICTサービスのご紹介
[画像10: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-b14c62c0ea3799c1f181-11.png ]
<英単語マスタープログラム「タンゴスタ!for英単語ターゲット」>
「タンゴスタ!for英単語ターゲット」は、英単語学習を支援するために開発されたICT活用サービスです。多くの高等学校に教材として採用いただいている英単語集「英単語ターゲット」シリーズのコンテンツが搭載されており、学習の効率化と継続サポートによる生徒の英単語習得、ならびに、確認テストや評価管理の自動化による先生の負担軽減を実現します。
学校現場におけるICT環境の整備が進んでいることを受け、全国の高等学校での導入が広がっており、2022年春からは、新たに英検(R)対策コンテンツの追加搭載といったサービスの拡充も予定しております。
●公式サイトURL:https://www.obunsha.co.jp/pr/tangosta
<ほしい問題に出会える「入試正解デジタル」>
「入試正解デジタル」は、旺文社刊行の書籍「全国大学入試問題正解」に掲載された大学入試過去問を検索できるWebアプリケーションです。検索機能を通して膨大な書籍収録情報から問題コンテンツを探す負担を軽減し、入試問題演習や授業で使うプリント作成、過去問の研究にお役立ていただけます。
現在は〈数学〉〈物理〉〈化学〉を対象科目に6年分の過去問を掲載しており、2022年度中には新たに〈英語〉〈国語〉〈日本史〉〈世界史〉〈生物〉が追加予定。今後、プリント作成に便利なテキストデータのダウンロード機能なども拡充予定です。(2022年9月30日までサービス利用料金の特別割引キャンペーンを実施中)
●公式サイトURL:https://kakomon.obunsha.co.jp/
【会社概要】
学ぶ人は、変えてゆく人だ
[画像11: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-1e34fd8621674b7aeff2-15.jpg ]
目の前にある問題はもちろん、人生の問いや、社会の課題を自ら見つけ、
挑み続けるために、人は学ぶ。
「学び」で、少しずつ世界は変えてゆける。
いつでも、どこでも、誰でも、学ぶことができる世の中へ。
私たちは、学ぶ人をずっと応援し続けます。
旺文社ブランドサイト URL:https://www.obunsha.co.jp/pr/change/
社名:株式会社 旺文社
代表者:代表取締役社長 粂川 秀樹
設立:1931年10月1日
本社:〒162‐8680 東京都新宿区横寺町55 / TEL: 03‐3266‐6400
事業内容:教育・情報をメインとした総合出版と事業
URL: https://www.obunsha.co.jp/
この調査結果を受け、旺文社では、各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでまいります。
※1 ICT:Information and Communication Technologyの略語。情報処理や通信に関する技術、設備の総称。
※2 GIGAスクール構想:小・中・高等学校などの教育現場で先端技術を効果的に活用できるようにするため、文部科学省が推進する取り組み。児童・生徒各自がパソコンやタブレットといったICT端末を利用するための環境構築が進められている。
【調査結果サマリ】
?生徒用のモバイルICT端末を導入している高等学校は85.8%、授業利用可能な無線ネットワーク環境整備も加速
台数を問わず生徒用のモバイルICT端末を校内に導入している高等学校の割合は、全体の8割超(85.8%)に。中でも「タブレット型」端末の割合は昨年度調査から17.4ポイント増の69.8%となり、普及端末の大勢を占めている状況です。モバイル端末利用のための環境整備も進み、通常授業に無線ネットワークを利用できる高等学校の割合は全体の76.6%に達しました。
?「BYOD」(※3)を導入する高等学校が38.5%に拡大する一方、スマートフォン等の私物端末利用に関しては懸念の声も
生徒私物のPC・スマートフォン等の端末を教育目的で利用(=「BYOD」)する高等学校は、昨年度調査からさらに増え、全体の4割弱に届いています。費用負担や休校時の連絡手段といった問題をクリアできる方策として期待される一方、学校現場での利用にあたっては、充電・破損などへの対応や私用目的と切り分けるモラルの問題なども不安視されています。
? ICT活用によって変化する教員負担の質と量、GIGAスクール構想が掲げる理想に近づくための課題意識
文部科学省が掲げるGIGAスクール構想下で、「生徒向け1人1台端末」の環境構築が着実に進み、これまでにない学びや指導のプロセスが生まれるかたわら、端末管理や情報モラル教育が教員の負担増になるといった歪みも顕在化しています。ICT活用が「校務負担の軽減」に大きく期待される一方、「活用スキルの引き上げ」が最大の課題とされる現状に、構想とのギャップを埋めるための時間と取り組みが必要であることがわかりました。
※3 BYOD:Bring Your Own Deviceの略語。元々は企業などの団体組織において個人所有のモバイル端末を職場に持ち込み、それを業務目的の情報端末として運用するといった取り組み。
高等学校で進むモバイルICT端末の利用と無線ネットワークの整備
全国の高等学校で導入・使用されているICT機器についての調査では、「生徒用のPC端末(タブレット型)」(69.8%)が昨年調査からさらに増え、回答割合トップの「大型提示装置(電子黒板・プロジェクター等)」(86.5%)に迫る勢いです。同じモバイル型端末である「生徒用のPC端末(ノート型)」(38.8%)の割合も昨年から増え、「タブレット型」と「ノート型」を合わせた、モバイルICT端末の導入率(両者回答の重複を除く)は85.8%に上っています。〈図1〉
また、高等学校におけるネットワーク環境の整備状況についての調査では、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」(37.5%)と「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」(39.1%)の割合がさらに増えました。校内のエリアを限定せず、モバイルICT端末を日常的に授業利用できる環境の整備が急速に進んでいます。〈図2〉
[画像1: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-a38cfe9eb5e3252ce656-16.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-e880dff74d3285c7f548-17.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-12164eb5aa04fceb99c3-18.png ]
私物端末の教育的利用(「BYOD」)拡大と使用制限緩和における課題
高等学校において生徒の私物端末を教育利用する「BYOD」の取り組みは、昨年調査時からさらに広がっています。ICT機器の導入・使用状況に関する調査では、「生徒の私物端末(スマートフォン・PC等)」(38.5%)の回答率がさらに伸び、同じモバイルICT端末の「生徒用のPC端末(ノート型)」と同等の割合となっています。感染症対策による休校措置が取られた2020年以来、生徒に対するリモートでの指導や連絡手段を確保しておきたいとする学校側の意識が、「BYOD」を支持する数字の伸びに表れています。〈図1〉
一方、校内における生徒の私物端末(スマートフォン等)の使用制限状況について調べたところ、「校内で自由に使用できる」(17.0%)、「学習などの目的であれば校内で自由に使用できる」(28.6%)の回答割合は昨年から微増したものの、全体的な使用制限に係る方針に大きな傾向変化は見られませんでした。〈図3〉 これには、以下に挙げたような意見から、ハードウェアの管理面に関する懸念に加え、生徒の情報モラルやコミュニケーションにおける課題意識も反映されていることがわかります。
【回答コメント例】生徒の私物端末利用についての課題
・「授業で本格的に利用するには、さまざまな機種への充電対応が必要」(公立/工業科)
・「校内での端末故障・破損などへの対応に苦慮している」(公立/地理歴史科)
・「私用と同じ使い方(動画視聴・ゲームなど)をしない〈心を育てる〉必要性を感じる」(私立/英語科)
・「端末利用推進の中で変化する生徒たちの水面下の関係性を、学校側が把握しなくてはいけない」(公立/情報科)
生徒・教員の「1人1台」端末利用状況とサービス運用上の課題
生徒用モバイルICT端末の導入校に対して配備状況の内訳を調べたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高等学校の割合は50.1%となり、本調査を開始した2017年度以来初めて半数を超えました。〈図4〉 今後に端末の導入予定があるとする高等学校においては、回答校の82.0%が「生徒1人1台配備」を見込んでいると答えており、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想においてハード面の土台となる端末配備は、高等学校でも着実に進んでいる状況です。〈図5〉
一方、教員が利用するICT端末および教務支援サービスについての調査では、「1人1台専用端末を利用できる」という回答の合計が全体の8割を超えています。〈図6〉 さらに、「個人の判断でどのようなサービスでも利用できる」(19.7%)の回答割合を学校種別ごとに分けてみると、国公立高等学校が12.2%、私立高等学校が32.8%と差が出ており、サービスの運用に至る意思決定のプロセスは学校により異なる様相です。教員用端末と教務支援サービスの運用については、以下のような課題を指摘する声も上がりました。
【回答コメント例】教員用端末およびサービス運用についての課題
・「教員の私物端末や善意に頼っている部分が大きい」(公立/数学科)
・「生徒の端末と同じOSの端末が教員に配布される予定がなく、指導する側として困っている」(公立/商業科)
・「校内ネットワークのアクセス制限が厳しく、思うように外部提供サービスを利用できない」(公立/教務部)
[画像4: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-f9d3291d83774aefeba1-19.png ]
[画像5: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-414c2178d62c9f99a720-20.png ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-121ebe575f0b5827a018-25.png ]
高等学校で膨らむICT活用への期待と新たに生まれる課題意識
ICTの必要性を感じるポイントについての調査では、「校務負担の軽減」(82.0%)、「教材のペーパーレス化」(70.7%)の回答割合が昨年から大幅に増えました。2020年次の休校措置により突発的な需要が生じた「リモートでの課題配信」(64.0%)、「オンライン遠隔授業」(54.2%)などの項目は依然として回答割合が高いものの、登校・通常授業のペースが戻った2021年次は、生徒への対面指導における教務面での効率改善や教員の負担軽減に注目が集まった形です。〈図7〉 実際に、導入した生徒用モバイルICT端末の活用状況についての調査では、「活用できている」という回答割合の合計が端末導入校全体の7割を超え、学校側がICT運用に対して一定の手応えを感じていることがわかります。〈図8〉
一方、ICT活用へのさらなる期待や課題意識は、「十分活用できている」(10.2%)の割合が昨年調査時から減少し、「まあまあ活用できている」(60.2%)の割合が増えたことにも表れています。活用における課題についての調査では、「教員の活用スキルの引き上げ」(85.7%)が過去調査に引き続き最多の回答割合となり、高等学校内でICT運用が必要となるシーンの増加や、それに伴って求められる知見や技術、サポート体制についての問題が顕在化していることを裏付けています。〈図9〉
また、課題として挙げられる点については、「生徒の情報モラルの向上」(67.8%)の回答割合が昨年から10ポイント以上増加しました。生徒個人の情報リテラシー課題に加え、SNSやチャット機能などを通して生まれがちなトラブルに対し、懸念や危惧を抱く声が多く上がりました。
【回答コメント例】GIGAスクール構想下においてICT活用に寄せる期待と課題
・「校務の負担軽減が期待できる一方、スキルの修得が課題」(公立/国語科)
・「ICT機器を使用すること自体が目的となったり、適切な教材を見出すために多大な時間を費やすことになったりすることを心配している」(公立/数学科)
・「生徒の選択肢が広がり自学自習できる環境が整う一方、生徒のやる気をどのように引き出していくかが課題」(公立/理科)
・「情報収集は簡単になったが、情報の正確さを確かめる術や集めた情報から深く考察するには、どのような指導法が良いのか考える必要がある」(公立/英語科)
・「情報モラルやセキュリティ、端末管理など学校にかかる負担が想像以上に大きい」(公立/情報科)
・「業務軽減やペーパーレス化に期待する一方、チャット機能やメールなどが新たないじめの場になることを懸念」(公立/工業科)
[画像7: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-c6ee922a70299edb63a2-22.png ]
[画像8: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-131f9d8dd80554a88161-23.png ]
[画像9: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-315e78216e6900c07fd7-24.png ]
総括:教育ICTの活用効果と価値向上に向けた課題
本調査では、文部科学省が掲げるGIGAスクール構想を受けて、高等学校におけるモバイルICT端末の導入と利用がさらに広がったことがわかりました。ICTの運用基盤となる端末普及やネットワーク等の環境整備が進む中、生徒たちの意識をどのように教育的な利用目的に向けられるか、教員がどこまで高度な活用技術を持って指導できるか、学校側の苦悩や課題意識も浮かび上がっています。
ICT活用に対して教員や生徒・保護者が抱く期待や理想と、実際の運用にあたって生じる障壁やトラブルとのギャップをひとつずつ解消することが、ICTの活用価値を本質的に高めていくために必要なステップです。
今回の調査結果をもとに、今後旺文社では、各高等学校の実情と需要に応えられるような教育コンテンツ・サービスを提供し、教員向けに活用の実践例を交えたセミナーを開催するなど、高等学校を始めとした教育の場をサポートする取り組みを進めてまいります。
<高等学校アンケート調査実施要領>
※過去年度の調査結果は、旺文社HPよりご覧いただけます。
(2017年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/459
(2018年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/509
(2019年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/548
(2020年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/586
(2021年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/643
調査テーマ:全国の高等学校におけるICT活用状況についての調査
調査目的:高等学校現場におけるICT機器の導入ならびにICT関連サービスの活用状況の実態を調べ、
導入拡大・継続運用のための課題や、今後必要とされるサービス内容を把握する
調査対象:旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校 計5,062校 *中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く
調査方法:対象校に対してアンケートDMを送付し、FAXおよびWebページにて回答を受け付け
調査規模:全805校からのアンケート回答結果を分析
調査時期:2021年12月上旬〜2022年1月上旬
調査発表日:2022年2月25日
旺文社提供/学校向け教育ICTサービスのご紹介
[画像10: https://prtimes.jp/i/55026/81/resize/d55026-81-b14c62c0ea3799c1f181-11.png ]
<英単語マスタープログラム「タンゴスタ!for英単語ターゲット」>
「タンゴスタ!for英単語ターゲット」は、英単語学習を支援するために開発されたICT活用サービスです。多くの高等学校に教材として採用いただいている英単語集「英単語ターゲット」シリーズのコンテンツが搭載されており、学習の効率化と継続サポートによる生徒の英単語習得、ならびに、確認テストや評価管理の自動化による先生の負担軽減を実現します。
学校現場におけるICT環境の整備が進んでいることを受け、全国の高等学校での導入が広がっており、2022年春からは、新たに英検(R)対策コンテンツの追加搭載といったサービスの拡充も予定しております。
●公式サイトURL:https://www.obunsha.co.jp/pr/tangosta
<ほしい問題に出会える「入試正解デジタル」>
「入試正解デジタル」は、旺文社刊行の書籍「全国大学入試問題正解」に掲載された大学入試過去問を検索できるWebアプリケーションです。検索機能を通して膨大な書籍収録情報から問題コンテンツを探す負担を軽減し、入試問題演習や授業で使うプリント作成、過去問の研究にお役立ていただけます。
現在は〈数学〉〈物理〉〈化学〉を対象科目に6年分の過去問を掲載しており、2022年度中には新たに〈英語〉〈国語〉〈日本史〉〈世界史〉〈生物〉が追加予定。今後、プリント作成に便利なテキストデータのダウンロード機能なども拡充予定です。(2022年9月30日までサービス利用料金の特別割引キャンペーンを実施中)
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【会社概要】
学ぶ人は、変えてゆく人だ
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目の前にある問題はもちろん、人生の問いや、社会の課題を自ら見つけ、
挑み続けるために、人は学ぶ。
「学び」で、少しずつ世界は変えてゆける。
いつでも、どこでも、誰でも、学ぶことができる世の中へ。
私たちは、学ぶ人をずっと応援し続けます。
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社名:株式会社 旺文社
代表者:代表取締役社長 粂川 秀樹
設立:1931年10月1日
本社:〒162‐8680 東京都新宿区横寺町55 / TEL: 03‐3266‐6400
事業内容:教育・情報をメインとした総合出版と事業
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